“釣荵”の読み方と例文
読み方割合
つりしのぶ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
が、電燈も依然として明るければ、軒先の釣荵つりしのぶ相不変あいかわらず風に廻っていて、この涼しい裏座敷には、さらに妖臭ようしゅうを帯びた物も見当りません。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
釣荵つりしのぶは風流に似て俗であるが、東京の夏の景物として詩趣と画趣と涼味とを多分に併せ持っているのは、かの虎耳草ゆきのしたであることを記憶しなければならない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
座敷の軒に釣荵つりしのぶが懸って、狭い庭が水で一面にれていた。平岡は上衣うわぎを脱いで、すぐ胡坐あぐらをかいた。代助はさ程暑いとも思わなかった。団扇うちわは手にしただけで済んだ。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)