すゝ)” の例文
越前ゑちぜん武生たけふの、わびしい旅宿やどの、ゆきうもれたのきはなれて、二ちやうばかりもすゝんだとき吹雪ふゞき行惱ゆきなやみながら、わたしは——おもひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此方こちら焚火たきびどころでい。あせらしてすゝむのに、いや、土龍むぐろのやうだの、井戸掘ゐどほり手間てまだの、種々いろ/\批評ひひやうあたまからかぶせられる。
孔子學に志してより七十に至るまで、十年毎に自ら其のすゝむ所有るをさとり、孜孜しゝとして自らつとめて、らうの將に至らんとするを知らず。
拜借はいしやく仕つり度是迄推參すいさん候といふに強慾がうよく無道ぶだうの天忠和尚滿面まんめんゑみふくみ夫は重疊ちようでふの事なりさてわけは如何にと尋ぬるに大膳はひざすゝめ聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつとも、あれでしどつちかが斷然だんぜんつよくでもなつたとしたら、おそらくすゝまぬ方は憤然ふんぜん町内をつてつたかも知れない。くは原、くは原!
さうして此後このご大凡おほよそこんな状勢じやうせいすゝむからしてしたがつすくなくも是迄これまでいやうへえて國債こくさい總額そうがくふやさずにまし次第しだいである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そしていちばんはじめに手拭てぬぐひすゝんだ鹿しかから、一口ひとくちづつ団子だんごをたべました。六ぴきめの鹿しかは、やつと豆粒まめつぶのくらゐをたべただけです。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
みぎうち説明せつめいりやくしてもよいものがある。しかしながら、一應いさおうはざつとした註釋ちゆうしやくはへることにする。以下いかこううてすゝんでく。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それが次第しだいすゝんで、旅行中りよこうちゆううたにはほんとうに自然しぜんみこなした立派りつぱなものが、萬葉集まんようしゆうになると、だん/\てゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
勿論もちろん今日こんにちおいても潜水器せんすいき發明はつめいいま充分じゆうぶん完全くわんぜんにはすゝんでらぬから、この手段しゆだんとて絶對的ぜつたいてき應用おうようすること出來できぬのはまでもない。
しかかれ重量ぢうりやうある唐鍬たうぐはかざして一くはごとにぶつりとつちをとつてはうしろへそつとげつゝすゝむ。かれその開墾かいこん仕事しごと上手じやうずきである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れいだいでうだいでう口癖くちぐせにする決鬪師けっとうし嫡々ちゃき/\ぢゃ。あゝ、百ぱつちゅうすゝづきとござい! つぎ逆突ぎゃくづき? まゐったかづきとござる!
『一、二、三、すゝめ』の號令がうれいもなく、各自てんでみな勝手かつてはしして勝手かつてまりましたから、容易ようい競爭きやうさうをはりをることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかしてつはじめてもちひられたころは、どうばかり使つかつてゐたまへ時代じだいよりはかならずしも文明ぶんめいすゝんでゐたといふことは出來できません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
御米およねもつまりはをつと歸宅後きたくご會話くわいわ材料ざいれうとして、伊藤公いとうこう引合ひきあひぐらゐところだから、宗助そうすけすゝまない方向はうかうへは、たつてはなし引張ひつぱりたくはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やれもらへと無茶苦茶むちやくちやすゝめたてる五月蠅うるささ、うなりとれ、れ、勝手かつてれとてれをうちむかへたは丁度てうど貴孃あなた御懷妊ごくわいにんだときゝました時分じぶんこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嫁の口から言ひにくいこともあらうかと、しうとしうとめも、夫の勘三郎までも、席を遠慮させて、さて平次は膝をすゝめました。
しかしその材料ざいれう構造こうざう依然いぜんとして舊來きうらいのまゝで、耐震的工風たいしんてきくふうくはふるがごと事實じじつはなかつたので、たゞ漸次ぜんじ工作こうさく技術ぎじゆつ精巧せいこうすゝんだまでである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
はなし段々だん/\すゝんだ。わたし詰問きつもんたいして、つまは一ととほり弁解べんかいをしてから、それこひふほどではなかつたと説明せつめいする。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どういふほんがいゝといつても、讀者どくしや其處そこまですゝんでなければ、どんな傑作けつさくんでも、やくにはたない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
りくはうると、いつしかふねみなと目近まぢかすゝんで、桑港さうかう町々まち/\はついはなさきえる。我等われらとまるべきフェアモント・ホテルはたかをかうへつてる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
わたくし誠心まごゝろもつ彼等かれらしゆくします、彼等かれらためよろこびます! すゝめ! 同胞どうばう! かみ君等きみらたすけたまはん!
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なん醉漢すいかん心中しんちう暴露ばくろするのみようなる。さらすゝんで我妻わがつま我娘わがむすめだんじ、むすめ婬賣いんばいすることまで、慚色はづるいろなくづるにいたりては露國ロコク社界しやかいおどろくべきにあらずや。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
海岸かいがんからだん/\に山地さんちへかゝり高山こうざんのぼつていくにつれ、だん/\と温度おんどひくくなるのは、ちょうど緯度いどみなみからきたすゝむにしたがつてさむさがますのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
銃架じうかよ、おまへはおれの心臓しんざう異様いやう戦慄せんりつあたへる——のやうな夕日ゆふひびておまへ黙々もく/\すゝむとき
それは全く私の心の要求からり起された泉でありました。自らをすゝんで犧牲にすることは、決して自らをころすことではなかつた!と私はこの頃さう思つてやすんじてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
これより段々だん/″\みぎはうまは短針たんしんの一すときは、長針ちやうしん盤面ばんめんを一まはりして六十分時ぶんじぎ、また十二ところもどり、これよりまた次第しだいすゝ短針たんしんの一と二とのあいだきたるときは
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ときふゆはじめで、しもすこつてゐる。椒江せうこう支流しりうで、始豐溪しほうけいかは左岸さがん迂囘うくわいしつつきたすゝんでく。はじくもつてゐたそらがやうやうれて、蒼白あをじろきし紅葉もみぢてらしてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
あさはんつてから、老人らうじんあしだから、池田いけだいたときは、もうつであつた。おくれた中食ちうじきをして、またぽつ/\と、うまかよひにくいみちを、かはつて山奧やまおくへとすゝんでつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
伯父をぢさんにはれましても、とうさんのあしはなか/\まへすゝまなくなりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
づ二だいの三等車とうしやつぎに二等車とうしやが一だいこのだいが一れつになつてゴロ/\と停車場ていしやぢやうて、暫時しばらくは小田原をだはら場末ばすゑ家立いへなみあひだのぼりにはひとくだりにはくるまはしり、はしとき喇叭らつぱいてすゝんだ。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あんまり気がすゝまないな
まへすゝめツ!
兵隊さん (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
でも、この赤人あかひとといふひとは、かういふ傾向けいこう景色けしきうたひてをくして、だん/\自分じぶんすゝむべき領分りようぶん見出みいだしてきました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ぱん子女しぢよ境涯きやうがい如此かくのごとくにしてまれにはいたしかられることもあつてそのときのみはしをれても明日あすたちま以前いぜんかへつてその性情せいじやうまゝすゝんでかへりみぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かういふふうにしてわが地球ちきゆう知識ちしきはだん/\すゝんでたけれども、其内部そのないぶ成立なりたちに立入たちいつた知識ちしき毛頭もうとうすゝんでゐないといつてよろしかつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そこでまた一ぴきが、そろりそろりとすゝんできました。五ひきはこちらで、ことりことりとあたまをつてそれをてゐました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
如何にも作者が熱情的ねつじやうてきで、直情徑行的ちよくじやうけいかうてきな人であるやうな氣持がしますけれども、最う一歩すゝめて、作品さくひんそこを味つてゐると
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひかけて、ぐつとつまると、しろのづぼん、おなじ胴衣どうぎのたけこれにかなつて風采ふうさいがつた、しや代表だいへう高信たかのぶさん、かたはらよりすゝでゝ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その結果けつか滿洲まんしゆうから朝鮮ちようせん日本につぽんおよび、それで日本につぽんはじめて支那しな金屬きんぞくつたへて、石器時代せつきじだい文化ぶんかから金屬器時代きんぞくきじだい文化ぶんかすゝむことになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
すゝみ何と此文はおぼえが有りませう彌太八とやらの歸りしあとに此文が落てありしは天命ならん然し左右とかくに爭ひ給はゞ此文を以て御上へうつたへ御吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
またこれから日本につぽんまで夫人等ふじんら航海かうかいともにするやうになつた不思議ふしぎゆかり言葉ことばみじかかたると、夫人ふじんは『おや。』とつたまゝいとなつかしすゝる。
御米およねはうから、すゝんでおとうと讒訴ざんそでもするやうだと、しかるにしろ、なぐさめるにしろ、かへつて始末しまついとかんがへるときもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たしかに、これは大抵たいてい子供こども菓子くわしべるときおこることだが、あいちやんはなに素晴すばらしいことがおこるのをばかりのぞんでて、通常あたりまへみちすゝんでくのは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これは大變たいへんと、總掛そうがゝりでならしをして、今度こんどまたおもおもひにぢんり、西にしからひがしむかつて坑道こうだうすゝけた。
八重やへさつしてすゝめつゝとりまかなひてふうらすにふみにはあらで一枚ひとひら短冊たんざくなりけり兩女ふたりひとしく雲形くもがた
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
十一ぐわつ二十一にちにあの發表はつぺうをせずに、ときすゝむにしたがつて爲替相場かはせさうば金解禁後きんかいきんご推定相場すゐていさうばまで騰貴とうきしたときに、何時いつでもきん解禁かいきん決行けつかうすることも一方法はうはふかんがへるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
アンドレイ、エヒミチは戸口とぐちところすゝんで、けた。するとニキタが躍上をどりあがつて、其前そのまへ立塞たちふさがる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのばたきには、はじめのあひだこそ、こちらでもびっくりしますが、しかしだん/\すゝむにしたがつて、むしろとりびたつのも、道連みちづれが出來できたようになつかしくなるものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おさへて之をげ、げきして之をすゝましむるは、教のけんにして而てへんなり。教も亦じゆつ多し。