眞中まんなか)” の例文
新字:真中
あいちやんは一ぱうした、一ぱううへと一まいごとしらべてから、その眞中まんなかつてました、どうしたらふたゝられるだらうかとあやしみながら。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
拜殿の欄間らんまには、土佐風とさふうゑがいた三十六歌仙かせんが行儀よくつらねられ、板敷の眞中まんなかには圓座ゑんざが一つ、古びたまゝに損じては居なかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
眞中まんなかには庭園ていえんがあり、噴水ふんすいえずみづし、あたりには青々あを/\しげつた庭木にはきゑてあり、あつなつでもすゞしいかんじをあた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かさ/\とかわいて、うづつて、ごと眞中まんなかあなのあいた、こゝを一寸ちよつとたばにしてゆはへてある……瓦煎餅かはらせんべいけたやうなものである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゝみまであつくなつた座敷ざしき眞中まんなか胡坐あぐらいて、下女げぢよつて樟腦しやうなうを、ちひさな紙片かみぎれけては、醫者いしやれる散藥さんやくやうかたちたゝんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
月桂樹の並木道を下りて行くとき、私は七葉樹の殘骸ざんがいを見た。それは黒く引裂かれて突立つて、眞中まんなかから裂けた幹は物凄く口を開いてゐた。
『ほんとに、さうでしたねえ』とだれ合槌あひづちうつれた、とおもふと大違おほちがひ眞中まんなか義母おつかさんいましもしたむい蒲鉾かまぼこいでらるゝところであつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ここにヒコホノニニギの命が天からおくだりになろうとする時に、道の眞中まんなかにいて上は天をらし、したは葦原の中心の國を照らす神がおります。
と、きふひと院長ゐんちやうだとわかつたので、かれ全身ぜんしんいかりふるはして、寐床ねどこから飛上とびあがり、眞赤まつかになつて、激怒げきどして、病室びやうしつ眞中まんなかはし突立つゝたつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
途中とちう武村兵曹たけむらへいそう大得意だいとくいで、ヤンヤ/\の喝釆かつさい眞中まんなかつて、口沫こうまつとばして、今回こんくわい冐險譚ぼうけんだんをはじめた。
義男はさつきのみのるの冷笑がその胸の眞中まんなかを鋭い齒と齒の間にしつかりとくはへ込んでる樣に離れなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
八百屋やをやきちらう大工だいく太吉たきちがさつぱりとかげせぬがなんとかせしとふにこのけんであげられましたと、かほ眞中まんなかゆびをさして、なん子細しさいなく取立とりたてゝうわさをするものもなし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おきはたの寫眞を見る人は柳、栴檀、櫨などのかげに、而も街の眞中まんなかを人工的水路の
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「解りましたワ、親分、思ひ切つて言つて了ひませう。房吉は名を變へて、今では江戸の眞中まんなかに住んで、親分が死んだと思ひ込んで居る三平と一緒に、相變らず惡事を重ねてゐますよ」
惡黨あくたう! なん眞中まんなか飛込とびこんだんぢゃ足下おぬしは! 足下おぬしうでしたでやられた。
そして何時その眞中まんなかに黄色い蕋を持つ小さい花を開いたか。
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
おもふと、忽然こつねんとして、あらはれて、むくとをどつて、卓子テエブル眞中まんなかたかつた。ゆきはらへば咽喉のどしろくして、ちやまだらなる、畑將軍はたしやうぐん宛然さながら犬獅子けんじし……
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御米およねのない眞中まんなかに、少時しばらくたゝずんでゐたが、やがて右手みぎてあた下女部屋げぢよべやを、おとのしないやうにそつといて、なか洋燈らんぷかざした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だが、塊の眞中まんなか程に知覺のある點があつたり、まだ、一二ヶ所位は物のみ透る隙間もあるんですがね。さう、それでまだ望みがありますかね。
それらは當時とうじ支那しなからわたつた石材せきざいせて、つくつたものとおもはれます。またこのうつくしい楕圓形だえんけいいし眞中まんなかに、あなのあるものなどもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
いまわたくし黒暗々こくあん/\たる印度洋インドやう眞中まんなかおいて、わが弦月丸げんげつまるあとふかの奇怪きくわいなるふねてふと此樣こんなことおもした。
法廷ほふてい眞中まんなかには一きやく洋卓テーブルがあつた、其上そのうへには栗饅頭くりまんぢうおほきなさらつてゐました、るからに美味うまさうなので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
で、身體からだひどこゞえてしまつたので、詮方せんかたなく、夕方ゆふがたになるのをつて、こツそりと自分じぶんへやにはしのたものゝ、夜明よあけまで身動みうごきもせず、へや眞中まんなかつてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
十一時頃じごろからねつたので自分じぶんはプラツトホームの眞中まんなかまうけある四はう硝子張がらすばり待合室まちあひしつはひつてちひさくなつてると呑氣のんきなる義母おつかさんはそんなこととはすこしも御存知ごぞんじなく待合室まちあひしつ
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この家の一番奧の上等座敷らしく、眞中まんなか紫檀したん食卓ちやぶだいゑ、其の上へ茶道具と菓子とをせてある物靜かさは、今まで村の若いしゆが底拔け騷ぎをしてゐたへやとも思はれなかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
三栗みつぐりのような眞中まんなかの枝の
てつづくりのもんはしらの、やがて平地へいちおなじにうづまつた眞中まんなかを、いぬやまるやうにはひります。わたしさかすやうにつゞきました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
風呂敷ふろしきすこちひさいので、四隅よすみむか同志どうしつないで、眞中まんなかにこまむすびをふたこしらえた。宗助そうすけがそれをげたところは、まる進物しんもつ菓子折くわしをりやうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぐら/\する、そしてあのはてしのない混沌こんとん眞中まんなかへ、まつさかさまに落ちる、さう思つたとき、心は震へ上つた。
いまから其樣そんなよわつては駄目だめだ、んでも今夜こんやはあの深林しんりん眞中まんなかあか覺悟かくごだ。』と元氣げんきよく言放いひはなつて立上たちあがり、つかれたる水兵すいへいかわつて鐵車てつしや運轉うんてんはじめた。
そればかりではなく、かんむり眞中まんなかからはとり羽根はねながきんかざりがうしろほうち、またかんむり兩側りようがはからもきんかざりがぶらさがつて、そのはし勾玉まがたまがついてゐるといふ、すばらしい立派りつぱきんかんむりなのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
眞中まんなかのその中の土を
眞中まんなか卓子テエブルかこんで、入亂いりみだれつゝ椅子いすけて、背嚢はいなうかず、じうひきつけたまゝ、大皿おほざらよそつた、握飯にぎりめし赤飯せきはん煮染にしめをてん/″\につてます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おもひながら瓜井戸うりゐど眞中まんなかに、一人ひとりあたまから悚然ぞつとすると、する/\とかすみびるやうに、かたちえないが、自分じぶんまはりにからまつてねこはう
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……こゝの書棚しよだなうへには、はなちやうしてなかつた、——手附てつき大形おほがた花籠はなかごならべて、白木しらききりの、ぢくもののはこツばかり。眞中まんなかふたうへに……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
めて、差窺さしうかゞふ、母屋おもやの、とほかすかなやうな帳場ちやうばから、あかりすゑばうとゞく。いけめんした大廣間おほひろまなかは四五十でふおもはるゝ、薄暗うすぐら障子しやうじかず眞中まんなかあたり。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもひながら、瓜井戸うりゐど眞中まんなかに、一人ひとりあたまから悚然ぞつとすると、する/\とかすみびるやうに、かたちえないが、自分じぶんまはりにからまつてねこはう
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、人通ひとどほりはすくなし、日向ひなた眞中まんなかはゞかところもなく、なにしろ、御院殿ごゐんでんはう眞直まつすぐだ、とのん歩行あるす。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
板戸いたどひとつがまちの、みせの八でふ古疊ふるだたみ眞中まんなかつくゑいて對向さしむかひに、洋燈ランプひたひ突合つきあはせた、友達ともだち二人ふたりで、くに地誌略ちしりやくふ、學校がくかう教科書けうくわしよんでた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一面いちめんくさしげつて、曠野あらのつた場所ばしよで、何故なぜ一度いちど人家じんかにはだつたか、とおもはれたとふのに、ぬま眞中まんなかこしらへたやうな中島なかじまひとつたからです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひさしい以前いぜんだけれども、いまおぼえてる。一度いちど本郷ほんがう龍岡町たつをかちやうの、あの入組いりくんだ、ふか小路こうぢ眞中まんなかであつた。一度いちどしばの、あれは三田みた四國町しこくまちか、慶應大學けいおうだいがくうらおも高臺たかだいであつた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、眞中まんなかゆはへたつゝみせる、とたびつて顏色かほいろかはよわいのを、やつこ附目つけめ
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さゝくたらしを、ほう/\といてうまがつて、燒豆府やきどうふばかりを手元てもと取込とりこみ、割前わりまへときは、なべなか領分りやうぶんを、片隅かたすみへ、群雄割據ぐんゆうかつきよ地圖ちづごとしきつて、眞中まんなかうめざうもつを
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くちなは料理れうり鹽梅あんばいひそかにたるひとかたりけるは、(おう)が常住じやうぢう居所ゐどころなる、屋根やねなきしとねなきがう屋敷田畝やしきたんぼ眞中まんなかに、あかゞねにてたるかなへ(にるゐす)をゑ、河水かはみづるゝこと八分目はちぶんめ
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
溜池ためいけ眞中まんなかあたりを、頬冠ほゝかむりした、いろのあせた半被はつぴた、せいひく親仁おやぢが、こしげ、あし突張つツぱつて、ながさをあやつつて、ごといでる、いかだあたかひとせて、あぶらうへすべるやう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いましがた、永代橋えいたいばしわたつたところで、よしとけて、あの、ひとくるまげて織違おりちがふ、さながら繁昌記はんじやうき眞中まんなかへこぼれてて、あまりそのへんのかはりやうに、ぽかんとしてつたときであつた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
亭主ていしゆきはめて慇懃いんぎんに「えゝ(おかゆ)とはきますでせうか。」「あゝ、れはね、かうかうやつて、眞中まんなかこめくんです。よわしと間違まちがつては不可いけないのです。」なんと、先生せんせい得意とくいおもふべし。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
與太坊よたばう父爺ちやん何事なにごともねえよ。」と、いけ眞中まんなかからこゑけて、おやぢは小屋こやなかのぞかうともせず、つまさきは小波さゝなみぶるばかりしづむだいかださをさして、このときまた中空なかぞらからしろつばさひるがへして
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あとなる一人ひとりは、中脊ちうぜいほそをとこで、眞中まんなかの、盲目婦めくらをんなかみかげにもかくれさうに、おびからだ附着くツつけて行違ゆきちがつたのであるから、なり恰好かつかうれも判然はつきりとしないなかに、の三人目にんめのが就中なかんづくおぼろえた。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふねくやうに連中れんぢう大手おほて眞中まんなか洋傘かうもり五色ごしきなみとほりました。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)