“一再”の読み方と例文
読み方割合
いっさい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
保吉は大いに狼狽ろうばいした。ロックフェラアに金を借りることは一再いっさいならず空想している。しかし粟野さんに金を借りることはまだ夢にも見た覚えはない。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やかたさまには、諸所に遺骸を寄せて、そのご敵味方なくご供養されてきたが、今日も御自身写経の何巻かを山上の御寺みてらへ納めにおいでられる。——いやそんな御奇特ごきとく一再いっさいでない。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんの白も彼に色々の厄介をかけたが、デカも近所のとりを捕ったりして一再いっさいならず迷惑めいわくをかけた。去年の秋の頃は、あまりに家をあけるので、煩悩ぼんのうも消え失せ、既に離籍りせきしようかとした程であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)