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葉越
豐岡から
來る
間、
夕雲の
低迷して
小浪に
浮織の
紋を
敷いた、
漫々たる
練絹に、
汽車の
窓から
手をのばせば、
蘆の
葉越に、
觸ると
搖れさうな
思で
通つた。
驚破、障子を
推開きて、貫一は露けき庭に
躍り下りぬ。つとその
迹に
顕れたる満枝の
面は、
斜に
葉越の月の
冷き影を帯びながらなほ火の如く燃えに燃えたり。
二人は身のふり方に
就いて相談しはじめた。
竹の
葉越には二つ三つの星が淋しそうにまたたいていた。