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其頃
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そのころ
ふりがな文庫
“
其頃
(
そのころ
)” の例文
其頃
(
そのころ
)
は
東京
(
とうきやう
)
の
家
(
いへ
)
を
疊
(
たゝ
)
むとき、
懷
(
ふところ
)
にして
出
(
で
)
た
金
(
かね
)
は、
殆
(
ほと
)
んど
使
(
つか
)
ひ
果
(
は
)
たしてゐた。
彼
(
かれ
)
の
福岡
(
ふくをか
)
生活
(
せいくわつ
)
は
前後
(
ぜんご
)
二
年
(
ねん
)
を
通
(
つう
)
じて、
中々
(
なか/\
)
の
苦鬪
(
くとう
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
百
怪談
(
くわいだん
)
といふものを
拵
(
こしら
)
へて話したいと思ふ
時分
(
じぶん
)
の事で、
其頃
(
そのころ
)
はまだ世の中が
開
(
ひら
)
けないで、
怪談
(
くわいだん
)
の話の
売
(
う
)
れる
時分
(
じぶん
)
だから、
種子
(
たね
)
を探して歩いた。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
上京
(
じやうきやう
)
して、はじめの
歸省
(
きせい
)
で、それが
病氣
(
びやうき
)
のためであつた。
其頃
(
そのころ
)
、
學生
(
がくせい
)
の
肺病
(
はいびやう
)
は
娘
(
むすめ
)
に
持
(
も
)
てた。
書生
(
しよせい
)
の
脚氣
(
かつけ
)
は
年増
(
としま
)
にも
向
(
む
)
かない。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
次
(
つぎ
)
に
硯友社
(
けんいうしや
)
の
興
(
な
)
るに
就
(
つ
)
いて、第二の
動機
(
だうき
)
となつたのは、
思案外史
(
しあんがいし
)
と
予備門
(
よびもん
)
の
同時
(
どうじ
)
の
入学生
(
にふがくせい
)
で
相識
(
あいし
)
つたのです、
其頃
(
そのころ
)
は
石橋雨香
(
いしばしうかう
)
と
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ました
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
月番の
若年寄衆
(
わかとしよりしう
)
へ
進達
(
しんたつ
)
致されし處此儀容易ならずと有て
早速
(
さつそく
)
年寄衆
(
としよりしう
)
の評議となりたり
其頃
(
そのころ
)
天下の御政事に
關
(
あづ
)
かる人々には
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
私は
其頃
(
そのころ
)
の出たらめな生活を、自分では常にかう弁護してゐた。そして当然起るであらう周囲の友だちの非難にも、かう云つて弁解するつもりでゐた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
與
(
よ
)
四
郎
(
らう
)
が
方
(
かた
)
に
變
(
かは
)
る
心
(
こゝろ
)
なければ、一日も百
年
(
ねん
)
も
同
(
おな
)
じ
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
れども
其頃
(
そのころ
)
より
美尾
(
みを
)
が
樣子
(
やうす
)
の
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に
怪
(
あや
)
しく、ぼんやりと
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めて
物
(
もの
)
の
手
(
て
)
につかぬ
不審
(
いぶか
)
しさ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其頃
(
そのころ
)
歐羅巴
(
エウロツパ
)
の
諸
(
しよ
)
新聞
(
しんぶん
)
は
筆
(
ふで
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
詳報
(
しやうほう
)
し、かの
臆病
(
をくびやう
)
なる
船長等
(
せんちやうら
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
をば
痛
(
いた
)
く
攻撃
(
こうげき
)
すると
共
(
とも
)
に『
日本人
(
につぽんじん
)
の
魂
(
たましひ
)
。』なんかと
標題
(
みだし
)
を
置
(
お
)
いて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
然
(
しか
)
し
其頃
(
そのころ
)
はもうさういふ
事
(
こと
)
で
他人
(
たにん
)
を
批難
(
ひなん
)
するのは
馬鹿々々
(
ばか/\
)
しいといふ
意見
(
いけん
)
を
持
(
も
)
つてゐる
學生
(
がくせい
)
の
方
(
かた
)
が
多
(
おほ
)
かつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
もっとも
其頃
(
そのころ
)
の溜池は中々広いもので、維新後に埋められて狭くなり、更に埋められて当時の如く町家立ち続く繁華の地となったが、慶応頃の溜池は深く広く
河童小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三十五
年
(
ねん
)
の九
月
(
ぐわつ
)
、
日
(
ひ
)
は
忘
(
わす
)
れたが
初旬
(
しよじゆん
)
であつた。それが
權現臺
(
ごんげんだい
)
最初
(
さいしよ
)
の
發掘
(
はつくつ
)
で、
其頃
(
そのころ
)
余
(
よ
)
の
宅
(
たく
)
は
陣屋横町
(
ぢんやよこちやう
)
に
在
(
あ
)
つて、
活東
(
くわつとう
)
望蜀
(
ばうしよく
)
の二
子
(
し
)
が
同住
(
どうじう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
後
(
のち
)
に
玄川子
(
げんせんし
)
も
來
(
き
)
た。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
旅ほど
嚊
(
かか
)
が
可愛
(
かわゆ
)
うておもしろい事はないぞ、いまだに
其頃
(
そのころ
)
を夢に見て後での話しに、
此
(
この
)
間も
嫗
(
ばば
)
に真夜中
頃
(
ごろ
)
入歯を飛出さして笑ったぞ、コレ珠運、オイ是は
仕
(
し
)
たり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
生垣
(
いけがき
)
の外を通るものがあるから
不図
(
ふと
)
見れば先へ立つものは、年頃三十位の
大丸髷
(
おおまるまげ
)
の人柄のよい
年増
(
としま
)
にて、
其頃
(
そのころ
)
流行
(
はや
)
った
縮緬細工
(
ちりめんざいく
)
の
牡丹
(
ぼたん
)
芍薬
(
しゃくやく
)
などの花の附いた燈籠を
提
(
さ
)
げ
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
飛離
(
とびはな
)
れて面白いでもなく
候
(
そろ
)
へどもほかの事の
仕方
(
しかた
)
がないにくらべ
候
(
そろ
)
へばいくらか面白かりしものと
存候
(
ぞんじそろ
)
たゞ
其頃
(
そのころ
)
小生
(
せうせい
)
の一
奇
(
き
)
と
致候
(
いたしそろ
)
は
萬場
(
ばんじやう
)
の
観客
(
かんかく
)
の面白げなるべきに
拘
(
かゝわ
)
らず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
姉は
其頃
(
そのころ
)
何んでも二十二三であった。まだ
児供
(
こども
)
がなく自分を大へんに可愛がってくれたのだ。自分が姉を見上げた時に姉は白地の手拭を姉さん
冠
(
かぶ
)
りにして筒袖の
袢天
(
はんてん
)
を着ていた。
守の家
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
シラチブチは
其頃
(
そのころ
)
から埋まりかけてゐた。東へ掘割を掘つて水を眞下に
流
(
なが
)
すやうになつてから、夏になる
度
(
たび
)
沿岸
(
えんがん
)
の土が流れ込んで、五寸づつ一尺づつ、だん/\と
埋
(
うづ
)
まつて行つた。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
而
(
さう
)
して
彼
(
かれ
)
は
昔
(
むかし
)
の
生活
(
せいくわつ
)
が
健全
(
けんぜん
)
で、
愉快
(
ゆくわい
)
で、
興味
(
きようみ
)
の
有
(
あ
)
つたこと、
其頃
(
そのころ
)
の
上流社會
(
じやうりうしやくわい
)
には
知識
(
ちしき
)
が
有
(
あ
)
つたとか、
又
(
また
)
其社會
(
そのしやくわい
)
では
廉直
(
れんちよく
)
、
友誼
(
いうぎ
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
重
(
おも
)
んじてゐたとか、
證文
(
しようもん
)
なしで
錢
(
ぜに
)
を
貸
(
か
)
したとか
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「あの泥坊が
羨
(
うらやま
)
しい」二人の間にこんな言葉が
交
(
かわ
)
される程、
其頃
(
そのころ
)
は
窮迫
(
きゅうはく
)
していた。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
最初の覚書にはまだ
光
(
ひかる
)
のエプロンにはこんな形がいいとか、
股引
(
もヽひき
)
はかうして女中に
裁
(
たヽ
)
せて下さいとか書いて図を引いて置いたりしましたが、
其頃
(
そのころ
)
のことを思ひますと
光
(
ひかる
)
は大きくなりました。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
校長
(
かうちやう
)
の
名
(
な
)
は
大島伸一
(
おほしましんいち
)
、
其頃
(
そのころ
)
僅
(
わづか
)
に二十七八でしたらう。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
自
(
おのずか
)
ら
其頃
(
そのころ
)
となる
釣荵
(
つりしのぶ
)
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
其頃
(
そのころ
)
の
宗助
(
そうすけ
)
は
今
(
いま
)
と
違
(
ちが
)
つて
多
(
おほ
)
くの
友達
(
ともだち
)
を
持
(
も
)
つてゐた。
實
(
じつ
)
を
云
(
い
)
ふと、
輕快
(
けいくわい
)
な
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
に
映
(
えい
)
ずる
凡
(
すべ
)
ての
人
(
ひと
)
は、
殆
(
ほと
)
んど
誰彼
(
だれかれ
)
の
區別
(
くべつ
)
なく
友達
(
ともだち
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其頃
(
そのころ
)
、
風
(
ふう
)
をなして
行
(
おこな
)
はれた
試驗
(
しけん
)
間際
(
まぎは
)
に
徹夜
(
てつや
)
の
勉強
(
べんきやう
)
、
終夜
(
しうや
)
と
稱
(
とな
)
へて、
氣
(
き
)
の
合
(
あ
)
つた
同志
(
どうし
)
が
夜
(
よ
)
あかしに
演習
(
おさらひ
)
をする、なまけものの
節季仕事
(
せつきしごと
)
と
云
(
い
)
ふのである。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
休憩時間
(
きふけいじかん
)
には
控所
(
ひかえじよ
)
の
大勢
(
おほぜい
)
の中を
奔走
(
ほんそう
)
して
売付
(
うりつ
)
けるのです、
其頃
(
そのころ
)
学習院
(
がくしうゐん
)
が
類焼
(
るいしやう
)
して
当分
(
たうぶん
)
高等中学
(
こうとうちうがく
)
に
合併
(
がつぺい
)
して
居
(
ゐ
)
ましたから、
此
(
こゝ
)
へも持つて行つて
推売
(
おしう
)
るのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
どういふ
訳
(
わけ
)
かといふと、
其頃
(
そのころ
)
私
(
わたくし
)
が
怪談
(
くわいだん
)
の話の
種子
(
たね
)
を調べようと思つて、
方々
(
はう/″\
)
へ
行
(
い
)
つて
怪談
(
くわいだん
)
の
種子
(
たね
)
を
買出
(
かひだ
)
したと
云
(
い
)
ふのは、
私
(
わたくし
)
の
家
(
うち
)
に百
幅幽霊
(
ぷくいうれい
)
の
掛物
(
かけもの
)
があるから
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其頃
(
そのころ
)
大佐
(
たいさ
)
は
年輩
(
としごろ
)
三十二三、
威風
(
ゐふう
)
凛々
(
りん/\
)
たる
快男子
(
くわいだんし
)
で、
其
(
その
)
眼光
(
がんくわう
)
の
烱々
(
けい/\
)
たると、
其
(
その
)
音聲
(
おんせい
)
の
朗々
(
ろう/\
)
たるとは、
如何
(
いか
)
にも
有爲
(
いうゐ
)
の
氣象
(
きしやう
)
と
果斷
(
くわだん
)
の
性質
(
せいしつ
)
に
富
(
と
)
んで
居
(
を
)
るかを
想
(
おも
)
はしめた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
利
(
きく
)
に物事能分別し太七を
船乘
(
ふなのり
)
にして船を
補理
(
こしら
)
へ名を勘兵衞と
改
(
あらた
)
めさせ
其頃
(
そのころ
)
名高
(
なだか
)
き女にありしとかや
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
或
(
あるひ
)
は
其頃
(
そのころ
)
の
威勢
(
めをひ
)
は
素晴
(
すばら
)
しきものにて、いまの
華族
(
くわぞく
)
何
(
なん
)
として
足下
(
あしもと
)
へも
依
(
よ
)
らるゝ
物
(
もの
)
でなしと、
口
(
くち
)
濘
(
すべ
)
らして
遽
(
あわたゞ
)
しく
唇
(
くちびる
)
かむもをかし、
夫
(
それ
)
に
比
(
くら
)
べて
今
(
いま
)
の
活計
(
くらし
)
は、
火
(
ひ
)
の
消
(
きえ
)
しも
同
(
おな
)
じことなり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お由は
一言
(
いちごん
)
の
下
(
もと
)
に云ひ消したが、実をいふと
其頃
(
そのころ
)
の一部の人達のあひだには、自分の影を踏まれると好くないといふ伝説がないでもなかつた。七
尺
(
しやく
)
去つて師の影を踏まずなどと
支那
(
しな
)
でも云ふ。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
余等
(
よら
)
が
最
(
もつと
)
も
興味
(
きやうみ
)
を
有
(
ゆう
)
して
傾聽
(
けいちやう
)
したのは、
權現臺貝塚
(
ごんげんだいかひづか
)
の
歴史
(
れきし
)
であつて、
最初
(
さいしよ
)
に
野中
(
のなか
)
完
(
くわん
)
一
氏
(
し
)
が
發見
(
はつけん
)
したのを、
氏
(
し
)
は
深
(
ふか
)
く
秘
(
ひ
)
して
居
(
ゐ
)
たので、
其頃
(
そのころ
)
は
發掘
(
はつくつ
)
をせずとも、
表面
(
ひやうめん
)
をチヨイ/\
掻廻
(
かきまは
)
して
見
(
み
)
れば、
土偶
(
どぐう
)
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
其頃
(
そのころ
)
は
事務
(
じむ
)
にも
慣
(
な
)
れるし、信用も厚くなるし、交際も殖えるし、勉強をする
暇
(
ひま
)
が自然となくなつて、又勉強が却つて実務の
妨
(
さまたげ
)
をする様に感ぜられて
来
(
き
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其頃
(
そのころ
)
武内
(
たけのうち
)
は
富士見町
(
ふじみちやう
)
の
薄闇
(
うすぐら
)
い
長屋
(
ながや
)
の
鼠
(
ねづみ
)
の
巣
(
す
)
見たやうな
中
(
うち
)
に
燻
(
くすぶ
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら
太平楽
(
たいへいらく
)
を
抒
(
なら
)
べる元気が
凡
(
ぼん
)
でなかつた
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ドーレ。と
木綿
(
もめん
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けた
御家来
(
ごけらい
)
が出て
来
(
き
)
ましたが
当今
(
たゞいま
)
とは
違
(
ちが
)
つて
其頃
(
そのころ
)
はまだお
武家
(
ぶけ
)
に
豪
(
えら
)
い
権
(
けん
)
があつて
町人抔
(
ちやうにんなど
)
は
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みおろ
)
したもので「アヽ
何所
(
どこ
)
から
来
(
き
)
たい。 ...
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
医者
(
いしや
)
の
内弟子
(
うちでし
)
で
薬局
(
やくきよく
)
、
拭掃除
(
ふきさうぢ
)
もすれば
総菜畠
(
さうざいばたけ
)
の
芋
(
いも
)
も
堀
(
ほ
)
る、
近
(
ちか
)
い
所
(
ところ
)
へは
車夫
(
しやふ
)
も
勤
(
つと
)
めた、
下男
(
げなん
)
兼帯
(
けんたい
)
の
熊蔵
(
くまざう
)
といふ、
其頃
(
そのころ
)
二十四五
歳
(
さい
)
、
稀塩散
(
きゑんさん
)
に
単舎利別
(
たんしやりべつ
)
を
混
(
ま
)
ぜたのを
瓶
(
びん
)
に
盗
(
ぬす
)
んで
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたくし
)
が
此
(
この
)
港
(
みなと
)
へ
貿易商會
(
ぼうえきしやうくわい
)
を
設立
(
たて
)
た
翌々年
(
よく/\とし
)
の
夏
(
なつ
)
、
鳥渡
(
ちよつと
)
日本
(
につぽん
)
へ
皈
(
かへ
)
りました。
其頃
(
そのころ
)
君
(
きみ
)
は
暹羅
(
サイアム
)
漫遊中
(
まんゆうちゆう
)
と
承
(
うけたまは
)
つたが、
皈國中
(
きこくちゆう
)
、
或
(
ある
)
人
(
ひと
)
の
媒介
(
なかだち
)
で、
同郷
(
どうきやう
)
の
松島海軍大佐
(
まつしまかいぐんたいさ
)
の
妹
(
いもと
)
を
妻
(
つま
)
に
娶
(
めと
)
つて
來
(
き
)
たのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
持參りしが
其頃
(
そのころ
)
澤の井さんの申には
糸切村
(
いときりむら
)
の茶屋迄持て行ば
宿
(
やど
)
へは直に
屆
(
とゞ
)
くと申されしゆゑ茶屋迄は
度々
(
たび/\
)
持參りしと云にぞ
能
(
よく
)
こそ
知
(
しら
)
したりとて彼十兩は惣助へ
遣
(
つかは
)
し然らば惣助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
書生
(
しよせい
)
の
千葉
(
ちば
)
いとゞしう
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りて、これは
何
(
ど
)
うも、これはと
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げるばかり、
故郷
(
こきやう
)
に
有
(
あ
)
りし
時
(
とき
)
、
姉
(
あね
)
なる
人
(
ひと
)
が
母
(
はゝ
)
に
代
(
かは
)
りて
可愛
(
かわゆ
)
がりて
呉
(
く
)
れたりし、
其折
(
そのをり
)
其頃
(
そのころ
)
の
有
(
あり
)
さまを
思
(
おも
)
ひ
起
(
おこ
)
して
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(
箕
(
み
)
も
其頃
(
そのころ
)
から
遣
(
つか
)
ひ
出
(
だ
)
した)
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
其頃
(
そのころ
)
の百
両
(
りやう
)
二百
両
(
りやう
)
と
云
(
い
)
ふのは
大
(
たい
)
したものだから、もう
是
(
これ
)
で
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
田地
(
でんぢ
)
も
買
(
か
)
へるし、
家
(
いへ
)
も
建
(
た
)
てられるといふので、
大
(
おほ
)
いに
悦
(
よろこ
)
んで
多助
(
たすけ
)
に相談の
上
(
うへ
)
、
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
つた。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
所
(
ところ
)
が
丁度
(
ちやうど
)
五月目
(
いつつきめ
)
になつて、
御米
(
およね
)
は
又
(
また
)
意外
(
いぐわい
)
の
失敗
(
しくじり
)
を
遣
(
や
)
つた。
其頃
(
そのころ
)
はまだ
水道
(
すゐだう
)
も
引
(
ひ
)
いてなかつたから、
朝晩
(
あさばん
)
下女
(
げぢよ
)
が
井戸端
(
ゐどばた
)
へ
出
(
で
)
て
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだり、
洗濯
(
せんたく
)
をしなければならなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さればこそ
一
(
ひと
)
たび
見
(
み
)
たるは
先
(
ま
)
づ
驚
(
おどろ
)
かれ
再
(
ふたゝ
)
び
見
(
み
)
たるは
頭
(
かしら
)
やましく
駿河臺
(
するがだい
)
の
杏雲堂
(
きやううんだう
)
に
其頃
(
そのころ
)
腦病患者
(
なうびやうくわんじや
)
の
多
(
おほ
)
かりしこと
一
(
ひと
)
つに
此娘
(
このむすめ
)
が
原因
(
もと
)
とは
商人
(
あきうど
)
のする
掛直
(
かけね
)
なるべけれど
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
其美
(
そのび
)
は
爭
(
あらそ
)
はれず
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今
(
いま
)
の
白痴
(
ばか
)
も、
件
(
くだん
)
の
評判
(
ひやうばん
)
の
高
(
たか
)
かつた
頃
(
ころ
)
、
医者
(
いしや
)
の
内
(
うち
)
へ
来
(
き
)
た
病人
(
びやうにん
)
、
其頃
(
そのころ
)
は
未
(
ま
)
だ
子供
(
こども
)
、
朴訥
(
ぼくとつ
)
な
父親
(
てゝおや
)
が
附添
(
つきそ
)
ひ、
髪
(
かみ
)
の
長
(
なが
)
い、
兄貴
(
あにき
)
がおぶつて
山
(
やま
)
から
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
脚
(
あし
)
に
難渋
(
なんじう
)
な
腫物
(
しゆもつ
)
があつた、
其
(
そ
)
の
療治
(
れうぢ
)
を
頼
(
たの
)
んだので。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其頃
(
そのころ
)
諸侯方
(
しよこうがた
)
へ
召
(
め
)
され、
長兵衛
(
ちやうべゑ
)
が
此位
(
このくらゐ
)
の
値打
(
ねうち
)
が有るといふ時は、
直
(
ぢき
)
に
其
(
そ
)
の
代物
(
しろもの
)
を見ずに
長兵衛
(
ちやうべゑ
)
が
申
(
まう
)
しただけにお
買上
(
かひあげ
)
になつたと
云
(
い
)
ふし、
此人
(
このひと
)
は
大人
(
たいじん
)
でございますから
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
聞
(
き
)
いたからとて
買
(
かつ
)
てやらうと
言
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
は
猶更
(
なほさら
)
なし、あの
時近處
(
ときゝんじよ
)
に
川
(
かは
)
なり
池
(
いけ
)
なりあらうなら
私
(
わたし
)
は
定
(
さだめ
)
し
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
仕舞
(
しま
)
ひましたろ、
話
(
はな
)
しは
誠
(
まこと
)
の百分一、
私
(
わたし
)
は
其頃
(
そのころ
)
から
氣
(
き
)
が
狂
(
くる
)
つたのでござんす
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
書肆
(
しよし
)
も無論賛成で既に印刷に回して活字に組み込まうと
迄
(
まで
)
した位である。所が
其頃
(
そのころ
)
内閣が変つて、著書の検閲が急に
八釜敷
(
やかまし
)
くなつたので、書肆は万一を
慮
(
おもんぱか
)
つて、直接に警保局長の意見を確めに行つた。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
モウ二三
人
(
にん
)
来
(
く
)
るまで待つては
居
(
を
)
られぬ、
腹
(
はら
)
が
空
(
へつ
)
て
耐
(
たま
)
らぬのぢや——
是
(
これ
)
は
菜
(
な
)
めしと
間違
(
まちがへ
)
たと
云
(
い
)
ふ話です、
其頃
(
そのころ
)
は
商売
(
しやうばい
)
ではなかつたから、
其位
(
そのくらゐ
)
のものでござりましたらう。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さすれば
夢
(
ゆめ
)
のあともなけれど、
悟
(
さと
)
らぬ
先
(
さき
)
の
誰
(
た
)
れも
誰
(
た
)
れも
思
(
おも
)
ひを
寄
(
よ
)
せしは
名
(
な
)
か
其人
(
そのひと
)
か、
醫科大學
(
いくわだいがく
)
の
評判男
(
ひようばんをとこ
)
に
松島忠雄
(
まつしまたヾを
)
と
呼
(
よ
)
ばれて
其頃
(
そのころ
)
二十七か八か、
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
けば
束髮
(
そくはつ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の
花
(
はな
)
やがて
笑
(
ゑ
)
みを
作
(
つく
)
り
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さても/\の
替
(
かは
)
り
樣
(
やう
)
、
我身
(
わがみ
)
が
嫁入
(
よめい
)
りの
噂
(
うわさ
)
聞
(
きこ
)
え
初
(
そめ
)
た
頃
(
ころ
)
から、やけ
遊
(
あそ
)
びの
底
(
そこ
)
ぬけ
騷
(
さわ
)
ぎ、
高坂
(
かうさか
)
の
息子
(
むすこ
)
は
丸
(
まる
)
で
人間
(
にんげん
)
が
變
(
かわ
)
つたやうな、
魔
(
ま
)
でもさしたか、
祟
(
たゝ
)
りでもあるか、よもや
只事
(
たゞごと
)
では
無
(
な
)
いと
其頃
(
そのころ
)
に
聞
(
き
)
きしが
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
踊
(
おど
)
りに
妙
(
みやう
)
を
得
(
ゑ
)
し
雪
(
ゆき
)
といふ
美形
(
びけい
)
、
唯今
(
たゞいま
)
のお
座敷
(
ざしき
)
にてお
米
(
こめ
)
のなります
木
(
き
)
はと
至極
(
しごく
)
あどけなき
事
(
こと
)
は
申
(
まをす
)
とも、もとは
此所
(
こゝ
)
の
卷帶黨
(
まきおびづれ
)
にて
花
(
はな
)
がるたの
内職
(
ないしよく
)
せしものなり、
評判
(
ひやうばん
)
は
其頃
(
そのころ
)
に
高
(
たか
)
く
去
(
さ
)
るもの
日々
(
ひゞ
)
に
踈
(
うと
)
ければ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
如何
(
いか
)
に
人
(
ひと
)
にも
笑
(
わら
)
はれけん
思
(
おも
)
へば
其頃
(
そのころ
)
が
浦山
(
うらやま
)
し
君
(
きみ
)
さま
東京
(
とうきやう
)
へ
歸給
(
かへりたま
)
ひし
後
(
のち
)
さま/″\
續
(
つゞ
)
く
不仕合
(
ふしあわせ
)
に
身代
(
しんだい
)
は
亂離
(
らり
)
骨廢
(
こつぱい
)
あるが
上
(
うへ
)
に二
タ
親
(
おや
)
引
(
ひき
)
つゞきての
病死
(
びようし
)
といひ
憂
(
う
)
きこと
重
(
かさ
)
なる
神無月
(
かみなづき
)
袖
(
そで
)
にもかゝる
時雨空
(
しぐれぞら
)
に
心
(
こゝろ
)
のしめる
我
(
わ
)
れを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
頃
常用漢字
中学
部首:⾴
11画
“其”で始まる語句
其
其処
其方
其處
其様
其許
其奴
其所
其儘
其後