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通
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とほ
ふりがな文庫
“
通
(
とほ
)” の例文
日本
(
にほん
)
が
化物
(
ばけもの
)
の
貧弱
(
ひんじやく
)
なのに
對
(
たい
)
して、
支那
(
しな
)
に
入
(
い
)
ると
全
(
まつた
)
く
異
(
ことな
)
る、
支那
(
しな
)
はあの
通
(
とほ
)
り
尨大
(
ぼうだい
)
な
國
(
くに
)
であつて、
西
(
にし
)
には
崑崙雪山
(
こんろんせつざん
)
の
諸峰
(
しよぼう
)
が
際涯
(
はてし
)
なく
連
(
つらな
)
り
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
其
(
それ
)
といふのが、
時節柄
(
じせつがら
)
暑
(
あつ
)
さのため、
可恐
(
おそろし
)
い
悪
(
わる
)
い
病
(
やまひ
)
が
流行
(
はや
)
つて、
先
(
さき
)
に
通
(
とほ
)
つた
辻
(
つじ
)
などといふ
村
(
むら
)
は、から一
面
(
めん
)
に
石灰
(
いしばひ
)
だらけぢやあるまいか。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
是
(
これ
)
から
釣堀
(
つりぼり
)
へまゐりますと、
男女
(
なんによ
)
の
二人連
(
ふたりづれ
)
ゆゑ
先方
(
せんぱう
)
でも
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かして
小間
(
こま
)
へ
通
(
とほ
)
して、
蜆
(
しゞみ
)
のお
汁
(
つけ
)
、お
芋
(
いも
)
の
煑転
(
につころ
)
がしで
一猪口
(
いつちよこ
)
出ました。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
通
(
とほ
)
りかゝるホーカイ
節
(
ぶし
)
の男女が二人、「まア
御覧
(
ごらん
)
よ。お月様。」と
云
(
い
)
つて
暫
(
しばら
)
く
立止
(
たちどま
)
つた
後
(
のち
)
、
山谷堀
(
さんやぼり
)
の
岸辺
(
きしべ
)
に
曲
(
まが
)
るが
否
(
いな
)
や
当付
(
あてつけ
)
がましく
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この
通
(
とほ
)
りに
器械觀測
(
きかいかんそく
)
の
結果
(
けつか
)
と
體驗
(
たいけん
)
の
結果
(
けつか
)
とは
最初
(
さいしよ
)
から
一致
(
いつち
)
し
難
(
がた
)
いものであるけれども、それを
比較
(
ひかく
)
してみることは
無益
(
むえき
)
の
業
(
わざ
)
ではない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
あの
白
(
しろ
)
い
着物
(
きもの
)
に、
白
(
しろ
)
い
鉢巻
(
はちまき
)
をした
山登
(
やまのぼ
)
りの
人達
(
ひとたち
)
が、
腰
(
こし
)
にさげた
鈴
(
りん
)
をちりん/\
鳴
(
な
)
らしながら
多勢
(
おほぜい
)
揃
(
そろ
)
つて
通
(
とほ
)
るのは、
勇
(
いさま
)
しいものでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私
(
わたくし
)
の
塾
(
じゆく
)
は
御存知
(
ごぞんち
)
の
通
(
とほ
)
り
高等女學校卒業以上
(
かうとうぢよがくかうそつげふいじやう
)
の
程度
(
ていど
)
の
者
(
もの
)
を
入學
(
にふがく
)
せしめるので、
女子
(
ぢよし
)
の
普通教育
(
ふつうけういく
)
はまづ
終
(
をは
)
つたものと
見
(
み
)
なければなりません。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
が
小使部屋
(
こづかひべや
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝつた
時
(
とき
)
、
大
(
おほ
)
きな
爐
(
ろ
)
の
炭火
(
すみび
)
が
妙
(
めう
)
に
赤
(
あか
)
く
見
(
み
)
える
薄暗
(
うすくら
)
い
中
(
なか
)
から、
子供
(
こども
)
をおぶつた
内儀
(
かみ
)
さんが
慌
(
あわ
)
てゝ
聲
(
こゑ
)
をかけた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
これも、
偉
(
えら
)
い
婦人
(
ふじん
)
の
傳記
(
でんき
)
の
通
(
とほ
)
り、
著者
(
ちよしや
)
も
讀者
(
どくしや
)
も
婦人
(
ふじん
)
だといふ
事
(
こと
)
は、
必
(
かなら
)
ずしも、
他
(
た
)
の
書物
(
しよもつ
)
よりも
推奬
(
すゐしやう
)
すべき
理由
(
りいう
)
にはなりさうもない。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ふん、
坊主
(
ばうず
)
か」と
云
(
い
)
つて
閭
(
りよ
)
は
暫
(
しばら
)
く
考
(
かんが
)
へたが、「
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
逢
(
あ
)
つて
見
(
み
)
るから、こゝへ
通
(
とほ
)
せ」と
言
(
い
)
ひ
附
(
つ
)
けた。そして
女房
(
にようばう
)
を
奧
(
おく
)
へ
引
(
ひ
)
つ
込
(
こ
)
ませた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ハヾトフは
其間
(
そのあひだ
)
何故
(
なにゆゑ
)
か
默
(
もく
)
した
儘
(
まゝ
)
、さツさと六
號室
(
がうしつ
)
へ
這入
(
はひ
)
つて
行
(
い
)
つたが、ニキタは
例
(
れい
)
の
通
(
とほ
)
り
雜具
(
がらくた
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
から
起上
(
おきあが
)
つて、
彼等
(
かれら
)
に
禮
(
れい
)
をする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
渡金
(
めつき
)
を
金
(
きん
)
に通用させ様とする
切
(
せつ
)
ない工面より、真鍮を真鍮で
通
(
とほ
)
して、真鍮相当の侮蔑を我慢する方が
楽
(
らく
)
である。と今は考へてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
A
氏
(
し
)
は一
度
(
ど
)
R
国
(
こく
)
へ
行
(
ゆ
)
く
友人
(
ゆうじん
)
の
送別会席上
(
そうべつかいせきぜう
)
で
見知
(
みし
)
りになつたR
国人
(
こくじん
)
であつたので、
私
(
わたし
)
はいさゝか
心強
(
こゝろつよ
)
く
感
(
かん
)
じて、
導
(
みちび
)
かるゝまゝに
奥
(
おく
)
へ
通
(
とほ
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのうちで、
夜
(
よる
)
も
晝
(
ひる
)
もぶっ
通
(
とほ
)
しに
家
(
いへ
)
の
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れずに、どうにかして
赫映姫
(
かぐやひめ
)
に
逢
(
あ
)
つて
志
(
こゝろざし
)
を
見
(
み
)
せようと
思
(
おも
)
ふ
熱心家
(
ねつしんか
)
が
五人
(
ごにん
)
ありました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
父も家庭に対する
苦
(
くるし
)
み、妻子に対する
苦
(
くるし
)
み、社会に対する
苦
(
くる
)
しみ——
所謂
(
いはゆる
)
中年の
苦痛
(
くるしみ
)
を
抱
(
いだ
)
いて、
其
(
その
)
時
此
(
こ
)
の狭い汚い町を
通
(
とほ
)
つたに
相違
(
さうゐ
)
ない。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
西町奉行
(
にしまちぶぎやう
)
荒尾但馬守
(
あらをたじまのかみ
)
が、
江戸表
(
えどおもて
)
から
着任
(
ちやくにん
)
するといふので、三十
騎
(
き
)
の
與力
(
よりき
)
は、
非番
(
ひばん
)
の
同心
(
どうしん
)
を
連
(
つ
)
れて、
先例
(
せんれい
)
の
通
(
とほ
)
り
守口
(
もりぐち
)
まで
出迎
(
でむか
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
若
(
も
)
しも
貴下
(
こなた
)
が、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふやうに、
阿呆
(
あはう
)
の
極樂
(
ごくらく
)
へ
姫
(
ひい
)
さまを
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かっしゃるやうならば、ほんに/\、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
不埓
(
ふらち
)
な
事
(
こと
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
申立てしも今聞
通
(
とほ
)
りなり
眞直
(
まつすぐ
)
に申立よ此上
包
(
つゝ
)
み
祕
(
かく
)
すに於ては
急度
(
きつと
)
申付るぞと聞て善右衞門ヘイ
明白
(
めいはく
)
に申上ます私しは
然樣
(
さやう
)
なる者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
親
(
おや
)
に
似
(
に
)
ない
兒
(
こ
)
だが、
成長
(
せいてう
)
したらアノ
通
(
とほ
)
りの
獰惡振
(
だうあくぶ
)
りを
相續
(
さうぞく
)
するに
違
(
ちが
)
ひない、
環境
(
かんけう
)
の
罪
(
つみ
)
だいつそ
家
(
うち
)
に
飼
(
か
)
つてやらうかと
思
(
おも
)
つて、また
躊躇
(
ちうちよ
)
した。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
或
(
あ
)
る
口
(
くち
)
の
惡
(
わ
)
るきお
人
(
ひと
)
これを
聞
(
き
)
きて、
扨
(
さて
)
もひねくれし
女
(
おんな
)
かな、
今
(
いま
)
もし
學士
(
がくし
)
が
世
(
よ
)
にありて
札幌
(
さつぽろ
)
にもゆかず
以前
(
いぜん
)
の
通
(
とほ
)
り
生
(
なま
)
やさしく
出入
(
でい
)
りをなさば
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼等
(
かれら
)
の
最初
(
さいしよ
)
に
踏
(
ふ
)
んだ
土
(
つち
)
の
強大
(
きやうだい
)
な
牽引力
(
けんいんりよく
)
は
永久
(
えいきう
)
に
彼等
(
かれら
)
を
遠
(
とほ
)
く
放
(
はな
)
たない。
彼等
(
かれら
)
は
到底
(
たうてい
)
其
(
そ
)
の
土
(
つち
)
に
苦
(
くる
)
しみ
通
(
とほ
)
さねばならぬ
運命
(
うんめい
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其れから
畳
(
たヽみ
)
の破れを新聞で張つた、
柱
(
はしら
)
の
歪
(
ゆが
)
んだ
居間
(
ゐま
)
を二つ
通
(
とほ
)
つて、横手の光琳の梅を書いた
古
(
ふる
)
ぼけた大きい
襖子
(
ふすま
)
を開けると十畳敷許の
内陣
(
ないぢん
)
の
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
しかし大蛇も負傷したり殺されかかつたりして、永い月日を経て漸く海まで水路を
通
(
とほ
)
す。大蛇の作つた路がシヤノン河になつたといふ話である。
大へび小へび
(新字旧仮名)
/
片山広子
(著)
根本は、ぼくの考へ方に、しよせん、やり拔けない道なら、そして自分の本道でもないのだから「
初心
(
うぶ
)
で
通
(
とほ
)
した方がいゝ」
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
二人
(
ふたり
)
は、
子供
(
こども
)
を
抱
(
だ
)
いて
明
(
あか
)
るい
通
(
とほ
)
りから
折
(
を
)
れて、
暗
(
くら
)
い
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
いた。
暗
(
くらい
)
い
所
(
ところ
)
に
來
(
き
)
ても、
銀座
(
ぎんざ
)
の
明
(
あか
)
るみを
歩
(
ある
)
く
人
(
ひと
)
の
足音
(
あしおと
)
は
聞
(
きこ
)
えた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
日本
(
につぽん
)
の
山
(
やま
)
のうさぎには
二通
(
ふたとほ
)
りあつて、その
一
(
ひと
)
つは
平常
(
へいじよう
)
褐色
(
かつしよく
)
をしてゐますが、
冬
(
ふゆ
)
になると
眞白
(
まつしろ
)
に
變
(
かは
)
るもの、も
一
(
ひと
)
つは
一年中
(
いちねんじゆう
)
通
(
とほ
)
して
褐色
(
かつしよく
)
のものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
脚下
(
あしもと
)
の
生物
(
いきもの
)
を
殺
(
ころ
)
すのを
恐
(
おそ
)
れて
其甕
(
そのかめ
)
を
放
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
さうとはせず、
其處
(
そこ
)
を
通
(
とほ
)
りがけに
蠅帳
(
はへちやう
)
の
一
(
ひと
)
つに
其
(
そ
)
れを
藏
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「然うかい、君も然うなのかい、」と私は引取ツて、「工場の前も
幾度
(
いくたび
)
通
(
とほ
)
ツたか知れないが、今日
程
(
ほど
)
悲しいと
感
(
かん
)
じたことは
是
(
これ
)
まで
一度
(
いちど
)
もなかツた。 ...
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
むか
)
されては
大變
(
たいへん
)
と、
兒童
(
こども
)
は
早速
(
さつそく
)
親父
(
おやぢ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りになつて
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から
平常
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
く
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
風
(
ふう
)
で
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
た。けれども
決
(
けつ
)
して
學校
(
がくかう
)
には
行
(
い
)
かない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
...
貴樣達
(
きさまたち
)
も
知
(
し
)
つとる
通
(
とほ
)
り
中根
(
なかね
)
はあの
行軍
(
かうぐん
)
の
途中
(
とちう
)
過
(
あやま
)
つて
川
(
かは
)
へ
落
(
お
)
ちた‥‥」と、
軍曹
(
ぐんそう
)
はジロりと
中根
(
なかね
)
を
見
(
み
)
た。「クスつ‥‥」と、
誰
(
だれ
)
かが
同時
(
どうじ
)
に
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
斯くして支那に到着すると、支那はむやみに體面を重んずる國であり、海外より來る者は之を蠻夷の使者として、國王の上表などが無ければ
通
(
とほ
)
りが惡い。
聖徳太子
(旧字旧仮名)
/
内藤湖南
(著)
火事があつて、
通
(
とほ
)
れないんです。廻り道をしたら自転車のチェーンが
外
(
はづ
)
れて、
真暗
(
まつくら
)
なもんで、なかなか……。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
此
雪吹
(
ふゞき
)
其日の
暮
(
くれ
)
に
止
(
やみ
)
、
次日
(
つぎのひ
)
は
晴天
(
せいてん
)
なりければ
近村
(
きんそん
)
の者四五人此所を
通
(
とほ
)
りかゝりしに、かの
死骸
(
しがい
)
は
雪吹
(
ふゞき
)
に
埋
(
うづめ
)
られて見えざれども
赤子
(
あかご
)
の
啼声
(
なくこゑ
)
を雪の中にきゝければ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
余
(
よ
)
の
發見
(
はつけん
)
したのは
此
(
この
)
三
種
(
しゆ
)
の
例外
(
れいぐわい
)
で、
突起
(
つまみ
)
の
無
(
な
)
いのである。
其代
(
そのかは
)
り、
兩端
(
りやうたん
)
に
二箇宛
(
ふたつづゞ
)
の
小孔
(
せうこう
)
が
穿
(
うが
)
つてある。
紐
(
ひも
)
に
類
(
るゐ
)
した
物
(
もの
)
を
通
(
とほ
)
して、それを
抓
(
つま
)
む
樣
(
やう
)
にしたのかも
知
(
し
)
れぬ。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
彼は いい鳥が といはぬばかりに忽ち
通
(
とほ
)
せんぼをして二つ三つ犬じらみをぶつつけた。お蕙ちやんは
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
百
姓
(
せう
)
のお
上
(
かみ
)
さんが
河端
(
かわばた
)
で
芋
(
いも
)
を
洗
(
あら
)
つてをりました。そこを
通
(
とほ
)
りかけた
乞食
(
こじき
)
のやうな
坊
(
ぼう
)
さんがその
芋
(
いも
)
をみて
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
あんまりなまけたので
昔
(
むかし
)
私
(
わたくし
)
の
先祖
(
せんぞ
)
は
神様
(
かみさま
)
に
撲
(
なぐ
)
られまして、ごらんの
通
(
とほ
)
り
身体中
(
からだぢう
)
瘤
(
こぶ
)
だらけになりました
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
沖
(
おき
)
を
通
(
とほ
)
つてゐて、
印南野
(
いなびぬ
)
の
草原
(
くさはら
)
を、
遙
(
はる
)
かに
見
(
み
)
てゐる。そのうちに、
遠
(
とほ
)
く
加古川
(
かこかは
)
の
川口
(
かはぐち
)
が
見
(
み
)
えて
來
(
き
)
た。あの
川口
(
かはぐち
)
は、
知
(
し
)
つてゐるんだ。なつかしい
舟泊
(
ふなどま
)
りのあるところだ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
こもりづの
沢
(
さは
)
たづみなる
石根
(
いはね
)
ゆも
通
(
とほ
)
しておもふ
君
(
きみ
)
に
逢
(
あ
)
はまくは 〔巻十一・二七九四〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
失
(
うしな
)
はれゆく
感覚
(
かんかく
)
と
懸命
(
けんめい
)
に
闘
(
たゝか
)
ひながら、
死
(
し
)
に
至
(
いた
)
るまで、
守
(
まも
)
り
通
(
とほ
)
した
党
(
たう
)
の
名
(
な
)
をとぎれ/\に
呼
(
よ
)
んだ
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
白鷺が
隠遁者
(
いんとんしや
)
で
押
(
お
)
つ
通
(
とほ
)
してゐるやうに、成るべくなら医者なぞにならぬ方がよい。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
歸
(
かへ
)
りがけ、それは
月夜
(
つきよ
)
の
晩
(
ばん
)
のことでありましたが、あの
應神天皇
(
おうじんてんのう
)
(
伯孫
(
はくそん
)
の
時
(
とき
)
から
百年
(
ひやくねん
)
ほど
前
(
まへ
)
に
當
(
あた
)
る)の
御陵
(
ごりよう
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝると、
非常
(
ひじよう
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
赤
(
あか
)
い
馬
(
うま
)
に
乘
(
の
)
つてゐる
人
(
ひと
)
に
出會
(
であ
)
ひました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それにしても
右
(
みぎ
)
の
所謂
(
いわゆる
)
『
小櫻姫
(
こざくらひめ
)
』とは
何人
(
なんびと
)
か?
本文
(
ほんぶん
)
をお
読
(
よ
)
みになれば
判
(
わか
)
る
通
(
とほ
)
り、この
女性
(
じょせい
)
こそは
相州
(
そうしゅう
)
三浦
(
みうら
)
新井城主
(
あらいじょうしゅ
)
の
嫡男
(
ちゃくなん
)
荒次郎
(
あらじろう
)
義光
(
よしみつ
)
の
奥方
(
おくがた
)
として
相当
(
そうとう
)
世
(
よ
)
に
知
(
し
)
られている
人
(
ひと
)
なのであります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げられた
者
(
もの
)
は、
一人々々
(
ひとり/\
)
検疫医
(
けんえきい
)
の
列
(
なら
)
んだ
段階子
(
だんばしご
)
の
下
(
した
)
を
通
(
とほ
)
つて
上
(
うへ
)
へ
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で
調子
(
てうし
)
を
上
(
あ
)
げて
少
(
すこ
)
し
引
(
ひ
)
ツ
張
(
ぱ
)
つて「マ」で
下
(
さ
)
げる。
成程
(
なるほど
)
山
(
やま
)
のやうに
聞
(
きこ
)
える。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
ほんとに私が彼に
隨
(
つ
)
いて行くとしたら——ほんとに彼のすゝめる犧牲を拂ふとしたら、私は絶望的にやり
通
(
とほ
)
すだらう。私はすべてのものを祭壇へさゝげるだらう——魂も
生命
(
いのち
)
もまつたき
犧牲
(
いけにえ
)
をも。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「
恐
(
おそれ
)
の
日
(
ひ
)
に
当
(
あた
)
りて、わが
肉
(
にく
)
新
(
あらた
)
なるべし。」
衆
(
みんな
)
の
後
(
あと
)
から、
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
赤
(
あか
)
い、
血色
(
けつしよく
)
の
好
(
い
)
い
児
(
こ
)
が
一人
(
ひとり
)
通
(
とほ
)
る。こいつに
眼
(
め
)
を
付
(
つ
)
けて
置
(
お
)
いたのだから、
急
(
きふ
)
に
飛付
(
とびつ
)
いてやつた。この
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い
手
(
て
)
で、その
口
(
くち
)
を
抑
(
おさ
)
へた。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
通
(
とほ
)
りすがる
肥満女
(
ふとつちよ
)
の
葱
(
ねぎ
)
もてる
腕
(
かひな
)
に
倚
(
よ
)
りてうち
挑
(
いど
)
む。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
通
(
とほ
)
つたら
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
四谷
(
よつや
)
の
通
(
とほ
)
りへ
食料
(
しよくれう
)
を
探
(
さが
)
しに
出
(
で
)
て、
煮染屋
(
にしめや
)
を
見
(
み
)
つけて、
崩
(
くづ
)
れた
瓦
(
かはら
)
、
壁泥
(
かべどろ
)
の
堆
(
うづたか
)
いのを
踏
(
ふ
)
んで
飛込
(
とびこ
)
んだが、
心
(
こゝろ
)
あての
昆布
(
こぶ
)
の
佃煮
(
つくだに
)
は
影
(
かげ
)
もない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
丁度
(
ちようど
)
普通
(
ふつう
)
の
小
(
ちひ
)
さな
波
(
なみ
)
について
濱
(
はま
)
に
於
(
おい
)
て
經驗
(
けいけん
)
する
通
(
とほ
)
りであるから、
此状態
(
このじようたい
)
になつてからは、
浪
(
なみ
)
といふよりも
寧
(
むし
)
ろ
流
(
なが
)
れといふべきである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
“通”の意味
《名詞》
(ツウ)趣味の分野において、特に暗黙のルールとなっていることまで知悉していること。江戸時代、元禄期における趣味人の価値が「粋」であったのに対し、化政期において重視された価値。
(とおり 「通り」とも) 特に市街地の内部にあって、形状がおおむね同一で、連続する道路の呼称。
(出典:Wiktionary)
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“通”を含む語句
普通
通過
一通
大通
通路
通行
通常
人通
密通
貫通
姦通
切通
表通
裏通
見通
通帳
風通
目通
行通
二通
...