トップ
>
眞中
>
まんなか
ふりがな文庫
“
眞中
(
まんなか
)” の例文
新字:
真中
愛
(
あい
)
ちやんは一
方
(
ぱう
)
は
下
(
した
)
、一
方
(
ぱう
)
は
上
(
うへ
)
と一
枚
(
まい
)
毎
(
ごと
)
に
檢
(
しら
)
べてから、その
眞中
(
まんなか
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ました、どうしたら
再
(
ふたゝ
)
び
出
(
で
)
られるだらうかと
怪
(
あや
)
しみながら。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
拜殿の
欄間
(
らんま
)
には、
土佐風
(
とさふう
)
に
畫
(
ゑが
)
いた三十六
歌仙
(
かせん
)
が行儀よく
懸
(
か
)
け
聯
(
つら
)
ねられ、板敷の
眞中
(
まんなか
)
には
圓座
(
ゑんざ
)
が一つ、古びたまゝに損じては居なかつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
眞中
(
まんなか
)
には
庭園
(
ていえん
)
があり、
噴水
(
ふんすい
)
が
絶
(
た
)
えず
水
(
みづ
)
を
噴
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、あたりには
青々
(
あを/\
)
と
繁
(
しげ
)
つた
庭木
(
にはき
)
も
植
(
う
)
ゑてあり、
熱
(
あつ
)
い
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
でも
涼
(
すゞ
)
しい
感
(
かん
)
じを
與
(
あた
)
へ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
かさ/\と
乾
(
かわ
)
いて、
渦
(
うづ
)
に
成
(
な
)
つて、
稱
(
よ
)
ぶ
如
(
ごと
)
く
眞中
(
まんなか
)
に
穴
(
あな
)
のあいた、こゝを
一寸
(
ちよつと
)
束
(
たば
)
にして
結
(
ゆは
)
へてある……
瓦煎餅
(
かはらせんべい
)
の
氣
(
き
)
の
拔
(
ぬ
)
けたやうなものである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
疊
(
たゝみ
)
迄
(
まで
)
熱
(
あつ
)
くなつた
座敷
(
ざしき
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、
下女
(
げぢよ
)
の
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
た
樟腦
(
しやうなう
)
を、
小
(
ちひ
)
さな
紙片
(
かみぎれ
)
に
取
(
と
)
り
分
(
わ
)
けては、
醫者
(
いしや
)
で
呉
(
く
)
れる
散藥
(
さんやく
)
の
樣
(
やう
)
な
形
(
かたち
)
に
疊
(
たゝ
)
んだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
月桂樹の並木道を下りて行くとき、私は七葉樹の
殘骸
(
ざんがい
)
を見た。それは黒く引裂かれて突立つて、
眞中
(
まんなか
)
から裂けた幹は物凄く口を開いてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
『ほんとに、さうでしたねえ』と
誰
(
だれ
)
か
合槌
(
あひづち
)
を
打
(
うつ
)
て
呉
(
く
)
れた、と
思
(
おも
)
ふと
大違
(
おほちがひ
)
の
眞中
(
まんなか
)
。
義母
(
おつかさん
)
は
今
(
いま
)
しも
下
(
した
)
を
向
(
むい
)
て
蒲鉾
(
かまぼこ
)
を
食
(
く
)
ひ
欠
(
か
)
いで
居
(
を
)
らるゝ
所
(
ところ
)
であつた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ここにヒコホノニニギの命が天からお
降
(
くだ
)
りになろうとする時に、道の
眞中
(
まんなか
)
にいて上は天を
照
(
て
)
らし、
下
(
した
)
は葦原の中心の國を照らす神がおります。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
と、
急
(
きふ
)
に
來
(
き
)
た
人
(
ひと
)
の
院長
(
ゐんちやう
)
だと
解
(
わか
)
つたので、
彼
(
かれ
)
は
全身
(
ぜんしん
)
を
怒
(
いかり
)
に
顫
(
ふる
)
はして、
寐床
(
ねどこ
)
から
飛上
(
とびあが
)
り、
眞赤
(
まつか
)
になつて、
激怒
(
げきど
)
して、
病室
(
びやうしつ
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
て
突立
(
つゝた
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
途中
(
とちう
)
、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
大得意
(
だいとくい
)
で、ヤンヤ/\の
喝釆
(
かつさい
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
立
(
た
)
つて、
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
口沫
(
こうまつ
)
を
飛
(
とば
)
して、
今回
(
こんくわい
)
の
冐險譚
(
ぼうけんだん
)
をはじめた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
義男はさつきのみのるの冷笑がその胸の
眞中
(
まんなか
)
を鋭い齒と齒の間にしつかりと
噛
(
くは
)
へ込んでる樣に離れなかつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
八百屋
(
やをや
)
の
吉
(
きち
)
五
郎
(
らう
)
に
大工
(
だいく
)
の
太吉
(
たきち
)
がさつぱりと
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
せぬが
何
(
なん
)
とかせしと
問
(
と
)
ふに
此
(
この
)
一
件
(
けん
)
であげられましたと、
顏
(
かほ
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ
指
(
ゆび
)
をさして、
何
(
なん
)
の
子細
(
しさい
)
なく
取立
(
とりた
)
てゝ
噂
(
うわさ
)
をする
者
(
もの
)
もなし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
沖
(
おき
)
ノ
端
(
はた
)
の寫眞を見る人は柳、栴檀、櫨などのかげに、而も街の
眞中
(
まんなか
)
を人工的水路の
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「解りましたワ、親分、思ひ切つて言つて了ひませう。房吉は名を變へて、今では江戸の
眞中
(
まんなか
)
に住んで、親分が死んだと思ひ込んで居る三平と一緒に、相變らず惡事を重ねてゐますよ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
惡黨
(
あくたう
)
!
何
(
なん
)
で
眞中
(
まんなか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んだんぢゃ
足下
(
おぬし
)
は!
足下
(
おぬし
)
の
腕
(
うで
)
の
下
(
した
)
でやられた。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
そして何時その
眞中
(
まんなか
)
に黄色い蕋を持つ小さい花を開いたか。
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
と
思
(
おも
)
ふと、
忽然
(
こつねん
)
として、
顯
(
あらは
)
れて、むくと
躍
(
をど
)
つて、
卓子
(
テエブル
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ
高
(
たか
)
く
乘
(
の
)
つた。
雪
(
ゆき
)
を
拂
(
はら
)
へば
咽喉
(
のど
)
白
(
しろ
)
くして、
茶
(
ちや
)
の
斑
(
まだら
)
なる、
畑將軍
(
はたしやうぐん
)
の
宛然
(
さながら
)
犬獅子
(
けんじし
)
……
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
御米
(
およね
)
は
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
のない
眞中
(
まんなか
)
に、
少時
(
しばらく
)
佇
(
たゝ
)
ずんでゐたが、やがて
右手
(
みぎて
)
に
當
(
あた
)
る
下女部屋
(
げぢよべや
)
の
戸
(
と
)
を、
音
(
おと
)
のしない
樣
(
やう
)
にそつと
引
(
ひ
)
いて、
中
(
なか
)
へ
洋燈
(
らんぷ
)
の
灯
(
ひ
)
を
翳
(
かざ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、塊の
眞中
(
まんなか
)
程に知覺のある點があつたり、まだ、一二ヶ所位は物の
浸
(
し
)
み透る隙間もあるんですがね。さう、それでまだ望みがありますかね。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それらは
當時
(
とうじ
)
支那
(
しな
)
から
渡
(
わた
)
つた
石材
(
せきざい
)
を
取
(
と
)
り
寄
(
よ
)
せて、つくつたものと
思
(
おも
)
はれます。またこの
美
(
うつく
)
しい
楕圓形
(
だえんけい
)
の
石
(
いし
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
穴
(
あな
)
のあるものなどもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
今
(
いま
)
、
私
(
わたくし
)
は
黒暗々
(
こくあん/\
)
たる
印度洋
(
インドやう
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
於
(
おい
)
て、わが
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふかの
奇怪
(
きくわい
)
なる
船
(
ふね
)
を
見
(
み
)
てふと
此樣
(
こんな
)
事
(
こと
)
を
想
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
法廷
(
ほふてい
)
の
眞中
(
まんなか
)
には一
脚
(
きやく
)
の
洋卓
(
テーブル
)
があつた、
其上
(
そのうへ
)
には
栗饅頭
(
くりまんぢう
)
の
大
(
おほ
)
きな
皿
(
さら
)
が
載
(
の
)
つてゐました、
見
(
み
)
るからに
美味
(
うま
)
さうなので
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
で、
身體
(
からだ
)
が
甚
(
ひど
)
く
凍
(
こゞ
)
えて
了
(
しま
)
つたので、
詮方
(
せんかた
)
なく、
夕方
(
ゆふがた
)
になるのを
待
(
ま
)
つて、こツそりと
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
には
忍
(
しの
)
び
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たものゝ、
夜明
(
よあけ
)
まで
身動
(
みうごき
)
もせず、
室
(
へや
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
立
(
た
)
つてゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
十一
時頃
(
じごろ
)
から
熱
(
ねつ
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たので
自分
(
じぶん
)
はプラツトホームの
眞中
(
まんなか
)
に
設
(
まう
)
けある四
方
(
はう
)
硝子張
(
がらすばり
)
の
待合室
(
まちあひしつ
)
に
入
(
はひ
)
つて
小
(
ちひ
)
さくなつて
居
(
ゐ
)
ると
呑氣
(
のんき
)
なる
義母
(
おつかさん
)
はそんな
事
(
こと
)
とは
少
(
すこ
)
しも
御存知
(
ごぞんじ
)
なく
待合室
(
まちあひしつ
)
を
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
この家の一番奧の上等座敷らしく、
眞中
(
まんなか
)
に
紫檀
(
したん
)
の
食卓
(
ちやぶだい
)
を
据
(
す
)
ゑ、其の上へ茶道具と菓子とを
載
(
の
)
せてある物靜かさは、今まで村の若い
衆
(
しゆ
)
が底拔け騷ぎをしてゐた
室
(
へや
)
とも思はれなかつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
三栗
(
みつぐり
)
のような
眞中
(
まんなか
)
の枝の
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
鐵
(
てつ
)
づくりの
門
(
もん
)
の
柱
(
はしら
)
の、やがて
平地
(
へいち
)
と
同
(
おな
)
じに
埋
(
うづ
)
まつた
眞中
(
まんなか
)
を、
犬
(
いぬ
)
は
山
(
やま
)
を
乘
(
の
)
るやうに
入
(
はひ
)
ります。
私
(
わたし
)
は
坂
(
さか
)
を
越
(
こ
)
すやうに
續
(
つゞ
)
きました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
風呂敷
(
ふろしき
)
が
少
(
すこ
)
し
小
(
ちひ
)
さいので、
四隅
(
よすみ
)
を
對
(
むか
)
ふ
同志
(
どうし
)
繋
(
つな
)
いで、
眞中
(
まんなか
)
にこま
結
(
むす
)
びを
二
(
ふた
)
つ
拵
(
こしら
)
えた。
宗助
(
そうすけ
)
がそれを
提
(
さ
)
げた
所
(
ところ
)
は、
丸
(
まる
)
で
進物
(
しんもつ
)
の
菓子折
(
くわしをり
)
の
樣
(
やう
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ぐら/\する、そしてあのはてしのない
混沌
(
こんとん
)
の
眞中
(
まんなか
)
へ、まつさかさまに落ちる、さう思つたとき、心は震へ上つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
『
今
(
いま
)
から
其樣
(
そんな
)
に
弱
(
よわ
)
つては
駄目
(
だめ
)
だ、
何
(
な
)
んでも
今夜
(
こんや
)
はあの
深林
(
しんりん
)
の
眞中
(
まんなか
)
で
夜
(
よ
)
を
明
(
あか
)
す
覺悟
(
かくご
)
だ。』と
元氣
(
げんき
)
よく
言放
(
いひはな
)
つて
立上
(
たちあが
)
り、
疲
(
つか
)
れたる
水兵
(
すいへい
)
に
代
(
かわ
)
つて
鐵車
(
てつしや
)
の
運轉
(
うんてん
)
を
始
(
はじ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そればかりではなく、
冠
(
かんむり
)
の
眞中
(
まんなか
)
からは
鳥
(
とり
)
の
羽根
(
はね
)
に
似
(
に
)
た
長
(
なが
)
い
金
(
きん
)
の
飾
(
かざ
)
りが
後
(
うしろ
)
の
方
(
ほう
)
に
立
(
た
)
ち、また
冠
(
かんむり
)
の
兩側
(
りようがは
)
からも
金
(
きん
)
の
飾
(
かざ
)
りがぶら
下
(
さが
)
つて、その
端
(
はし
)
に
勾玉
(
まがたま
)
がついてゐるといふ、すばらしい
立派
(
りつぱ
)
な
金
(
きん
)
の
冠
(
かんむり
)
なのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
眞中
(
まんなか
)
のその中の土を
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
眞中
(
まんなか
)
の
卓子
(
テエブル
)
を
圍
(
かこ
)
んで、
入亂
(
いりみだ
)
れつゝ
椅子
(
いす
)
に
掛
(
か
)
けて、
背嚢
(
はいなう
)
も
解
(
と
)
かず、
銃
(
じう
)
を
引
(
ひき
)
つけたまゝ、
大皿
(
おほざら
)
に
裝
(
よそ
)
つた、
握飯
(
にぎりめし
)
、
赤飯
(
せきはん
)
、
煮染
(
にしめ
)
をてん/″\に
取
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら
瓜井戸
(
うりゐど
)
の
野
(
の
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
一人
(
ひとり
)
で
頭
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつと
)
すると、する/\と
霞
(
かすみ
)
が
伸
(
の
)
びるやうに、
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが、
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
まはりに
絡
(
からま
)
つて
啼
(
な
)
く
猫
(
ねこ
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
へ
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……こゝの
此
(
こ
)
の
書棚
(
しよだな
)
の
上
(
うへ
)
には、
花
(
はな
)
は
丁
(
ちやう
)
ど
插
(
さ
)
してなかつた、——
手附
(
てつき
)
の
大形
(
おほがた
)
の
花籠
(
はなかご
)
と
並
(
なら
)
べて、
白木
(
しらき
)
の
桐
(
きり
)
の、
軸
(
ぢく
)
ものの
箱
(
はこ
)
が
三
(
み
)
ツばかり。
其
(
そ
)
の
眞中
(
まんなか
)
の
蓋
(
ふた
)
の
上
(
うへ
)
に……
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手
(
て
)
を
緊
(
し
)
めて、
差窺
(
さしうかゞ
)
ふ、
母屋
(
おもや
)
の、
遠
(
とほ
)
く
幽
(
かすか
)
なやうな
帳場
(
ちやうば
)
から、
明
(
あかり
)
の
末
(
すゑ
)
が
茫
(
ばう
)
と
屆
(
とゞ
)
く。
池
(
いけ
)
に
面
(
めん
)
した
大廣間
(
おほひろま
)
、
中
(
なか
)
は四五十
疊
(
でふ
)
と
思
(
おも
)
はるゝ、
薄暗
(
うすぐら
)
い
障子
(
しやうじ
)
の
數
(
かず
)
の
眞中
(
まんなか
)
あたり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら、
瓜井戸
(
うりゐど
)
の
野
(
の
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
一人
(
ひとり
)
で
頭
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつ
)
とすると、する/\と
霞
(
かすみ
)
が
伸
(
の
)
びるやうに、
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが、
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
まはりに
絡
(
からま
)
つて
鳴
(
な
)
く
猫
(
ねこ
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
へ
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
で、
人通
(
ひとどほ
)
りは
少
(
すくな
)
し、
日向
(
ひなた
)
の
眞中
(
まんなか
)
を
憚
(
はゞか
)
る
處
(
ところ
)
もなく、
何
(
なに
)
しろ、
御院殿
(
ごゐんでん
)
の
方
(
はう
)
へ
眞直
(
まつすぐ
)
だ、とのん
氣
(
き
)
に
歩行
(
ある
)
き
出
(
だ
)
す。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
板戸
(
いたど
)
一
(
ひと
)
つが
直
(
す
)
ぐ
町
(
まち
)
の、
店
(
みせ
)
の八
疊
(
でふ
)
、
古疊
(
ふるだたみ
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
机
(
つくゑ
)
を
置
(
お
)
いて
對向
(
さしむか
)
ひに、
洋燈
(
ランプ
)
に
額
(
ひたひ
)
を
突合
(
つきあ
)
はせた、
友達
(
ともだち
)
と
二人
(
ふたり
)
で、
其
(
そ
)
の
國
(
くに
)
の
地誌略
(
ちしりやく
)
と
云
(
い
)
ふ、
學校
(
がくかう
)
の
教科書
(
けうくわしよ
)
を
讀
(
よ
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一面
(
いちめん
)
に
草
(
くさ
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
曠野
(
あらの
)
と
云
(
い
)
つた
場所
(
ばしよ
)
で、
何故
(
なぜ
)
に
一度
(
いちど
)
は
人家
(
じんか
)
の
庭
(
には
)
だつたか、と
思
(
おも
)
はれたと
云
(
い
)
ふのに、
其
(
そ
)
の
沼
(
ぬま
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
拵
(
こしら
)
へたやうな
中島
(
なかじま
)
の
洲
(
す
)
が
一
(
ひと
)
つ
有
(
あ
)
つたからです。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久
(
ひさ
)
しい
以前
(
いぜん
)
だけれども、
今
(
いま
)
も
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
一度
(
いちど
)
は
本郷
(
ほんがう
)
龍岡町
(
たつをかちやう
)
の、あの
入組
(
いりく
)
んだ、
深
(
ふか
)
い
小路
(
こうぢ
)
の
眞中
(
まんなか
)
であつた。
一度
(
いちど
)
は
芝
(
しば
)
の、あれは
三田
(
みた
)
四國町
(
しこくまち
)
か、
慶應大學
(
けいおうだいがく
)
の
裏
(
うら
)
と
思
(
おも
)
ふ
高臺
(
たかだい
)
であつた。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
眞中
(
まんなか
)
を
結
(
ゆは
)
へた
包
(
つゝみ
)
を
見
(
み
)
せる、と
旅
(
たび
)
と
知
(
し
)
つて
早
(
は
)
や
顏色
(
かほいろ
)
の
變
(
かは
)
る
氣
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
いのを、
奴
(
やつこ
)
は
附目
(
つけめ
)
で
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さゝ
身
(
み
)
の
煮
(
に
)
くたらしを、ほう/\と
吹
(
ふ
)
いてうまがつて、
燒豆府
(
やきどうふ
)
ばかりを
手元
(
てもと
)
へ
取込
(
とりこ
)
み、
割前
(
わりまへ
)
の
時
(
とき
)
は、
鍋
(
なべ
)
の
中
(
なか
)
の
領分
(
りやうぶん
)
を、
片隅
(
かたすみ
)
へ、
群雄割據
(
ぐんゆうかつきよ
)
の
地圖
(
ちづ
)
の
如
(
ごと
)
く
劃
(
しき
)
つて、
眞中
(
まんなか
)
へ
埋
(
うめ
)
た
臟
(
ざう
)
もつを
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蛇
(
くちなは
)
の
料理
(
れうり
)
鹽梅
(
あんばい
)
を
潛
(
ひそ
)
かに
見
(
み
)
たる
人
(
ひと
)
の
語
(
かた
)
りけるは、(
應
(
おう
)
)が
常住
(
じやうぢう
)
の
居所
(
ゐどころ
)
なる、
屋根
(
やね
)
なき
褥
(
しとね
)
なき
郷
(
がう
)
屋敷田畝
(
やしきたんぼ
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
銅
(
あかゞね
)
にて
鑄
(
い
)
たる
鼎
(
かなへ
)
(に
類
(
るゐ
)
す)を
裾
(
す
)
ゑ、
先
(
ま
)
づ
河水
(
かはみづ
)
を
汲
(
く
)
み
入
(
い
)
るゝこと
八分目
(
はちぶんめ
)
餘
(
よ
)
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
溜池
(
ためいけ
)
の
眞中
(
まんなか
)
あたりを、
頬冠
(
ほゝかむり
)
した、
色
(
いろ
)
のあせた
半被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た、
脊
(
せい
)
の
低
(
ひく
)
い
親仁
(
おやぢ
)
が、
腰
(
こし
)
を
曲
(
ま
)
げ、
足
(
あし
)
を
突張
(
つツぱ
)
つて、
長
(
なが
)
い
棹
(
さを
)
を
繰
(
あやつ
)
つて、
畫
(
ゑ
)
の
如
(
ごと
)
く
漕
(
こ
)
いで
來
(
く
)
る、
筏
(
いかだ
)
は
恰
(
あたか
)
も
人
(
ひと
)
を
乘
(
の
)
せて、
油
(
あぶら
)
の
上
(
うへ
)
を
辷
(
すべ
)
るやう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
(
いま
)
しがた、
永代橋
(
えいたいばし
)
を
渡
(
わた
)
つた
處
(
ところ
)
で、よしと
扉
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて、あの、
人
(
ひと
)
と
車
(
くるま
)
と
梭
(
ひ
)
を
投
(
な
)
げて
織違
(
おりちが
)
ふ、さながら
繁昌記
(
はんじやうき
)
の
眞中
(
まんなか
)
へこぼれて
出
(
で
)
て、
餘
(
あま
)
りその
邊
(
へん
)
のかはりやうに、ぽかんとして
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
であつた。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
亭主
(
ていしゆ
)
極
(
きは
)
めて
慇懃
(
いんぎん
)
に「えゝ(おかゆ)とは
何
(
ど
)
う
書
(
か
)
きますでせうか。」「あゝ、
其
(
そ
)
れはね、
弓
(
かう
)
、
弓
(
かう
)
やつて、
眞中
(
まんなか
)
へ
米
(
こめ
)
と
書
(
か
)
くんです。
弱
(
よわ
)
しと
間違
(
まちが
)
つては
不可
(
いけな
)
いのです。」
何
(
なん
)
と、
先生
(
せんせい
)
の
得意
(
とくい
)
想
(
おも
)
ふべし。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
與太坊
(
よたばう
)
、
父爺
(
ちやん
)
は
何事
(
なにごと
)
もねえよ。」と、
池
(
いけ
)
の
眞中
(
まんなか
)
から
聲
(
こゑ
)
を
懸
(
か
)
けて、おやぢは
小屋
(
こや
)
の
中
(
なか
)
を
覗
(
のぞ
)
かうともせず、
爪
(
つま
)
さきは
小波
(
さゝなみ
)
を
浴
(
あ
)
ぶるばかり
沈
(
しづ
)
むだ
筏
(
いかだ
)
を
棹
(
さを
)
さして、
此
(
この
)
時
(
とき
)
また
中空
(
なかぞら
)
から
白
(
しろ
)
い
翼
(
つばさ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
後
(
あと
)
なる
一人
(
ひとり
)
は、
中脊
(
ちうぜい
)
の
細
(
ほそ
)
い
男
(
をとこ
)
で、
眞中
(
まんなか
)
の、
其
(
そ
)
の
盲目婦
(
めくらをんな
)
の
髮
(
かみ
)
の
影
(
かげ
)
にも
隱
(
かく
)
れさうに、
帶
(
おび
)
に
體
(
からだ
)
を
附着
(
くツつ
)
けて
行違
(
ゆきちが
)
つたのであるから、
形
(
なり
)
、
恰好
(
かつかう
)
、
孰
(
ど
)
れも
判然
(
はつきり
)
としない
中
(
なか
)
に、
此
(
こ
)
の三
人目
(
にんめ
)
のが
就中
(
なかんづく
)
朧
(
おぼろ
)
に
見
(
み
)
えた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
船
(
ふね
)
で
行
(
ゆ
)
くやうに
其
(
そ
)
の
連中
(
れんぢう
)
、
大手
(
おほて
)
の
眞中
(
まんなか
)
を
洋傘
(
かうもり
)
の
五色
(
ごしき
)
の
波
(
なみ
)
で
通
(
とほ
)
りました。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞
部首:⽬
10画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“眞中”で始まる語句
眞中央
眞中頃