場合ばあひ)” の例文
それをおもふと、つくゑむかつたなりで、白米はくまいいてたべられるのは勿體もつたいないとつてもいゝ。非常ひじやう場合ばあひだ。……かせがずにはられない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
九、 大地震だいぢしん場合ばあひには水道すいどう斷水だんすいするものと覺悟かくごし、機敏きびん貯水ちよすい用意よういをなすこと。またみづもちひざる消防法しようぼうほうをも應用おうようすべきこと。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
日本人にほんじん歐文おうぶん場合ばあひ、この慣例くわんれい尊重そんちようして、せうよりだいるのは差支さしつかへないが、そのうち固有名こいうめい斷然だんぜんいぢくられてはならぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
このやくもたつといふ言葉ことばが、うたうへでいふ枕詞まくらことばなのです。すなはちこの場合ばあひは、いづもといふ言葉ことばおこすための、ゑことばなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
過去くわこ經驗けいけんれば、金解禁きんかいきん準備じゆんびをする場合ばあひには、世界せかいいづれからも日本にほん圓貨ゑんくわたいして思惑投機おもわくとうきおこなはれるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
一體いつたいこれらの石斧せきふ使用しようするときはどうしたかといひますのに、いしのまゝにぎつて使つかつたものもありますが、けた場合ばあひもありまして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたし醫者いしやで、貴方あなた精神病者せいしんびやうしやであるとふことにおいて、徳義とくぎければ、論理ろんりいのです。つま偶然ぐうぜん場合ばあひのみです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのためか、いまでは以前いぜんちがつて、まあ普通ふつう小舅こじうとぐらゐしたしみはあるとしんじてゐるやうなものゝ、んな場合ばあひになると、つい實際じつさい以上いじやうにもまはして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると、裁縫さいほうほんとか、料理れうりほんとか、あるひまた育兒いくじくわんするほんとかいふものがある。ほどこれは、大抵たいてい場合ばあひ婦人ふじんのみにようのある書物しよもつである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
不味相まづさう容子ようすをしてはしるのは卯平うへいすべての場合ばあひつうじての状態じやうたいなので、おつぎのには格別かくべつ注意ちういおこさしむべき動機どうきひとつもとらへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それはキリストけう教會けうくわい附屬ふぞく病院びやうゐんなので、そのこといては、大分だいぶ異議いぎ持出もちだしたものもあつたが、この場合ばあひこくも、病人びやうにん見過みすごしてことはできなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
なみだ藥鍋くすりなべした炭火ずみびとろ/\とがち生計くらしとて良醫りやういにもかゝられねばす/\おもこゝろぐるしさよおもへばてんかみほとけ我爲わがためにはみなあだいまこの場合ばあひ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やまには、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆもの動物どうぶつがゐるといひましたが、しかしわれ/\が實際じつさいやまある場合ばあひは、めったにさういふ動物どうぶつあはすものではありません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
わたくしはこのごろになつて益々ます/\かんずることは、ひと如何どん場合ばあひてもつねたのしいこゝろもつ其仕事そのしごとをすることが出來できれば、すなは其人そのひとまこと幸福かうふくひとといひることだ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかし大久保おほくぼ場合ばあひは、その欠陥けつかんすこちすぎた。かれ意味いみでは誇大妄想狂こだいまうさうきやうであつたが、意味いみではまた病的天才びやうてきてんさいとでもふべき種類しゆるゐのものであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それはある場合ばあひ、あるこゝろ状態じやうたいの時には、さういふことも考へないではなかつたけれど、離婚りこんをもつてそのくいつぐなふものだとはけつして思はなかつたらうと思ひます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そもそじう歩兵ほへいいのちである。軍人精神ぐんじんせいしん結晶けつしやうである。歩兵ほへいにとつてじうほど大事だいじものはない。場合ばあひつてはそのからだよりも大事だいじである。たとへば戰場せんぢやうおい我々われわれ負傷ふしやうする。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あいちやんは自分じぶんまた、三にん園丁えんていのやうに平伏ひれふさなければならないかうかは疑問ぎもんでしたが、かつ行列ぎやうれつ出逢であつた場合ばあひ、かうした規則きそくのあることをきませんでした
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其様な場合ばあひには、まぶたのはれぼツたいせいか、層波目ふたかわめ屹度きつとふかきざみ込まれて、長い晴毛まつげしたうるみつ。そしてうちえてゐるねつが眼に現はれて來るのでは無いかと思はせる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
尊敬そんけいはどの種類しゆるゐひとにもあるが、たんおな對象たいしやう尊敬そんけいする場合ばあひ顧慮こりよしてつてると、みちもとめるひとならおくれてゐるものがすゝんでゐるものを尊敬そんけいすることになり、こゝに中間人物ちゆうかんじんぶつなら
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ぼくは一たい滅多めつた封書ふうしよといふものをかない。そんなにひとわるやうこと場合ばあひはないからなア。それでぼく何用なにようでも大抵たいてい葉書はがきますのだが、し一まいりなければ二まいつゞきにする。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ピータ れもおまへ隨意的えいやうにはやせぬがや。しも其樣そないなことがあれば、この利劍わざもの引拔ひきぬかいでかいの。こりゃかんければならん場合ばあひぢゃとさへおもうたら、わしゃひとくるこっちゃない。
磐梯山破裂ばんだいざんはれつあとにはおほきな蒸氣孔じようきこうのこし、火山作用かざんさよういまもなほさかんであるが、眉山まゆやま場合ばあひにはごう右樣みぎよう痕跡こんせきとゞめなかつたのである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ひと身體からだ一部分いちぶぶんを、何年なんねんにもないでます場合ばあひおほいから……姿見すがたみむかはなければ、かほにもはないと同一おなじかもれぬ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
張作霖てうさくりん如何いかなる場合ばあひにも作霖張さくりんてうとは名乘なのるまい。李鴻章りこうせう世界せかい何國なにぐにひとにも鴻章李こうせうりばれ、またはかれたことがない。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
昭和元年せうわぐわんねんから二ねんころ金解禁きんかいきん計畫けいくわくした場合ばあひおいても、巨額きよがく思惑資金おもわくしきん海外かいぐわいからつたのであつて、したがつ金解禁きんかいきん決行けつかうせんとしても
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
またべつ先生方せんせいがたからおきになる場合ばあひがありませう。なほふるいおてらのあつたところには、かはらのほかにおほきなはしら礎石そせきのこつてゐることもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これは世間せけん評判ひようばんと、ほんとうのもののねうちとは、たいていの場合ばあひ一致いつちしてゐないそのもっとも適當てきとうれいであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして身體からだがもうてゝけない場合ばあひつたので兩方りやうはう姻戚みよりものでごた/\と協議けふぎおこつた。勘次かんじもおしなそのときたがひあひしたこゝろ鰾膠にべごとつよかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれ普通ふつう場合ばあひやう病人びやうにんみやくつて、ながあひだ自分じぶん時計とけい見詰みつめてゐた。それからくろ聽診器ちやうしんき心臟しんざううへてた。それを丁寧ていねい彼方あちら此方こちらうごかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それもとき場合ばあひによつたもので、のべつに勝氣かちき振廻ふりまはしてもりますまい、そのうちにもをんな勝氣かちきなかへつゝんで諸事しよじ心得こゝろえたらいかもれませぬけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれどしようことなしにねむるのはあたら一生涯しやうがいの一部分ぶゝんをたゞでくすやうな氣がしてすこぶ不愉快ふゆくわいかんずる、ところいま場合ばあひ如何いかんともがたい、とづるにかしていた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
友の思想と自分の思想とはつねほとんど同じで、其の一方の感ずることはやがまた他方たほうひとしく感ずる處であるが、いま場合ばあひのみは、私はたゞち賛同さんどうの意をひやうすることが出來なかツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
徳義上とくぎじやうだとか、論理ろんりだとか、那樣事そんなことなにりません。たゞ場合ばあひです。すなは此處こゝれられたものはひつてゐるのであるし、れられんもの自由じいう出歩であるいてゐる、けのことです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
また作者さくしやが愛を熱心ねつしん宣傳せんでんして居るやうな場合ばあひにでも、寧ろその理智りちを以てことさらにそれを力説りきせつしようとする爲めに、どうかするとその愛は、作者さくしやの心からにじみ出たものではなくて
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あいちやんはこの急激きふげき變化へんくわ一方ひとかたならずおどろかされました、逡巡ぐづ/″\してる場合ばあひではないとつて、たゞちつたかけはうとしましたが、顎があし緊乎しツかり接合くツついてしまつてるので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
また登山とざんをする場合ばあひには、平原へいげんから山麓さんろく山腹さんぷくへかゝり、それからやま頂上ちようじようくまでのあひだには、植物しよくぶつ姿すがたがいろ/\にかはつていつて、たかやまであればいたゞちかくには、がおのづとなくなつて
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
たくへくれば、おいもうとさんは大抵たいてい場合ばあひ玄関外げんくわんそとたしておくやうです。家内かないもいくらかおはなしうかゞつてるさうですが、うつかりしたことへば、たゝりがおそろしいんでせう、あまくちかれないさうで。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
まへ内外ないがい火山かざん巡見じゆんけんした場合ばあひ記事きじかゝげていたが、諸君しよくん兩方りようほう比較ひかくせられたならば、國内こくない火山作用かざんさようがいしておだやかであつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
外國市場ぐわいこくしぢやうおい他國品たこくひん競爭きやうさう位置ゐちにある場合ばあひ爲替相場かはせさうば下落げらくめに日本品にほんひん競爭きやうさうつておほれることは時々とき/″\經驗けいけんしたところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
また石器時代せつきじだいひと一度いちど石器せつき破損はそんした場合ばあひには、たいていてゝしまひ、これを改造かいぞうするようなことはなかつた。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
といふのは、水鳥みづとりが、なみうへることからうつつてて、人間にんげんにも、舟旅ふなたび夜泊よどまりの場合ばあひもちひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
宗助そうすけういふふうに、なん事故じこ出來できて、役所やくしよ退出ひけからすぐほかまはつておそくなる場合ばあひには、何時いつでもその顛末てんまつ大略たいりやくを、歸宅きたく早々さう/\御米およねはなすのをれいにしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このてんにおいて支那しなはさすがに徹底てつていしてゐる。如何いかなる場合ばあひにも姓名せいめい轉倒てんたうするやうなえんじない。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
おつぎは十八じふはちというても年齡としたつしたといふばかりで、んな場合ばあひたくみつくらふといふ料簡れうけんさへ苟且かりそめにもつてないほどめんおいてはにごりのない可憐かれん少女せうぢよであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
例の奇癖きへきかういふ場合ばあひにもあらはれ、若しや珍石ちんせきではあるまいかと、きかゝへてをかげて見ると、はたして! 四めん玲瓏れいろうみねひいたにかすかに、またと類なき奇石きせきであつたので
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
同室どうしつだれかゞ釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあひには、かれ寐臺ねだいからおきあがつて、つてる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはやうとひ、ばんにはまた休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
大問題だいもんだいふのはたしかに『なに?』とふことでした。あいちやんは自分じぶん周圍しうゐにあるくさはなのこらずましたが、この場合ばあひべたりんだりしていやうな適當てきたうもの見出みいだすことが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すなはつき太陽たいよう引力いんりよくによつてわが地球ちきゆうけるひづみの分量ぶんりようは、地球全體ちきゆうぜんたい鋼鐵こうてつ出來できてゐると假定かていした場合ばあひ三分さんぶんしかないのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)