いたゞ)” の例文
もつとも、負けてもじつはおごつていたゞく方がおほかつたがどういふのかこの師弟してい勝負せうふはとかくだれちで、仕舞しまひにはれうとも憂鬱ゆううつになつて
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
爐端ろばたもちいたゞくあとへ、そろへ、あたまをならべて、幾百いくひやくれつをなしたのが、一息ひといきに、やまひとはこんだのであるとふ。洒落しやれれたもので。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何卒どうぞ是非ぜひ一ついていたゞきたい、とふのは、じつ然云さういわけであるから、むしろきみ病院びやうゐんはひられたはう得策とくさくであらうとかんがへたのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もっとも、富士山ふじさん日本につぽんアルプス以下いか、すべての高山こうざんいたゞちかくには、さむさがつよくて樹木じゆもくそだちません。このことはのちにくはしくおはなしします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
御拂おはらひになるなら」とすこかんがへて、「六ゑんいたゞいてきませう」と否々いや/\さうにけた。御米およねには道具屋だうぐやけた相場さうば至當したうやうおもはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひさりであなたにお目にかゝつてそのおしやくいたゞくのはお祖師様そしさまあはせでございませう、イエたんとはいたゞきません。
左樣さやうならばと挨拶あいさつすれば録之助ろくのすけかみづゝみをいたゞいて、お辭儀じぎまをはづなれど貴孃あなたのおよりくだされたのなれば、ありがた頂戴ちようだいしておもにしまする
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分じぶん主人しゆじん慾張よくばりで、ろくなものを自分じぶんにも自分じぶんどもにもべさせません、よく王樣わうさま御威嚴ごゐげんをもつてしかつていたゞきたい。と、それからつぎには……
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
くらゐいたゞいても、そなたになれてなんとしよう。しかし、宮仕みやづかへをしてもなねばならぬ道理どうりはあるまい」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
はるたといつては莞爾につこりなにたといつては莞爾につこり元来ぐわんらいがあまりしつかりしたあたまでないのだ。十歳じつさいとき髪剃かみそりいたゞいたが、羅甸ラテン御経おきやうはきれいに失念しつねんしてしまつた。
わたしもこのあひだ、スペインのアルタミラの洞穴ほらあなつてしたしくそのることが出來できたのでありますが、それはのろ/\としたをかいたゞきにちかちひさなくちひらいたあなであつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つれ王子へ花見にゆくつもりで辨當べんたうなぞも容易ようい致し參りましたれどはや草臥くたびれ殊にははらすきしより茲等こゝらで開いて一ぱいと思へど通に掛茶屋も有ねばじつこうじてをりしが只今たゞいま水をいたゞいたを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしもひと金米糖こんぺいたうでもいたゞいて、みなさんのおともをしたいものです。御覽ごらんとほり、わたしはこの棧橋かけはし番人ばんにんでして、みなさんのおともをしたいにも、こゝをいてはかれません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「あ、錢形の親分、これは良い方が來て下さいました。八五郎親分が飛んで行つたやうですが、夜中でもあり、嫁は自害じがいのやうだから、親分に來ていたゞく迄もないと思ひましたが」
下に谷川あり、(登り川といふのみなもとなり)そのかた屏風びやうぶをひらきてたてまはしたるがごとし。岩のいたゞして川におほひたる下は四五十人してせまからぬほどにて、やねあるがごとし。
いひへてると自分じぶんこゝろがわかつていたゞくように、説明せつめいをし、おねがひをし、おびをするもので、根本こんぽん精神せいしんにおいては、このとほり、わたしどもは服從ふくじゆうまをしてをります、といふちかひの意味いみになります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いたゞけば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
あるひいはく——禮服れいふく一千兩いつせんりやう土用干どようぼし——大禮服たいれいふく東京とうきやう出來できた。が、ばういたゞき、けんび、手套てぶくろしぼると、すわるのがへんだ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねんも三ねん泣盡なきつくして今日けふといふ今日けふどうでも離縁りゑんもらふていたゞかうと决心けつしんほぞをかためました、うぞ御願おねがひで御座ござります離縁りゑんじやうつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして、勝負せうふをしながら畫談ぐわだんかせていたゞいたりするのも、わたしには一つのたのしみだつた。しかし、赤さかうつり住んでからは、まつたく先生とも會戰くわいせんない。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
このたい日本につぽん諸高山しよこうざんでは大概たいがいやまいたゞきにちかいところにあらはれてゐて、たかさは八九千尺はちくせんじやくから一萬尺いちまんじやくおよんでゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
なにね新入しんまい乞食こじきまゐりまして、ソノ負傷けがをしたからお煙草たばこ粉末こないたゞきたいつて……。主「うか、乞食こじきか……ちな/\、いま乃公おれが見てるから……。 ...
「いいえ。わたしじやないでせう」とつた。それをきいて、そばについてきてゐた子雀こすゞめが「今朝けさもおこめいたゞいてよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
病院びやうゐんです、もううから貴方あなたにもいたゞたいおもつてゐましたのですが……めう病人びやうにんなのです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
は大きな花のうへに落ちてゐる。代助はこゞんで、花のなかのぞき込んだ。やがて、ひよろ長い雄ずゐいたゞきから、花粉くわふんを取つて、雌蕊しずゐさきへ持つてて、丹念たんねんけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ほねといつても、たゞ頭蓋骨ずがいこついたゞき、いはゆるあたまさら部分ぶぶんひだりもゝほね一部分いちぶぶん臼齒きゆうしたばかりでありますが、これを調しらべてると、どうしても今日こんにち類人猿るいじんえんとはちがつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたしのやうなきつねでもうまかはつたやうになれば、うしてやしろ番人ばんにんをさせていたゞけるのです。わたしがもうわか時分じぶんのやうな惡戯いたづらきつねでない證據しようこには、このわたしくち御覽ごらんになつても分ります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
相應さうおうせし縁邊なりとは言難ければ御深切しんせつの程有難ありがたけれど此義はおことわり申すべしと言れて望を失ひたる忠兵衞今は詮術せんすべなければ昨日きのふ息子せがれ長三郎が花見に出たる其折にはからこゝの雪隱に入り水をいたゞき手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勿躰もつたいない、名僧智識めいそうちしきつたもの、と足代あじろわらいたゞいたゞがの、……それでは、お前様めえさまわしあとへござつて、坊主ばうずあはしつたものだんべい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れいまをしいたゞいておでと蒔散まきちらせば、これを此娘このこの十八ばんれたることとてのみは遠慮ゑんりよもいふてはず、旦那だんなよろしいのでございますかと駄目だめして
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
慈悲なさけ何卒どうか煙草たばこ粉末こなでも少々せう/\いたゞきたいもので……エー/\粉末こないのでございますがな。
ごゑらいのようにつよく、いかにも高山こうざんいたゞきにとりにふさはしい丈夫じようぶそうなとりです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
れは勿論もちろんこれ我々丈われ/\だけはなしだが、かれあま尊敬そんけいをすべき人格じんかくをとこではいが、じゆつけてはまたなか/\あなどられんとおもふ。でねがはくはだ、きみ何卒どうぞ一つ充分じゆうぶんかれしんじて、療治れうぢせん一にしていたゞきたい。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
御金おかねは、彼所あすこぢやいたゞけないのよ」と云つた。三四郎は落胆がつかりした。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このほこらいたゞく、鬱樹うつじゆこずゑさがりに、瀧窟たきむろこみちとほつて、断崖きりぎし中腹ちうふく石溜いしだまりのいはほわづかひらけ、たゞちに、くろがね階子はしごかゝ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
是非ぜひ吾助ごすけ拜見はいけんたければ、此頃このごろ姉樣ねえさまにおねがひなされ、おてをいたゞきてたまはれ、かならず、屹度きつと返事へんじ通路つうろ此處こヽにをしへ、一日いちにち二日ふつか
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その時つい気のついたはむろさんからいたゞいて毒消どくけし御封ごふう、これさいはひと懐中ふところに手を入れましたがつゝみのまゝ口へれて雪をつかんでれてみましたが、毒消どくけし御利益ごりやく
「さう。ぢやいたゞいて置きませう」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そろひ浴衣ゆかたをはじめとして、提灯ちやうちん張替はりかへをおください、へい、いたゞきにました。えゝ、張替はりかへをおとゞまをします。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもこと反對うらはらにおきになつてもんでくださるかくださらぬか其處そこほどはらねど、よしわらものになつてもわたし貴君あなたわらふていたゞたく今夜こんやのこらずひまする
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先方せんぱうでは貴顕きけんのお客様きやくさまですから丁寧ていねい取扱とりあつかひでございましておかみかたはお二階にかいあるひ奥座敷おくざしきといふのでわたくしつぎのお荷物の中の少々せう/\ばかりの明地あきちかしていたゞく事にあひなりました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
村一同むらいちどうことづけをたのまう。はしら一本いつぽんいたゞく……鳥居とりゐのな。……あといくらでも建立こんりふするから、とつてな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さりながらお寫眞しやしんあらば一まい形見かたみいたゞきたし此次このつぎ出京しゆつけうするころにははや立派りつぱ奧樣おくさまかもれず、それでもまたつてたまはるかとかほをのぞけば、ひざして正体せうたいもなし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また折々をり/\のおかたのおともをいたして、大坂おほさか有名いうめい藤田様ふぢたさま御別荘ごべつさうまゐりまして、お座敷ざしき拝見はいけんしたり、御懐石ごくわいせき頂戴ちやうだいしたあと薄茶うすちやいたゞいたりして、誠に此上このうへもない結構けつこうな事でございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
みちそらとのあひだたゞ一人ひとりわしばかり、およ正午しやうごおぼしい極熱ごくねつ太陽たいやういろしろいほどにかへつた光線くわうせんを、深々ふか/″\いたゞいた一重ひとへ檜笠ひのきがさしのいで、図面づめんた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
目鏡めがめちうだとわらはるゝもありき、町子まちこはいとゞ方々かた/\もてはやし五月蠅うるさく、おくさんおくさんと御盃おさかづきあめるに、御免遊ごめんあそばせ、わたしいたゞきませぬほどにと盃洗はいせんみづながして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まア結構けつこうなおくすりいたゞくのみならず、お料理れうり残余物あまりものまでくだされ、有難ありがたぞんじます、左様さやうならこれへ頂戴ちやうだいいたしますと、襤褸手拭ぼろてぬぐひくるんであつた麪桶めんつう取出とりだして、河合金兵衛かはひきんべゑまへ突出つきだすのを
はあ、御串戲ごじようだんをなさりますな、貴下あなたからお酒錢さかてなんぞ、うして餘分よぶん御祝儀ごしうぎねえさんたちにいたゞいてります。格別かくべつをつけてお供申ともまをせとことで。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
吾助ごすけ上手じやうずなれどうたはうなほ名人めいじんゆゑ、これを御覽ごらんれさへすれば、ぼくつと吾助ごすけひたり、てばぼく小刀ないふぼくのにて、姉樣ねえさまのごむ人形にんぎやうはお約束やくそくゆゑいたゞくのなり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……貴下あなたまへでござりますが、われながら愛想あいそきた不身持ふみもちでござりまして、毎々まい/\をとこ面目玉めんぼくだま溝漬どぶづけ茄子なすらうとするところを、幾度いくたびすくひいたゞいたかわかりません。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)