トップ
>
其時
>
そのとき
ふりがな文庫
“
其時
(
そのとき
)” の例文
すると
其時
(
そのとき
)
夕刊
(
ゆふかん
)
の
紙面
(
しめん
)
に
落
(
お
)
ちてゐた
外光
(
ぐわいくわう
)
が、
突然
(
とつぜん
)
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
變
(
かは
)
つて、
刷
(
すり
)
の
惡
(
わる
)
い
何欄
(
なにらん
)
かの
活字
(
くわつじ
)
が
意外
(
いぐわい
)
な
位
(
くらゐ
)
鮮
(
あざやか
)
に
私
(
わたくし
)
の
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ
浮
(
うか
)
んで
來
(
き
)
た。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其時
(
そのとき
)
小犬
(
こいぬ
)
ほどな
鼠色
(
ねづみいろ
)
の
小坊主
(
こばうず
)
が、ちよこ/\とやつて
来
(
き
)
て、
啊呀
(
あなや
)
と
思
(
おも
)
ふと、
崖
(
がけ
)
から
横
(
よこ
)
に
宙
(
ちゆう
)
をひよいと、
背後
(
うしろ
)
から
婦人
(
をんな
)
の
背中
(
せなか
)
へぴつたり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其時
(
そのとき
)
貴方
(
あなた
)
は
他
(
た
)
の
人
(
ひと
)
に、
解悟
(
かいご
)
に
向
(
むか
)
ひなさいとか、
眞正
(
しんせい
)
の
幸福
(
かうふく
)
に
向
(
むか
)
ひなさいとか
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
の
効力
(
かうりよく
)
が
果
(
はた
)
して、
何程
(
なにほど
)
と
云
(
い
)
ふことが
解
(
わか
)
りませう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
いゝよ
親方
(
おやかた
)
からやかましく
言
(
い
)
つて
來
(
き
)
たら
其時
(
そのとき
)
の
事
(
こと
)
、
可愛想
(
かあいさう
)
に
足
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
くて
歩
(
ある
)
かれないと
言
(
い
)
ふと
朋輩
(
ほうばい
)
の
意地惡
(
いぢわる
)
が
置去
(
おきざ
)
りに
捨
(
す
)
てゝ
行
(
い
)
つたと
言
(
い
)
ふ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
思
(
おも
)
ひ
竊
(
ひそか
)
に
母
(
はゝ
)
へ
委敷事
(
くはしきこと
)
を語りければ
母
(
はゝ
)
も
驚
(
おどろ
)
き今度の
御呼出
(
およびだ
)
しは吉三郎と
對決
(
たいけつ
)
させんとの事
成
(
なる
)
べければ
種々
(
いろ/\
)
御尋
(
おんたづね
)
有
(
ある
)
ならんが
其時
(
そのとき
)
委細
(
ゐさい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
家族
(
かぞく
)
と
共
(
とも
)
に
能
(
よ
)
く
遊
(
あそ
)
びに
行
(
ゆ
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
其時
(
そのとき
)
に、
今
(
いま
)
は
故人
(
こじん
)
の
谷活東子
(
たにくわつとうし
)
が、
畑
(
はたけ
)
の
中
(
なか
)
から
土器
(
どき
)
の
破片
(
はへん
)
を
一箇
(
ひとつ
)
拾
(
ひろ
)
ひ
出
(
だ
)
して、
余
(
よ
)
に
示
(
しめ
)
した。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
然らば
其時
(
そのとき
)
汝は
宇宙
(
うちう
)
に
存在
(
そんざい
)
する
総
(
すべ
)
ての
誠実
(
せいじつ
)
なる人と
一致
(
いつち
)
せしなり、一致の
難
(
かたき
)
は外が来て汝と一致せざるに非ずして汝の
誠実
(
せいじつ
)
ならざるにあり。
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
私
(
わたし
)
は
其時
(
そのとき
)
正
(
まさ
)
に、
日本國
(
にほんこく
)
といふ
範圍内
(
はんゐない
)
に
在
(
あ
)
つては、
同郷
(
どうきやう
)
、
同藩
(
どうはん
)
、
同縣
(
どうけん
)
などいふ
地方的偏見
(
ちはうてきへんけん
)
から
離脱
(
りだつ
)
したコスモポリタンであつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
不圖
(
ふと
)
小六
(
ころく
)
が
斯
(
こ
)
んな
問
(
とひ
)
を
御米
(
およね
)
に
掛
(
か
)
けた。
御米
(
およね
)
は
其時
(
そのとき
)
疊
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
の
紙片
(
かみぎれ
)
を
取
(
と
)
つて、
糊
(
のり
)
に
汚
(
よご
)
れた
手
(
て
)
を
拭
(
ふ
)
いてゐたが、
全
(
まつた
)
く
思
(
おもひ
)
も
寄
(
よ
)
らないといふ
顏
(
かほ
)
をした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
君等
(
きみら
)
の
其時
(
そのとき
)
の
擧動
(
ふるまひ
)
を
賞讃
(
しようさん
)
するのを
見
(
み
)
るにつけても、
實
(
じつ
)
に
斷膓
(
だんちやう
)
の
念
(
ねん
)
に
堪
(
た
)
えなかつたです——
何
(
なに
)
、あの
卑劣
(
ひれつ
)
なる
船長等
(
せんちやうら
)
は
如何
(
どう
)
したと
問
(
と
)
はるゝか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
再
(
さい
)
三
再
(
さい
)
四
自分
(
じぶん
)
で
研究
(
けんきう
)
して
熟考
(
じゆくかう
)
して
來
(
き
)
た
上
(
うへ
)
で
愈々
(
いよ/\
)
解
(
わか
)
らねば
其時
(
そのとき
)
始
(
はじ
)
めて
其
(
そ
)
の
理由
(
りいう
)
を
説明
(
せつめい
)
して
聞
(
き
)
かす
位
(
くらゐ
)
にして
置
(
お
)
くのであります。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
此差
(
このさ
)
凡
(
およそ
)
二年
半餘
(
はんあまり
)
にして一月
計
(
ばかり
)
なるゆゑ、
其時
(
そのとき
)
に
至
(
いた
)
り
閏月
(
しゆんげつ
)
を
置
(
お
)
き十三ヶ月を一年となし、
地球
(
ちきう
)
の
進
(
すゝん
)
で
本
(
もと
)
の
處
(
ところ
)
に
行付
(
ゆきつく
)
を
待
(
まつ
)
なり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
心中
(
しんちゆう
)
頗
(
すこぶ
)
る
不安
(
ふあん
)
を
感
(
かん
)
じました、
確
(
たし
)
かに
愛
(
あい
)
ちやんは
未
(
ま
)
だ
女王樣
(
ぢよわうさま
)
とは
試合
(
しあひ
)
をしませんでしたが、
何時
(
いつ
)
か
其時
(
そのとき
)
が
來
(
く
)
るだらうと思つて居ました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
おもへば
四年
(
よとせ
)
の昔なりけり、
南翠氏
(
なんすゐし
)
と
共
(
とも
)
に
学海先生
(
がくかいせんせい
)
の
此
(
こ
)
の
別荘
(
べつさう
)
をおとづれ、朝より
夕
(
ゆふ
)
まで
何
(
なに
)
くれと
語
(
かた
)
らひたる
事
(
こと
)
ありけり、
其時
(
そのとき
)
先生
(
せんせい
)
左
(
さ
)
の
詩
(
し
)
を
示
(
しめ
)
さる。
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
子
(
し
)
の
言
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
の
者
(
もの
)
は
其人
(
そのひと
)
と
骨
(
ほね
)
と
皆
(
みな
)
已
(
すで
)
に
朽
(
く
)
ちたり、
獨
(
ひと
)
り
其言
(
そのげん
)
在
(
あ
)
る
耳
(
のみ
)
。
且
(
か
)
つ
君子
(
くんし
)
は、
其時
(
そのとき
)
を
得
(
う
)
れば
則
(
すなは
)
ち
(二)
駕
(
が
)
し、
其時
(
そのとき
)
を
得
(
え
)
ざれば
則
(
すなは
)
ち
(三)
蓬累
(
ほうるゐ
)
して
行
(
さ
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
……それから
既
(
もう
)
十一
年
(
ねん
)
、
其時
(
そのとき
)
になァ
單身立
(
ひとりだち
)
をさっしゃりましたぢゃ、いや、
眞
(
ほん
)
の
事
(
こと
)
、
彼方此方
(
あっちこっち
)
と
駈𢌞
(
かけまは
)
らッしゃって
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
其時
(
そのとき
)
六十九になる、
仕事師
(
しごとし
)
の
頭
(
かしら
)
といふほどではないが、
世話番
(
せわばん
)
ぐらゐの人に聞くと、
私
(
わたし
)
は
塩原
(
しほばら
)
の
家
(
いへ
)
へ
出入
(
でいり
)
をしてゐたが、
細
(
こま
)
かいことは知りませぬといふ。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
著者
(
ちよしや
)
は
事件
(
じけん
)
があつて
二月
(
にがつ
)
の
後
(
のち
)
に
其場所
(
そのばしよ
)
を
見學
(
けんがく
)
したが、
土砂
(
とさ
)
の
圓錐
(
えんすい
)
の
痕跡
(
こんせき
)
は
其時
(
そのとき
)
までも
見
(
み
)
ることが
出來
(
でき
)
た。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
其時
(
そのとき
)
村
(
むら
)
の
内
(
うち
)
に
一人
(
ひとり
)
の
老人
(
としより
)
がありまして、
其塲
(
そのば
)
に
驅
(
か
)
け
付
(
つ
)
けて
參
(
まい
)
り、
錢
(
おあし
)
を
呑
(
の
)
んだと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
を
聞
(
きい
)
たが
就
(
つい
)
ては、
私
(
わたくし
)
が
實驗
(
じつけん
)
があるから、
其
(
そ
)
れをば
何卒
(
どうぞ
)
行
(
や
)
ツて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れ、
其法
(
そのはう
)
と
申
(
まう
)
すは
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
さあ
御出
(
おいで
)
と取る手、振り払わば今川流、握り
占
(
しめ
)
なば西洋流か、お辰はどちらにもあらざりし無学の所、無類
珍重
(
ちんちょう
)
嬉しかりしと珠運後に語りけるが、それも
其時
(
そのとき
)
は
嘘
(
うそ
)
なりしなるべし。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、
其時
(
そのとき
)
何故
(
なにゆえ
)
か変電所の四角な窓が、
爛々
(
らんらん
)
と輝いていた事を青年は不図思い浮べた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……
彼
(
か
)
の
幽暗
(
ほのくら
)
き
路次
(
ろじ
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
の
色
(
いろ
)
は、
今
(
いま
)
も
其処
(
そこ
)
を
通
(
とほ
)
る
毎
(
ごと
)
に、
我等
(
われら
)
が
最初
(
さいしよ
)
の
握手
(
あくしゆ
)
の、
如何
(
いか
)
に
幸福
(
かうふく
)
なりしかを
語
(
かた
)
り
申候
(
まをしそろ
)
。
貴女
(
きぢよ
)
は
忘
(
わす
)
れ
給
(
たま
)
はざるべし、
其時
(
そのとき
)
の
我等
(
われら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
照
(
てら
)
せる
唯
(
たゞ
)
一つの
軒燈
(
けんとう
)
の
光
(
ひかり
)
を……
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ジロリと
此方
(
こなた
)
の頭の先から足の先
迄
(
まで
)
見下
(
みおろ
)
しましたこのやうな
問答
(
もんだう
)
は
行水
(
ゆくみづ
)
の流れ
絶
(
た
)
えず
昔
(
むかし
)
から
此河岸
(
このかし
)
に
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
されるのですがたゞ
其時
(
そのとき
)
私
(
わたくし
)
の面白いと思ひましたのは、
見下
(
みおろ
)
した人も
見下
(
みおろ
)
された人も
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
併し、まさかほんとうに唾を吐きかける訳にも行きませんので、三郎は、節穴を元の通りに
埋
(
うず
)
めて置いて、立去ろうとしましたが、
其時
(
そのとき
)
、不意に、チラリとある恐しい考えが、彼の頭に閃きました。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
銀子さん
其時
(
そのとき
)
始めて世の中に失望と云ふことの存在を実験したのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其時
(
そのとき
)
また、きり……きり……きり……きり……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其時
(
そのとき
)
こそ
駒
(
こま
)
も
榮
(
はえ
)
あれ
駒主
(
こまぬし
)
も
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
と
其時
(
そのとき
)
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其時
(
そのとき
)
は
早
(
は
)
や、
夜
(
よる
)
がものに
譬
(
たと
)
へると
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
ぢや、
白痴
(
ばか
)
がだらしのない
寝息
(
ねいき
)
も
聞
(
きこ
)
えなくなると、
忽
(
たちま
)
ち
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
にものゝ
気勢
(
けはひ
)
がして
来
(
き
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
で、
私
(
わたくし
)
は
堅
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じてゐます。
若
(
も
)
し
來世
(
らいせい
)
が
無
(
な
)
いと
爲
(
し
)
たならば、
其時
(
そのとき
)
は
大
(
おほ
)
いなる
人間
(
にんげん
)
の
智慧
(
ちゑ
)
なるものが、
早晩
(
さうばん
)
是
(
こ
)
れを
發明
(
はつめい
)
しませう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其時
(
そのとき
)
野々宮さんは廊下へ
下
(
お
)
りて、
下
(
した
)
から自分の部屋の
軒
(
のき
)
を
見上
(
みあ
)
げて、
一寸
(
ちよつと
)
見給へ
藁葺
(
わらぶき
)
だと云つた。成程
珍
(
めづ
)
らしく屋根に瓦を
置
(
お
)
いてなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
若
(
も
)
し
其時
(
そのとき
)
『
日本帝國
(
にほんていこく
)
』から
何程
(
なにほど
)
の
利益
(
りえき
)
と
保護
(
ほご
)
とを
受
(
う
)
けてゐるのかと
問
(
と
)
はれたら、
返事
(
へんじ
)
には
當惑
(
たうわく
)
するほどのミジメな
貧乏生活
(
びんばふせいくわつ
)
を
送
(
おく
)
つてゐた
癖
(
くせ
)
に。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
其時
(
そのとき
)
越前守は平石次右衞門吉田三五郎池田大助の三人を
膝元
(
ひざもと
)
へ進ませ申されけるは
其方共
(
そのはうども
)
家の爲め思ひ
呉
(
くれ
)
る
段
(
だん
)
忝
(
かたじ
)
けなく存るなり
依
(
よつ
)
て越前が
心底
(
しんてい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
例
(
たと
)
へば、それが
朝
(
あさ
)
の九
時
(
じ
)
であつたと
假定
(
かてい
)
して、
丁度
(
ちやうど
)
其時
(
そのとき
)
に
稽古
(
けいこ
)
を
初
(
はじ
)
める、
時々
(
とき/″\
)
何時
(
なんじ
)
になつたかと
思
(
おも
)
つて
見
(
み
)
る、
時計
(
とけい
)
の
針
(
はり
)
は
廻
(
めぐ
)
つて
行
(
ゆ
)
く!一
時半
(
じはん
)
に
晝食
(
ちうじき
)
!
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
『
其時
(
そのとき
)
は、
此
(
この
)
武村新八郎
(
たけむらしんぱちらう
)
が
先鋒
(
せんぽう
)
ぢや/\。』と
威勢
(
いせい
)
よくテーブルの
上
(
うへ
)
を
叩
(
たゝ
)
き
廻
(
まわ
)
すと、
皿
(
さら
)
は
跳
(
をど
)
つて、
小刀
(
ナイフ
)
は
床
(
ゆか
)
に
落
(
お
)
ちた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
で
御座
(
ござ
)
いますけれど
私
(
わたし
)
に
其時
(
そのとき
)
自分
(
じぶん
)
を
省
(
かへりみ
)
る
考
(
かんが
)
へは
出
(
で
)
ませぬゆゑ、
良人
(
をつと
)
のこゝろを
察
(
さつ
)
する
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ませぬ、
厭
(
いや
)
な
顏
(
かほ
)
を
遊
(
あそ
)
ばせば、それが
直
(
す
)
ぐ
氣
(
き
)
に
障
(
さは
)
りまするし
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
幻花子
(
げんくわし
)
も
新聞
(
しんぶん
)
の
方
(
はう
)
が
忙
(
いそが
)
しいので、
滅多
(
めつた
)
に
來
(
こ
)
ず。
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
時々
(
とき/″\
)
掘
(
ほ
)
り
始
(
はじ
)
めの
處
(
ところ
)
へ
立
(
た
)
つては、
往事
(
むかし
)
を
追懷
(
つひくわい
)
すると、
其時
(
そのとき
)
の
情景
(
じやうけい
)
が
眼前
(
がんぜん
)
に
彷彿
(
ほうふつ
)
として
見
(
み
)
えるのである。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
其時
(
そのとき
)
に
俄盲目
(
にはかめくら
)
の
乞食
(
こじき
)
と見えまして、
細竹
(
ほそたけ
)
の
笻
(
つゑ
)
を
突
(
つ
)
いて
年齢
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
は
彼是
(
かれこれ
)
五十四五でもあらうかといふ男、見る影もない
襤褸
(
すぼろ
)
の
扮装
(
なり
)
で、
何
(
ど
)
うして
負傷
(
けが
)
を
致
(
いた
)
しましたか
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
で
心配
(
しんぱい
)
して
電報
(
でんぱう
)
まで
掛
(
か
)
けたのであるから
其時
(
そのとき
)
返電
(
へんでん
)
をして
貰
(
もら
)
へば
無益
(
むえき
)
の
心配
(
しんぱい
)
は
决
(
けつ
)
してしません。
一寸
(
ちよつと
)
した
事
(
こと
)
であるが
日本
(
にほん
)
の
婦女子
(
ふぢよし
)
には
往々
(
わう/\
)
斯樣
(
かやう
)
な
等閑
(
なをざり
)
が
多
(
おほ
)
いのであります。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
余
(
よ
)
は
基督
(
きりすと
)
の
兵卒
(
へいそつ
)
なり、兵卒は
其時
(
そのとき
)
の
来
(
きた
)
る
迄
(
まで
)
は
何
(
なに
)
をなすべきかを知らず、
主
(
しゆ
)
の
命
(
めい
)
ならん乎、
余
(
よ
)
は
高壇
(
かうだん
)
に
立
(
た
)
つ事もあるべし、
官海
(
くわんかい
)
に
身
(
み
)
を
投
(
たう
)
ずるやも
計
(
はか
)
られず、基督信者は
目的
(
もくてき
)
なき者なり
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
さうとは
知
(
し
)
らずチッバルトどのをお
歎
(
なげ
)
きゃるとのみ
思召
(
おぼしめ
)
され、
其
(
その
)
歎
(
なげき
)
を
除
(
のぞ
)
かうとてパリスどのへ
無理強
(
むりじ
)
ひの
婚禮沙汰
(
こんれいざた
)
、
其時
(
そのとき
)
姫
(
ひめ
)
が
庵室
(
いほり
)
へわせられ、
此
(
この
)
二
度
(
ど
)
の
祝言
(
しうげん
)
を
脱
(
のが
)
るゝ
手段
(
すべ
)
を
教
(
をし
)
へてくれい
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
其時
(
そのとき
)
、汽笛のような音響がした。死の谷に立ちのぼる
白気
(
はっき
)
は
愈々
(
いよいよ
)
勢いを増した。怪人は一同に別れを告げて去った。一行は見す見すこの恐るべき殺人犯人を
見遁
(
みのが
)
すより外に仕方がなかった。
科学時潮
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
其時
(
そのとき
)
集
(
あつま
)
ツて
居
(
お
)
ツた、一
同
(
どう
)
の
者
(
もの
)
の
喜
(
よろこ
)
びは
何
(
ど
)
の
位
(
くらい
)
で
有
(
あ
)
りましたか、
商家抔
(
せうかなど
)
では
多
(
おう
)
く
錢
(
おわし
)
を
取扱
(
とりあつ
)
かつて
居
(
お
)
るから、
醫者
(
いしや
)
を
呼
(
よ
)
ぶも
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はぬと
云
(
い
)
ふ
樣
(
よう
)
な
時
(
とき
)
は、
實驗上
(
じつけんぜう
)
隨分
(
ずいぶん
)
用
(
もち
)
ひて
宜敷
(
よろし
)
き
法
(
ほう
)
の
樣
(
よう
)
に
存
(
ぞん
)
じます。
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
其
(
それ
)
は
外日
(
いつぞや
)
友人
(
いうじん
)
の
処
(
ところ
)
で、
或冬
(
あるふゆ
)
の
夜
(
よ
)
、
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
みながら
遅
(
おそ
)
くまで
話込
(
はなしこ
)
んでゐた
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
、
恋愛談
(
れんあいだん
)
から
女学生
(
ぢよがくせい
)
の
風評
(
うはさ
)
が
始
(
はじ
)
まつて、
其時
(
そのとき
)
細君
(
さいくん
)
が
一人
(
ひとり
)
の
同窓の友
(
クラスメート
)
に、
散々
(
さん/″\
)
或学生
(
あるがくせい
)
に
苦労
(
くらう
)
をした
揚句
(
あげく
)
、
熱湯
(
にえゆ
)
を
呑
(
のま
)
されて
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
惜しくはないか、
其時
(
そのとき
)
が
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
繰返
(
くりかへ
)
して
三度
(
さんど
)
、また
跫音
(
あしおと
)
がしたが、
其時
(
そのとき
)
は
枕
(
まくら
)
が
上
(
あが
)
らなかつた。
室内
(
しつない
)
の
空氣
(
くうき
)
は
唯
(
たゞ
)
彌
(
いや
)
が
上
(
うへ
)
に
蔽重
(
おほひかさな
)
つて、おのづと
重量
(
ぢうりやう
)
が
出來
(
でき
)
て
壓
(
おさ
)
へつけるやうな!
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
縁
(
えん
)
から
跣足
(
はだし
)
で
飛
(
と
)
んで
下
(
お
)
りて、
小六
(
ころく
)
の
頭
(
あたま
)
を
擲
(
なぐ
)
り
付
(
つ
)
けた。
其時
(
そのとき
)
から、
宗助
(
そうすけ
)
の
眼
(
め
)
には、
小六
(
ころく
)
が
小惡
(
こにく
)
らしい
小僧
(
こぞう
)
として
映
(
うつ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
の
父
(
ちゝ
)
は
私
(
わたし
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
教育
(
けういく
)
を
與
(
あた
)
へたです、
然
(
しか
)
し六十
年代
(
ねんだい
)
の
思想
(
しさう
)
の
影響
(
えいきやう
)
で、
私
(
わたし
)
を
醫者
(
いしや
)
として
了
(
しま
)
つたが、
私
(
わたし
)
が
若
(
も
)
し
其時
(
そのとき
)
に
父
(
ちゝ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにならなかつたなら
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『さァ、
辛
(
やつ
)
と
第
(
だい
)
一の
節
(
せつ
)
が
終
(
を
)
へた』と
帽子屋
(
ばうしや
)
が
云
(
い
)
つて、『
其時
(
そのとき
)
に
女王
(
クイーン
)
は
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、「
時
(
とき
)
を
打殺
(
うちころ
)
してるのは
彼
(
あ
)
れだ!
其頭
(
そのあたま
)
を
刎
(
は
)
ねて
了
(
しま
)
へ!」と
叫
(
さけ
)
びました』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
宜
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
家
(
うち
)
でも
拵
(
こしら
)
へる
仕覺
(
しがく
)
をしてお
呉
(
く
)
れと
逢
(
あ
)
ふ
度
(
たび
)
に
異見
(
ゐけん
)
をするが、
其時
(
そのとき
)
限
(
かぎ
)
りおい/\と
空返事
(
そらへんじ
)
して
根
(
ね
)
つから
氣
(
き
)
にも
止
(
と
)
めては
呉
(
く
)
れぬ、
父
(
とつ
)
さんは
年
(
とし
)
をとつて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“其時”で始まる語句
其時分
其時代
其時々
其時期