“桜桃”のいろいろな読み方と例文
旧字:櫻桃
読み方割合
さくらんぼ41.2%
おうとう17.6%
さくらんばう17.6%
あうたう5.9%
さくらんぼう5.9%
ゆすらうめ5.9%
キルシュ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
六月になると学校の裏山には桜桃さくらんぼがなった。少年達は昼の休みにそれを取りに行って、みんな紫色の脣をして帰って来た。
プウルの傍で (新字新仮名) / 中島敦(著)
雪の羅衣うすものに、霞の風帯ふうたい、髪には珊瑚さんご簪花さんかいと愛くるしく、桜桃おうとうに似るくちらんまぶた。いや蘭の葉そのものの如きしなやかな手ぶり足ぶり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幌馬車キビートカが堰の上へあがると、イワン・フョードロヸッチの眼には、懐かしい茅葺きの古びた家や、いつか彼がこつそり登り登りした林檎や桜桃さくらんばうの樹が見えて来た。
しかし、もうそのときには、つま身体からだ絶対ぜつたいうごかすことが出来なかつた。さうして、ふたゝなつ私達わたしたちの家にめぐつて来た。いちごは庭一めん新鮮しんせんいろを浮べ出した。桜桃あうたうのき垣根かきねらなつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
まだ少年で、二十歳にも満たず、きれいな顔、桜桃さくらんぼうにも似たくちびる、みごとなまっ黒い頭髪、目に宿ってる春のような輝き、しかもあらゆる悪徳にしみ、あらゆる罪悪を望んでいた。
それから、ルビー色をした桜の実の婀婉あだやかな艶と色合に歓迎せられ、桜桃ゆすらうめが出てくる頃になると早や夏は来て居る。柘榴に会ふことは、初夏の楽みの一つであつた。
桜桃キルシュの実のる七月なかば、こうして四度スウィスを訪れた……。