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折々
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をり/\
ふりがな文庫
“
折々
(
をり/\
)” の例文
或る時は悲しくなる。又或る時は馬鹿々々しくなる。最後に
折々
(
をり/\
)
は滑稽さへ感ずる場合もあるといふ残酷な事実を自白せざるを得ない。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
折々
(
をり/\
)
庭
(
には
)
で
遇
(
あ
)
ふ
會計係
(
くわいけいがゝり
)
の
小娘
(
こむすめ
)
の、
彼
(
かれ
)
が
愛
(
あい
)
してゐた
所
(
ところ
)
のマアシヤは、
此
(
こ
)
の
節
(
せつ
)
は
彼
(
かれ
)
が
微笑
(
びせう
)
して
頭
(
あたま
)
でも
撫
(
な
)
でやうとすると、
急
(
いそ
)
いで
遁出
(
にげだ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ダガ
福禄寿
(
ふくろくじゆ
)
には
白鹿
(
はくろく
)
が
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
なければなるまい。甲「
折々
(
をり/\
)
話
(
はな
)
しかを呼びます。乙「
成程
(
なるほど
)
、ダガ
此度
(
こんど
)
はむづかしいぜ、
毘沙門
(
びしやもん
)
は。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夏の昼過ぎの
明
(
あかる
)
い
寂寞
(
せきばく
)
は、遠い階下の一室から聞える玉突の音と
折々
(
をり/\
)
起る人々の笑ひ声、森閑とした白昼のホテルの廊下を歩くボオイの足音
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さうして魚市場の閑な
折々
(
をり/\
)
は、血のついた腥くさい
甃石
(
いしだゝみ
)
の上で、旅興行の手品師が囃子おもしろく、咽喉を眞赤に
開
(
あ
)
けては、激しい夕燒の中で
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
薪とる
里人
(
さとびと
)
の話によれば、庵の中には玉を
轉
(
まろ
)
ばす如き
柔
(
やさ
)
しき聲して、
讀經
(
どきやう
)
の
響絶
(
ひゞきた
)
ゆる時なく、
折々
(
をり/\
)
閼伽
(
あか
)
の
水汲
(
みづく
)
みに、谷川に下りし姿見たる人は
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
跡
(
あと
)
へ
持
(
もた
)
せる身に成るべしと專ら取沙汰致候程の者なれども
親
(
おや
)
の心には
折々
(
をり/\
)
思出し
不便
(
ふびん
)
に存じ候と
涙
(
なみだ
)
ながらに申立しにそ此時次右衞門三五郎は
顏
(
かほ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
押
(
を
)
せば
開
(
ひ
)
らく
片折戸
(
かたをりど
)
に
香月
(
かうづき
)
そのと
女名
(
をんなヽ
)
まへの
表札
(
ひようさつ
)
かけて
折々
(
をり/\
)
もるヽ
琴
(
こと
)
のしのび
音
(
ね
)
、
軒端
(
のきば
)
の
梅
(
うめ
)
に
鶯
(
うぐひす
)
はづかしき
美音
(
びおん
)
をば
春
(
はる
)
の
月夜
(
つきよ
)
のおぼろげに
聞
(
き
)
くばかり
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
私
(
わたし
)
どもは
小
(
ちひ
)
さい
時
(
とき
)
に』と
終
(
つひ
)
に
海龜
(
うみがめ
)
が
續
(
つゞ
)
けました、
尚
(
な
)
ほ
折々
(
をり/\
)
少
(
すこ
)
しづゝ
歔欷
(
すゝりなき
)
して
居
(
ゐ
)
たけれども、
以前
(
まへ
)
よりは
沈着
(
おちつ
)
いて、『
私
(
わたし
)
どもは
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
の
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
きました。 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
予
(
わし
)
も
折々
(
をり/\
)
は
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
っても
見
(
み
)
ますのぢゃ、パリスどのゝ
方
(
はう
)
が、ずっと
好
(
よ
)
い
男
(
をとこ
)
ぢゃと
言
(
い
)
うてな。すると、
眞
(
ほん
)
の
事
(
こと
)
ぢゃ、
孃
(
ぢゃう
)
は
眞蒼
(
まっさを
)
な
顏
(
かほ
)
にならっしゃる、
圖無
(
づな
)
い
白布
(
しろぬの
)
のやうに。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
此
(
この
)
弦月丸
(
げんげつまる
)
にも
屡
(
しば/\
)
其
(
その
)
催
(
もようし
)
があつて
私等
(
わたくしら
)
も
折々
(
をり/\
)
臨席
(
りんせき
)
したが、
或
(
ある
)
夜
(
よ
)
の
事
(
こと
)
、
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
眩
(
まば
)
ゆき
舞踏室
(
ぶたうしつ
)
では
今夜
(
こんや
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
音樂會
(
おんがくくわい
)
の
催
(
もよう
)
さるゝ
由
(
よし
)
で、
幾百人
(
いくひやくにん
)
の
歐米人
(
をうべいじん
)
は
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きも
其處
(
そこ
)
に
集
(
あつま
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其れを
取囲
(
とりかこ
)
んだ一町四方もある広い敷地は、桑畑や大根畑に成つて居て、
出入
(
でいり
)
の百姓が
折々
(
をり/\
)
植附
(
うゑつけ
)
や
草取
(
くさとり
)
に来るが、
寺
(
てら
)
の入口の、昔は
大門
(
だいもん
)
があつたと云ふ、
礎
(
いしずゑ
)
の残つて居る
辺
(
あたり
)
から
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
折々
(
をり/\
)
の
空
(
そら
)
の
瑠璃色
(
るりいろ
)
は、
玲瓏
(
れいろう
)
たる
影
(
かげ
)
と
成
(
な
)
りて、
玉章
(
たまづさ
)
の
手函
(
てばこ
)
の
裡
(
うち
)
、
櫛笥
(
くしげ
)
の
奧
(
おく
)
、
紅猪口
(
べにちよこ
)
の
底
(
そこ
)
にも
宿
(
やど
)
る。
龍膽
(
りんだう
)
の
色
(
いろ
)
爽
(
さわやか
)
ならん。
黄菊
(
きぎく
)
、
白菊
(
しらぎく
)
咲出
(
さきい
)
でぬ。
可懷
(
なつかし
)
きは
嫁菜
(
よめな
)
の
花
(
はな
)
の
籬
(
まがき
)
に
細
(
ほそ
)
き
姿
(
すがた
)
ぞかし。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
同組同心の倅近藤
梶五郎
(
かぢごらう
)
、般若寺村の百姓
柏岡
(
かしはをか
)
源右衛門、同倅
伝七
(
でんしち
)
、
河内
(
かはち
)
門真
(
もんしん
)
三番村の百姓
茨田郡次
(
いばらたぐんじ
)
の八人が酒を飲みながら話をしてゐて、
折々
(
をり/\
)
いつもの人を
圧伏
(
あつぷく
)
するやうな調子の
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其後
(
そののち
)
數年間
(
すうねんかん
)
は
春夏
(
しゆんか
)
の
際
(
さい
)
折々
(
をり/\
)
行
(
おこな
)
ふに
過
(
す
)
ぎざりしが、二十五六
歳
(
さい
)
の
頃
(
ころ
)
醫
(
い
)
を
以
(
もつ
)
て
身
(
み
)
を
立
(
た
)
つるに
及
(
およ
)
び、
日夜
(
にちや
)
奔走
(
ほんそう
)
の
際
(
さい
)
頭痛
(
づつう
)
甚
(
はなはだ
)
しき
時
(
とき
)
は
臥床
(
ふしど
)
に
就
(
つ
)
きし
事
(
こと
)
屡
(
しば/\
)
なりしが、
其
(
その
)
際
(
さい
)
には
頭部
(
とうぶ
)
を
冷水
(
れいすゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
冷却
(
れいきやく
)
し
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
たゞ
折々
(
をり/\
)
聞
(
きこゆ
)
るものは
豌豆
(
ゑんどう
)
の
莢
(
さや
)
が
熱
(
あつ
)
い日に
彈
(
はじ
)
けて
豆
(
まめ
)
の
飛
(
と
)
ぶ
音
(
おと
)
か、
草間
(
くさま
)
の
泉
(
いづみ
)
の
私語
(
さゝやく
)
やうな音、それでなくば
食
(
く
)
ひ
飽
(
あき
)
た
鳥
(
とり
)
が
繁茂
(
しげみ
)
の
中
(
なか
)
で
物疎
(
ものう
)
さうに
羽搏
(
はゞたき
)
をする
羽音
(
はおと
)
ばかり。
熟過
(
つえすぎ
)
た
無花果
(
いちじく
)
がぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
B
僕
(
ぼく
)
は
折々
(
をり/\
)
刺身
(
さしみ
)
を
煮
(
に
)
て
食
(
く
)
ふよ。
中々
(
なか/\
)
うまいものだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
ハヾトフは
折々
(
をり/\
)
病氣
(
びやうき
)
の
同僚
(
どうれう
)
を
訪問
(
はうもん
)
するのは、
自分
(
じぶん
)
の
義務
(
ぎむ
)
で
有
(
あ
)
るかのやうに、
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
く
來
(
く
)
る。
彼
(
かれ
)
はハヾトフが
嫌
(
いや
)
でならぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「それぢや少し聞いたことが
有
(
あ
)
るから、
私
(
わたし
)
は一つ
沼田
(
ぬまた
)
へ
行
(
い
)
つて見ようと思ふ」「
沼田
(
ぬまた
)
の
親類
(
しんるゐ
)
もあの五代目が
達者
(
たつしや
)
の
時分
(
じぶん
)
は
折々
(
をり/\
)
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
ましたが、 ...
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
し
其
(
その
)
悲劇
(
ひげき
)
が
又
(
また
)
何時
(
いつ
)
如何
(
いか
)
なる
形
(
かたち
)
で、
自分
(
じぶん
)
の
家族
(
かぞく
)
を
捕
(
とら
)
へに
來
(
く
)
るか
分
(
わか
)
らないと
云
(
い
)
ふ、ぼんやりした
掛念
(
けねん
)
が、
折々
(
をり/\
)
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
のなかに
霧
(
きり
)
となつて
懸
(
か
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はこの
夕陽
(
ゆふひ
)
の光をば
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ事なく悲しく感じながら、
折々
(
をり/\
)
吹込
(
ふきこ
)
む外の
風
(
かぜ
)
が大きな波を
打
(
うた
)
せる
引幕
(
ひきまく
)
の上を
眺
(
なが
)
めた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
客
(
きやく
)
は
結城朝之助
(
ゆふきとものすけ
)
とて、
自
(
みづか
)
ら
道樂
(
だうらく
)
ものとは
名
(
な
)
のれども
實体
(
じつてい
)
なる
處
(
ところ
)
折々
(
をり/\
)
に
見
(
み
)
えて
身
(
み
)
は
無職業
(
むしよくげふ
)
妻子
(
さいし
)
なし、
遊
(
あそ
)
ぶに
屈強
(
くつきやう
)
なる
年頃
(
としごろ
)
なればにや
是
(
こ
)
れを
初
(
はじ
)
めに一
週
(
しゆう
)
には二三
度
(
ど
)
の
通
(
かよ
)
ひ
路
(
ぢ
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
世に望みなき身ながらも、我れから好める斯かる身の上の君の
思召
(
おぼしめし
)
の如何あらんと、
折々
(
をり/\
)
思ひ出だされては
流石
(
さすが
)
に
心苦
(
こゝろぐる
)
しく、只〻長き
將來
(
ゆくすゑ
)
に
覺束
(
おぼつか
)
なき
機會
(
きくわい
)
を頼みしのみ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ぞ
迷
(
まよ
)
しける
中
(
うち
)
近隣
(
きんりん
)
の社人
玉井大學
(
たまゐだいがく
)
の若黨に源八と
云者
(
いふもの
)
ありしが
常々
(
つね/″\
)
通仙
(
つうせん
)
の見世へ來ては
話
(
はな
)
しなどして出入りしに
此者
(
このもの
)
至
(
いたつ
)
て
好色
(
かうしよく
)
なれば娘お高を
見初
(
みそめ
)
兩親の見ぬ時などは
折々
(
をり/\
)
手
(
て
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
本國
(
ほんごく
)
を
出
(
い
)
でゝから二
年間
(
ねんかん
)
、
旅
(
たび
)
から
旅
(
たび
)
へと
遍歴
(
へんれき
)
して
歩
(
ある
)
く
身
(
み
)
は、
折々
(
をり/\
)
日本
(
につぽん
)
の
公使館
(
こうしくわん
)
や
領事館
(
りようじくわん
)
で、
本國
(
ほんこく
)
の
珍
(
めづ
)
らしき
事件
(
こと
)
を
耳
(
みゝ
)
にする
外
(
ほか
)
は、
日本
(
につぽん
)
の
新聞
(
しんぶん
)
などを
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
は
極
(
きは
)
めて
稀
(
まれ
)
であるから
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
準備をしてゐる久しい間には、
折々
(
をり/\
)
成功の時の光景が
幻
(
まぼろし
)
のやうに目に浮かんで、地上に血を流す役人、脚下に
頭
(
かうべ
)
を
叩
(
たゝ
)
く金持、それから
草木
(
さうもく
)
の風に
靡
(
なび
)
くやうに
来
(
きた
)
り
附
(
ふ
)
する諸民が見えた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
後
(
あと
)
は
暫
(
しば
)
らく
森
(
しん
)
として、
愛
(
あい
)
ちやんは
只
(
たゞ
)
折々
(
をり/\
)
こんな
咡
(
さゝや
)
きを
聞
(
き
)
きました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
機會
(
きくわい
)
に、
佐伯
(
さへき
)
の
消息
(
せうそく
)
は
折々
(
をり/\
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
耳
(
みゝ
)
へ
洩
(
も
)
れる
事
(
こと
)
はあるが、
其外
(
そのほか
)
には、
全
(
まつた
)
く
何
(
なに
)
をして
暮
(
く
)
らしてゐるか、
互
(
たがひ
)
に
知
(
し
)
らないで
過
(
すご
)
す
月日
(
つきひ
)
が
多
(
おほ
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は失つたお
糸
(
いと
)
の事以外に
折々
(
をり/\
)
は
唯
(
た
)
だ
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
もなく
淋
(
さび
)
しい悲しい気がする。自分にも
何
(
ど
)
う
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
だか
少
(
すこ
)
しも
分
(
わか
)
らない。
唯
(
た
)
だ
淋
(
さび
)
しい、
唯
(
た
)
だ悲しいのである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
お
峯
(
みね
)
を
泣
(
なか
)
かせし
今朝
(
けさ
)
とは
變
(
かは
)
りて
父
(
ちゝ
)
が
顏
(
かほ
)
色
(
いろ
)
いかにとばかり、
折々
(
をり/\
)
見
(
み
)
やる
尻目
(
しりめ
)
おそろし、
父
(
ちゝ
)
は
靜
(
しづ
)
かに
金庫
(
きんこ
)
の
間
(
ま
)
へ
立
(
た
)
ちしが
頓
(
やが
)
て五十
圓
(
ゑん
)
束
(
たば
)
一つ
持
(
も
)
ち
來
(
き
)
て、これは
貴樣
(
きさま
)
に
遣
(
や
)
るではなし
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
持て
折々
(
をり/\
)
宿
(
やど
)
へ參りし事有と云に其惣助と申す者は當時
何方
(
いづかた
)
に
居
(
ゐる
)
や申聞すべしといへば只今は
御普請
(
ごふしん
)
奉行小林軍次郎樣方に中間奉公致し居候と申にぞ
然
(
さら
)
ばとて早速使を
仕立
(
したて
)
御差紙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これは
醫道
(
いだう
)
の
事
(
こと
)
などは
平生
(
へいぜい
)
深
(
ふか
)
く
考
(
かんが
)
へてもをらぬので、どう
云
(
い
)
ふ
治療
(
ちれう
)
ならさせる、どう
云
(
い
)
ふ
治療
(
ちれう
)
ならさせぬと
云
(
い
)
ふ
定見
(
ていけん
)
がないから、
只
(
たゞ
)
自分
(
じぶん
)
の
悟性
(
ごせい
)
に
依頼
(
いらい
)
して、
其
(
その
)
折々
(
をり/\
)
に
判斷
(
はんだん
)
するのであつた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
又
(
また
)
折々
(
をり/\
)
は
其
(
そ
)
のお
方
(
かた
)
のお
供
(
とも
)
をいたして、
大坂
(
おほさか
)
で
有名
(
いうめい
)
な
藤田様
(
ふぢたさま
)
の
御別荘
(
ごべつさう
)
へ
参
(
まゐ
)
りまして、お
座敷
(
ざしき
)
を
拝見
(
はいけん
)
したり、
御懐石
(
ごくわいせき
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
した
跡
(
あと
)
で
薄茶
(
うすちや
)
を
頂
(
いたゞ
)
いたりして、誠に
此上
(
このうへ
)
もない
結構
(
けつこう
)
な事でございます。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折々
(
をり/\
)
當番
(
たうばん
)
の
船員
(
せんゐん
)
が
靴音
(
くつおと
)
高
(
たか
)
く
甲板
(
かんぱん
)
に
往來
(
わうらい
)
するのが
聽
(
きこ
)
ゆるのみである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さうして
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
はれた
後
(
あと
)
では、
折々
(
をり/\
)
そつと六
疊
(
でふ
)
へ
這入
(
はい
)
つて、
自分
(
じぶん
)
の
顏
(
かほ
)
を
鏡
(
かゞみ
)
に
映
(
うつ
)
して
見
(
み
)
た。
其時
(
そのとき
)
は
何
(
なん
)
だか
自分
(
じぶん
)
の
頬
(
ほゝ
)
が
見
(
み
)
る
度
(
たび
)
に
瘠
(
こ
)
けて
行
(
ゆ
)
く
樣
(
やう
)
な
氣
(
き
)
がした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
パレスといふ
小岩
(
こいは
)
の
遊
(
あそ
)
び
場
(
ば
)
に
身
(
み
)
を
沈
(
しづ
)
めてゐた
頃
(
ころ
)
、
折々
(
をり/\
)
泊
(
とま
)
りに
来
(
き
)
た
客
(
きやく
)
なので、
調子
(
てうし
)
もおのづから
心
(
こゝろ
)
やすく
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
母
(
はゝ
)
が
心
(
こゝろ
)
の
何方
(
いづかた
)
に
走
(
はし
)
れりとも
知
(
し
)
らで、
乳
(
ちゝ
)
に
飽
(
あ
)
きれば
乳房
(
ちぶさ
)
に
顏
(
かほ
)
を
寄
(
よ
)
せたるまゝ
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
なく
寐入
(
ねいり
)
し
兒
(
ちご
)
の、
頬
(
ほゝ
)
は
薄絹
(
うすぎぬ
)
の
紅
(
べに
)
さしたるやうにて、
何事
(
なにごと
)
を
語
(
かた
)
らんとや
折々
(
をり/\
)
曲
(
ま
)
ぐる
口元
(
くちもと
)
の
愛
(
あい
)
らしさ
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
気候が夏の末から秋に移つて
行
(
ゆ
)
く時と同じやう、春の
末
(
すゑ
)
から夏の始めにかけては、
折々
(
をり/\
)
大雨
(
おほあめ
)
が
降
(
ふり
)
つゞく。
千束町
(
せんぞくまち
)
から
吉原田圃
(
よしはらたんぼ
)
は
珍
(
めづら
)
しくもなく例年の
通
(
とほ
)
りに水が出た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
店
(
みせ
)
は二
間
(
けん
)
間口
(
まぐち
)
の二
階
(
かい
)
作
(
づく
)
り、
軒
(
のき
)
には
御神燈
(
ごしんとう
)
さげて
盛
(
も
)
り
鹽
(
じほ
)
景氣
(
けいき
)
よく、
空壜
(
あきびん
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らず、
銘酒
(
めいしゆ
)
あまた
棚
(
たな
)
の
上
(
うへ
)
にならべて
帳塲
(
ちようば
)
めきたる
處
(
ところ
)
もみゆ、
勝手元
(
かつてもと
)
には七
輪
(
りん
)
を
煽
(
あほ
)
く
音
(
おと
)
折々
(
をり/\
)
に
騷
(
さわ
)
がしく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この
汚
(
きたな
)
い
溝
(
どぶ
)
のやうな
沼地
(
ぬまち
)
を掘返しながら
折々
(
をり/\
)
は
沙蚕
(
ごかひ
)
取りが手桶を下げて
沙蚕
(
ごかひ
)
を取つてゐる事がある。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
母が心の
何方
(
いづかた
)
に走れりとも知らで、乳に
倦
(
あ
)
きれば乳房に顔を寄せたるまゝ思ふ事なく
寐入
(
ねいり
)
し
児
(
ちご
)
の、
頬
(
ほう
)
は
薄絹
(
うすぎぬ
)
の
紅
(
べに
)
さしたるやうにて、何事を語らんとや、
折々
(
をり/\
)
曲
(
ま
)
ぐる口元の愛らしさ
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
荷船の帆柱と工場の煙筒の
叢
(
むらが
)
り立つた
大川口
(
おほかはぐち
)
の光景は、
折々
(
をり/\
)
西洋の漫画に見るやうな一種の趣味に
照
(
てら
)
して、
此後
(
このご
)
とも案外長く
或
(
ある
)
一派の詩人を
悦
(
よろこ
)
ばす事が出来るかも知れぬ。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
畢竟
(
ひつきやう
)
何事
(
なにごと
)
かの
手段
(
しゆだん
)
かも
知
(
し
)
れたことならず
優
(
やさ
)
しげな
妹御
(
いもとご
)
も
當
(
あ
)
てにならぬよし
折々
(
をり/\
)
見
(
み
)
たこともあり
毒蛇
(
どくじや
)
のやうな
人々
(
ひと/″\
)
信用
(
しんよう
)
なさるお
心
(
こゝろ
)
には
何
(
なに
)
ごと
申
(
まを
)
すとも
甲斐
(
かひ
)
はあるまじさりとて
此儘
(
このまゝ
)
に
日
(
ひ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かゝりけれども
猶
(
な
)
ほ一
片
(
ぺん
)
誠忠
(
せいちう
)
の
心
(
こゝろ
)
は
雲
(
くも
)
ともならず
霞
(
かすみ
)
とも
消
(
き
)
えず、
流石
(
さすが
)
に
顧
(
かへ
)
りみるその
折々
(
をり/\
)
は、
慚愧
(
ざんぎ
)
の
汗
(
あせ
)
背
(
そびら
)
に
流
(
なが
)
れて
後悔
(
かうくわい
)
の
念
(
ねん
)
胸
(
むね
)
を
刺
(
さし
)
つゝ、
是
(
こ
)
は
魔神
(
ましん
)
にや
見入
(
みい
)
れられけん、
有
(
あ
)
るまじき
心
(
こゝろ
)
なり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
東京の
溝川
(
みぞかは
)
には
折々
(
をり/\
)
可笑
(
をか
)
しい程事実と相違した美しい名がつけられてある。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
徐
(
やを
)
ら
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
にかいひそまりて
聞
(
き
)
くともなしに
耳
(
みゝ
)
たつれば、
客
(
きやく
)
はそも
誰
(
た
)
れなるにや、
青柳
(
あをやぎ
)
といふこゑいと子と
呼
(
よ
)
ぶ
聲
(
こゑ
)
折々
(
をり/\
)
に
交
(
まじ
)
りぬ、さても
何事
(
なにごと
)
を
談
(
だん
)
ずるにや、
我
(
わ
)
れにも
關係
(
くわんけい
)
あり
氣
(
げ
)
なるをと
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼等は船が
殊更
(
ことさら
)
絵のやうに美しい海岸の
巌角
(
いはかど
)
なぞを通り過ぎる
折々
(
をり/\
)
啣
(
くは
)
へてゐる大きなパイプを口元から離して、日本の
山水
(
さんすゐ
)
のうつくしい事を自分に語つた。支那には木がなく水は黄色に濁つてゐる。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
愁
(
つ
)
らかるべしと
思
(
おも
)
ふこと
折々
(
をり/\
)
に
見
(
み
)
えけり。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
花
(
はな
)
の
下
(
した
)
ふむ
露
(
つゆ
)
のあした
双
(
なら
)
ぶる
翅
(
つばさ
)
の
胡蝶
(
こてふ
)
うらやましく
用事
(
ようじ
)
にかこつけて
折々
(
をり/\
)
の
訪
(
とひ
)
おとづれに
餘所
(
よそ
)
ながら
見
(
み
)
る
花
(
はな
)
の
面
(
おもて
)
わが
物
(
もの
)
ながら
許
(
ゆる
)
されぬ
一重垣
(
ひとへがき
)
にしみ/″\とは
物
(
もの
)
言交
(
いひかは
)
すひまもなく
兎角
(
とかく
)
うらめしき
月日
(
つきひ
)
なり
隙行
(
ひまゆ
)
く
駒
(
こま
)
に
形
(
かたち
)
もあらば
我
(
わ
)
れ
手綱
(
たづな
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
生甲斐
(
いきがひ
)
なや
五尺
(
ごしやく
)
の
身
(
み
)
に
父母
(
ふぼ
)
の
恩
(
おん
)
荷
(
にな
)
ひ
切
(
き
)
れずましてや
暖簾
(
のれん
)
の
色
(
いろ
)
むかしに
染
(
そ
)
めかへさんはさて
置
(
お
)
きて
朝四暮三
(
てうしぼさん
)
のやつ/\しさにつく/″\
浮世
(
うきよ
)
いやになりて
我身
(
わがみ
)
捨
(
す
)
てたき
折々
(
をり/\
)
もあれど
病勞
(
やみつか
)
れし
兩親
(
ふたおや
)
の
寢顏
(
ねがほ
)
さし
覗
(
のぞ
)
くごとに
我
(
われ
)
なくば
何
(
なん
)
とし
給
(
たま
)
はん
勿體
(
もつたい
)
なしと
思
(
おも
)
ひ
返
(
かへ
)
せど
沸
(
わ
)
くは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
々
3画
“折々”で始まる語句
折々遠
折々行人
折々啄木鳥