女中ぢよちう)” の例文
留守中るゐちうこれは失禮しつれいでした。さいませんので、女中ぢよちうばかり‥‥や、つまらんもの差上さしあげて恐縮きようしゆくしました』と花竦薑はならつきやう下目しためる。
早起はやおきの女中ぢよちうがざぶ/\、さら/\と、はや、そのをはく。……けさうな古箒ふるばうきも、ると銀杏いてふかんざしをさした細腰さいえう風情ふぜいがある。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
盡されしとはつゆ程も知らざればほか増花ますはなの出來もやせしかもし御煩おわづらひでも成れはせぬかと山口巴の若い者や女中ぢよちうに樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
両腕はまさに脱ける様だ。斯くして持ち込まれた水は、細君さいくん女中ぢよちうによつて金漿きんしやう玉露ぎよくろと惜み/\使はれる。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
くるまもなし、女中ぢよちうれずか、やれ/\まはやなか這入はいれ、さあ這入はいれ、うも不意ふいおどろかされたやうでまご/\するわな、格子かうしめずともしがめる、かくおく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うつかり女中ぢよちうけたとき
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ころがきのやうなかみつたしもげた女中ぢよちうが、雜炊ざふすゐでもするのでせう——土間どま大釜おほがましたいてました。番頭ばんとう帳場ちやうばあをかほをしてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ては半燒酎なほしむらたのんでひにつて、それをみながら大氣焔だいきえんく。留守居るすゐ女中ぢよちうけむまかれながら、ちやれてす。菓子くわしす。
ならはせんと京都へのぼ堂上方だうじやうかた宮仕みやづかへさせしに同家の女中ぢよちうお竹と云ふに密通みつつうなし末々すゑ/″\約束迄やくそくまでして居たりしを朋友ほういうの中にも其女に心をかけ色々と云寄いひよりしが早晩いつしか大森右膳おほもりうぜんと深き中になり居ると云ふ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とすると、先祖せんぞへはともかく、友達ともだちかほにかゝはる……とたん廊下らうかつてくと、女中ぢよちう案内あんないされたのは、これまた心易こゝろやすい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
思出おもひだしてると奇談きだんがあつた。はゝさい親類しんるゐ子供こどもや、女中ぢよちうや、とほくもいので摘草つみくさかた/\見物けんぶつことつた。其時そのとき生憎あいにくなにないので、採集袋さいしふぶくろ摘草つみくされてかへつたこともあつた。
かうぞんじ申さずと云に押返おしかへして將監方に奉公ほうこう致たるに相違有まいなと尋るにさらぞんじ申さずと答へければ否々廿二三年あと其方奉公中傍輩に澤の井と申す女中ぢよちうありしと存じ居べしと尋ねけれ共一かう存申さずと云に次右衞門はこれは伊勢より女房に口留くちどめしたるに相違なしと心付たれば懷中くわいちうより小判十枚取出し紙につゝみて差出しいざちやどの此金子は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
りざまに、おゝ、一手桶ひとてをけつて女中ぢよちうが、とおもはなのさきを、丸々まる/\としたあし二本にほんきおろすけむりなかちうあがつた。すぐに柳川やながは馳違はせちがつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、また或時あるときその女中ぢよちうが、おなじやうに、「れいしゆ。」とつた。またわからない。「おはやねがひます。」とまた女中ぢよちうつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
菊屋きくやいて、一室ひとまとほされると、まだすわりもしないさき外套ぐわいたうぎながら、案内あんない女中ぢよちう註文ちうもんしたのは、をとこが、素人了簡しろうとれうけん囘生劑きつけであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
してくだすつた兵隊へいたいさんを、こゝでもをがみませう。」と、女中ぢよちう一所いつしよかさなつてかどのぞいた家内かないに、「怪我けがをしますよ。」としかられて引込ひきこんだ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つて其處そこつてかんがへたのは、身綺麗みぎれいらしい女中ぢよちうであつたが、わたしはよくもなかつた。で、ひだりすみ屋臺やたいよこにしたところで、年配ねんぱい老爺おとつさんと、おばあさん。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女中ぢよちう一荷ひとに背負しよつてくれようとするところを、其處そこ急所きふしよだと消口けしぐちつたところから、ふたゝ猛然まうぜんとしてすゝのやうなけむり黒焦くろこげに舞上まひあがつた。うづおほきい。はゞひろい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宴會客えんくわいきやくから第一だいいち故障こしやうた、藝者げいしやこゑかないさきに線香せんかうれたのである。女中ぢよちうなかまが異議いぎをだして、番頭ばんとううでをこまぬき、かみさんが分別ふんべつした。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よくおぼえてはないが、玄關げんくわんかゝると、出迎でむかへた……お太鼓たいこむすんだ女中ぢよちうひざまづいて——ヌイと突出つきだした大學生だいがくせいくつがしたが、べこぼこんとたるんで、其癖そのくせ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときに、いま女中ぢよちう註文ちうもんが、うやら饀子あんこばかりらしいので、おほいつようしてしかるべしとおもつてると
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……かれ金釦きんぼたん制服せいふくだし、此方こつちはかまなしの鳥打とりうちだから、女中ぢよちう一向いつかうかまはなかつたが、いや、なにしても、くつ羊皮ひつじがは上等品じやうとうひんでも自分じぶんはうささうである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まつたく、おたがひが、所帶しよたいつて、女中ぢよちうこれにはなやまされた、用心ようじんわるいから、それだけはよしなよ。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたししたりた。——家内かないかみひに出掛でかけてる。女中ぢよちうひさしぶりのお天氣てんき湯殿口ゆどのぐち洗濯せんたくをする。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時そのときぢいさんがそのまんまで控綱ひかへづな其処そことこ棒杭ばうぐひしばりツぱなしにしてさるをうつちやつてかうとしたので、とも女中ぢよちうくちして、うするつもりだつていた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
廣袖どてらけて女中ぢよちうが、と、はた/\とそであふつたが、フトとりるやうにおもつて、くらがりで悚然ぞつとした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女中ぢよちうはうは、前通まへどほりの八百屋やほやくのだつたが、下六番町しもろくばんちやうから、とほり藥屋くすりやまへで、ふと、左斜ひだりなゝめとほり向側むかうがはると、其處そこ來掛きかゝつたうすもの盛裝せいさうしたわかおくさんの
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あとでくと、夜汽車よぎしやが、箱根はこね隧道トンネルくゞつて鐵橋てつけうわた刻限こくげんには、うち留守るすをした女中ぢよちうが、女主人をんなしゆじんのためにお題目だいもくとなへると約束やくそくだつたのださうである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その何家なにやだからないが、御支配人ごしはいにんがズツと先生せんせいみちびくと、ひとつゑぐらうといふ數寄屋すきやがかりの座敷ざしきへ、折目をりめだかな女中ぢよちうが、何事なにごとぞ、コーヒーいり角砂糖かくざたうさゝげてた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すぐ翌日よくじつであつた。がこれちつ時間じかんおそい。女中ぢよちうばん買出かひだしに出掛でかけたのだから四時頃よじごろで——しかし眞夏まなつことゆゑ、片蔭かたかげ出來できたばかり、日盛ひざかりとつてもい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とほりへ買物かひものから、かへつてくと、女中ぢよちうが、いましがたおかへりにつたといふ。矢來やらいつじ行違ゆきちがつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本雨ほんあめだ。第一だいいちれたいへなかくやうな、かささした女中ぢよちうなゝめそでも、振事ふりごとのやうで姿すがたがいゝ。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
冷酒れいしゆ茘枝れいし間違まちがへたんですが……そんならはじめから冷酒ひやざけなら冷酒ひやざけつてくれればいのにと家内中うちぢうものみなつてる。またその女中ぢよちうが「けいらん五、」と或時あるときつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、ぶくりとして、あだじろい、でぶ/\とふとつた肉貫にくかん——(間違まちがへるな、めかたでない、)——肉感にくかん第一人者だいいちにんしやが、地響ぢひゞきつて、外房州そとばうしうはひつた女中ぢよちうだから、ことおこる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女中ぢよちう廊下らうかを、ばた/\とぜんはこんでた。有難ありがたい、一銚子ひとてうしとこさくらもしつとりとさかりである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すこしばかり、女中ぢよちうこゝろづけも出來できましたので、それとなく、およねさんの消息せうそくきますと、蔦屋つたや蔦龍館てうりうくわんつた發展はつてんで、もち女中ぢよちうなどは、きやうからるのださうで
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かけはしちんで、はるかにポン/\とおる。へーい、と母家おもやから女中ぢよちうくと、……たれない。いけうめ小座敷こざしきで、トーンと灰吹はひふきたゝおとがする、むすめくと、……かげえない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おうじて、へいと、どしん/\とあがつた女中ぢよちうが、次手ついで薄暗うすぐらいからランプをつけた
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すぐ女中ぢよちう案内あんないで、おほき宿やどしるした番傘ばんがさを、前後あとさきそろへて庭下駄にはげた外湯そとゆく。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……いま鍋下なべした、おしたぢを、むらさき、ほん五分ごぶなまなぞとて、しんことくと悚然ぞつとする。れないでねぎをくれろといふときにも女中ぢよちうは「みつなしのほん五分ごぶツ」といふ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のりあたらしい浴衣ゆかた着換きかへて——くだん胴震どうぶるひをしながら——廊下らうかた。が、する/\とむかうへ、帳場ちやうばはうへ、はるかけて女中ぢよちうながら、かれ欄干てすりつて猶豫ためらつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かぜました、もうあがりませう。」「これはありがたい、おれいふよ。」「ほほほ。」ふつくり色白いろじろで、おびをきちんとした島田髷しまだまげ女中ぢよちうは、白地しろぢ浴衣ゆかた世話せわをしながらわらつたが
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
出合であはせた女中ぢよちうに、きなれない、かうすこかすれたが、よくとほ底力そこぢからのある、そしてしたしいこゑおとづれたひとがある。「あ、ながしさん。」わたしこゝろづいてした。はたして松本長まつもとながしであつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父親ちゝおや佛壇ぶつだん御明みあかしてんずるに、母親はゝおやは、財布さいふひもゆはへながら、けてこれ懷中ふところれさせる、女中ぢよちうがシヨオルをきせかける、となり女房にようばうが、いそいで腕車くるま仕立したてく、とかうするうち
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
引添ひきそつて、手拭てぬぐひ吉原よしはらかぶりで、えん蹴出けだしの褄端折つまぱしよりをした、前髮まへがみのかゝり、びんのおくれ明眸皓齒めいぼうかうし婦人ふじんがある。しつかりした、さかり女中ぢよちうらしいのが、もう一人ひとりあとについてゐる。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし磨込みがきこんだ式臺しきだいつて、番頭ばんとう女中ぢよちう左右さいうにしたまゝ、うつかりいた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前刻さつきくさあぜにてたかさが、パサリと、ひとりでたふれると、した女中ぢよちう
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
葛籠つゞらふたつたり、着換きがへほころびしらべたり、……あらつた足袋たび裏返うらがへしたり、女中ぢよちうかひものにしたり、なに小氣轉こぎてん立𢌞たちまはつてたとおもふと、晩酌ばんしやくもので一合いちがふつけたときはなは見事みごとでない
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(おとまりは何方どちらぢやな、)といつてかれたから、わたし一人旅ひとりたび旅宿りよしゆくつまらなさを、染々しみ/″\歎息たんそくした、第一だいいちぼんつて女中ぢよちう坐睡ゐねむりをする、番頭ばんとう空世辞そらせじをいふ、廊下らうか歩行あるくとじろ/\をつける
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一昨年いつさくねんときは、翌日よくじつ半日はんにち、いや、午後ごご時頃じごろまで、ようもないのに、女中ぢよちうたちのかげあやし氣勢けはひのするのがおもられるまで、腕組うでぐみが、肘枕ひぢまくらで、やがて、夜具やぐ引被ひつかぶつてまでおもひ、なや
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)