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眞白
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まつしろ
ふりがな文庫
“
眞白
(
まつしろ
)” の例文
新字:
真白
しばらくすると、
此
(
こ
)
の
毛蟲
(
けむし
)
が、
盡
(
こと/″\
)
く
眞白
(
まつしろ
)
な
蝶
(
てふ
)
になつて、
枝
(
えだ
)
にも、
葉
(
は
)
にも、
再
(
ふたゝ
)
び
花片
(
はなびら
)
を
散
(
ち
)
らして
舞
(
ま
)
つて
亂
(
みだ
)
るゝ。
幾千
(
いくせん
)
とも
數
(
かず
)
を
知
(
し
)
らない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日本
(
につぽん
)
の
山
(
やま
)
のうさぎには
二通
(
ふたとほ
)
りあつて、その
一
(
ひと
)
つは
平常
(
へいじよう
)
褐色
(
かつしよく
)
をしてゐますが、
冬
(
ふゆ
)
になると
眞白
(
まつしろ
)
に
變
(
かは
)
るもの、も
一
(
ひと
)
つは
一年中
(
いちねんじゆう
)
通
(
とほ
)
して
褐色
(
かつしよく
)
のものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
鏡に映つた兒どもの、
面
(
つら
)
には凄いほど
眞白
(
まつしろ
)
に
白粉
(
おしろひ
)
を
塗
(
ぬ
)
つてあつた、
睫
(
まつげ
)
のみ黒くパツチリと
開
(
ひら
)
いた
兩
(
ふたつ
)
の眼の底から
恐怖
(
おそれ
)
に
竦
(
すく
)
んだ瞳が
生眞面目
(
きまじめ
)
に
震慄
(
わなな
)
いてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
眞白
(
まつしろ
)
な
薔薇
(
ばら
)
の花、
乳色
(
ちゝいろ
)
で、
無邪氣
(
むじやき
)
で
眞白
(
まつしろ
)
な
薔薇
(
ばら
)
の花、あまりの
潔白
(
けつぱく
)
には
人
(
ひと
)
も
驚
(
おどろ
)
く、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
首
(
くび
)
から
下
(
した
)
は
眞白
(
まつしろ
)
な
布
(
ぬの
)
に
包
(
つゝ
)
まれて、
自分
(
じぶん
)
の
着
(
き
)
てゐる
着物
(
きもの
)
の
色
(
いろ
)
も
縞
(
しま
)
も
全
(
まつた
)
く
見
(
み
)
えなかつた。
其時
(
そのとき
)
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
床屋
(
とこや
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
が
飼
(
か
)
つてゐる
小鳥
(
ことり
)
の
籠
(
かご
)
が、
鏡
(
かゞみ
)
の
奧
(
おく
)
に
映
(
うつ
)
つてゐる
事
(
こと
)
に
氣
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
二人
(
ふたり
)
が
旅行
(
りよかう
)
を
終
(
を
)
へて
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たのは十一
月
(
ぐわつ
)
、
町
(
まち
)
にはもう
深雪
(
みゆき
)
が
眞白
(
まつしろ
)
に
積
(
つも
)
つてゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
何處
(
どこ
)
でも
眞白
(
まつしろ
)
だよ」おつぎは
竹
(
たけ
)
の
火箸
(
ひばし
)
で
落葉
(
おちば
)
を
掻
(
か
)
き
立
(
た
)
てながらいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鎭
(
しづ
)
めて
汝
(
おのれ
)
今頃
登山
(
とざん
)
なすからは
強盜
(
がうたう
)
か但し又我が如き心願にて夜參りする者なるか何にもせよ
訝
(
いぶ
)
かしと
星明
(
ほしあか
)
りに
透
(
すか
)
し見れば旅人と
思
(
おぼ
)
しく
菅笠
(
すげがさ
)
眞白
(
まつしろ
)
に光りたり
茲
(
こゝ
)
に又彼の石川安五郎は上新田村の
無量庵
(
むりやうあん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
眞白
(
まつしろ
)
な白い腕を
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
眞白
(
まつしろ
)
小白
(
こしろ
)
小さな鶯
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
まむかうの
黒
(
くろ
)
べいも
櫻
(
さくら
)
がかぶさつて
眞白
(
まつしろ
)
だ。さつと
風
(
かぜ
)
で
消
(
け
)
したけれども、しめた
後
(
あと
)
は
又
(
また
)
こもつて
咽
(
む
)
せつぽい。
濱野
(
はまの
)
さんも
咳
(
せき
)
して
居
(
ゐ
)
た。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞白
(
まつしろ
)
な
雪溪
(
せつけい
)
に
隣
(
とな
)
り
合
(
あは
)
せて、このお
花畠
(
はなばたけ
)
を
見
(
み
)
るときの
感
(
かん
)
じは、なんとも
言
(
い
)
へず、
貴
(
たつと
)
く、かわゆく、
美
(
うつく
)
しいものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
海といふものに就ての私の第一の印象は私を抱いて船から上陸した人の
眞白
(
まつしろ
)
な
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
の輝きであつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
が
重
(
かさ
)
なつて
行
(
ゆ
)
くうちに、
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
が
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
落
(
お
)
ちて
仕舞
(
しま
)
つた。さうして
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
の
頂
(
いたゞき
)
が、ある
朝
(
あさ
)
眞白
(
まつしろ
)
に
見
(
み
)
えた。
吹
(
ふ
)
き
曝
(
さら
)
しの
河原
(
かはら
)
が
白
(
しろ
)
くなつて、
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
る
人
(
ひと
)
の
影
(
かげ
)
が
細
(
ほそ
)
く
動
(
うご
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
兎角
(
とかく
)
は
一押
(
いちおし
)
、と
何處
(
どこ
)
までもついて
行
(
ゆ
)
くと、
其
(
そ
)
の
艷
(
えん
)
なのが
莞爾
(
につこり
)
して、
馭者
(
ぎよしや
)
には
知
(
し
)
らさず、
眞白
(
まつしろ
)
な
手
(
て
)
を
青
(
あを
)
い
袖口
(
そでくち
)
、ひらりと
招
(
まね
)
いて
莞爾
(
につこり
)
した。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
つまり
兎
(
うさぎ
)
は
外敵
(
がいてき
)
に
弱
(
よわ
)
い
動物
(
どうぶつ
)
ですから、
冬
(
ふゆ
)
雪
(
ゆき
)
が
降
(
ふ
)
つて
野山
(
のやま
)
が
眞白
(
まつしろ
)
になれば
自分
(
じぶん
)
のからだをも
同
(
おな
)
じように
白
(
しろ
)
くして
外
(
ほか
)
から
容易
(
ようい
)
に
見
(
み
)
つからないようにするのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
最早
(
もはや
)
、
最後
(
さいご
)
かと
思
(
おも
)
ふ
時
(
とき
)
に、
鎭守
(
ちんじゆ
)
の
社
(
やしろ
)
が
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にあることに
心着
(
こゝろづ
)
いたのであります。
同時
(
どうじ
)
に
峰
(
みね
)
の
尖
(
とが
)
つたやうな
眞白
(
まつしろ
)
な
杉
(
すぎ
)
の
大木
(
たいぼく
)
を
見
(
み
)
ました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞正面
(
まつしやうめん
)
に、
凹字形
(
あふじけい
)
の
大
(
おほき
)
な
建
(
たて
)
ものが、
眞白
(
まつしろ
)
な
大軍艦
(
だいぐんかん
)
のやうに
朦朧
(
もうろう
)
として
顯
(
あらは
)
れました。と
見
(
み
)
ると、
怪
(
あや
)
し
火
(
び
)
は、
何
(
なん
)
と、ツツツと
尾
(
を
)
を
曳
(
ひ
)
きつゝ。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞白
(
まつしろ
)
なのは、
掌
(
てのひら
)
へ、
紫
(
むらさき
)
なるは、かへして、
指環
(
ゆびわ
)
の
紅玉
(
ルビイ
)
の
輝
(
かゞや
)
く
甲
(
かふ
)
へ、
朱鷺色
(
ときいろ
)
と
黄
(
き
)
の
脚
(
あし
)
して、
輕
(
かる
)
く
來
(
き
)
て
留
(
とま
)
るまでに
馴
(
な
)
れたのであつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分
(
じぶん
)
に
返
(
かへ
)
りました
時
(
とき
)
、
兩臂
(
りやうひぢ
)
と、
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
と、
手首
(
てくび
)
の
脈
(
みやく
)
と
方々
(
はう/″\
)
に
血
(
ち
)
が
浸
(
にじ
)
んで、
其處
(
そこ
)
へ
眞白
(
まつしろ
)
な
藥
(
くすり
)
の
粉
(
こな
)
が
振掛
(
ふりか
)
けてあるのが
分
(
わか
)
りました。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
ど
)
うかすると
石
(
いし
)
の
手水鉢
(
てうづばち
)
が、
柳
(
やなぎ
)
の
影
(
かげ
)
に
青
(
あを
)
いのに、
清
(
きよ
)
らかな
掛手拭
(
かけてぬぐひ
)
が
眞白
(
まつしろ
)
にほのめくばかり、
廊下
(
らうか
)
づたひの
氣勢
(
けはひ
)
はしても、
人目
(
ひとめ
)
には
唯
(
たゞ
)
軒
(
のき
)
の
荵
(
しのぶ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
處
(
ところ
)
がだあ、へゝゝ、
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
からお
前
(
まへ
)
、
燈
(
あかり
)
を
暗
(
くら
)
くすると、ふつと
婦
(
をんな
)
の
身體
(
からだ
)
へ
月明
(
つきあかり
)
がさしたやうに
成
(
な
)
つて、
第一
(
だいいち
)
な、
色
(
いろ
)
が
眞白
(
まつしろ
)
く
成
(
な
)
るのに、
目
(
め
)
が
覺
(
さめ
)
るだ。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞白
(
まつしろ
)
な
腕
(
うで
)
について、
綿
(
わた
)
がスーツと
伸
(
の
)
びると、
可愛
(
かはい
)
い
掌
(
てのひら
)
でハツと
投
(
な
)
げたやうに
絲卷
(
いとまき
)
にする/\と
白
(
しろ
)
く
絡
(
まつ
)
はる、
娘心
(
むすめごころ
)
は
縁
(
えにし
)
の
色
(
いろ
)
を、
其
(
そ
)
の
蝶
(
てふ
)
の
羽
(
は
)
に
染
(
そ
)
めたさう。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あと、ものの
一町
(
いつちやう
)
ばかりは、
眞白
(
まつしろ
)
な
一條
(
いちでう
)
の
路
(
みち
)
が
開
(
ひら
)
けました。——
雪
(
ゆき
)
の
渦
(
うづ
)
が
十
(
と
)
ヲばかりぐる/\と
續
(
つゞ
)
いて
行
(
ゆ
)
く。……
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
解
(
と
)
けかゝつて、
透通
(
すきとほ
)
るやうに
眞白
(
まつしろ
)
で
細
(
ほそ
)
い
頸
(
うなじ
)
を、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
抱
(
だ
)
いて、
抱占
(
かゝへし
)
めながら、
頬摺
(
ほゝずり
)
していつた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
白鷺
(
しらさぎ
)
がすうつと
首
(
くび
)
を
伸
(
の
)
ばしたやうに、
車
(
くるま
)
のまはるに
從
(
したが
)
うて
眞白
(
まつしろ
)
な
絲
(
いと
)
の
積
(
つも
)
るのが、まざ/\と
見
(
み
)
える。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白鷺
(
しらさぎ
)
がすらりと
首
(
くび
)
を
伸
(
の
)
ばしたやうに、
車
(
くるま
)
のまはるに
從
(
したが
)
うて
眞白
(
まつしろ
)
な
絲
(
いと
)
の
積
(
つも
)
るのが、まざ/\と
白
(
しろ
)
い。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
處
(
ところ
)
へ、
細君
(
さいくん
)
はしどけない
寢衣
(
ねまき
)
のまゝ、
寢
(
ね
)
かしつけて
居
(
ゐ
)
たらしい、
乳呑兒
(
ちのみご
)
を
眞白
(
まつしろ
)
な
乳
(
ちゝ
)
のあたりへしつかりと
抱
(
だ
)
いて
色
(
いろ
)
を
蒼
(
あを
)
うして
出
(
で
)
て
見
(
み
)
えたが、ぴつたり
私
(
わたし
)
の
椅子
(
いす
)
の
下
(
もと
)
に
坐
(
すわ
)
つて
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雜
(
ざつ
)
と
十日
(
とをか
)
ばかり
後
(
おく
)
れて
居
(
ゐ
)
ますです。
最
(
も
)
う
雪
(
ゆき
)
ですからな。
風
(
かぜ
)
によつては
今夜
(
こんや
)
にも
眞白
(
まつしろ
)
に
成
(
な
)
りますものな。……
尤
(
もつと
)
も
出盛
(
でさか
)
りの
旬
(
しゆん
)
だと
云
(
い
)
つても、
月
(
つき
)
の
頃
(
ころ
)
ほどには
來
(
こ
)
ないのでしてな。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日蔭
(
ひかげ
)
の
泥濘
(
ぬかるみ
)
の
處
(
ところ
)
が——
空
(
そら
)
は
曇
(
くも
)
つて
居
(
ゐ
)
た——
殘
(
のこ
)
ンの
雪
(
ゆき
)
かと
思
(
おも
)
ふ、
散敷
(
ちりし
)
いた
花
(
はな
)
で
眞白
(
まつしろ
)
であつた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、
其
(
そ
)
の
凄
(
すさま
)
じさと
言
(
い
)
つたら、まるで
眞白
(
まつしろ
)
な、
冷
(
つめた
)
い、
粉
(
こな
)
の
大波
(
おほなみ
)
を
泳
(
およ
)
ぐやうで、
風
(
かぜ
)
は
荒海
(
あらうみ
)
に
齊
(
ひと
)
しく、ぐわう/\と
呻
(
うな
)
つて、
地
(
ち
)
——と
云
(
い
)
つても五六
尺
(
しやく
)
積
(
つも
)
つた
雪
(
ゆき
)
を、
押搖
(
おしゆす
)
つて
狂
(
くる
)
ふのです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
障子
(
しやうじ
)
を
透
(
す
)
かして、
疊
(
たゝみ
)
凡
(
およ
)
そ
半疊
(
はんでふ
)
ばかりの
細長
(
ほそなが
)
い
七輪
(
しちりん
)
に、
五
(
いつ
)
つづゝ
刺
(
さ
)
した
眞白
(
まつしろ
)
な
串團子
(
くしだんご
)
を、
大福帳
(
だいふくちやう
)
が
權化
(
ごんげ
)
した
算盤
(
そろばん
)
の
如
(
ごと
)
くずらりと
並
(
なら
)
べて、
眞赤
(
まつか
)
な
火
(
ひ
)
を、
四角
(
しかく
)
な
團扇
(
うちは
)
で、ばた/\ばた
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御利益
(
ごりやく
)
で、
怪我
(
けが
)
もしないで
御堂
(
おどう
)
から
裏
(
うら
)
の
方
(
はう
)
へうか/\と
𢌞
(
まは
)
つて、
象
(
ざう
)
と
野兎
(
のうさぎ
)
が
歩行
(
あるき
)
ツくら、と
云
(
い
)
ふ
珍
(
ちん
)
な
形
(
かたち
)
で
行
(
ゆ
)
くと、
忽
(
たちま
)
ち
灯
(
ひ
)
のちらつく
暗
(
くら
)
がりに、
眞白
(
まつしろ
)
な
顏
(
かほ
)
と、
青
(
あを
)
い
半襟
(
はんえり
)
が
爾側
(
りやうがは
)
から
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
後
(
のち
)
に、
村
(
むら
)
一
(
ひと
)
つ
入口
(
いりぐち
)
に
樹
(
き
)
の
繁
(
しげ
)
つた、
白木
(
しらき
)
の
宮
(
みや
)
、——
鎭守
(
ちんじゆ
)
の
社
(
やしろ
)
を
通
(
とほ
)
つた。
路傍
(
みちばた
)
に、
七八臺
(
しちはちだい
)
荷車
(
にぐるま
)
が、がた/\と
成
(
な
)
つて
下
(
お
)
り
居
(
ゐ
)
て、
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ、
眞白
(
まつしろ
)
な
俵詰
(
たはらづめ
)
の
粉
(
こな
)
を
堆
(
うづたか
)
く
積
(
つ
)
んだのを
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
は……
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やあ、えらい
事
(
こと
)
に
成
(
な
)
りました。……
柳原
(
やなぎはら
)
の
燒
(
やけ
)
あとへ、
何
(
ど
)
うです。……
夜鷹
(
よたか
)
より
先
(
さき
)
に
幽靈
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
ます。……
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
の
眞白
(
まつしろ
)
なんで。——
自警隊
(
じけいたい
)
の
一豪傑
(
あるがうけつ
)
がつかまへて
見
(
み
)
ると、それが
婆
(
ばゞあ
)
だ。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
既
(
すで
)
に
膝
(
ひざ
)
に
乘
(
の
)
つて、
噛
(
かじ
)
り
着
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
た
小兒
(
こども
)
は、
其
(
それ
)
なり、
薄青
(
うすあを
)
い
襟
(
えり
)
を
分
(
わ
)
けて、
眞白
(
まつしろ
)
な
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
へ、
頬
(
ほゝ
)
も
口
(
くち
)
も
揉込
(
もみこ
)
むと、
恍惚
(
うつとり
)
と
成
(
な
)
つて、
最
(
も
)
う
一度
(
いちど
)
、ひよいと
母親
(
はゝおや
)
の
腹
(
はら
)
の
内
(
うち
)
へ
安置
(
あんち
)
され
終
(
をは
)
んぬで
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
然
(
さ
)
うで、
然
(
さ
)
うで、
名
(
めい
)
ぶつで。」と
振向
(
ふりむ
)
いて、
和笑
(
にやり
)
としながら、
平手
(
ひらて
)
で
又
(
また
)
敲
(
たゝ
)
いて、
續
(
つゞ
)
けざまにドン/\と
俵
(
たはら
)
を
打
(
う
)
つと、
言
(
い
)
ふにや
及
(
およ
)
ぶ、
眞白
(
まつしろ
)
なのが、ぱつ/\と
立
(
た
)
つ——
東京
(
とうきやう
)
の
埃
(
ほこり
)
の
中
(
なか
)
で
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鯉
(
こひ
)
は、
其
(
それ
)
は
鯉
(
こひ
)
でせう。が、
玉
(
たま
)
のやうな
眞白
(
まつしろ
)
な、あの
森
(
もり
)
を
背景
(
はいけい
)
にして、
宙
(
ちう
)
に
浮
(
う
)
いたのが、すつと
合
(
あは
)
せた
白脛
(
しろはぎ
)
を
流
(
なが
)
す……
凡
(
およ
)
そ
人形
(
にんぎやう
)
ぐらゐな
白身
(
はくしん
)
の
女子
(
ぢよし
)
の
姿
(
すがた
)
です。
釣
(
つ
)
られたのぢやありません。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
先刻
(
さつき
)
から、
人々
(
ひと/″\
)
の
布施
(
ふせ
)
するのと、……もの
和
(
やは
)
らかな、
翁
(
おきな
)
の
顏
(
かほ
)
の、
眞白
(
まつしろ
)
な
髯
(
ひげ
)
の
中
(
なか
)
に、
嬉
(
うれ
)
しさうな
唇
(
くちびる
)
の
艷々
(
つや/\
)
と
赤
(
あか
)
いのを、
熟
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
めて、……
奴
(
やつこ
)
が
包
(
つゝ
)
んでくれた
風呂敷
(
ふろしき
)
を、
手
(
て
)
の
上
(
うへ
)
に
据
(
す
)
ゑたまゝ
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
云
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
其
(
そ
)
の
洋傘
(
かさ
)
を
花籠
(
はなかご
)
の
手
(
て
)
に
持添
(
もちそ
)
へて、トあらためて、
眞白
(
まつしろ
)
な
腕
(
うで
)
を
擧
(
あ
)
げた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雨戸
(
あまど
)
を一
枚
(
まい
)
ツト
開
(
あ
)
けると、
直
(
たゞ
)
ちに、
東西南北
(
とうざいなんぼく
)
へ五
里
(
り
)
十
里
(
り
)
の
眞白
(
まつしろ
)
な
山
(
やま
)
であるから。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞俯向
(
まうつむ
)
けに
行
(
ゆ
)
く
重
(
おも
)
い
風
(
かぜ
)
の
中
(
なか
)
を、
背後
(
うしろ
)
からスツと
輕
(
かる
)
く
襲
(
おそ
)
つて、
裾
(
すそ
)
、
頭
(
かしら
)
をどツと
可恐
(
おそろし
)
いものが
引包
(
ひきつゝ
)
むと
思
(
おも
)
ふと、ハツとひき
息
(
いき
)
に
成
(
な
)
る
時
(
とき
)
、さつと
拔
(
ぬ
)
けて、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ
眞白
(
まつしろ
)
な
大
(
おほき
)
な
輪
(
わ
)
の
影
(
かげ
)
が
顯
(
あらは
)
れます。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
角
(
かど
)
の
青木堂
(
あをきだう
)
を
左
(
ひだり
)
に
見
(
み
)
て、
土
(
つち
)
の
眞白
(
まつしろ
)
に
乾
(
かわ
)
いた
橘鮨
(
たちばなずし
)
の
前
(
まへ
)
を……
薄
(
うす
)
い
橙色
(
オレンジいろ
)
の
涼傘
(
ひがさ
)
——
束
(
たば
)
ね
髮
(
がみ
)
のかみさんには
似合
(
にあ
)
はないが、
暑
(
あつ
)
いから
何
(
ど
)
うも
仕方
(
しかた
)
がない——
涼傘
(
ひがさ
)
で
薄雲
(
うすぐも
)
の、しかし
雲
(
くも
)
のない
陽
(
ひ
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何處
(
どこ
)
か
大商店
(
だいしやうてん
)
の
避難
(
ひなん
)
した……
其
(
そ
)
の
店員
(
てんゐん
)
たちが
交代
(
かうたい
)
に
貨物
(
くわもつ
)
の
番
(
ばん
)
をするらしくて、
暮
(
く
)
れ
方
(
がた
)
には
七三
(
しちさん
)
の
髮
(
かみ
)
で、
眞白
(
まつしろ
)
で、この
中
(
なか
)
で
友染
(
いうぜん
)
模樣
(
もやう
)
の
派手
(
はで
)
な
單衣
(
ひとへ
)
を
着
(
き
)
た、
女優
(
ぢよいう
)
まがひの
女店員
(
をんなてんゐん
)
二三人
(
にさんにん
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
村
(
むら
)
へ
掛
(
かゝ
)
ると、
降積
(
ふりつも
)
つた
大竹藪
(
おほたけやぶ
)
を
弓形
(
ゆみなり
)
に
壓
(
あつ
)
したので、
眞白
(
まつしろ
)
な
隧道
(
トンネル
)
を
潛
(
くゞ
)
る
時
(
とき
)
、
雀
(
すゞめ
)
が、ばら/\と
千鳥
(
ちどり
)
に
兩方
(
りやうはう
)
へ
飛交
(
とびかは
)
して
小蓑
(
こみの
)
を
亂
(
みだ
)
す
其
(
そ
)
の
翼
(
つばさ
)
に、
藍
(
あゐ
)
と
萌黄
(
もえぎ
)
と
紅
(
くれなゐ
)
の、
朧
(
おぼろ
)
に
蝋燭
(
らふそく
)
に
亂
(
みだ
)
れたのは、
鶸
(
ひわ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
鸞
(
うそ
)
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
池
(
いけ
)
はひつくりかへつても
居
(
を
)
らず、
羽目板
(
はめいた
)
も
落
(
お
)
ちず、
壁
(
かべ
)
の
破
(
やぶれ
)
も
平時
(
いつも
)
のまゝで、
月
(
つき
)
は
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが
光
(
ひかり
)
は
眞白
(
まつしろ
)
にさして
居
(
ゐ
)
る。とばかりで、
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
く、
手早
(
てばや
)
く
又
(
また
)
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
音
(
おと
)
はかはらず
聞
(
きこ
)
えて
留
(
や
)
まぬ。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
すんなりと
上
(
あ
)
げた
眞白
(
まつしろ
)
な
腕
(
うで
)
の
空
(
そら
)
ざまなのが
睫毛
(
まつげ
)
を
掠
(
かす
)
めたのである。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞
部首:⽬
10画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
“眞白”で始まる語句
眞白手
眞白羽
眞白百合
眞白栲