汽車きしや)” の例文
誠に有難ありがたい事で、わたくしもホツといきいて、それから二の一ばん汽車きしや京都きやうと御随行ごずゐかうをいたして木屋町きやちやう吉富楼よしとみろうといふうちまゐりました
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これしかしながら汽車きしやがやがて飛行機ひかうきつて、愛宕山あたごやまから大阪おほさかそらかけ前表ぜんぺうであらう。いや、割床わりどこかた、……澤山たんとおしげりなさい。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ二人ふたり七條しちでうまで見送みおくつて、汽車きしやまでへやなか這入はいつて、わざと陽氣やうきはなしをした。プラツトフオームへりたときまどうちから
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
明治十二年めいじじゆうにねんふね横濱よこはまきまして、そのころ出來できてゐました汽車きしや東京とうきよう途中とちゆう汽車きしやまどからそこらへん風景ふうけいながめてをりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
此際このさい鐵道橋梁てつどうきようりようくだ汽車きしやともさらはれてしまつたが、これは土砂どさうづまつたまゝ海底かいていまでつてかれたものであることがわかつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
するともなくすさまじいおとをはためかせて、汽車きしや隧道トンネルへなだれこむと同時どうじに、小娘こむすめけようとした硝子戸ガラスどは、とうとうばたりとしたちた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
十四あさぼく支度したく匆々そこ/\宿やどした。銀座ぎんざ半襟はんえりかんざし其他そのたむすめよろこびさうなしなとゝのへて汽車きしやつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はじめ、あいちやんはかくうみなかちたんだとおもつて、『そんなら汽車きしやつてかへれるわ』と獨語ひとりごとひました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
電車でんしやし、汽車きしや大森おほもりまでく。それからくるまはしらせるなど、却々なか/\手間取てまとるのだが、それでもく。
はるゆめのうきはし、とえするよこぐものそら東京とうけうおもちて、みちよりもあれば新宿しゆじゆくまでは腕車くるまがよしといふ、八王子わうじまでは汽車きしやなか、をりればやがて馬車ばしやにゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なほ人智じんちがいよ/\發達はつたつ人口じんこうがどん/\すにつれて、最後さいごには奧山おくやままでもつて家屋かおく橋梁きようりよう器具きぐ機械きかい汽車きしや電車でんしや鐵道てつどう枕木まくらぎ電信でんしん電話でんわはしらといふように
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
さううまつて、さも自慢じまんさうにくびについてすゞらしてせました。とうさんのおうちまへ木曾街道きそかいだうつて、鐵道てつだう汽車きしやもない時分じぶんにはみんなそのみちあるいてとほりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
車室しやしつうちはさのみ不潔ふけつ人間計にんげんばかりではなかつたが、ミハイル、アウエリヤヌヰチはすぐ人々ひと/″\懇意こんいになつてたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまはあるいて、大聲おほごゑで、這麼不都合こんなふつがふきはま汽車きしやいとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
汽車きしやる、汽車きしやる、真黒まくろげに夢とどろかし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と見る、またが乗る汽車きしや
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ポツポ/\と汽車きしや
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
一体いつたい東海道とうかいだう掛川かけがは宿しゆくからおなじ汽車きしやんだとおぼえてる、腰掛こしかけすみかうべれて、死灰しくわいごとひかへたから別段べつだんにもまらなかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もう地獄ぢごくへも汽車きしや出来できたかえ、おどろいたね。甲「へえゝどうも旦那だんな、誠にしばらく……。岩「いやア、アハヽヽこれは吉原よしはら幇間たいこもち民仲みんちうだね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし汽車きしやはその時分じぶんには、もう安安やすやす隧道トンネルすべりぬけて、枯草かれくさやまやまとのあひだはさまれた、あるまづしいまちはづれの踏切ふみきりにとほりかかつてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この博物館はくぶつかんには電車でんしやのことでも、汽車きしやのことでも、飛行機ひこうきのことでも、潜水艦せんすいかんのことでも、らぢおのことでも、また鑛山こうざんのこと、印刷いんさつのこと
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
御米およね善良ぜんりやうをつと調戯からかつたのを、多少たせうまないやうかんじた。宗助そうすけその翌日あくるひすぐもらつていた紹介状せうかいじやうふところにして、新橋しんばしから汽車きしやつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
前夜ぜんやあめはれそら薄雲うすぐも隙間あひまから日影ひかげもれてはるものゝ梅雨つゆどきあらそはれず、天際てんさいおも雨雲あまぐもおほママかさなつてた。汽車きしや御丁寧ごていねい各驛かくえきひろつてゆく。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勝沼かつぬままちとても東京こゝにての塲末ばすゑぞかし、甲府かうふ流石さすが大厦高樓たいかかうろう躑躅つつじさき城跡しろあとなどところのありとはへど、汽車きしや便たよりよきころにならばらず、ことさら馬車腕車ばしやくるまに一晝夜ちうやをゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
強盜がうとう間違まちがへられた憤慨ふんがいまぎれに、二人ふたりはウン/\あせしぼりながら、一みちさかい停車場ていしやばで、其夜そのよ汽車きしやつて、品川しながはまでかへつたが、新宿しんじゆく乘替のりかへで、陸橋ブリツチ上下じやうげしたときくるしさ。
汽車きしや電車でんしやくところが今日こんにちのステエシヨンなら、うまかごいたとうさんのむらむかし木曾街道きそかいだう時分じぶんのステエシヨンのあつたところです。ほら、何々なに/\えきといふことをよくふではりませんか。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
汽車きしや經濟けいざいために三とうで、喫烟きつえん客車かくしやつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
汽車きしやにしてさてはきく、かれゆく子らの啼声なきごゑ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
汽車きしや物憂ものうげに
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
一杯いつぱい……無事ぶじ直江津なほえつ上陸じやうりくしたが、時間じかんによつて汽車きしや長野ながのまつた。扇屋あふぎやだつたか、藤屋ふぢやだつたか、土地とちほしくらかつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝは釜山ふざんから京城けいじよう汽車きしやつて、一時間いちじかんばかりで大邱たいきゆうき、そこで下車げしやして自動車じどうしやひがしほう三四時間さんよじかんはしるとすぐかれるところです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
宗助そうすけはそれを洋服やうふく内懷うちぶところんで汽車きしやつた。約束やくそく興津おきつたときかれ一人ひとりでプラツトフオームへりて、細長ほそなが一筋町ひとすぢまち清見寺せいけんじはうあるいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、小娘こむすめわたくし頓著とんぢやくする氣色けしきえず、まどからそとくびをのばして、やみかぜ銀杏返いてふがへしのびんそよがせながら、ぢつと汽車きしやすす方向はうかうやつてゐる。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何方どつちつても造作ざうさりません、きですよ。岩「それでも極楽ごくらくは十まん億土おくどだとふぢやアないか。重「其処そこ停車場ステンシヨンりますから、汽車きしやに乗れば、すうツときにかれますよ。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
或人あるひと義母おつかさん脊後うしろからその脊中せなかをトンとたゝいて『義母おつかさん!』とさけんだら『オヽ』とおどろいて四邊あたりをきよろ/\見廻みまはしてはじめて自分じぶん汽車きしやなかること、旅行りよかうしつゝあることにくだらう。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くして四ごろ發掘はつくつめ、同邸どうていし、公爵こうしやく汽車きしやにて歸京ききやうせられ、博士はかせ水谷氏みづたにしとは、とも權現臺ごんげんだい遺跡ゐせきまはり、それから、わが太古遺物陳列所たいこゐぶつちんれつじよ立寄たちよつて、飯田氏いひだし採集品さいしふひんを一けん
血にえて汽車きしや鳴きぐる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昨日きのふ碓氷うすひ汽車きしやりて、たうげ權現樣ごんげんさままうでたとき、さしかゝりでくるまりて、あとを案内あんないつた車夫しやふに、さびしい上坂のぼりざかかれたづねた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けなさいまし、らツしやいました、さ此方こちらへ、汽車きしやの出るにはちつとあひりますよ、いま極楽ごくらくが出ましたあとでございます、これから地獄行ぢごくゆきが出ます。岩「めうだね、へえゝ、感心だね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
望蜀生ぼうしよくせい完全くわんぜんなる土器どきふた掘出ほりだしてたので、きふきたいり、三十六ねん十二ぐわつ十四に、幻花翁げんくわおう望蜀生ぼうしよくせい玄川子げんせんしとの四人連にんづれ品川しながはから汽車きしや鶴見つるみ、それから一里弱りじやく下末吉村しもすゑよしむらへとつた。
汽車きしや大磯おほいそるとぐ(吾等われら二人ふたりぎりになつたので)
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さかづきをさめるなり汽車きしやつていへ夫婦ふうふ身体からだは、人間にんげんだかてふだか区別くべつかない。遥々はる/″\た、とはれてはなんとももつきまりわるい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今度こんどたびは、一體いつたいはじめは、仲仙道線なかせんだうせん故郷こきやういて、其處そこで、一事あるようすましたあとを、姫路行ひめぢゆき汽車きしや東京とうきやうかへらうとしたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひとはしるもの汽車きしやず、ぶものとりず、およぐものうをず、なるもの廂髮ひさしがみざるゆゑて、ちくらがをきとなすなかれ。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、いづれにも、しかも、なかにも恐縮きようしゆくをしましたのは、汽車きしややくつた一にんとして、驛員えきゐんこと驛長えきちやうさんの御立會おたちあひつたことでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのも、一きやうきつして時計とけいた。はり相違さうゐなく十一其処そこをさして、汽車きしやせつゝあるまゝにセコンドをきざむでる。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……二人ふたり三人さんにん乘組のりくんだのも何處どこへかえたやうに、もう寂寞ひつそりする。まくつてとびらろした。かぜんだ。汽車きしや糠雨ぬかあめなか陰々いん/\としてく。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
汽車きしやさかさまちてまない。けむりいのがいはくづして、どろき/\、なみのやうなつちあふつて、七轉八倒しちてんばつたうあがきもだゆる。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
汽車きしや新橋しんばし昨夜さくや九時半くじはんつて、今夕こんせき敦賀つるがはいらうといふ、名古屋なごやでは正午ひるだつたから、めし一折ひとをりすしかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
豐岡とよをかからあひだ夕雲ゆふぐも低迷ていめいして小浪さゝなみ浮織うきおりもんいた、漫々まん/\たる練絹ねりぎぬに、汽車きしやまどからをのばせば、あし葉越はごしに、さはるとれさうなおもひとほつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むねれたやうにうなづいてつたが、汽車きしやられていさゝかの疲勞つかれまじつて、やまうつくしさにせられて萎々なえ/\つた、歎息ためいきのやうにもきこえた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)