たの)” の例文
新字:
うすもころがしてました。おもちにするおこめ裏口うらぐちかまどしましたから、そこへも手傳てつだひのおばあさんがたのしいきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
持し其翌年女子一人出生しければ夫婦ふうふの喜び云ばかりなく其名をおかうつけ兩人の中のかすがひと此娘お幸が成人するを明暮あけくれたのしみくらしけるとぞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
くちにせねば入譯いりわけ御存ごぞんじなきこそよけれ御恩ごおんがへしにはおのぞかなへさせましてよろこたまふをるがたのしみぞとれをすてての周旋とりもちなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ボリ/\みつゝ、手酌てじやくで、臺附だいつき硝子杯コツプかたむけたが、何故なぜか、とこなか夜具やぐかぶつて、鹽煎餅しほせんべいをおたのにした幼兒をさなごとき思出おもひだす。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このうたべつふかおもひこんでゐるのでもないたのしみを、ぢっとつゞけてゐたといふだけのものですから、調子ちようし意味いみとがぴったりとしてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
もつとも、支那人しなじん麻雀マアジヤンしたしい仲間なかま一組ひとくみたのしむといふやうに心得こゝろえてゐるらしいが、近頃ちかごろ日本にほんのやうにそれを團隊的競技だんたいてききやうぎにまですゝめて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いはく、『三ぐんしやうとして士卒しそつをしてたのしましめ、敵國てきこくをしてあへはからざらしむるは、いづれぞ』と。ぶんいはく、『かず』と。
子供等こどもら大小だいせうことなつたあは菱餅ひしもちが一つは一つとかみうへ分量ぶんりやうしてまれるのをたのしげにして、自分じぶんかみから兩方りやうはうとなりかみからとほくのはうから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうでないとたのしんで博物館はくぶつかんひともなく、博物館はくぶつかん學校がつこう教室きようしつよりも、いつそう無趣味むしゆみのところになつてしまひませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
たゞおい益々ます/\其教育事業そのけういくじげふたのしみ、その單純たんじゆん質素しつそ生活せいくわつたのしんでらるゝのをてはぼく今更いまさら崇高すうかうねんうたれたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
甲板かんぱん其處此處そここゝには水兵すいへい一群いちぐん二群にぐん、ひそ/\とかたるもあり、たのわらふもあり。武村兵曹たけむらへいそう兩眼りやうがんをまんまるにして
きみ立派りつぱ書物しよもつ出來上できあがる。きみはこのほんるのをたのしみにしてゐたといふではないか。きみはなぜ、せめては、このほんるまでつてはゐなかつたのだ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
あゝ/\! こひ影坊師かげばうしでさへ此位このくらゐうれしいとすると、げられたまことこひは、まア、どんなにたのしからうぞ?
駕籠かごなんぞに窮屈きうくつおもひをしてつてゐるよりは、かる塵埃ほこり野路のぢをば、薄墨うすずみかすんだ五月山さつきやまふもと目當めあてにあるいてゐたはうが、どんなにたのしみかれなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かれまへのやうに八きて、ちやのちすぐ書物しよもつたのしんでんでゐたが、ごろあたらしい書物しよもつへぬので、古本計ふるほんばかんでゐるせゐか、以前程いぜんほどには興味きようみかんぜぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうして自分じぶんいのちんだにくかたまりが、まへをど時節じせつゆびつてたのしみにつた。ところ胎兒たいじは、夫婦ふうふ豫期よきはんして、五ヶげつまでそだつて突然とつぜんりて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
〔譯〕人一生ふ所、險阻けんそ有り、坦夷たんい有り、安流あんりう有り、驚瀾きやうらん有り。是れ氣數きすうの自然にして、つひまぬがるゝ能はず、即ち易理えきりなり。人宜しく居つて安んじ、もてあそんでたのしむべし。
彼女かのぢよつとむ成長せいちやうたのしみすごした空想くうさうは、はからずもおそろしい不安ふあん彼女かのぢよむね暴露あばいつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
此等これらあとから皇子わうじえました、丁度ちやうどにんらせられて、ちひさな可愛かあい方々かた/″\いとたのしげに、つてお二人ふたかたづゝんでおでになりました、いづれもみん心臟ハートかざりたてられてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ヂョオジアァナは一時間毎に彼女のカナリアに他愛たあいもないことをしやべつてゐて、私を振り向きもしなかつた。しかし私はすることやたのしみがなくて手持無沙汰てもちぶさたに見えないやうにしようと決心してゐた。
たのしくもあるか。 (歌謠番號五五)
たのしく一しよにまちながら……
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
たのしきとき
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
勿論もちろん個個ここあそたのしんでゐた人達ひとたちほかにもあつたらうが、すくなくとも麻雀戲マアジヤンぎ世間的せけんてきらせたのはどうもあすこだつたやうにおもはれる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なにたのしみに轅棒かぢぼうをにぎつて、なにのぞみに牛馬うしうま眞似まねをする、ぜにもらへたらうれしいか、さけまれたら愉快ゆくわいなか、かんがへればなに悉皆しつかいやで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はかみちは、むらのものだけがとほみちです。旅人たびびとらないみちです。田畠たはたけはたら人達ひとたちえるたのしいしづかなみちです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
このほかたのしみのうたはありますが、としわかいあなたがたにはわかりにくいものははぶきました。これらのうたならば、あなたがたにも大體だいたいわかりませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
天命てんめい是耶ぜか非耶ひかいはるは伯夷傳はくいでん要文えうぶんなるべしこゝに忠義にこつたる彼の久八はから光陰つきひおくれども只千太郎の代に成て呼戻よびもどさるゝをたのしみに古主こしう容子ようす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……田舍ゐなかづくりの、かご花活はないけに、づツぷりぬれし水色みづいろの、たつたをけしたのしさは、こゝろさもどこへやら……
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしはこのごろになつて益々ます/\かんずることは、ひと如何どん場合ばあひてもつねたのしいこゝろもつ其仕事そのしごとをすることが出來できれば、すなは其人そのひとまこと幸福かうふくひとといひることだ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すべてひと感情かんじやう動物どうぶつで、しきときには何事なにごとたのしくえ、かなしきときには何事なにごとかなしくおもはるゝもので、わたくしいま不圖ふとこの悽愴せいさうたる光景くわうけいたいして物凄ものすごいとかんじてたら
たとへば、緩漫なまのろふゆしりへにはなやかなはるめがるのをて、血氣壯けっきさかんわか手合てあひかんずるやうなたのしさ、愉快こゝろよさを、つぼみはな少女をとめらと立交たちまじらうて、今宵こよひ我家わがやりゃうせられませうず。
まつみきめたやうあかいのが、かへして幾本いくほんとなくなら風情ふぜいたのしんだ。あるとき大悲閣だいひかくのぼつて、即非そくひがくした仰向あふむきながら、谷底たにそこながれくだおといた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
別段べつだんさうするやうにひつけたわけではなかつたけれど、自然しぜん自然しぜんはゝ境遇きやうぐう會得ゑとくしてむすめ君子きみこは、十三になつた今年頃ことしごろから、一人前にんまへ仕事しごとにたづさはるのをたのしむものゝやうに
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
はま眞砂まさご乾上ひあがときは、たのしさうにも雲雀ひばりのやうに
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かん中の余技よぎとしてたのしむ僕達ぼくたち棋戰きせんでさへ負けてはたのしからず、あく手をしたりみの不足でみをいつしたりした時など
よしや千萬里ばんりはなれるとも眞實まこと親子おやこ兄弟けうだいならば何時いつかへつてうといふたのしみもあれど、ほんの親切しんせつといふ一すぢいとにかヽつてなれば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すずめ毎日まいにちのやうにたけやぶにあそびましたが、そのたけあひだからると、たのしいおうちがよけいにたのしくえました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
して相摸路より甲州へいたり是より所々方々と遊歴いうれきなし種々いろ/\樣々さま/″\たのしみ居たりけるさても翌日所のもの共此ていを見出し大いに驚きて飛脚ひきやく馬士まごの殺されたるおもぶきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
春枝はるえけは其後そのご無事ぶじかへつてたものゝ、きみ行衞ゆくゑれず、わたくしかねてより、有爲りつぱ帝國海軍々人ていこくかいぐんぐんじん養成やうせいして、くにさゝげんとこゝろたのしんでつた日出雄ひでをは、きみとも
もうはるになつてゐながら、せめてたのしみにしてゐるそのはなさへも、とてもきそうにえない。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
なつはじめたびぼくなによりもこれすきで、今日こんにちまで數々しば/\この季節きせつ旅行りよかうした、しかしあゝ何等なんら幸福かうふくぞ、むねたのしい、れしい空想くうさういだきながら、今夜こんやむすめはれるとおもひながら
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
カピ長 婚儀こんぎためにと準備よういした一さい役目やくめへて葬儀さうぎよういはひのがくかなしいかね、めでたい盛宴ちさう法事ほふじ饗應もてなしたのしい頌歌しょうかあはれな挽歌ばんか新床にひどこはなはふむ死骸なきがらようつ。
おそらくこれいてのかんじがわかるといふだけでも僕等ぼくら日本人にほんじん歐米人達おうべいじんたちよりもずつとずつと麻雀マアジヤンあぢはたのしみかたふかいだらうと想像さうざうされる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
もう一ねんきてたられか本當ほんたうことはなしてれるかとたのしんでね、面白おもしろくも油引あぶらひきをやつてるがたやうなへんもの世間せけんにもるだらうかねえ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして僕等ぼくらつき一度いちど同窓會どうさうくわいひらいて一夕いつせきもつときよく、もつとたのしくかたあそぶのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
るがめてのたのしみなりれはのぞみとてなれば生涯しやうがいこの御奉公ごほうこうしてかたさま朝夕あさゆふ御世話おせわさては嬰子やゝさままれたまひての御抱おだなににもあれこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あの手せい暗箱あんはこをこしらへたころ、毎日目ろくながめてはたのしんでゐたころ車の疾走しつそうなどを大さわぎでうつしてよろこんでゐたころ、それらをおもひ返すと、わたしむねには何かしらへんさびしさがいてくる。
むかしのとほりでなくとも田中屋たなかや看板かんばんをかけるとたのしみにしてるよ、他處よそひと祖母おばあさんをけちだとふけれど、れのため儉約つましくしてれるのだからどくでならない
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旦那だんなさまへたいして何事なにごとうらみもい、あのやうにくるしませてくださつたゆゑ今日けふたのしみがたのしいので、わたしがいくらかものわかるやうにつたもあゝいふなかゆゑであらう
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)