以來いらい)” の例文
新字:以来
震災しんさい以來いらい東京とうきやう梅園うめぞの松村まつむら以外いぐわいには「しるこ」らしい「しるこ」あとつてしまつた。そのかはりにどこもカツフエだらけである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
シユウとあわがつて、くろいしるのあふるのをさぢでかきまはすしろものである。以來いらい、ひこつの名古屋通なごやつうを、(かくはま)とふのである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また金解禁きんかいきん我國わがくに工業こうげふあたへる影響えいきやうついるに、我國わがくにおいては對米爲替相場たいべいかはせさうば大正たいしやうねん以來いらい平均へいきんドル乃至ないしドル下落げらくにして
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
昨夜さくや以來いらいわが朝日島あさひじま海岸かいがんは、およかぎ裝飾さうしよくされた。大佐たいさいへ隙間すきまもなくまる國旗こくき取卷とりまかれて、その正面せうめんには、見事みごと緑門アーチ出來できた。
宗助そうすけ一所いつしよになつて以來いらい御米およね毎日まいにちぜんともにしたものは、をつとよりほかになかつた。をつと留守るすときは、たゞひとはしるのが多年たねん習慣ならはしであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おどろいたのは御亭主ごていしゆでした。大變たいへんなことになつたものです。天地てんちが、ひつくりかえつたやうです。そんながそれ以來いらい幾日いくにち幾日いくにちつゞきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
一私しども兩人儀は先主せんしゆ嘉川平助以來いらいより勤仕きんし罷在まかりあり候處當主たうしゆ主税之助養子やうしに參られ候後平助儀藤五郎藤三郎の二
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それはもとよりうはさだけにとゞまつたが、それ以來いらい當分たうぶん芝居しばゐながら煙草たばこふものがほとんどなくなつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さて鴨緑江おうりよつこうをわたりきたほうきますと、支那しな領地りようち南滿洲みなみまんしゆうでありますが、こゝは日清戰爭につしんせんそう日露戰爭にちろせんそうなどがあつて以來いらい日本につぽんえんふか土地とちであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
初秋しよしう洪水こうずゐ以來いらいかは中央ちうあうにはおほきな堆積たいせきされたので、ふね周圍しうゐうてとほ彎曲わんきよくゑがかねばらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
奇麗きれいはなでしたけれどもゝうしをれて仕舞しまひました、貴君あなたにはあれから以來いらい御目おめにかゝらぬでは御座ござんせぬか、何故なぜひにくださらないの、何故なぜかへつてくださらぬの
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかるに第二だいに方面ほうめんおいては、歐洲おうしゆうとくにドイツへん優秀ゆうしゆう學者がくしやおほあらはれ、近年きんねんわがくに此點このてんについてかれ一歩いつぽゆづつてゐたかのかんがあつたが、大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしん以來いらい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かういふあぢはひは、祖先そせん以來いらいあたへられてゐる大事だいじなものだから、それをうしなはないようにするのが、われ/\のつとめといふよりも、われ/\のよろこびとかんじなくてはなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
むかし苗字めうじ武士階級ぶしかいきふ以上いじやうかぎられたが、維新いしん以來いらいしやう町人ちやうにんすべ苗字めうじゆるされたので、種々雜多しゆ/″\ざつた苗字めうじ出現しゆつげんし、苗字めうじうぢともせいともことになつて今日こんにちにいたつたのである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
女子教育上ぢよしけういくじやう意見いけんとしては別段べつだん申上まをしあげることも御在ござませんが、わたくしが一昨年さくねんはる女子英學塾ぢよしえいがくじゆくひらいてから以來いらい種々いろ/\今日こんにち女子ぢよしすなは女學生ぢよがくせいつい經驗けいけんしたことがありますから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
貝塚かひづかりながら、珈琲コーヒーむなんて、ドロボツクルはじまつて以來いらい贅澤ぜいたくだと大笑おほわらひ。
森林しんりん洪水こうずいがいふせぎ、かはみづ不斷ふだんえずながし、水田すいでんをもからさないといふてんで、土地とち安全あんぜんたもつてくれる效用こうようがあることがわかつてたので、以來いらいはじめて森林しんりん保護ほごしてそだてるようになり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それ以來いらい片山かたやま消息せうそくれなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
ときに——いまわたつたはしである——わたし土産みやげがきをもらつて、寫眞しやしんて、十綱橋とつなばしとあるのを、喜多八きたはち以來いらい早合點はやがてんで、十網橋とあみばしだとおもつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
我國わがくにおい大正たいしやうねんぐわつ十二にちきん輸出禁止ゆしゆつきんし實行じつかうして以來いらい十三ねんあひだきん輸出禁止ゆしゆつきんし日本にほん經濟界けいざいかいあたへた惡影響あくえいきやうなりだいなるものであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
けれども、小六ころくがさうかんしたのは、つい近頃ちかごろことで、じつふと、佐伯さへきとの交渉かうせふはじまつて以來いらいはなしである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けれど今日こんにちおいては、海賊かいぞく餘程よほど狡猾かうかつになつて、かゝる手段しゆだんづることまれで、くわふるに海底潜水器かいていせんすいき發明はつめいがあつて以來いらい海賊船かいぞくせんおほその發明はつめい應用おうようして
さて人間にんげん下等動物かとうどうぶつからだん/″\進化しんかしてたものであつて、われ/\はさるおな祖先そせんからうまれてたものであらうといふことは、ダアウヰンが進化論しんかろんとなへて以來いらい
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
このまざるによりしひてと申譯もなしと云ふに亭主は大いによろこびて早々さう/\彌助やすけをよび我等より御客おきやくさまへ御詫おわびも申上たるに早速御勘辨下されたり然れども是にこり以來いらいよく/\氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
百姓等ひやくしやうらいそがしくわらたわらんでこめれてはる以來いらい報酬はうしう目前もくぜんんでよろこぶのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
兩親りやうしんおくれし以來いらいびし背丈せたけたれ庇護かげかは、幼稚えうちをりこゝろならひに、つゝしみもなくれまつはりて、鈇石てつせきこゝろうごかせしは、かまへて松野まつのとがならずこゝろのいたらねばなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
前御城代ぜんごじやうだい山城守殿やましろのかみどの以來いらい大鹽おほしほたゝりで、當城たうじやうにはろくなことがないな。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あをざめたをんなまぶた決意けついくれなゐてうしつゝ、「けないで支度したくをしませう。」地震ぢしん以來いらいいたことのないおびだから、ぐいとひきしめるだけでことりる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぐわつ以來いらい外國貿易ぐわいこくぼうえき状勢じやうせい金解禁きんかいきんたいする諸般しよはん準備じゆんび程度ていどよりて、かくごと事態じたい發生はつせい財界ざいかい急激きふげき波動はどうしやうずることなきことをしんずるものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
こんな會話くわいわ老夫婦らうふうふあひだはされたのは、宗助そうすけ出京しゆつきやうして以來いらいや二ではなかつた。實際じつさいかれ叔父をぢところると、老人らうじんうつとほりの人間にんげんえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
日出雄少年ひでをせうねん頑是ぐわんぜなき少年せうねんつねとてかゝる境遇きやうぐうちても、昨夜さくや以來いらい疲勞つかれには堪兼たへかねて、わたくしひざもたれたまゝ、スヤ/\とねむりかけたが、たちま可憐かれんくちびるれてゆめこゑ
いつたい考古學こうこがくといふ學問がくもんは、人間にんげん世界せかいあらはれて以來いらい今日こんにちいたるまでのなが年月としつきあひだにこの世界中せかいじゆうのこした種々しゆ/″\品物しなもの、それは人間にんげんつくつた道具どうぐとか武器ぶきるい、また建築けんちく彫刻ちようこく
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「どうだ勘次かんじ以來いらいつゝしめるか、つぎにこんなことがつたら枯枝かれえだ一つでもゆるさないからな、今日けふはまあれでかへれ、くぬぎ此處こゝいてくんだぞ」勘次かんじ草刈籠くさかりかごおろさうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたしも一しよかんれよとてきわけもなくりし姿すがたのあくまであどけなきが不愍ふびんにて、もとよりれたのまねば義務ぎむといふすぢもなく、おんをきせての野心やしんもなけれどれより以來いらい百事萬端ひやくじばんたん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
急ぐ物から大家たいけの事ゆゑ出入でいりの者まで萬事行屆かする其爲に支度にかゝりて日を送りまだ當日さへさだめざりけりさても此方は裏店うらだな開闢かいびやく以來いらい見し事なき釣臺三荷の結納物をかつぎ入ける爲體ていたらくに長家の者は目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昨日きのふ晩方ばんがた受取うけとつてから以來いらいこれ跡方あとかたもなしにかたちすのに屈託くつたくして、昨夜ゆうべ一目ひとめねむりません。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
以來いらい百家ひやくかしよんで、哲學てつがくしうする、ととなへて、別業べつげふ居續ゐつゞけして、まどぢて、かきひらいた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たとひ紋着もんつきはかま穿いても、これが反對うらはらで、女湯をんなゆ揚場あがりばに、はうだんると、時節柄じせつがら早速さつそくすぢから御沙汰ごさたがあるが、男湯をとこゆをんな出入でいりは、三馬さんば以來いらい大目おほめてある。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それよりして以來いらい——癇癪かんしやくでなく、いきどほりでなく、先生せんせいがいゝ機嫌きげんで、しかも警句けいくくもごとく、弟子でしをならべて罵倒ばたうして、いきほひあたるべからざるときふと、つゝきつて、くばせして
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
團右衞門方だんゑもんかた飼猫かひねこをすが一ぴき、これははじめからたのであるが、元二げんじ邸内ていない奉公ほうこうをしてから以來いらい何處どこからたか、むく/\とふとつた黒毛くろげつや天鵝絨びろうどのやうなめすひと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなはち、一錢銅貨いつせんどうくわ五十餘枚ごじふよまいを、ざらりと一側ひとかはならびに、ほそい、あをい、ちひさい蝦蟇口がまぐち用意よういして、小口こぐちから、「さあ、さあ、お剩錢つりを。」——これは、以來いらい、九九九くわい常備じやうび共通きようつうつて
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たはむれに箱根々々はこね/\びしが、ひとあり、櫻山さくらやまむかへる池子山いけごやまおく神武寺じんむじあたりより、萬兩まんりやうふさやかにいたるを一本ひともとかへりて、此草このくさみきたかきこと一ぢやうけだ百年ハコネ以來いらいのものなりほこ
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはバタ/\とびおりた。「ちよつとておくれ、げくさいよ。」家内かない血相けつさうしてけあがつた。「漏電ろうでんぢやないから。」——一日いちにち地震ぢしん以來いらい、たばこ一服いつぷくのない二階にかいである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)