つく)” の例文
新字:
きに病氣びやうきとばかりおもひぬれば、よしらうかぎりもなくいたましくて、醫者いしやにかゝれの、くすりめのと悋氣りんきわすれて此事このことこゝろつくしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左樣さよう不肖ふつゝかながら、この櫻木さくらぎ畢世ひつせいちからつくして、わが帝國海軍ていこくかいぐんめに、前代未聞ぜんだいみもんある有力いうりよくなる軍器ぐんき製造せいぞう着手ちやくしゆしてるのです。
捨るぞや強面つれなきおやうらみなせぞたゞ此上は善人よきひとに拾ひ上られ成長せば其人樣を父母と思ひて孝行かうかうつくすべしと暫時しばし涙にくれたりしがかゝる姿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
非常時ひじようじ消防施設しようぼうしせつについてはべつ其局そのきよくあたひとがあるであらう。たゞわれ/\は現状げんじようおい最善さいぜんつく工夫くふうをしなければならぬ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
新聞しんぶん今朝けさまへつくしてしまつたし、ほん元氣げんきもなし、ねむくもなし、喋舌しやべ對手あひてもなし、あくびもないし、さてうなると空々然くう/\ぜん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かれたゞそのくせしたらしてごくりとつばむのみであつた。つぎあさつて酒氣しゆきこと/″\かれ身體からだから發散はつさんつくしたらかれ平生へいぜい卯平うへいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今ここに、その時訪ねた修道院の印象なり感じなりを述べることは、既に「修道院の秋」の中に書きつくしたことであるから、はぶくことにしたい。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なほ此後こののちもこれにつくさんのれうにせまほしとておのれにそのよしはしかきしてよとこはれぬかゝるかたこゝろふかうものしたまへるを
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
またあへ(五八)横失わういつしてつくすのかたきにあらざるなりおよぜいかたきは、(五九)ところこころつて(六〇)ぜいもつこれきにり。
べうすなりふ幾億萬年いくおくまんねんのちには、大陸たいりくひたつくさうとするところみづで、いまも、瞬間しゆんかんのちも、咄嗟とつさのさきも、まさしかなすべくはたらいてるのであるが
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
裏二階は六疊と四疊半、孫三郎は主人の義弟で店の支配をしてをり、かなり存分に暮してゐたらしく、調度の末までも、なか/\にぜいつくしてをります。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
何も是ほどまで気に掛けるには及ばぬ事柄かは知らぬが斯う落も無く取り計ろうが余の流儀で、何事にもつくす丈の手を盡さねば気が済まぬから仕方が無い。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
時頼を無常と觀じては、何恨むべき物ありとも覺えず、武士を去り、弓矢を捨て、君に離れ、親を辭し、一切衆縁を擧げつくして戀てふ惡魔の犧牲にそな
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
おほいなる都會をうづつくさうとする埃!………其の埃は今日も東京の空にみなぎツて、目路めじはてはぼやけて、ヂリ/″\り付ける天日てんぴがされたやうになツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
……さよなら。眞實しんじつつくしておくりゃれ、きっと骨折ほねをりむくひはせう。さらば。ひめよろしうつたへてくだされ。
これはわざといひつくさなかつたといふより、いひつくしたゞけでは滿足まんぞく出來できなかつたので、かういふ尻切しりきれとんぼのようになつてゐるのですが、かへってひとこゝろ
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ことふゆしたからはるあたまもたげる時分じぶんはじまつて、つくしたさくらはな若葉わかばいろへるころをはつた。すべてが生死しやうしたゝかひであつた。青竹あをだけあぶつてあぶらしぼほどくるしみであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はゞかれむかしいままつたうたつくされぬうたを、不順序ふじゆんじよに、不調和ふてうわ組立くみたてるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それで西面せいめん横穴よこあなには斷念だんねんして、山頂さんてう主墳探しゆふんさがしに全力ぜんりよくつくこととなつたが、相變あひかはらず埴輪圓筒はにわゑんとう破片はへんや、埴輪土馬はにわどば破片等はへんとうくらゐで、さら石槨せきくわく突當つきあたらぬ。如何どう古墳こふんいらしい。
南洲はいんかいせず、ひて之をつくす、たちま酩酊めいていして嘔吐おうどせきけがす。東湖は南洲の朴率ぼくそつにしてかざるところなきを見てはなはだ之をあいす。嘗て曰ふ、他日我が志をぐ者は獨此の少年子のみと。
つくしてされうづるにても
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
じつ言語げんごつくあたはず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
さづたまふ所ならん然るに久八は養父五兵衞につかふることむかしまさりて孝行をつくみせの者勝手元の下男に至る迄あはれみをかけ正直しやうぢき實義じつぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それより、わたくし武村兵曹たけむらへいそうとは、艦中かんちう一同いちどうからふでにもことばにもつくされぬ優待いうたいけて、印度洋インドやう波濤はたうつて、コロンボのみなとへとすゝんでく。
後向うしろむきにりてなほ鼻緒はなをこゝろつくすとせながら、なかば夢中むちう此下駄このげたいつまでかゝりてもけるやうにはらんともせざりき。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
與吉よきち紙包かみづゝみの小豆飯あづきめしつくしてしばらくにはさわぎをたがれううち㷀然ぽつさりとして卯平うへい見出みいだして圍爐裏ゐろりちかせまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひととなれ』とは先生せんせい訓言くんげんでした。ひと碌々ろく/\としてぬべきでない、ちからかぎりつくして、英雄えいゆう豪傑がうけつとなるを本懷ほんくわいとせよとは其倫理そのりんりでした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
また人工じんこうたくみなるも、造化ざうくわにはくべからず、自然しぜん佳味かみひとつくらじ、されば、鳥籠とりかごつくし、こゝろつくしてふとも、いかで鳥類てうるゐこゝろかなふべき。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きみこれきてこれけんとしていはく、「かうなるかな、ははめのゆゑ刖罪げつざいをかせり」と。きみ果園くわゑんあそぶ。彌子びしももくらうてあまし。((彌子))つくさずしてきみたてまつる。
大地震だいぢしん遭遇そうぐうして最初さいしよ一分間いつぷんかん無事ぶししのたとし、また餘震よしん地割ぢわれはおそれるにらないものとのさとりがついたならば、其後そのご災害防止さいがいぼうしについて全力ぜんりよくつくすことが出來できよう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
修道院の莊嚴さうごんな、神祕しんぴ清淨せいじやう雰圍氣ふんゐきが私のすべてを薫染くんせんつくしてゐたのであつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
宗助そうすけ手際てぎはでは、室内しつない煖爐だんろける設備せつびをするだけでも容易よういではなかつた。夫婦ふうふはわが時間じかん算段さんだんゆるかぎりをつくして、專念せんねん赤兒あかごいのちまもつた。けれどもすべては徒勞とらうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おゝ、これが電光いなづまはれようか?……おゝ、戀人こひびとよ! 我妻わがつまよ! そなたいきみつつくした死神しにがみも、そなた艶麗あてやかさにはたいでか、その蒼白あをじろ旗影はたかげはなうて旗章はたじるしあざやこのくちびるこの兩頬りゃうほゝ
天の羽衣はごろも撫でつくすらんほど永き悲しみに、只〻一時ひとときの望みだにかなはざる。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
うしてうちに、松下しようか南面なんめんはう大概たいがいつくしてしまつた。は九ぐわつ幻翁げんおう佛子ぶつしの二にんともつて、らうとしたが、あなは、まつ根方ねかたまで喰入くひいつてしまつて、すゝこと出來できぬ。
萬葉集まんにようしゆうには、まだ/\上手じようずひとが、たくさんにゐます。だが日本につぽんうた歴史れきしは、とてもわたしのためにあたへられた紙數しすうではつくすことは出來できないので、このへんでげて、つぎの時代じだいうつります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
平次は言葉をつくしました。
いかほど手立てだてつくされ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
そつちからもこつらからもれがかぞへられた。左手さしゆゆびが二げて二おこされてもつくせなかつた。勿論もちろんしまひには配偶はいぐうけたものまで僂指るしされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れはきみ幸福しやわせなれかし、すこやかなれかしといのりて此長このながをばつくさんには隨分ずいぶんとも親孝行おやこう/\にてあられよ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日本帝國につぽんていこくのため、帝國海軍ていこくかいぐんのため、また櫻木大佐さくらぎたいさ光譽くわうよのために、我等われら全力ぜんりよくつくして電光艇でんくわうてい應援おうえんおもむきませう。
ひと人以上ひといじやうものになることは出來できない、しかひとひと能力のうりよく全部ぜんぶつくすべき義務ぎむもつる。此義務このぎむつくせばすなは英雄えいゆうである、これが先生せんせい英雄經えいゆうきやうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つくしたれど定業ぢやうごふのがれ難く母は空敷むなしくなりにけり兵助の愁傷しうしやう大方ならずされなげき甲斐かひ無事なきことなれば泣々も野邊の送りより七々四十九日のいとなみもいとねんごろにとふらひける。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君御用きみごようしななれば費用ひようかまはずいそつくりてまゐらすべしとめいじてより七日なのか出來しゆつたいしけるを、御居室おんゐまえん舁据かきすゑたるが、善美ぜんびつくして、おどろかすばかりなりけり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文矦ぶんこう呉起ごきへいもちひ・(七五)廉平れんぺいにしてのうつくこころたるをもつて、すなはもつ西河せいがしゆし、もつしんかんふせがしむ。文矦ぶんこうすでしゆつす。其子そのこ武矦ぶこうつかふ。
宗助そうすけには宜道ぎだう意味いみがよくわからなかつた。かれこの生若なまわかあをあたまをしたばうさんのまへつて、あたかも一低能兒ていのうじであるかのごと心持こゝろもちおこした。かれ慢心まんしん京都きやうと以來いらいすで銷磨せうまつくしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
言葉ことばではつくされぬ不幸ふしあはせぢゃ。……なう、父樣とゝさま母樣はゝさま何處どこにぢゃ。
大學だいがく人類學教室じんるゐがくけうしつ帝室博物館ていしつはくぶつくわん此所こゝには貴重きちやうなる標本ひやうほんすくなからずあつめめられ、またあつめられつゝあるが、しかしながら、たん石器時代せききじだい遺物ゐぶつにのみ、大學だいがくなり博物館はくぶつくわんなりが、全力ぜんりよくつくされるといふこと
ひなも都も怨嗟の聲にち、天下の望み既に離れて、衰亡の兆漸く現はれんとすれども、今日けふよろこびに明日あすの哀れを想ふ人もなし。盛者必衰のことわりとは謂ひながら、權門の末路、中々に言葉にもつくされね。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
あとたれにもかんぜられることだから、いひつくさなかつたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)