めう)” の例文
海蛇うみへびられたとは、しんめうことだとおもつてりましたが、それがよく隱語いんご使つか伊太利人イタリーじんくせで、その書面しよめんではじめてわかりましたよ。
彼女かのぢよ小使部屋こづかひべやまへとほりかゝつたときおほきな炭火すみびめうあかえる薄暗うすくらなかから、子供こどもをおぶつた内儀かみさんがあわてゝこゑをかけた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
B また俳句はいくだらう。先年せんねん電車でんしやのストライキのあつたとき、あれはなんとかつたつけな、めう俳句はいくやうなものをいてよこしたぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
「いけません。おはらひでなきやアあとへおかへンなさい。」とおつしやつた。先生せんせいめうかほをしてぼんやりつてたがすこしむきになつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その二尺にしやくほどした勾配こうばい一番いちばんきふところえてゐる枯草かれくさが、めうけて、赤土あかつちはだ生々なま/\しく露出ろしゆつした樣子やうすに、宗助そうすけ一寸ちよつとおどろかされた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しなあさから心持こゝろもち晴々はれ/″\してのぼるにれて蒲團ふとんなほつてたが、身體からだちからいながらにめうかるつたことをかんじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
坊主ばうずめうな事をふて、人の見てまいでは物がはれないなんて、全体ぜんたいアノ坊主ばうず大変たいへんけちかねためやつだとふ事を聞いてるが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これにてつみ成立せいりつし、だいくわい以後いごはそのつみによりていかなる「ばつ精神的せいしんてきばつ心中しんちうおに穿うがでゝます/\せいます/\めうなり。多言たげんするをこのまず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
抽斗ひきだしすかして、そつ背負揚しよいあげ引張出ひつぱりだしてると、白粉おしろいやら香水かうすゐやら、をんな移香うつりがはなかよつて、わたしむねめうにワク/\してた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
遠くのはうから飴売あめうり朝鮮笛てうせんぶえひゞき出した。笛のは思ひがけないところで、めうふしをつけて音調おんてうを低めるのが、言葉にへない幽愁いうしうもよほさせる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さし出し城富に遣はして此後折々我が屋敷やしきへも參るべしとてあつれいのべければ是よりして味岡あぢをかの方へも出入をなせしが鍼術しんじゆつに於ては大いにめう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
注意ちういはらふ」だの「ちか將來しやうらい」などは、おかしいけれどもまだ意味いみかるが、めうつてまはつて、意味いみつうじないのは、まことにまる。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
きかねど晦日みそかつきなか十五夜じふごややみもなくてやはおく朦朧もうろうのいかなる手段しゆだんありしか新田につた畫策くわくさくきはめてめうにしていさゝかの融通ゆうづうもならず示談じだん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見るとそれは、今まで臆病者おくびやうものとばかり思ひ込ませてゐた若黨の勇吉。めう引緊ひきしまつた凄い顏をして、裸蝋燭を片手に、新三郎の陷ち込んだ穴を覗きます。
青木さんはふと一人ごとのやうにさうつぶやいて、のき先にえるれた空をぢつと上げた。が、さういふ空さうの明るさとは反対はんたい氕持きもちめうくらしづんでつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
或る者は漁業に巧にして或る者は鳥獸捕獲に巧に、或る者はものめうを得、或る者は籠細工かごさいく得意とくゐとすと云ふが如き事はコロボックル社會しやくわいりしことなるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ハヾトフは此時このとき少計すこしばかけて室内しつないのぞいた。イワン、デミトリチは頭巾づきんかぶつて、めう眼付めつきをしたり、ふるへあがつたり、神經的しんけいてき病院服びやうゐんふくまへはしたりしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まうすと、諸君しよくんめうにおとりになるかもれませんが、ぼくはこれでもひそかに大島小學校おほしませうがくかう出身しゆつしんといふことをほこつてるのです。こゝろから感謝かんしやしてるので御座ございます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
況して少しでも腦症なうしやうのあるものは、めうに氣がむで、みゝが鳴る、眼がかすむ、頭腦が惡く岑々ぎん/″\して、ひとの頭腦か自分の頭か解らぬやうに知覺ちかくにぶる。周三も其の通りだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ものつたことはないが、かほだけはおぼえてゐる天滿與力てんまよりき何某なにがしであることを玄竹げんちくつてゐた。この天滿與力てんまよりき町人ちやうにんからそでしたるのにめうてゐるかたちだけの偉丈夫ゐぢやうふであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うさ、わたしもこれまでいたことがない』とつて海龜うみがめは、『めう寐言ねごとだこと』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さびるくさるはじめさびの中かならず虫あり、肉眼にくがんにおよばざるゆゑ人しらざる也。(蘭人の説也)金中なほむしあり、雪中虫なからんや。しかれども常をなさゞればとしめうとして唐土もろこししよにもしるせり。
通抜とほりぬけ無用の札を路次口ろじぐちつて置くのは、通抜とほりぬけらるゝ事を表示へうしするやうなものだと言つた人があるが僕も先刻せんこく余儀よぎなき用事で或抜裏あるぬけうら一足ひとあし這入はいるとすぐにめうなる二つの声を聞いた亭主ていしいわ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
屋内酒樽さけだるのあるあらばきはめてめうなれども、若し之なくんば草臥くたびぞんなりと、つひに帰路をりて戸倉にいたるにけつす、一帯の白砂はくさおはれば路は戸倉峠につらなる、峠のたかさ凡そ六千呎、路幅みちはばわづかに一尺
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
話がすこめうになつて來たね
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
みんなめう格好かつかうをするわ
時候じこうかはといふものは、めう心細こゝろぼそいやうな氣のするものですね、これはあながち不自由ふじいうくらしてゐるばかりではないでせうよ。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「おいこれ一寸ちよつと其所そこいてれ」とわたすと、きよめうかほをして、不思議ふしぎさうにそれを受取うけとつた。御米およねおく座敷ざしき拂塵はたきけてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ハテ、めうことをんなだとわたくしまゆひそめたが、よくると、老女らうぢよは、何事なにごとにかいたこゝろなやまして樣子やうすなので、わたくしさからはない
つちがまだそれなりのもあるらしい、道惡みちわるつてはひると、そのくせ人通ひとどほりすくなく、バラツクだてのきまばらに、すみつて、めうにさみしい。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しか一人ひとりでもふところのいゝのがにつけば自分じぶんあとてられたやうなひどせつないやうなめう心持こゝろもちになつて、そこに嫉妬しつとねんおこるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
じつこの音色ねいろたくはへてなどといふは、不思議ふしぎまうすもあまりあることでござりまする。ことに親、良人をつとたれかゝはらず遺言ゆゐごんなどたくはへていたらめうでござりませう。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつの掃除さうぢをしたものか朝露あさつゆ湿しめつた小砂利こじやりの上には、投捨なげすてたきたな紙片かみきれもなく、朝早い境内けいだいはいつもの雑沓ざつたふに引かへてめうに広く神々かう/″\しくしんとしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
病院びやうゐんです、もううから貴方あなたにもいたゞたいおもつてゐましたのですが……めう病人びやうにんなのです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
鼻がよくて、いろ/\の消息を嗅ぎ出すことにかけては、天稟てんぴんめうを得たガラツ八ですが、理詰めに手繰つて、下手人ほしを擧げることとなると、まるでだらしがありません。
背負揚しよいあげのうちに、何等なんら秘密ひみつがあらうとはおもはぬ。が、もしつたら如何どうする?とさけんだのも、おそら猜疑心さいぎしんであらう。わたしはそれをかんずると同時どうじに、めう可厭いやした。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
得しことゆゑ癪氣しやくきも速かにをさまりければ大岡殿には悦ばれ成程めうよい心持こゝろもちに成しと申されるに城富は先々御休息きうそくあそばされよと申て自分もやすみ居たりけるに大岡殿は寢返ねがへりて此方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
としずいわかけれどもきやくぶにめうありて、さのみは愛想あいさううれしがらせをふやうにもなくわがまゝ至極しごく振舞ふるまいすこ容貌きりよう自慢じまんかとおもへば小面こづらくいと蔭口かげぐちいふ朋輩はうばいもありけれど
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その所有者しよいうしや嶺上開花リンシヤンカイホオ機會きくわいあたへるのでてられなくなるといふふうめうなルウルもあり、なにしろ近頃ちかごろのやうに明確めいかく標準規約へうじゆんきやくもなく、だいつたへるひとがうろおぼえのあやしい指導振しだうぶりなのだから
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あいちやんは不器用ぶきようつきで赤子あかごりました、それはめう格好かくかうをしたちひさな動物どうぶつで、れがいてるまゝに其腕そのうであしみんそとすと、『恰度ちやうど海盤車ひとでのやうだ』とあいちやんはおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかういふものか此時このときばかり、わたしこころめう其方そつち引付ひきつけられた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
圓太郎馬車ゑんたらうばしやのやうに喇叭らつぱいてれるとさらめうだとおもつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ところ杉原すぎはらはうでは、めう引掛ひつかゝりから、宗助そうすけ此所こゝくすぶつてゐることして、いて面會めんくわい希望きばうするので、宗助そうすけやむつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そつとけて這入はひつてると、自分じぶんうちながらおつぎはひやりとした。とやにはとりくらなか凝然ぢつとしてながらくゝうとほそながめうこゑした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しづかこゑで、なぐさめるやうにまどからつたが、一言ひとことからつめたくなりさうに、めうみて、唯吉たゞきちさびしくいた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『はてさて、めうだぞ、あれはぱり滊船きせんだわい、してると今月こんげつ航海表かうかいへう錯誤まちがいがあつたのかしらん。』とひつゝ、あほいで星影ほしかげあは大空おほぞらながめたが
あ……夢かア、おや/\盲人めくらてえものはめうもんだなア、てゐるうちには種々いろ/\のものが見えたが、めたらなにも見えない。……心眼しんがんふお話でございます。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
屋根やねの低い片側町かたかはまち人家じんか丁度ちやうどうしろから深いどぶはうへと押詰おしつめられたやうな気がするので、大方おほかたのためであらう、ほどに混雑もせぬ往来わうらいがいつもめういそがしく見え
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かれまちまはるに病院服びやうゐんふくまゝめう頭巾づきんかぶり、上靴うはぐつ穿いてるときもあり、あるひ跣足はだしでヅボンした穿かずにあるいてゐるときもある。さうしてひとかどや、店前みせさきつては一せんづつをふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
女房にあづなほ又江戸表より一年に五六兩づつは送る約束やくそくにて其身は三十兩懷中くわいちうし享保三年のふゆあづまそらへ下りたり彦兵衞が女房は至つて縫物ぬひものめうを得たる故諸處より頼まれ相應さうおう縫錢ぬひせん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)