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涼
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すゞ
ふりがな文庫
“
涼
(
すゞ
)” の例文
建續
(
たてつゞ
)
く
家
(
いへ
)
は、なぞへに
向
(
むか
)
うへ
遠山
(
とほやま
)
の
尾
(
を
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
其方此方
(
そちこち
)
の、
庭
(
には
)
、
背戸
(
せど
)
、
空地
(
あきち
)
は、
飛々
(
とび/\
)
の
谷
(
たに
)
とも
思
(
おも
)
はれるのに、
涼
(
すゞ
)
しさは
氣勢
(
けはひ
)
もなし。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かうして
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
の
空氣
(
くうき
)
は、
常
(
つね
)
に
林
(
はやし
)
の
外
(
そと
)
と
比
(
くら
)
べて、
晝間
(
ちゆうかん
)
は
涼
(
すゞ
)
しく、
夜間
(
やかん
)
は
温
(
あたゝ
)
かで、
從
(
したが
)
つて
晝
(
ひる
)
と
夜
(
よる
)
とで
氣温
(
きおん
)
が
急
(
きゆう
)
に
變
(
かは
)
ることを
和
(
やは
)
らげます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
其晩
(
そのばん
)
宗助
(
そうすけ
)
は
裏
(
うら
)
から
大
(
おほ
)
きな
芭蕉
(
ばせう
)
の
葉
(
は
)
を二
枚
(
まい
)
剪
(
き
)
つて
來
(
き
)
て、それを
座敷
(
ざしき
)
の
縁
(
えん
)
に
敷
(
し
)
いて、
其上
(
そのうえ
)
に
御米
(
およね
)
と
並
(
なら
)
んで
涼
(
すゞ
)
みながら、
小六
(
ころく
)
の
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
眞中
(
まんなか
)
には
庭園
(
ていえん
)
があり、
噴水
(
ふんすい
)
が
絶
(
た
)
えず
水
(
みづ
)
を
噴
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、あたりには
青々
(
あを/\
)
と
繁
(
しげ
)
つた
庭木
(
にはき
)
も
植
(
う
)
ゑてあり、
熱
(
あつ
)
い
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
でも
涼
(
すゞ
)
しい
感
(
かん
)
じを
與
(
あた
)
へ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
良夜
(
れうや
)
とは
今宵
(
こよひ
)
ならむ。今宵は
陰暦
(
いんれき
)
七月十五夜なり。
月清
(
つきゝよ
)
く、
風
(
かぜ
)
涼
(
すゞ
)
し。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
田舎
(
ゐなか
)
は
涼
(
すゞ
)
しい
涼
(
すゞ
)
しいな。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一時頃
(
いちじごろ
)
まで、
皆
(
みな
)
戸外
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
て
涼
(
すゞ
)
んで
居
(
ゐ
)
て、
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふ
騷
(
さわ
)
ぎ
方
(
かた
)
だらう、
何故
(
なぜ
)
あゝだらう、
烏
(
からす
)
や
梟
(
ふくろ
)
に
驚
(
おどろ
)
かされるたつて、のべつに
騷
(
さわ
)
ぐ
譯
(
わけ
)
はない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
少
(
すこ
)
し
傾
(
かた
)
むきかけた
初秋
(
はつあき
)
の
日
(
ひ
)
が、じり/\
二人
(
ふたり
)
を
照
(
て
)
り
付
(
つ
)
けたのを
記憶
(
きおく
)
してゐた。
御米
(
およね
)
は
傘
(
かさ
)
を
差
(
さ
)
した
儘
(
まゝ
)
、それ
程
(
ほど
)
涼
(
すゞ
)
しくもない
柳
(
やなぎ
)
の
下
(
した
)
に
寄
(
よ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
春
(
はる
)
、
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
くのが
見
(
み
)
たく、
夏
(
なつ
)
の
暑
(
あつ
)
いときに
涼
(
すゞ
)
しい
木蔭
(
こかげ
)
が
欲
(
ほ
)
しい
以上
(
いじよう
)
は、
庭
(
には
)
の
木
(
き
)
でも、
町
(
まち
)
のなみ
木
(
き
)
でも、
同
(
おな
)
じように
可愛
(
かわい
)
がつてやらねばなりません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
冬
(
ふゆ
)
は
暖
(
あたゝか
)
くて
夏
(
なつ
)
は
涼
(
すゞ
)
しいので、
住居
(
じゆうきよ
)
には
申
(
まを
)
し
分
(
ぶん
)
がないといふことです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
唯
(
たゞ
)
見
(
み
)
る、
日本橋
(
にほんばし
)
檜物町
(
ひものちやう
)
藤村
(
ふぢむら
)
の
二十七疊
(
にじふしちでふ
)
の
大廣間
(
おほひろま
)
、
黒檀
(
こくたん
)
の
大卓
(
だいたく
)
のまはりに、
淺葱絽
(
あさぎろ
)
の
座蒲團
(
ざぶとん
)
を
涼
(
すゞ
)
しく
配
(
くば
)
らせて、
一人
(
ひとり
)
第一番
(
だいいちばん
)
に
莊重
(
さうちよう
)
に
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御米
(
およね
)
は
茶器
(
ちやき
)
を
引
(
ひ
)
いて
臺所
(
だいどころ
)
へ
出
(
で
)
た。
夫婦
(
ふうふ
)
はそれぎり
話
(
はなし
)
を
切
(
き
)
り
上
(
あ
)
げて、
又
(
また
)
床
(
とこ
)
を
延
(
の
)
べて
寐
(
ね
)
た。
夢
(
ゆめ
)
の
上
(
うへ
)
に
高
(
たか
)
い
銀河
(
あまのがは
)
が
涼
(
すゞ
)
しく
懸
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ばなゝの
木
(
き
)
を
東京
(
とうきよう
)
にもつて
來
(
き
)
て
植
(
う
)
ゑてもそのまゝでは
實
(
み
)
はなりません。また
涼
(
すゞ
)
しい
奧羽地方
(
おううちほう
)
に
出來
(
でき
)
る
林檎
(
りんご
)
や
櫻桃
(
おうとう
)
は
暖
(
あたゝ
)
かい
九州地方
(
きゆうしゆうちほう
)
では
植
(
う
)
ゑてもよく
育
(
そだ
)
ちません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
あゝ、あの
柳
(
やなぎ
)
に、
美
(
うつくし
)
い
虹
(
にじ
)
が
渡
(
わた
)
る、と
見
(
み
)
ると、
薄靄
(
うすもや
)
に、
中
(
なか
)
が
分
(
わか
)
れて、
三
(
みつ
)
つに
切
(
き
)
れて、
友染
(
いうぜん
)
に、
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
を
被
(
か
)
けた、
派手
(
はで
)
に
涼
(
すゞ
)
しい
裝
(
よそほひ
)
の
婦
(
をんな
)
が三
人
(
にん
)
。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「失敬だが、もう一時間程して
来
(
き
)
てくれないか」と云つた。代助は帽子を取つて、又
暗
(
くら
)
い
埃
(
ほこり
)
だらけの階段を
下
(
お
)
りた。表へ
出
(
で
)
ると、
夫
(
それ
)
でも
涼
(
すゞ
)
しい風が吹いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「はあ、……」と、
聞
(
き
)
くのに
氣
(
き
)
の
入
(
はひ
)
つた
婦
(
をんな
)
の
顏
(
かほ
)
は、
途中
(
とちう
)
が
不意
(
ふい
)
に
川
(
かは
)
に
成
(
な
)
つたかと
思
(
おも
)
ふ、
涼
(
すゞ
)
しけれども
五月
(
ごぐわつ
)
半
(
なか
)
ばの
太陽
(
ひ
)
の
下
(
した
)
に、
偶
(
ふ
)
と
寂
(
さび
)
しい
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
した。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それ程
彼
(
かれ
)
は
命
(
いのち
)
を
鋭
(
するど
)
く感じ
過
(
す
)
ぎた。従つて
熱
(
あつ
)
い
頭
(
あたま
)
を枕へ
着
(
つ
)
けた時は、平岡も三千代も、彼に取つて殆んど存在してゐなかつた。彼は幸にして
涼
(
すゞ
)
しい心持に
寐
(
ね
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
のかはり
夏
(
なつ
)
は
涼
(
すゞ
)
しうございます。
避暑
(
ひしよ
)
に
行
(
い
)
らつしやい……お
宿
(
やど
)
をしますよ。……
其
(
そ
)
の
時分
(
じぶん
)
には、
降
(
ふ
)
るやうに
螢
(
ほたる
)
が
飛
(
と
)
んで、
此
(
こ
)
の
水
(
みづ
)
には
菖蒲
(
あやめ
)
が
咲
(
さ
)
きます。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
梅
(
うめ
)
子が
涼
(
すゞ
)
しい
眼付
(
めつき
)
になつて風呂場から帰つた時、代助は
粽
(
ちまき
)
の
一
(
ひと
)
つを
振子
(
ふりこ
)
の様に
振
(
ふ
)
りながら、今度は
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
第一
(
だいいち
)
、
二階
(
にかい
)
の
其窓
(
そのまど
)
にも、
階下
(
した
)
の
縁先
(
えんさき
)
にも、とり/″\に
風情
(
ふぜい
)
を
添
(
そ
)
へる、
岐阜提灯
(
ぎふぢやうちん
)
と、
鐵燈籠
(
かなどうろう
)
、
簾
(
すだれ
)
と
葭簀
(
よしず
)
の
涼
(
すゞ
)
しい
色
(
いろ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其處
(
そこ
)
でお
料理
(
れうり
)
が、もづくと、
冷豆府
(
ひややつこ
)
、これは
飮
(
の
)
める。
杯
(
さかづき
)
次第
(
しだい
)
にめぐりつゝ、いや、これは
淡白
(
あつさり
)
して
好
(
い
)
い。
酒
(
さけ
)
いよ/\
酣
(
たけなは
)
に、いや、まことに
見
(
み
)
ても
涼
(
すゞ
)
しい。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
四萬六千日
(
しまんろくせんにち
)
は
八月
(
はちぐわつ
)
なり。さしもの
暑
(
あつ
)
さも、
此
(
こ
)
の
夜
(
よ
)
のころ、
觀音
(
くわんのん
)
の
山
(
やま
)
より
涼
(
すゞ
)
しき
風
(
かぜ
)
そよ/\と
訪
(
おと
)
づるゝ、
可懷
(
なつか
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
白鷺
(
しらさぎ
)
が——
私
(
わたし
)
はこれには、
目覺
(
めざ
)
むるばかり、
使
(
つか
)
つて
居
(
ゐ
)
た
安扇子
(
やすせんす
)
の
折目
(
をりめ
)
をたゝむまで、えりの
涼
(
すゞ
)
しい
思
(
おも
)
ひがした。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
つい
目
(
め
)
と
鼻
(
はな
)
の
間
(
あひだ
)
にある……
其處
(
そこ
)
に
居
(
ゐ
)
て、
人
(
ひと
)
が
一人
(
ひとり
)
、
燈
(
あかり
)
も
置
(
お
)
かず、
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
から、
此方
(
こなた
)
の
二階
(
にかい
)
を、
恁
(
か
)
う、
窓
(
まど
)
越
(
こ
)
しに
透
(
す
)
かすやうにして
涼
(
すゞ
)
むらしい
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えた
事
(
こと
)
である。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
折
(
をり
)
から、ざあ/\
降
(
ぶ
)
りに
風
(
かぜ
)
が
吹添
(
ふきそ
)
つて、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
の
金屏風
(
きんびやうぶ
)
も
青味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
少々
(
せう/\
)
涼
(
すゞ
)
しく
成
(
な
)
り
過
(
す
)
ぎた。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
螢
(
ほたる
)
一
(
ひと
)
つ、すらりと
反對
(
はんたい
)
の
窓
(
まど
)
より
入
(
い
)
りて、
細
(
ほそ
)
き
影
(
かげ
)
を
捲
(
ま
)
くと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
汗
(
あせ
)
埃
(
ほこり
)
の
中
(
なか
)
にして、
忽
(
たちま
)
ち
水
(
みづ
)
に
玉敷
(
たまし
)
ける、
淺葱
(
あさぎ
)
、
藍
(
あゐ
)
、
白群
(
びやくぐん
)
の
涼
(
すゞ
)
しき
草
(
くさ
)
の
影
(
かげ
)
、
床
(
ゆか
)
かけてクシヨンに
描
(
ゑが
)
かれしは
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
で、一
向
(
かう
)
に
涼
(
すゞ
)
しさなんぞ
寄
(
よ
)
せつけない。……たゞ
桟橋
(
さんばし
)
から、
水際
(
みづぎは
)
から、すぐ
手
(
て
)
で
掬
(
すく
)
へる
小瑕
(
こゑび
)
の
事
(
こと
)
。……はじめ、
羽
(
はね
)
の
薄
(
うす
)
い
薄萠黄
(
うすもえぎ
)
の
蝉
(
せみ
)
が一
疋
(
ぴき
)
、
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
いて、
動
(
うご
)
いてゐた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞夏
(
まなつ
)
、
日盛
(
ひざか
)
りの
炎天
(
えんてん
)
を、
門天心太
(
もんてんこゝろぷと
)
と
賣
(
う
)
る
聲
(
こゑ
)
きはめてよし。
靜
(
しづか
)
にして、あはれに、
可懷
(
なつか
)
し。
荷
(
に
)
も
涼
(
すゞ
)
しく、
松
(
まつ
)
の
青葉
(
あをば
)
を
天秤
(
てんびん
)
にかけて
荷
(
にな
)
ふ。いゝ
聲
(
こゑ
)
にて、
長
(
なが
)
く
引
(
ひ
)
いて
靜
(
しづか
)
に
呼
(
よ
)
び
來
(
きた
)
る。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
水淺葱
(
みづあさぎ
)
に
白
(
しろ
)
を
重
(
かさ
)
ねた
涼
(
すゞ
)
しい
涼傘
(
ひがさ
)
をさしたのが、すら/\と
捌
(
さば
)
く
褄
(
つま
)
を、
縫留
(
ぬひと
)
められたやうに、ハタと
立留
(
たちど
)
まつたと
思
(
おも
)
ふと、うしろへ、よろ/\と
退
(
しさ
)
りながら、
翳
(
かざ
)
した
涼傘
(
ひがさ
)
の
裡
(
うち
)
で
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
螢
(
ほたる
)
と
紫陽花
(
あぢさゐ
)
が
見透
(
みとほ
)
しの
背戸
(
せど
)
に
涼
(
すゞ
)
んで
居
(
ゐ
)
た、
其
(
そ
)
のお
米
(
よね
)
さんの
振向
(
ふりむ
)
いた
瞳
(
め
)
の
情
(
なさけ
)
だつたのです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
恁
(
か
)
う
申
(
まを
)
すのではござりませぬか、と
言
(
い
)
ひも
未
(
ま
)
だ
果
(
は
)
てなかつたに、
島
(
しま
)
の
毒蛇
(
どくじや
)
の
呼吸
(
いき
)
を
消
(
け
)
して、
椰子
(
やし
)
の
峰
(
みね
)
、
鰐
(
わに
)
の
流
(
ながれ
)
、
蕃蛇剌馬
(
ばんじやらあまん
)
の
黄色
(
きいろ
)
な
月
(
つき
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
る、
世
(
よ
)
にも
朗
(
ほがら
)
かな
涼
(
すゞ
)
しい
聲
(
こゑ
)
して
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
優
(
やさ
)
しさよ、
松蔭
(
まつかげ
)
の
清水
(
しみづ
)
、
柳
(
やなぎ
)
の
井
(
ゐ
)
、
音
(
おと
)
に
雫
(
しづく
)
に
聲
(
こゑ
)
ありて、
旅人
(
たびびと
)
に
露
(
つゆ
)
を
分
(
わか
)
てば、
細瀧
(
ほそだき
)
の
心太
(
ところてん
)
、
忽
(
たちま
)
ち
酢
(
す
)
に
浮
(
う
)
かれて、
饂飩
(
うどん
)
、
蒟蒻
(
こんにやく
)
を
嘲
(
あざ
)
ける
時
(
とき
)
、
冷奴豆腐
(
ひややつこ
)
の
蓼
(
たで
)
はじめて
涼
(
すゞ
)
しく、
爪紅
(
つまくれなゐ
)
なる
蟹
(
かに
)
の
群
(
むれ
)
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたし
)
は、
先生
(
せんせい
)
が
夏
(
なつ
)
の
嘉例
(
かれい
)
として
下
(
くだ
)
すつた、
水色
(
みづいろ
)
の
絹
(
きぬ
)
べりを
取
(
とつ
)
た、はい
原製
(
ばらせい
)
の
涼
(
すゞ
)
しい
扇子
(
あふぎ
)
を、
膝
(
ひざ
)
を
緊
(
し
)
めて、
胸
(
むね
)
に
確
(
しか
)
と
取
(
と
)
つて
車上
(
しやじやう
)
に
居直
(
ゐなほ
)
つた。
而
(
しか
)
して
題
(
だい
)
を
採
(
と
)
つて
極暑
(
ごくしよ
)
の
一文
(
いちぶん
)
を
心
(
こゝろ
)
に
案
(
あん
)
じた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
、
明透
(
めいてつ
)
、その
文
(
ぶん
)
、その
質
(
しつ
)
、
名玉山海
(
めいぎよくさんかい
)
を
照
(
て
)
らせる
君
(
きみ
)
よ。
溽暑蒸濁
(
じよくしよじようだく
)
の
夏
(
なつ
)
を
背
(
そむ
)
きて、
冷々然
(
れい/\ぜん
)
として
獨
(
ひと
)
り
涼
(
すゞ
)
しく
逝
(
ゆ
)
きたまひぬ。
倏忽
(
たちまち
)
にして
巨星
(
きよせい
)
天
(
てん
)
に
在
(
あ
)
り。
光
(
ひかり
)
を
翰林
(
かんりん
)
に
曳
(
ひ
)
きて
永久
(
とこしなへ
)
に
消
(
き
)
えず。
芥川竜之介氏を弔ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
うつくしき
人
(
ひと
)
の、
葉柳
(
はやなぎ
)
の
蓑
(
みの
)
着
(
き
)
たる
忍姿
(
しのびすがた
)
を、
落人
(
おちうど
)
かと
見
(
み
)
れば、
豈
(
あに
)
知
(
し
)
らんや、
熱
(
あつ
)
き
情思
(
おもひ
)
を
隱顯
(
ちら/\
)
と
螢
(
ほたる
)
に
涼
(
すゞ
)
む。
君
(
きみ
)
が
影
(
かげ
)
を
迎
(
むか
)
ふるものは、たはれ
男
(
を
)
の
獺
(
をそ
)
か、あらず、
大沼
(
おほぬま
)
の
鯉
(
こひ
)
金鱗
(
きんりん
)
にして
鰭
(
ひれ
)
の
紫
(
むらさき
)
なる
也
(
なり
)
。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
與平
(
よへい
)
といふ
親仁
(
おやぢ
)
は、
涅槃
(
ねはん
)
に
入
(
い
)
つたやうな
形
(
かたち
)
で、
胴
(
どう
)
の
間
(
ま
)
に
寢
(
ね
)
ながら、
佛造
(
ほとけづく
)
つた
額
(
ひたひ
)
を
上
(
あ
)
げて、
汗
(
あせ
)
だらけだけれども
目
(
め
)
の
涼
(
すゞ
)
しい、
息子
(
せがれ
)
が
地藏眉
(
ぢざうまゆ
)
の、
愛
(
あい
)
くるしい、
若
(
わか
)
い
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
嬉
(
うれ
)
しさうに
頷
(
うなづ
)
いて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蒸暑
(
むしあつ
)
かつたり、
涼
(
すゞ
)
し
過
(
す
)
ぎたり、
不順
(
ふじゆん
)
な
陽氣
(
やうき
)
が、
昨日
(
きのふ
)
も
今日
(
けふ
)
もじと/\と
降
(
ふ
)
りくらす
霖雨
(
ながあめ
)
に、
時々
(
とき/″\
)
野分
(
のわき
)
がどつと
添
(
そ
)
つて、あらしのやうな
夜
(
よる
)
など
續
(
つゞ
)
いたのが、
急
(
きふ
)
に
朗
(
ほがら
)
かに
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
つた
朝
(
あさ
)
であつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
その
)
まゝ
押開
(
おしあ
)
けると、
襖
(
ふすま
)
は
開
(
あ
)
いたが
何
(
なん
)
となくたてつけに
粘氣
(
ねばりけ
)
があるやうに
思
(
おも
)
つた。
此處
(
こゝ
)
では
風
(
かぜ
)
が
涼
(
すゞ
)
しからうと、
其
(
それ
)
を
頼
(
たのみ
)
に
恁
(
か
)
うして
次
(
つぎ
)
の
室
(
ま
)
へ
出
(
で
)
たのだが
矢張
(
やつぱり
)
蒸暑
(
むしあつ
)
い、
押覆
(
おつかぶ
)
さつたやうで
呼吸苦
(
いきぐる
)
しい。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夏
(
なつ
)
の
比
(
ころ
)
、
染殿
(
そめどの
)
の
辰巳
(
たつみ
)
の
山
(
やま
)
の
木隱
(
こがく
)
れに、
君達
(
きみたち
)
、
二三人
(
にさんにん
)
ばかり
涼
(
すゞ
)
んだ
中
(
うち
)
に、
春家
(
はるいへ
)
も
交
(
まじ
)
つたが、
此
(
こ
)
の
人
(
ひと
)
の
居
(
ゐ
)
たりける
傍
(
そば
)
よりしも、
三尺許
(
さんじやくばか
)
りなる
烏蛇
(
くろへび
)
の
這出
(
はひで
)
たりければ、
春家
(
はるいへ
)
はまだ
氣
(
き
)
がつかなかつた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
些
(
ち
)
とお
話
(
はなし
)
もいかゞぢやから、
前刻
(
さツき
)
はことを
分
(
わ
)
けていひませなんだが、
昨夜
(
ゆふべ
)
も
白痴
(
ばか
)
を
寝
(
ね
)
かしつけると、
婦人
(
をんな
)
が
又
(
また
)
炉
(
ろ
)
のある
処
(
ところ
)
へやつて
来
(
き
)
て、
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
へ
苦労
(
くらう
)
をして
出
(
で
)
やうより、
夏
(
なつ
)
は
涼
(
すゞ
)
しく、
冬
(
ふゆ
)
は
暖
(
あたゝか
)
い
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
や、
唄
(
うた
)
つた
時
(
とき
)
の
白痴
(
ばか
)
の
声
(
こゑ
)
は
此
(
この
)
話
(
はなし
)
をお
聞
(
き
)
きなさるお
前様
(
まへさま
)
は
固
(
もと
)
よりぢやが、
私
(
わし
)
も
推量
(
すゐりやう
)
したとは
月鼈雲泥
(
げつべつうんでい
)
、
天地
(
てんち
)
の
相違
(
さうゐ
)
、
節廻
(
ふしまは
)
し、あげさげ、
呼吸
(
こきふ
)
の
続
(
つゞ
)
く
処
(
ところ
)
から、
第
(
だい
)
一
其
(
そ
)
の
清
(
きよ
)
らかな
涼
(
すゞ
)
しい
声
(
こゑ
)
といふ
者
(
もの
)
は
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
悚毛
(
おぞけ
)
を
震
(
ふる
)
つて
立窘
(
たちすく
)
むと
涼
(
すゞ
)
しさが
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みて
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
くと
山颪
(
やまおろし
)
よ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
聲
(
こゑ
)
を
曇
(
くも
)
らす、
空
(
そら
)
には
樹
(
き
)
の
影
(
かげ
)
が
涼
(
すゞ
)
しかつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水玉草
(
みづたまさう
)
を
賣
(
う
)
る、
涼
(
すゞ
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
少
(
すこ
)
し
涼
(
すゞ
)
しく
成
(
な
)
つた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“涼”の意味
《名詞》
涼(りょう)
涼しさ。
(出典:Wiktionary)
涼
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“涼”を含む語句
荒涼
納涼
夕涼
夜涼
涼風
朝涼
涼気
清涼
爽涼
涼台
門涼
清涼殿
凄涼
涼夜
新涼
涼衣
涼炉
涼船
清涼院
涼傘
...