近所きんじよ)” の例文
いとな七日々々なぬか/\追善供養つゐぜんくやうも心の及ぶだけはつとめしが何分男の手一ツでをさなき者の養育やういく當惑たうわくひるは漸く近所きんじよとなりもらちゝなどしよる摺粉すりこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうして東隣ひがしどなりからりてござが五六まいかれた。それから土地とち習慣しふくわん勘次かんじきよめてやつたおしな死體したいは一さい近所きんじよまかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はなすと、いことに、あたり近所きんじよの、我朝わがてう※樣あねさま仰向あをむけ抱込だきこんで、ひつくりかへりさうであぶないから、不氣味ぶきみらしくもからはおとさず……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この遷都せんとは、しかし、今日こんにち吾人ごじんかんがへるやうな手重ておもなものでなく、一をくだい慣習くわんしふによつて、轉轉てん/\近所きんじよへお引越ひきこしになつたのである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
この氷滑こほりすべりがゆきたのしみの一つで、とうさんもぢいやにつくつてもらつた鳶口とびぐち持出もちだしては近所きんじよ子供こどもと一しよゆきなかあそびました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこで、日の目が見えなくなると、誰でも氣味きみを惡るがつて、この門の近所きんじよへはあしぶみをしない事になつてしまつたのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのころ習慣ならはしにしたがつて、三日みつかあひだ大宴會だいえんかいひらいて、近所きんじよひとたちや、そのほかおほくの男女なんによをよんでいはひました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
しかし、夫人ふじんしづめて、ちかくにゐる同志どうし婦人達ふじんたちあつめた。近所きんじよから醫師いして、かく應急手當おふきふてあてほどこされた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
近所きんじよおほきな芥子菜からしな鑛山くわうざんがある。それで、れの徳義とくぎは——「わたしのがおほければおほいだけおまへのがすくない」』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
宗助そうすけはそれからびて、晩食ばんめしまして、よる近所きんじよ縁日えんにち御米およね一所いつしよ出掛でかけた。さうして手頃てごろ花物はなもの二鉢ふたはちつて、夫婦ふうふしてひとづゝつてかへつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
以前いぜんねこつて、不潔ふけつなものをかれてこまつたばかりか、臺所だいどころらしたといふので近所きんじよから抗議かうぎまうまれて、ために面倒めんどう外交關係がいかうかんけいおこしたことがあつてから
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
なにかにつけては美学びがく受売うけうりをして田舎者いなかものメレンスはあざやかだからで江戸ツ子の盲縞めくらじまはジミだからでないといふ滅法めつぱふ大議論だいぎろん近所きんじよ合壁がつぺきさわがす事少しもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
或日あるひ近所きんじよかはれふに出かけて彼處かしこふち此所こゝあみつてはるうち、ふと網にかゝつたものがある、いて見たが容易よういあがらないので川にはひつてさぐこゝろみると一抱ひとかゝへもありさうないしである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
素問そもん靈樞れいすうでもむやうな醫者いしやさがしてめてゐたのではなく、近所きんじよんでゐてぶのに面倒めんだうのない醫者いしやかつてゐたのだから、ろくなくすりませてもらふことが出來できなかつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
むかし、「う」のおかあさんが子供こどもとき近所きんじよ火事くわじがあつたんで、たべかけてゐたさかなを「うのみ」にしてにげだしたさうです。ほんとだかどうだかりません。うそだとおもつたら先生せんせいいてごらん。
あたり近所きんじよ
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
つうじけるに名主も駈來かけきた四邊あたり近所きんじよの者も追々おひ/\あつまり改め見れば何樣いかさま酒に醉倒ゑひたふ轉込まろびこみ死したるに相違さうゐなきていなりと評議一決し翌日よくじつ此趣このおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじ近所きんじよ姻戚みよりとのほかには一ぱんさなかつたがそれでもむらのものはみなせんづゝつてくやみにた。さうしてさつさとかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
近所きんじよ子供こどもなかで、あそんでけないのは、問屋とんやの三らうさんに、おとなりのおゆうさんでした。この人達ひとたちとうさんとおなどしでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
不安ふあんをりだし、御不自由ごふじいうまことにおどくまをねるが、近所きんじよけるだけでもみづりない。外町ほかまちかたへは、とつて某邸ぼうていことわつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしうち近所きんじよに、それは綺麗きれいいぬてよ、おまへせてやりたいわ!可愛かあいすゞしいをした獵犬かりいぬよ、つてゝ、こんなにながちゞれた茶色ちやいろの!なんでもげてやるとつててよ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「そんだが、旦那だんなはたいしたもんでがすね、旦那だんないたんだつてつたらなあ」とかれさらいてつた近所きんじよものかへりみていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
げ若し長庵殿言事いふことにも程が有る近所きんじよには居らるれどもお前とは染々しみ/″\もの言換いひかはした事も無いに私しと密通みつつうを仕て居るなどと根も葉も無事なきこと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
加之しかのみならずさけ近所きんじよ灘屋なだやか、銀座ぎんざ顱卷はちまき取寄とりよせて、と會員一同くわいゐんいちどう強請きやうせいかんがへてごらんなさい、九九九でひますか。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんがおうちもんそとますとうま近所きんじよ馬方うまかたかれてとうさんのまへとほります。このうま夕方ゆふがたになると、きつとかへつてるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それればですが、それにしたところで、近所きんじよ遊山宿ゆさんやどたのが、ぬまつりをしたのか、それとも、なんくになんさとなんいけつたのが
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
近所きんじよには、六歳ろくさいかにをとこで、恐怖きようふあまくるつて、八疊はちでふ二間ふたまを、たてともはずよこともはず、くる/\駈𢌞かけまはつてまらないのがあるといた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
所々ところ/″\で、——釣臺つりだいいてくれました主人あるじこゑけてをしへますのを、あゝ、冥途めいどみちも、矢張やつぱり、近所きんじよだけはつたまちとほるのかとおもひました。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
近所きんじよでは、三人さんにんにましたさうですね、どくはひつた井戸水ゐどみづんで……大變たいへんことりましたなあ。」
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
近所きんじよともだちにもわかれると、たゞ一人ひとりで、しろやしろひろ境内けいだいければ、邸町やしきまちしろなが土塀どべいとほる。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
近所きんじよいぬとほくからげさうな、が、掻垂眉かいだれまゆのちよんぼりと、出張でばつたひたひにぶらさがつた愛嬌造あいけうづくり、とると、なき一葉いちえふがたけくらべのなかの、横町よこちやう三五郎さんごらうる。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
近所きんじよひとたちも、二三人にさんにんねんのため、スヰツチをつていて、たゝみげた、が何事なにごともない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のお帳場ちやうばなるものが、近所きんじよには、四圓五十錢よゑんごじつせんだと、あたらしいのをつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うちからさをなんぞ……はりいとしのばしてはなかつたが——それは女房にようばうしきり殺生せつしやうめるところから、つい面倒めんだうさに、近所きんじよ車屋くるまや床屋とこやなどにあづけていて、そこから内證ないしよう支度したくして
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其奴そいつ引捕ひつとらへてれようと、海陸軍かいりくぐん志願しぐわんで、クライブでん三角術さんかくじゆつなどをかうじて連中れんぢうが、鐵骨てつこつあふぎ短刀たんたうなどを持參ぢさん夜更よふけまで詰懸つめかける、近所きんじよ仕出屋しだしやから自辨じべん兵糧ひやうらう取寄とりよせる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あとで、近所きんじよでも、たれ一人ひとりばらしいむれ風説うはさをするもののなかつたのをおもふと、渠等かれらは、あらゆるひとから、不可思議ふかしぎ角度かくどれて、たくみいつつたのであらうもれぬ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
休業きうげふのはりふだして、ぴたりととびらをとざした、なんとか銀行ぎんかう窓々まど/\が、觀念くわんねんまなこをふさいだやうに、灰色はひいろにねむつてゐるのを、近所きんじよ女房かみさんらしいのが、しろいエプロンのうすよごれた服裝なり
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本來ほんらいなら、別行べつぎやうしたゝめて、おほい俳面はいめんたもつべきだが、惡口わるくち意地いぢわるいのがぢき近所きんじよるから、謙遜けんそんして、二十字にじふじづめのなかへ、十七字じふしちじ割込わりこませる。いはく、千兩せんりやう大禮服たいれいふく土用干どようぼし
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
村山攝津守むらやませつつのかみ有鎭ありしづ——やしき矢來やらい郵便局いうびんきよく近所きんじよにあつて、鳥逕てうけいとはわたしたち懇意こんいだつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
緑蝶夫人ろくてふふじんといふ艶麗あでやかなのが、麹町通かうじまちどほ電車道でんしやみちむかうへ、つい近所きんじよに、家内かないともだちがあるのに——けないとぷんとしないが、香水かうすゐかをりゆかしきびんならぬ、衣裳鞄いしやうかばんりてつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このときも、さいはひ何處どこまど閉込とぢこんでたから、きなつくさいのをとほして、少々せう/\小火ぼやにほひのするのが屋根々々やね/\ゆきつてげて、近所きんじよへもれないで、申譯まをしわけをしないでんだ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これわたしたちの近所きんじよにはまだなかつた。震災後しんさいご發行はつかうおくれるのださうである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
根岸ねぎし相坂あひざか團子屋だんごや屋臺やたいつた。……近所きんじよ用達ようたしがあつたかへりがけ、時分時じぶんどきだつたから、さゝゆきはひつて、午飯ひるますと、はら出來できたし、一合いちがふさけいて、ふら/\する。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで女中ぢよちうをして近所きんじよ燒芋やきいもはせ、うづたかぼんせて、かたはらへあの名筆めいひつもつて、いはく「御浮氣おんうはきどめ」プンとにほつて、三筋みすぢばかり蒸氣けむところを、あちらさまから、おつかひもの、とつてた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あゝ、裝束しやうぞくかい、みんはひさ——めんだけは近所きんじよのお弟子でしけつけて、のこらずたすけた。ひやくいくつといふんだが、これで寶生流はうしやうりう面目めんぼくちます。裝束しやうぞくは、いづれとしがたてばあたらしくなるんだから。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後生樂ごしやうらくな。嫁御よめごもあらばよろこばう……近所きんじよし、とゆきにもつきにも姿すがたらしいかどはし渡懸わたりかけたが、たちま猛然まうぜんとしておもへらく、敷金しききん用意よういもなく、大晦日近おほみそかぢかくだし、がつたり三兩さんりやうと、すなはる。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……なか/\にかせどころではないから、いきつぎにおもてて、近所きんじよかたに、たゞいまれい立話たちばなしでしてると、ひとどよみをどつとつくつて、ばら/\往來わうらいがなだれをつ。小兒こどもはさけぶ。いぬはほえる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くささとつては、昇降口しようかうぐち其方そつちはしから、洗面所せんめんじよたてにした、いま此方こなたはしまで、むツとはないてにほつてる。番町ばんちやうが、また大袈裟おほげさな、と第一だいいち近所きんじよわらふだらうが、いや、眞個まつたくだとおもつてください。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
餘所よそで……經驗けいけんのある、近所きんじよ産婆さんばさんが注意ちういをされた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひろ住居すまひ近所きんじよとほし。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)