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屋敷田畝
其川幅最も
廣く、
町に
最も
近く、
野の
稍狹き
處を
郷屋敷田畝と
稱へて、
雲雀の
巣獵、
野草摘に
妙なり。
されば
郷屋敷田畝は
市民のために
天工の
公園なれども、
隱然(
應)が
支配する
所となりて、
猶餅に
黴菌あるごとく、
薔薇に
刺あるごとく、
渠等が
居を
恣にする
間は
されば
爰に
忌むべく
恐るべきを(おう)に
譬へて、
假に(
應)といへる
一種異樣の
乞食ありて、
郷屋敷田畝を
徘徊す。
驚破「
應」
來れりと
叫ぶ
時は、
幼童婦女子は
遁隱れ、
孩兒も
怖れて
夜泣を
止む。