ふたゝ)” の例文
わたしの長い寫眞物語しやしんものかたりのペエジにも悲喜ひきこも/″\の出來事がくり返されたが、あの刹那せつなにまさるうれしさがもうふたゝびあらうとはおもへない。
しばらくすると、毛蟲けむしが、こと/″\眞白まつしろてふになつて、えだにも、にも、ふたゝ花片はなびららしてつてみだるゝ。幾千いくせんともかずらない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あいちやんはふたゝ福鼠ふくねずみはらたせまいと、きはめてつゝましやかに、『わたしにはわかりませんわ。何所どこからみん糖蜜たうみつんでたのでせう?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
みなみ亭主ていしゆは一たん橋渡はしわたしをすればあとふたゝびどうならうともそれはまたときだといふこゝろから其處そこ加減かげんつくろうてにげるやうにかへつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さしもになかよしなりけれど正太しようたとさへにしたしまず、いつもはづかしかほのみあかめてふでやのみせ手踊てをどり活溌かつぱつさはふたゝるにかたなりける
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれよ/\とみてゐると水煙みづけむりきゆうおとろくちぢて噴出ふんしゆつ一時いちじまつてしまつたが、わづか五六秒位ごろくびようくらゐ經過けいかしたのちふたゝはじめた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つて、それ引揚ひきあげたが、如何どうつてえられぬので、ふたゝ談判だんぱんかうとおもつてると、友人いうじん眉山子びさんしれい自殺じさつ
婚姻こんいんは秋山十五ヶ村をかぎりとして他所にもとめず。婦人ふじん他所にて男をもてば親族しんぞく不通ふつうしてふたゝ面会めんくわいせざるを、むかしよりのならはせとす。
そこからうへふたゝ落葉濶葉樹らくようかつようじゆのかばるいとかはんのきるいとか、うつくしいはなくしゃくなげなどちひさくひく植物しよくぶつ生育せいいくしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
やう/\あきらかなかたちとなつて彼女かのぢよきざした不安ふあんは、いやでもおうでもふたゝ彼女かのぢよ傷所きずしよ——それは羞耻しうち侮辱ぶじよくや、いかりやのろひや
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さても、わたくし櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ武村兵曹たけむらへいそう案内あんないしたがつて、海底戰鬪艇かいていせんとうてい縱覽じゆうらんをはつてのちふたゝ艇外ていぐわいでたのは、かれこれ二時間にじかんほどあとであつた。
なんとしてその誓約ちかひふたゝ地上ちじゃうもどらうぞ、そのつまはなれててんから取戻とりもどしてたもらずば?……なぐさめてたも、をしへてたも。
したがつこの獲得くわくとくしたかね本年ほんねん輸入時期ゆにふじきいたつて拂出はらひだして減少げんせうしても、下半期しもはんき輸出超過ゆしゆつてうくわ時期じきまたふたゝこれ取返とりかへすことが出來できれば、非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
女性じよせい無邪氣むじやきなる輕薄けいはくわらひ、さら一旦いつたんあたへたる財貨ざいか少娘こむすめ筐中きようちうよりうばひて酒亭一塲しゆていいちじやう醉夢すいむするのじようかしめついふたゝ免職めんしよくになりしこと
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
この二三ねん月日つきひやうやなほけた創口きずぐちが、きふうづはじめた。うづくにれてほてつてた。ふたゝ創口きずぐちけて、どくのあるかぜ容赦ようしやなくみさうになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
のちあるしよ感冐かんばう豫防よばうするに冷水浴れいすゐよく非常ひじやう利益りえきあるよしふたゝ冷水浴れいすゐよくおこなひ、春夏しゆんかこう繼續けいぞくするをしも、寒冷かんれいころとなりては何時いつとなくおこたるにいた
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
けれども勞働者の唄はふたゝきこえなかツた。たゞきしめ車輪しやりん鐵槌てつつゐの響とがごツちやになツてきこえるばかりだ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
相渡すべし是は水呑村百姓一件江戸表へ差立さしたてふたゝび吟味に相成事故此方より遣す書状いなは申さぬ筈なれども本人の爪印つめいんすみ候などと難澁なんじふ間敷まじきにも非ず其節は此儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしふたゝびS、Hかたならべてゐたとき、これといふ話題わだいもなかつたので、ふとIのことをはなした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「どうせべられるなら、こんな孝行者かうこうものおやくちにはいるのは幸福しあはせといふもんだ」と、よろこんでその觀念くわんねんをとぢました。そして二ふたゝびひらきませんでした。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
雲飛うんぴ許可ゆるしを得て其片々へんぺん一々ひとつ/\ひろつて家に持歸もちかへり、ふたゝ亡父なきちゝはかをさめたといふことである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しばらくして、こつなふたゝ廣縁ひろえんあらはれたときは、竪矢たてや背後うしろに、醫師いし中田玄竹なかだげんちくともなうてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
コレハ/\よく作られたと賞揚しやうやうばん、そのあと新詩しんし一律いちりつまたおくられては、ふたゝび胸に山をきづく、こゝはおほきかんがへもの、まのあたさゝげずに遠く紙上しじやう吹聴ふいちやうせば、先生ひげにぎりながら
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
幾度いくどけてもチヤンと、存生中ぞんしやうちゆう物言ものいとほり、音色おんしよくはつするのだから其人そのひとふたゝ蘇生よみかへつ対話たいわでもするやうな心持こゝろもちになるのだから、おほきにこれ追善つゐぜんためからうと考へられまする。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
このからだをまげてはうむるのは日本につぽんばかりでなく、ヨーロッパでも石器時代せつきじだいおこなはれてをりますし、今日こんにち野蠻人やばんじんなかにもまたそれが見出みいだされますが、それは多分たぶんんだものふたゝかへつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかし、もうそのときには、つま身体からだ絶対ぜつたいうごかすことが出来なかつた。さうして、ふたゝなつ私達わたしたちの家にめぐつて来た。いちごは庭一めん新鮮しんせんいろを浮べ出した。桜桃あうたうのき垣根かきねらなつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
いま漁人ぎよじんとなつて餘命よめいおくるといへども、何日いつかつみあがなうてふたゝ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
道子みちこふたゝ近処きんじよ郵便局いうびんきよく貯金ちよきんをしはじめた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
末路まつろふたゝしんを成せるは、かなしむべきかな。
あいちやんは一ぱうした、一ぱううへと一まいごとしらべてから、その眞中まんなかつてました、どうしたらふたゝられるだらうかとあやしみながら。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
らおめえ、手洟てばなはかまねえよ」といつたりがら/\とさわぎながら、わら私語さゝやきつゝ、れた前掛まへかけいてふたゝめしつぎをかゝへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それと同時どうじ地震波ぢしんぱ地球内部ちきゆうないぶ方向ほうこうにも進行しんこうして反對はんたい方面ほうめんあらはれ、場合ばあひによつては地球ちきゆう表面ひようめん反射はんしやしてふたゝ方面ほうめんむかうのもある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ちゝゆめだ、とつてわらつた、……祖母そぼもともにきてで、火鉢ひばちうへには、ふたゝかんばしいかをり滿つる、餅網もちあみがかゝつたのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、おたがひ微醺びくんびてへんはづつた氣分きぶん黄包車ワンポイソオり、ふたゝ四馬路スマロ大通おほどほりたのはもうよるの一ぎだつた。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一片いつぺんのパンも一塊いつくわいにくもなきこのみじめな艇中ていちう見廻みまわして、ふたゝわたくしかほながめた姿すがたは、不憫ふびんともなんともはれなかつた。
爾後じごふたゝ公安こうあんみだるにおいては汝等なんぢらいのちいぞよ。今日こんにち者共ものどもみな立退たちされ、カピューレットはしたがまゐれ。
たゞ常緑樹じようりよくじゆのすぎやひのきのだけがくろずんだをつけたまゝあたゝかいはるふたゝまはつてくるのをつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
身をしゞめさかしまになりて穴に入り、いれおきたるものをくらひつくし、いでんとするにのすこしいづるほどに作りまうけたる穴なれば、ふたゝびいづる事かなはず。
二人ふたりはそれでだまつた。たゞじつそと樣子やうすうかゞつてゐた。けれども世間せけんしんしづかであつた。いつまでみゝそばだてゝゐても、ふたゝものちて氣色けしきはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
戰爭せんさうむと翌年よくねんからふたゝ輸入超過ゆにふてうくわへん經濟界けいざいかい状勢じやうせいは一ぺんしたるにかゝはらず戰後せんご數年すうねん今日こんにちおいてもさら改善かいぜん曙光しよくくわうみとむることをざる状態じやうたいにある。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ときにはまた、あのおそるべき打撃だげきのために、かへつ獨立どくりつ意志いし鞏固きようこになつたといふことのために、彼女かのぢよくゐふたゝ假面かめんをかぶつてみづかやすんじようとこゝろみることもあつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
おもひてなるべきこひかあらぬかしてつまはじきされなんはづかしさにはふたゝあはかほもあらじいもとおぼせばこそへだてもなくあいたまふなれつひのよるべとさだめんにいかなるひと
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
SHはこのアンコールにおうじて、ふたゝつてつた。そしてまえよりも安易あんい調子てうしうたつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
出し予に内々あひたしとは何事ならんと早速さつそく對面たいめんありしに越前守申さるゝには少々せう/\御密談おんみつだん申上度儀候へば御人拂ひとはらひ願ひたしとの事故公用人こうようにん一人のこし餘はみな退しりぞけらる越前守はふたゝび公用人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『さうか、』とつて志村しむら其儘そのまゝふたゝこしろし、もとの姿勢しせいになつて
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ふたゝいはく、その原因の如きはもとより心を置くにあらずと。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
髑髏どくろあたへ、いでや出陣しゆつぢん立上たちあがれば、毒龍どくりようふたゝさく
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふたゝ幼女えうぢよ背負せおひて、歸路きろいた。
ふたゝそとた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
あいちやんはふたゝおもつてつゞけました、『二十四時間じかんだつたわ、たしか、ハテ、それとも、十二時間じかんだつたかしら?わたしは——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)