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きんじよ
營み
七日々々の
追善供養も心の及ぶだけは
勤めしが何分男の手一ツで
幼き者の
養育に
當惑し
晝は漸く
近所隣に
貰ひ
乳などし
夜は
摺粉を
さうして
東隣から
借りて
來た
蓙が五六
枚敷かれた。それから
土地の
習慣で
勘次は
淨めてやつたお
品の
死體は一
切を
近所の
手に
任せた。
離すと、
可いことに、あたり
近所の、
我朝の
※樣を
仰向に
抱込んで、
引くりかへりさうで
危いから、
不氣味らしくも
手からは
落さず……
この
遷都は、しかし、
今日吾人の
考へるやうな
手重なものでなく、一
屋一
代の
慣習によつて、
轉轉近所へお
引越になつたのである。
この
氷滑りが
雪の
日の
樂みの一つで、
父さんも
爺やに
造つて
貰つた
鳶口を
持出しては
近所の
子供と一
緒に
雪の
降る
中で
遊びました。
そこで、日の目が見えなくなると、誰でも
氣味を惡るがつて、この門の
近所へは
足ぶみをしない事になつてしまつたのである。
その
頃の
習慣にしたがつて、
三日の
間、
大宴會を
開いて、
近所の
人たちや、その
他、
多くの
男女をよんで
祝ひました。
然し、
夫人は
氣を
鎭めて、
近くにゐる
同志の
婦人達を
招び
集めた。
近所から
醫師も
來て、
兎も
角應急手當が
施された。
『
此の
近所に
大きな
芥子菜鑛山がある。それで、
其れの
徳義は——「
私のが
多ければ
多いだけお
前のが
少い」』
宗助はそれから
湯を
浴びて、
晩食を
濟まして、
夜は
近所の
縁日へ
御米と
一所に
出掛けた。さうして
手頃な
花物を
二鉢買つて、
夫婦して
一つ
宛持つて
歸つて
來た。
以前猫を
飼つて、
不潔なものを
吐かれて
困つたばかりか、
臺所を
荒らしたといふので
近所から
抗議を
申し
込まれて、ために
面倒な
外交關係を
起したことがあつてから
何かにつけては
美学の
受売をして
田舎者の
緋メレンスは
鮮かだから
美で江戸ツ子の
盲縞はジミだから
美でないといふ
滅法の
大議論に
近所合壁を
騒がす事少しも
珍らしからず。
或日近所の
川に
漁に出かけて
彼處の
淵此所の
瀬と
網を
投つて
廻はるうち、ふと網に
掛つたものがある、
引いて見たが
容易に
上らないので川に
入つて
探り
試みると
一抱もありさうな
石である。
素問や
靈樞でも
讀むやうな
醫者を
搜して
極めてゐたのではなく、
近所に
住んでゐて
呼ぶのに
面倒のない
醫者に
懸かつてゐたのだから、ろくな
藥は
飮ませて
貰ふことが
出來なかつたのである。
昔、「う」のお
母さんが
子供を
産む
時、
近所に
火事があつたんで、たべかけてゐた
魚を「う
呑」にして
迯だしたさうです。ほんとだかどうだか
知りません。うそだと
思つたら
先生に
訊いてごらん。
通じけるに名主も
駈來り
四邊近所の者も
追々に
集り改め見れば
何樣酒に
醉倒れ
轉込死したるに
相違なき
體なりと評議一決し
翌日此趣きを
勘次は
近所と
姻戚との
外には一
飯も
出さなかつたがそれでも
村のものは
皆二
錢づゝ
持つて
弔みに
來た。さうしてさつさと
歸つて
行つた。
近所の
子供の
中で、
遊んで
氣の
置けないのは、
問屋の三
郎さんに、お
隣りのお
勇さんでした。この
人達は
父さんと
同い
年でした。
不安の
折だし、
御不自由まことにお
氣の
毒で
申し
兼ねるが、
近所へ
分けるだけでも
水が
足りない。
外町の
方へは、と
言つて
其の
某邸で
斷つた。
私の
家の
近所に、それは
綺麗な
犬が
居てよ、お
前に
見せてやりたいわ!
可愛い
清しい
眼をした
獵犬よ、
知つてゝ、こんなに
長い
縮れた
茶色の
毛の!
何でも
投げてやると
取つて
來てよ
「そんだが、
旦那はたいしたもんでがすね、
旦那書いたんだつて
云つたらなあ」と
彼は
更に
跟いて
行つた
近所の
者を
顧みていつた。
上げ若し長庵殿
言事にも程が有る
近所には居らるれどもお前とは
染々物言換した事も無いに私しと
密通を仕て居るなどと根も葉も
無事を
加之、
酒は
近所の
灘屋か、
銀座の
顱卷を
取寄せて、と
云ふ
會員一同の
強請。
考へてご
覽なさい、九九九で
間に
合ひますか。
父さんがお
家の
門の
外に
出て
見ますと
馬が
近所の
馬方に
引かれて
父さんの
見て
居る
前を
通ります。この
馬は
夕方になると、きつと
歸つて
來るのです。
其が
有ればですが、それにした
處で、
近所の
遊山宿へ
來て
居たのが、
此の
沼へ
來て
釣をしたのか、それとも、
何の
國、
何の
里、
何の
池で
釣つたのが
近所には、
六歳かに
成る
男の
兒で、
恐怖の
餘り
氣が
狂つて、
八疊二間を、
縱とも
言はず
横とも
言はず、くる/\
駈𢌞つて
留まらないのがあると
聞いた。
と
所々で、——
釣臺に
附いてくれました
主人が
聲を
掛けて
教へますのを、あゝ、
冥途へ
行く
路も、
矢張り、
近所だけは
知つた
町を
通るのかと
思ひました。
「
此の
近所では、
三人死にましたさうですね、
毒の
入つた
井戸水を
飮んで……
大變な
事に
成りましたなあ。」
近所の
友だちにも
別れると、
唯一人で、
白い
社の
廣い
境内も
拔ければ、
邸町の
白い
長い
土塀も
通る。
近所の
犬は
遠くから
遁げさうな、が、
掻垂眉のちよんぼりと、
出張つた
額にぶら
下つた
愛嬌造り、と
見ると、なき
一葉がたけくらべの
中の、
横町の
三五郎に
似て
居る。
近所の
人たちも、
二三人、
念のため、スヰツチを
切つて
置いて、
疊を
上げた、が
何事もない。
先づ
其のお
帳場なるものが、
直き
近所には、
四圓五十錢だと、
新しいのを
賣つて
居る。
内から
棹なんぞ……
鈎も
絲も
忍ばしては
出なかつたが——それは
女房が
頻に
殺生を
留める
處から、つい
面倒さに、
近所の
車屋、
床屋などに
預けて
置いて、そこから
内證で
支度して
後で、
近所でも、
誰一人此の
素ばらしい
群の
風説をするもののなかつたのを
思ふと、
渠等は、あらゆる
人の
目から、
不可思議な
角度に
外れて、
巧に
逸し
去つたのであらうも
知れぬ。
休業のはり
札して、ぴたりと
扉をとざした、
何とか
銀行の
窓々が、
觀念の
眼をふさいだやうに、
灰色にねむつてゐるのを、
近所の
女房らしいのが、
白いエプロンの
薄よごれた
服裝で
本來なら、
別行に
認めて、
大に
俳面を
保つべきだが、
惡口の
意地の
惡いのがぢき
近所に
居るから、
謙遜して、
二十字づめの
中へ、
十七字を
割込ませる。
曰く、
千兩の
大禮服や
土用干。
緑蝶夫人といふ
艶麗なのが、
麹町通り
電車道を
向うへ、つい
近所に、
家内の
友だちがあるのに——
開けないと
芬としないが、
香水の
薫りゆかしき
鬢の
毛ならぬ、
衣裳鞄を
借りて
持つた。
この
時も、さいはひ
何處の
窓も
戸も
閉込んで
居たから、きなつ
臭いのを
通り
越して、
少々小火の
臭のするのが
屋根々々の
雪を
這つて
遁げて、
近所へも
知れないで、
申譯をしないで
濟んだ。
此が
私たちの
近所にはまだなかつた。
震災後は
發行が
後れるのださうである。
と
根岸の
相坂の
團子屋の
屋臺へ
立つた。……
其の
近所に
用達があつた
歸りがけ、
時分時だつたから、
笹の
雪へ
入つて、
午飯を
濟ますと、
腹は
出來たし、
一合の
酒が
好く
利いて、ふら/\する。
そこで
女中をして
近所で
燒芋を
買はせ、
堆く
盆に
載せて、
傍へあの
名筆を
以て、
曰く「
御浮氣どめ」プンと
香つて、
三筋ばかり
蒸氣の
立つ
處を、あちら
樣から、おつかひもの、と
持つて
出た。
あゝ、
裝束かい、
皆な
灰さ——
面だけは
近所のお
弟子が
駈けつけて、
殘らずたすけた。
百幾つといふんだが、これで
寶生流の
面目は
立ちます。
裝束は、いづれ
年がたてば
新しくなるんだから。
後生樂な。
嫁御もあらば
喜ばう……
近所も
可し、と
雪にも
月にも
姿らしい
其の
門の
橋を
渡懸けたが、
忽ち
猛然として
思へらく、
敷金の
用意もなく、
大晦日近くだし、がつたり
三兩と、
乃ち
去る。
……なか/\に
稼ぐ
所ではないから、いきつぎに
表へ
出て、
近所の
方に、たゞ
今の
禮を
立話しでして
居ると、
人どよみを
哄とつくつて、ばら/\
往來がなだれを
打つ。
小兒はさけぶ。
犬はほえる。
其の
臭さと
云つては、
昇降口の
其方の
端から、
洗面所を
盾にした、いま
此方の
端まで、むツと
鼻を
衝いて
臭つて
來る。
番町が、
又大袈裟な、と
第一近所で
笑ふだらうが、いや、
眞個だと
思つて
下さい。
と
餘所で……
經驗のある、
近所の
産婆さんが
注意をされた。
廣い
住居の
近所も
遠し。