勝手かつて)” の例文
A 馬鹿ばかつちやいかん。統計とうけい神聖しんせいだ。勝手かつて算出さんしゆつしてたまるもんか。それよりかきみおれ今度こんど年賀状ねんがじやう趣向しゆかうせてやらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
聞き三吉然らば御かへり相待あひまつべしと言て上りこみ一向うごかぬ故小兵衞も是非なく密と勝手かつての方より出ておもてへ廻り只今歸りしていにて三吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あまつさよひじようじて、三人さんにんおの/\、うち三婦人さんふじんざうゆびさし、勝手かつて撰取よりどりに、おのれにはいして、むねで、うでし、みゝく。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なほさら五月蠅うるさいとはしくくるまのおとのかどとまるをなによりもにして、それおいできくがいなや、勝手かつてもとのはうき手拭てぬぐひをかぶらせぬ。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あゝ奇麗きれいになつた。うもつたあときたないものでね」と宗助そうすけまつた食卓しよくたく未練みれんのないかほをした。勝手かつてはうきよがしきりにわらつてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わが國名こくめいは「ニホン」または「ニツポン」である。外人ぐわいじんおもひ/\に勝手かつて稱呼せうこもちゐてゐるが、それは外人ぐわいじん自由じいうである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『一、二、三、すゝめ』の號令がうれいもなく、各自てんでみな勝手かつてはしして勝手かつてまりましたから、容易ようい競爭きやうさうをはりをることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
みさきのやうなかたちうて水田すゐでんかゝへて周圍しうゐはやしやうや本性ほんしやうのまに/\勝手かつてしろつぽいのやあかつぽいのや、黄色きいろつぽいのや種々いろ/\しげつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれ詮方せんかたなくおやすみなさい、とか、左樣さやうなら、とかつてやうとすれば、『勝手かつてにしやがれ。』と怒鳴どなける權幕けんまく
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ところが家來けらいたちは主人しゆじんおろかなことをそしり、たまりにくふりをして、めい/\の勝手かつてほうかけたり、自分じぶんいへこもつたりしてゐました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
しかしベシーは、お孃さんに着物を着せてしまふと、たいてい蝋燭を持つてすぐに、明るいお勝手かつてか、取締りの女の部屋へ、行つてしまふのだつた。
御城與力おしろよりきは、御城代ごじやうだいあづかものだが町奉行まちぶぎやう與力よりき同心どうしんもらつたのだ。まり各々おの/\今日けふから、この但馬たじまもらものだ。もらものだから、かさうところさうと但馬たじま勝手かつてだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
勝手かつての方へ立いで見れば家内かないの男女狂気きやうきのごとくかけまはりて、家財かざいを水にながさじと手当てあたりしだいに取退とりのくる。水はひくきに随てうしほのごとくおしきたり、すでたゝみひたにはみなぎる。
勝手かつて氣焔きえんもやゝくたぶれたころで、けだ話頭わとうてんじてすこしたたゞれをいやさうといふつもりらしい。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
またそのしつ兩側りようがはかべちかくには、幾百いくひやくといふおほくのしがあつて、種類別しゆるいべつ整理せいりした昆蟲標本こんちゆうひようほんでいっぱいになつてをり、たれでも勝手かつてしてることが出來できるので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
人間にんげん勝手かつてなもので、わたくし前夜ぜんや夜半やはんまでねむられなかつたにかゝはらず、翌朝よくあさくらうちからめた。五三十ぷんごろ櫻木大佐さくらぎたいさ武村兵曹たけむらへいそうともなつて、わたくし部室へやたゝいた。
かせぐものあればあそぶ者ありめる者あればふ者あるが即ち実相じつさうなればおの一人ひとり勝手かつて出放題ではうだいをこねつけてかほをするは云はふやうなき歿分暁漢わからずや言語同断ごんごどうだんといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
これははちなしをたべるものですから、はちをよけるために紙袋かみぶくろをかぶせるのです。お勝手かつてよこには祖父おぢいさんのゑたきりがありました。そのきりしたは一めん桑畑くはばたけでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
イ言はして置けば父をさし置きて我れ面白おもしろ勝手かつての理窟、左衞門聞く耳持たぬぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
銘々めい/\勝手かつてわかつた々々と自分じぶん議論ぎろん都合つがふはうにのみくばつて、がう學術的研究がくじゆつてきけんきうおこなはれず、一ぱうあとから彌生式やよひしき混入こんにふしたとひ、一ぱうは、いなしからずとひ。水掛論みづかけろんをはつてしまつた。
「まア。」と近子はあきれて見せて、「隨分ずゐぶん勝手かつてなんでございますね。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
勝手かつてしなにいていた、縁側えんがはについてようとすると、途絶とだえてたのが、ばたりとあたツて、二三つゞけさまにばさ、ばさ、ばさ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うちるほどなら此樣こん貧乏世帶びんぼうしよたい苦勞くろうをばしのんではませぬとくに貧乏世帶びんぼうしよたいきがきたなら勝手かつて何處どこなりつてもらはう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
立てゝ三歳なる文藏を守立もりたてて奉公人の取締とりしまり行屆ゆきとゞきしかば漸次々々しだい/\勝手かつてよくなりし故所々へ貸金とうもいたし番頭に忠兵衞と言者いふもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ぢや、君が菓子をかひけばいのに」と代助は勝手かつてながら、門野かどのあたつた。門野かどのはそれでも、まだ、返事をした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
徒勞むだだよおめえ、だれがいふことだつて苦勞くらうはねえんだから」ばあさんたがひ勝手かつてなことをがや/\とかたつゞけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
外人ぐわいじんがこれを如何いか取扱とりあつかはうとも、それは外人ぐわいじん勝手かつてである。たゞ吾人ごじんだんじて外人ぐわいじん取扱とりあつかひに模倣もほうし、せいめいとをはなしこれを逆列ぎやくれつしてはならぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『そんな容貌かほつきをしたものはまつたこのまん』と王樣わうさままをされました、『それは何時いつでも勝手かつてにわが接吻キツスする』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そんな辣腕らつわんたちちがつても、都合上つがふじやう勝手かつてよろしきところくるまへるのが道中だうちう習慣ならはしで、出發點しゆつぱつてんで、とほし、とめても、そんな約束やくそくとほさない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勝手かつてばたらきの女子をんなども可笑をかしがりて、東京とうきやうおにところでもなきを、土地とちなれねばのやうにこはきものかと、美事みごと田舍ゐなかものにしてのけられぬ。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼等かれらのしをらしいものはそれでも午前ごぜん幾時間いくじかん懸命けんめいはたらいてちゝなるものゝ小言こごとかぬまでにうまやそばくさんでは、午後ごご幾時間いくじかん勝手かつてつひやさうとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小六ころく義太夫ぎだいふなどをくより、うちもちでもいてつたはう勝手かつてだといふので、留守るすたのんで二人ふたりた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんはうまれてから是迄これまでたつた一しか海岸かいがんつたことがないので、勝手かつて獨斷ひとりぎめをしてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其方懷姙くわいにんのよし我等血筋ちすぢ相違さうゐ是なしもし男子なんし出生に於ては時節じせつを以て呼出よびいだすべし女子たらば其方の勝手かつてに致すべし後日ごにち證據しようこの爲我等身にそへ大切に致候短刀たんたう相添あひそへつかはし置者也依而よつて如件くだんのごとし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やれもらへと無茶苦茶むちやくちやすゝめたてる五月蠅うるささ、うなりとれ、れ、勝手かつてれとてれをうちむかへたは丁度てうど貴孃あなた御懷妊ごくわいにんだときゝました時分じぶんこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うか/\と、あとを歩行あるいたはう勝手かつてだが、かれ勝手かつて超越てうゑつした朝飯前あさめしまへであらうもれない。ふえむねひゞく。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうして今朝けさはや刑事けいじはなしをしはじめた。刑事けいじ判定はんていによると、ぞくよひから邸内ていないしのんで、なんでも物置ものおきかなぞにかくれてゐたにちがひない。這入口はいりくち矢張やは勝手かつてである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
井戸ゐどくるまにてつなながさ十二ひろ勝手かつて北向きたむきにて師走しはすそらのからかぜひゆう/\とふきぬきのさむさ、おゝえがたとかまどまへなぶりの一ぷんは一にのびて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……去年きよねんはるごろまでは、樹蔭こかげみちで、戸田街道とだかいだう表通おもてどほりへ土地とちひとたちも勝手かつて通行つうかうしたのだけれども、いまは橋際はしぎは木戸きど出來できて、くわん構内こうないつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父上ちゝうへなくならば親代おやがはりのれ、兄上あにうへさゝげてかまどかみまつぽん託宣たくせんこゝろならば、いかにもいかにも別戸べつこ御主人ごしゆじんりて、此家このやためにははたらかぬが勝手かつて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さぞうちたての蕎麥そばのゝしつて、なしつてることだらう。まだそれ勝手かつてだが、かくごと量見りやうけんで、紅葉先生こうえふせんせい人格じんかく品評ひんぺうし、意圖いと忖度そんたくしてはゞからないのは僭越せんゑつである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かなしいとへば商買しようばいがらをきらふかと一トくちはれて仕舞しまう、ゑゝうなりとも勝手かつてになれ、勝手かつてになれ、わたしには以上いじようかんがへたとてわたしかたわからぬなれば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
呼出よびだしをけるの、勝手かつてつた裏口うらぐち𢌞まはつて、垣根かきねからのぞくと、長閑のどか障子しやうじけて、背戸せどにひら/\と蝶々てふ/\ぶのをながら、かべくろ陰氣いんき納戸なんど
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんなりとおつしやれ、言譯いひわけのちにしまするとてりてけば彌次馬やぢうまがうるさいとをつける、うなり勝手かつてはせませう、此方こちら此方こちら人中ひとなかけてともなひぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勝手かつて木像もくざうきざまばきざめ、天晴あつぱ出来でかしたとおもふなら、自分じぶんそれ女房にようぼうのかはりにして、断念あきらめるが分別ふんべつ為処しどころだ。見事みごとだ、うつくしいと敵手あひてゆるは、其方そつち無理むりぢや、わかつたか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人事ひとごと我事わがこと分別ふんべつをいふはまだはやし、おさなごゝろまへはなのみはしるく、もちまへのけじ氣性ぎせう勝手かつてまわりてくものやうなかたちをこしらへぬ、氣違きちが街道かいだうぼけみち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
按摩あんまどのは、團栗どんぐりごととがつたあたまで、黒目金くろめがねけて、しろ筒袖つゝそで上被うはつぱりで、革鞄かはかばんげて、そくにつて、「お療治れうぢ。」とあらはれた。——勝手かつてちがつて、わたし一寸ちよつと不平ふへいだつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くろぬりべいおもてかまへとお勝手かつてむきの經濟けいざいべつものぞかし、をしはかりにひとうへうらやまぬものよ、香月左門かうづきさもんといひし舊幕臣きうばくしん學士がくし父親ちヽおやとは𧘕𧘔かみしもかたをならべしあいだなるが
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……新坂しんざかとか、見附みつけさかとか、勝手かつてとなへてはせるが、おほきなあたらしいさかである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えぬなはにつながれてかれてゆくやうなれをば、あなたはしんところなにともおもふてくれねば、勝手かつてにしろといふふうれのこととてはすこしもさつしてくれる樣子やうすえぬ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)