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妙
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めう
ふりがな文庫
“
妙
(
めう
)” の例文
海蛇
(
うみへび
)
に
捕
(
と
)
られたとは、
眞
(
しん
)
に
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
りましたが、それがよく
隱語
(
いんご
)
を
使
(
つか
)
ふ
伊太利人
(
イタリーじん
)
の
僻
(
くせ
)
で、
其
(
その
)
書面
(
しよめん
)
ではじめて
分
(
わか
)
りましたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
が
小使部屋
(
こづかひべや
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝつた
時
(
とき
)
、
大
(
おほ
)
きな
爐
(
ろ
)
の
炭火
(
すみび
)
が
妙
(
めう
)
に
赤
(
あか
)
く
見
(
み
)
える
薄暗
(
うすくら
)
い
中
(
なか
)
から、
子供
(
こども
)
をおぶつた
内儀
(
かみ
)
さんが
慌
(
あわ
)
てゝ
聲
(
こゑ
)
をかけた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
B
又
(
また
)
俳句
(
はいく
)
だらう。
先年
(
せんねん
)
電車
(
でんしや
)
のストライキのあつた
時
(
とき
)
、あれは
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つたつけな、
妙
(
めう
)
な
俳句
(
はいく
)
の
樣
(
やう
)
なものを
書
(
か
)
いてよこしたぢやないか。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
「いけません。お
払
(
はらひ
)
でなきやアあとへお
帰
(
かへ
)
ンなさい。」とおつしやつた。
先生
(
せんせい
)
妙
(
めう
)
な
顔
(
かほ
)
をしてぼんやり
立
(
た
)
つてたが
少
(
すこ
)
しむきになつて
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
その
)
二尺
(
にしやく
)
程
(
ほど
)
下
(
した
)
の
勾配
(
こうばい
)
の
一番
(
いちばん
)
急
(
きふ
)
な
所
(
ところ
)
に
生
(
は
)
えてゐる
枯草
(
かれくさ
)
が、
妙
(
めう
)
に
摺
(
す
)
り
剥
(
む
)
けて、
赤土
(
あかつち
)
の
肌
(
はだ
)
を
生々
(
なま/\
)
しく
露出
(
ろしゆつ
)
した
樣子
(
やうす
)
に、
宗助
(
そうすけ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
驚
(
おど
)
ろかされた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
お
品
(
しな
)
は
朝
(
あさ
)
から
心持
(
こゝろもち
)
が
晴々
(
はれ/″\
)
して
日
(
ひ
)
が
昇
(
のぼ
)
るに
連
(
つ
)
れて
蒲團
(
ふとん
)
へ
起
(
お
)
き
直
(
なほ
)
つて
見
(
み
)
たが、
身體
(
からだ
)
が
力
(
ちから
)
の
無
(
な
)
いながらに
妙
(
めう
)
に
輕
(
かる
)
く
成
(
な
)
つたことを
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼
(
あ
)
の
坊主
(
ばうず
)
は
妙
(
めう
)
な事を
云
(
い
)
ふて、人の見て
居
(
ゐ
)
る
前
(
まい
)
では物が
喰
(
く
)
はれないなんて、
全体
(
ぜんたい
)
アノ
坊主
(
ばうず
)
は
大変
(
たいへん
)
に
吝
(
けち
)
で
金
(
かね
)
を
溜
(
ため
)
る
奴
(
やつ
)
だと
云
(
い
)
ふ事を聞いて
居
(
ゐ
)
るが
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
是
(
これ
)
にて
罪
(
つみ
)
は
成立
(
せいりつ
)
し、
第
(
だい
)
八
囘
(
くわい
)
以後
(
いご
)
はその
罪
(
つみ
)
によりていかなる「
罰
(
ばつ
)
」
精神的
(
せいしんてき
)
の
罰
(
ばつ
)
心中
(
しんちう
)
の
鬼
(
おに
)
を
穿
(
うが
)
ち
出
(
い
)
でゝ
益
(
ます/\
)
精
(
せい
)
に
益
(
ます/\
)
妙
(
めう
)
なり。
余
(
よ
)
は
多言
(
たげん
)
するを
好
(
この
)
まず。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
抽斗
(
ひきだし
)
を
透
(
すか
)
して、
私
(
そつ
)
と
背負揚
(
しよいあげ
)
を
引張出
(
ひつぱりだ
)
して
見
(
み
)
ると、
白粉
(
おしろい
)
やら
香水
(
かうすゐ
)
やら、
女
(
をんな
)
の
移香
(
うつりが
)
が
鼻
(
はな
)
に
通
(
かよ
)
つて、
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
は
妙
(
めう
)
にワク/\して
来
(
き
)
た。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
遠くの
方
(
はう
)
から
飴売
(
あめうり
)
の
朝鮮笛
(
てうせんぶえ
)
が
響
(
ひゞ
)
き出した。笛の
音
(
ね
)
は思ひがけない
処
(
ところ
)
で、
妙
(
めう
)
な
節
(
ふし
)
をつけて
音調
(
おんてう
)
を低めるのが、言葉に
云
(
い
)
へない
幽愁
(
いうしう
)
を
催
(
もよほ
)
させる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さし出し城富に遣はして此後折々我が
屋敷
(
やしき
)
へも參るべしとて
厚
(
あつ
)
く
禮
(
れい
)
を
述
(
のべ
)
ければ是よりして
味岡
(
あぢをか
)
の方へも出入をなせしが
鍼術
(
しんじゆつ
)
に於ては大いに
妙
(
めう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
注意
(
ちうい
)
を
拂
(
はら
)
ふ」だの「
近
(
ちか
)
き
將來
(
しやうらい
)
」などは、おかしいけれどもまだ
意味
(
いみ
)
が
分
(
わ
)
かるが、
妙
(
めう
)
に
持
(
も
)
つてまはつて、
意味
(
いみ
)
が
通
(
つう
)
じないのは、まことに
困
(
こ
)
まる。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
きかねど
晦日
(
みそか
)
に
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
十五夜
(
じふごや
)
の
闇
(
やみ
)
もなくてやは
奧
(
おく
)
は
朦朧
(
もうろう
)
のいかなる
手段
(
しゆだん
)
ありしか
新田
(
につた
)
が
畫策
(
くわくさく
)
極
(
きは
)
めて
妙
(
めう
)
にしていさゝかの
融通
(
ゆうづう
)
もならず
示談
(
じだん
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見るとそれは、今まで
臆病者
(
おくびやうもの
)
とばかり思ひ込ませてゐた若黨の勇吉。
妙
(
めう
)
に
引緊
(
ひきしま
)
つた凄い顏をして、裸蝋燭を片手に、新三郎の陷ち込んだ穴を覗きます。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
青木さんはふと一人
言
(
ごと
)
のやうにさうつぶやいて、
軒
(
のき
)
先に
見
(
み
)
える
晴
(
は
)
れた
夜
(
よ
)
空をぢつと
見
(
み
)
上げた。が、さういふ空
想
(
さう
)
の明るさとは
反対
(
はんたい
)
に
氕持
(
きもち
)
は
妙
(
めう
)
に
暗
(
くら
)
く
沈
(
しづ
)
んで
行
(
い
)
つた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
或る者は漁業に巧にして或る者は鳥獸捕獲に巧に、或る者は
織
(
お
)
り
物
(
もの
)
に
妙
(
めう
)
を得、或る者は
籠細工
(
かごさいく
)
を
得意
(
とくゐ
)
とすと云ふが如き事はコロボックル
社會
(
しやくわい
)
に
有
(
あ
)
りし
事
(
こと
)
なるべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
ハヾトフは
此時
(
このとき
)
少計
(
すこしばか
)
り
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
室内
(
しつない
)
を
覗
(
のぞ
)
いた。イワン、デミトリチは
頭巾
(
づきん
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
妙
(
めう
)
な
眼付
(
めつき
)
をしたり、
顫
(
ふるへ
)
上
(
あが
)
つたり、
神經的
(
しんけいてき
)
に
病院服
(
びやうゐんふく
)
の
前
(
まへ
)
を
合
(
あ
)
はしたりしてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
斯
(
か
)
う
申
(
まう
)
すと、
諸君
(
しよくん
)
は
妙
(
めう
)
にお
取
(
とり
)
になるかも
知
(
し
)
れませんが、
僕
(
ぼく
)
はこれでも
窃
(
ひそ
)
かに
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
出身
(
しゆつしん
)
といふことを
誇
(
ほこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのです。
又
(
ま
)
た
心
(
こゝろ
)
から
感謝
(
かんしや
)
して
居
(
ゐ
)
るので
御座
(
ござ
)
います。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
況して少しでも
腦症
(
なうしやう
)
のあるものは、
妙
(
めう
)
に氣が
倦
(
う
)
むで、
耳
(
みゝ
)
が鳴る、眼が
眊
(
かす
)
む、頭腦が惡く
岑々
(
ぎん/″\
)
して、
他
(
ひと
)
の頭腦か自分の頭か解らぬやうに
知覺
(
ちかく
)
が
鈍
(
にぶ
)
る。周三も其の通りだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
つたことはないが、
顏
(
かほ
)
だけは
覺
(
おぼ
)
えてゐる
天滿與力
(
てんまよりき
)
の
何某
(
なにがし
)
であることを
玄竹
(
げんちく
)
は
知
(
し
)
つてゐた。この
天滿與力
(
てんまよりき
)
は
町人
(
ちやうにん
)
から
袖
(
そで
)
の
下
(
した
)
を
取
(
と
)
るのに
妙
(
めう
)
を
得
(
え
)
てゐる
形
(
かたち
)
だけの
偉丈夫
(
ゐぢやうふ
)
であつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『
然
(
さ
)
うさ、
私
(
わたし
)
もこれまで
聞
(
き
)
いたことがない』と
云
(
い
)
つて
海龜
(
うみがめ
)
は、『
妙
(
めう
)
な
寐言
(
ねごと
)
だこと』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
錆
(
さびる
)
は
腐
(
くさる
)
の
始
(
はじめ
)
、
錆
(
さび
)
の中かならず虫あり、
肉眼
(
にくがん
)
におよばざるゆゑ人しらざる也。(蘭人の説也)金中
猶
(
なほ
)
虫
(
むし
)
あり、雪中虫
無
(
なから
)
んや。しかれども常をなさゞれば
奇
(
き
)
とし
妙
(
めう
)
として
唐土
(
もろこし
)
の
書
(
しよ
)
にも
記
(
しる
)
せり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
通抜
(
とほりぬけ
)
無用の札を
路次口
(
ろじぐち
)
へ
貼
(
は
)
つて置くのは、
通抜
(
とほりぬけ
)
らるゝ事を
表示
(
へうし
)
するやうなものだと言つた人があるが僕も
先刻
(
せんこく
)
余儀
(
よぎ
)
なき用事で
或抜裏
(
あるぬけうら
)
へ
一足
(
ひとあし
)
這入
(
はい
)
るとすぐに
妙
(
めう
)
なる二つの声を聞いた
亭主
(
ていし
)
曰
(
いわ
)
く
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
屋内
酒樽
(
さけだる
)
のあるあらば
極
(
きは
)
めて
妙
(
めう
)
なれども、若し之なくんば
草臥
(
くたび
)
れ
損
(
ぞん
)
なりと、
遂
(
つひ
)
に帰路を
取
(
と
)
りて戸倉に
至
(
いた
)
るに
决
(
けつ
)
す、一帯の
白砂
(
はくさ
)
過
(
す
)
ぎ
了
(
おは
)
れば路は戸倉峠に
連
(
つら
)
なる、峠の
高
(
たか
)
さ凡そ六千呎、
路幅
(
みちはば
)
僅
(
わづ
)
かに一尺
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
話が
少
(
すこ
)
し
妙
(
めう
)
になつて來たね
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
みんな
妙
(
めう
)
な
格好
(
かつかう
)
をするわ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
時候
(
じこう
)
の
變
(
かは
)
り
目
(
め
)
といふものは、
妙
(
めう
)
に
心細
(
こゝろぼそ
)
いやうな氣のするものですね、これはあながち
不自由
(
ふじいう
)
に
暮
(
くら
)
してゐるばかりではないでせうよ。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「おい
是
(
これ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
其所
(
そこ
)
へ
置
(
お
)
いて
呉
(
く
)
れ」と
渡
(
わた
)
すと、
清
(
きよ
)
は
妙
(
めう
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
不思議
(
ふしぎ
)
さうにそれを
受取
(
うけと
)
つた。
御米
(
およね
)
は
奧
(
おく
)
で
座敷
(
ざしき
)
へ
拂塵
(
はたき
)
を
掛
(
か
)
けてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハテ、
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
だと
私
(
わたくし
)
は
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めたが、よく
見
(
み
)
ると、
老女
(
らうぢよ
)
は、
何事
(
なにごと
)
にか
痛
(
いた
)
く
心
(
こゝろ
)
を
惱
(
なや
)
まして
居
(
を
)
る
樣子
(
やうす
)
なので、
私
(
わたくし
)
は
逆
(
さか
)
らはない
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
燒
(
や
)
け
土
(
つち
)
がまだそれなりのもあるらしい、
道惡
(
みちわる
)
を
縫
(
ぬ
)
つて
入
(
はひ
)
ると、その
癖
(
くせ
)
、
人通
(
ひとどほり
)
も
少
(
すくな
)
く、バラツク
建
(
だて
)
は
軒
(
のき
)
まばらに、
隅
(
すみ
)
を
取
(
と
)
つて、
妙
(
めう
)
にさみしい。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
し
其
(
そ
)
の
一人
(
ひとり
)
でも
懷
(
ふところ
)
のいゝのが
目
(
め
)
につけば
自分
(
じぶん
)
は
後
(
あと
)
へ
捨
(
す
)
てられたやうな
酷
(
ひど
)
く
切
(
せつ
)
ないやうな
妙
(
めう
)
な
心持
(
こゝろもち
)
になつて、そこに
嫉妬
(
しつと
)
の
念
(
ねん
)
が
起
(
おこ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
実
(
じつ
)
に
此
(
この
)
音色
(
ねいろ
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
く
等
(
など
)
といふは、
不思議
(
ふしぎ
)
と
申
(
まう
)
すも
余
(
あまり
)
あることでござりまする。
殊
(
こと
)
に親、
良人
(
をつと
)
、
誰
(
たれ
)
に
拘
(
かゝは
)
らず
遺言
(
ゆゐごん
)
抔
(
など
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
いたら
妙
(
めう
)
でござりませう。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いつの
間
(
ま
)
に
掃除
(
さうぢ
)
をしたものか
朝露
(
あさつゆ
)
に
湿
(
しめ
)
つた
小砂利
(
こじやり
)
の上には、
投捨
(
なげす
)
てた
汚
(
きたな
)
い
紙片
(
かみきれ
)
もなく、朝早い
境内
(
けいだい
)
はいつもの
雑沓
(
ざつたふ
)
に引かへて
妙
(
めう
)
に広く
神々
(
かう/″\
)
しく
寂
(
しん
)
としてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『
病院
(
びやうゐん
)
です、もう
疾
(
と
)
うから
貴方
(
あなた
)
にも
見
(
み
)
て
頂
(
いたゞ
)
き
度
(
たい
)
と
思
(
おも
)
つてゐましたのですが……
妙
(
めう
)
な
病人
(
びやうにん
)
なのです。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
鼻がよくて、いろ/\の消息を嗅ぎ出すことにかけては、
天稟
(
てんぴん
)
の
妙
(
めう
)
を得たガラツ八ですが、理詰めに手繰つて、
下手人
(
ほし
)
を擧げることとなると、まるでだらしがありません。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
背負揚
(
しよいあげ
)
のうちに、
何等
(
なんら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
があらうとは
思
(
おも
)
はぬ。が、もし
有
(
あ
)
つたら
如何
(
どう
)
する?と
叫
(
さけ
)
んだのも、
恐
(
おそら
)
く
此
(
こ
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
であらう。
私
(
わたし
)
はそれを
感
(
かん
)
ずると
同時
(
どうじ
)
に、
妙
(
めう
)
に
可厭
(
いや
)
な
気
(
き
)
が
差
(
さ
)
した。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
得しことゆゑ
癪氣
(
しやくき
)
も速かに
治
(
をさま
)
りければ大岡殿には悦ばれ成程
妙
(
めう
)
に
好
(
よい
)
心持
(
こゝろもち
)
に成しと申されるに城富は先々御
休息
(
きうそく
)
を
遊
(
あそ
)
ばされよと申て自分も
休
(
やす
)
み居たりけるに大岡殿は
寢返
(
ねがへ
)
りて此方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
年
(
とし
)
は
隨
(
ずい
)
一
若
(
わか
)
けれども
客
(
きやく
)
を
呼
(
よ
)
ぶに
妙
(
めう
)
ありて、さのみは
愛想
(
あいさう
)
の
嬉
(
うれ
)
しがらせを
言
(
い
)
ふやうにもなく
我
(
わが
)
まゝ
至極
(
しごく
)
の
身
(
み
)
の
振舞
(
ふるまい
)
、
少
(
すこ
)
し
容貌
(
きりよう
)
の
自慢
(
じまん
)
かと
思
(
おも
)
へば
小面
(
こづら
)
が
憎
(
に
)
くいと
蔭口
(
かげぐち
)
いふ
朋輩
(
はうばい
)
もありけれど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その
所有者
(
しよいうしや
)
に
嶺上開花
(
リンシヤンカイホオ
)
の
機會
(
きくわい
)
を
與
(
あた
)
へるので
捨
(
す
)
てられなくなるといふ
風
(
ふう
)
な
妙
(
めう
)
なルウルもあり、
何
(
なに
)
しろ
近頃
(
ちかごろ
)
のやうに
明確
(
めいかく
)
な
標準規約
(
へうじゆんきやく
)
もなく、
第
(
だい
)
一
傳
(
つた
)
へる
人
(
ひと
)
がうろ
覺
(
おぼ
)
えの
怪
(
あや
)
しい
指導振
(
しだうぶり
)
なのだから
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
不器用
(
ぶきよう
)
な
手
(
て
)
つきで
赤子
(
あかご
)
を
取
(
と
)
りました、それは
妙
(
めう
)
な
格好
(
かくかう
)
をした
小
(
ちひ
)
さな
動物
(
どうぶつ
)
で、
其
(
そ
)
れが
付
(
つ
)
いてるまゝに
其腕
(
そのうで
)
や
脚
(
あし
)
を
皆
(
みん
)
な
外
(
そと
)
へ
出
(
だ
)
すと、『
恰度
(
ちやうど
)
海盤車
(
ひとで
)
のやうだ』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
併
(
しか
)
し
何
(
ど
)
ういふものか
此時
(
このとき
)
ばかり、
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
は
妙
(
めう
)
に
其方
(
そつち
)
に
引付
(
ひきつ
)
けられた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
圓太郎馬車
(
ゑんたらうばしや
)
のやうに
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
呉
(
く
)
れると
更
(
さら
)
に
妙
(
めう
)
だと
思
(
おも
)
つた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
所
(
ところ
)
が
杉原
(
すぎはら
)
の
方
(
はう
)
では、
妙
(
めう
)
な
引掛
(
ひつかゝ
)
りから、
宗助
(
そうすけ
)
の
此所
(
こゝ
)
に
燻
(
くす
)
ぶつてゐる
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
き
出
(
だ
)
して、
強
(
し
)
いて
面會
(
めんくわい
)
を
希望
(
きばう
)
するので、
宗助
(
そうすけ
)
も
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そつと
開
(
あ
)
けて
這入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
ると、
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
ながらおつぎはひやりとした。
塒
(
とや
)
の
鷄
(
にはとり
)
は
闇
(
くら
)
い
中
(
なか
)
で
凝然
(
ぢつ
)
として
居
(
ゐ
)
ながらくゝうと
細
(
ほそ
)
い
長
(
なが
)
い
妙
(
めう
)
な
聲
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と
靜
(
しづか
)
な
聲
(
こゑ
)
で、
慰
(
なぐさ
)
めるやうに
窓
(
まど
)
から
云
(
い
)
つたが、
其
(
そ
)
の
一言
(
ひとこと
)
から
冷
(
つめ
)
たくなりさうに、
妙
(
めう
)
に
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みて、
唯吉
(
たゞきち
)
は
寂
(
さび
)
しく
聞
(
き
)
いた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『はてさて、
妙
(
めう
)
だぞ、あれは
矢
(
や
)
ツ
張
(
ぱり
)
滊船
(
きせん
)
だわい、して
見
(
み
)
ると
今月
(
こんげつ
)
の
航海表
(
かうかいへう
)
に
錯誤
(
まちがい
)
があつたのかしらん。』と
言
(
い
)
ひつゝ、
仰
(
あほ
)
いで
星影
(
ほしかげ
)
淡
(
あは
)
き
大空
(
おほぞら
)
を
眺
(
なが
)
めたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あ……夢かア、おや/\
盲人
(
めくら
)
てえものは
妙
(
めう
)
な
者
(
もん
)
だなア、
寐
(
ね
)
てゐる
中
(
うち
)
には
種々
(
いろ/\
)
のものが見えたが、
眼
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めたら
何
(
なに
)
も見えない。……
心眼
(
しんがん
)
と
云
(
い
)
ふお話でございます。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
屋根
(
やね
)
の低い
片側町
(
かたかはまち
)
の
人家
(
じんか
)
は
丁度
(
ちやうど
)
後
(
うしろ
)
から深い
溝
(
どぶ
)
の
方
(
はう
)
へと
押詰
(
おしつ
)
められたやうな気がするので、
大方
(
おほかた
)
其
(
そ
)
のためであらう、
其
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
に混雑もせぬ
往来
(
わうらい
)
がいつも
妙
(
めう
)
に
忙
(
いそが
)
しく見え
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼
(
かれ
)
は
町
(
まち
)
を
廻
(
まは
)
るに
病院服
(
びやうゐんふく
)
の
儘
(
まゝ
)
、
妙
(
めう
)
な
頭巾
(
づきん
)
を
被
(
かぶ
)
り、
上靴
(
うはぐつ
)
を
穿
(
は
)
いてる
時
(
とき
)
もあり、
或
(
あるひ
)
は
跣足
(
はだし
)
でヅボン
下
(
した
)
も
穿
(
は
)
かずに
歩
(
ある
)
いてゐる
時
(
とき
)
もある。
而
(
さう
)
して
人
(
ひと
)
の
門
(
かど
)
や、
店前
(
みせさき
)
に
立
(
た
)
つては一
錢
(
せん
)
づつを
請
(
こ
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女房に
預
(
あづ
)
け
尚
(
なほ
)
又江戸表より一年に五六兩づつは送る
約束
(
やくそく
)
にて其身は三十兩
懷中
(
くわいちう
)
し享保三年の
冬
(
ふゆ
)
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
へ下りたり彦兵衞が女房は至つて
縫物
(
ぬひもの
)
に
妙
(
めう
)
を得たる故諸處より頼まれ
相應
(
さうおう
)
に
縫錢
(
ぬひせん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“妙”の意味
《形容動詞》
(みょう)普通でない。道理に合わない。不思議だ。奇妙だ。
《名詞》
(みょう)巧みであること。優れていること。
(出典:Wiktionary)
妙
常用漢字
中学
部首:⼥
7画
“妙”を含む語句
巧妙
微妙
神妙
美妙
白妙
奇妙
端厳微妙
妙手
妙義山
妙齢
妙諦
玄妙
霊妙
妙機
妙子
妙見
妙義
南無妙法蓮華経
敷妙
妙音
...