“涼(すゞ)” の例文
建續(たてつゞ)く家(いへ)は、なぞへに向(むか)うへ遠山(とほやま)の尾(を)を曳(ひ)いて、其方此方(そちこち)の、庭(には)、背戸(せど)、空地(あきち)は、飛々(とび/\)の谷(たに)とも思(おも)はれるのに、涼(すゞ)しさは氣勢(けはひ)もなし。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かうして林(はやし)の中(なか)の空氣(くうき)は、常(つね)に林(はやし)の外(そと)と比(くら)べて、晝間(ちゆうかん)は涼(すゞ)しく、夜間(やかん)は温(あたゝ)かで、從(したが)つて晝(ひる)と夜(よる)とで氣温(きおん)が急(きゆう)に變(かは)ることを和(やは)らげます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
其晩(そのばん)宗助(そうすけ)は裏(うら)から大(おほ)きな芭蕉(ばせう)の葉(は)を二枚(まい)剪(き)つて來(き)て、それを座敷(ざしき)の縁(えん)に敷(し)いて、其上(そのうえ)に御米(およね)と並(なら)んで涼(すゞ)みながら、小六(ころく)の事(こと)を話(はな)した。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眞中(まんなか)には庭園(ていえん)があり、噴水(ふんすい)が絶(た)えず水(みづ)を噴(ふ)き出(だ)し、あたりには青々(あを/\)と繁(しげ)つた庭木(にはき)も植(う)ゑてあり、熱(あつ)い夏(なつ)の日(ひ)でも涼(すゞ)しい感(かん)じを與(あた)へ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
良夜(れうや)とは今宵(こよひ)ならむ。今宵は陰暦(いんれき)七月十五夜なり。月清(つきゝよ)く、風(かぜ)涼(すゞ)し。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
田舎(ゐなか)は涼(すゞ)しい涼(すゞ)しいな。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一時頃(いちじごろ)まで、皆(みな)戸外(おもて)へ出(で)て涼(すゞ)んで居(ゐ)て、何(なん)と言(い)ふ騷(さわ)ぎ方(かた)だらう、何故(なぜ)あゝだらう、烏(からす)や梟(ふくろ)に驚(おどろ)かされるたつて、のべつに騷(さわ)ぐ譯(わけ)はない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
少(すこ)し傾(かた)むきかけた初秋(はつあき)の日(ひ)が、じり/\二人(ふたり)を照(て)り付(つ)けたのを記憶(きおく)してゐた。御米(およね)は傘(かさ)を差(さ)した儘(まゝ)、それ程(ほど)涼(すゞ)しくもない柳(やなぎ)の下(した)に寄(よ)つた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
春(はる)、美(うつく)しい花(はな)が咲(さ)くのが見(み)たく、夏(なつ)の暑(あつ)いときに涼(すゞ)しい木蔭(こかげ)が欲(ほ)しい以上(いじよう)は、庭(には)の木(き)でも、町(まち)のなみ木(き)でも、同(おな)じように可愛(かわい)がつてやらねばなりません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
冬(ふゆ)は暖(あたゝか)くて夏(なつ)は涼(すゞ)しいので、住居(じゆうきよ)には申(まを)し分(ぶん)がないといふことです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
唯(たゞ)見(み)る、日本橋(にほんばし)檜物町(ひものちやう)藤村(ふぢむら)の二十七疊(にじふしちでふ)の大廣間(おほひろま)、黒檀(こくたん)の大卓(だいたく)のまはりに、淺葱絽(あさぎろ)の座蒲團(ざぶとん)を涼(すゞ)しく配(くば)らせて、一人(ひとり)第一番(だいいちばん)に莊重(さうちよう)に控(ひか)へて居(ゐ)る。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
御米(およね)は茶器(ちやき)を引(ひ)いて臺所(だいどころ)へ出(で)た。夫婦(ふうふ)はそれぎり話(はなし)を切(き)り上(あ)げて、又(また)床(とこ)を延(の)べて寐(ね)た。夢(ゆめ)の上(うへ)に高(たか)い銀河(あまのがは)が涼(すゞ)しく懸(かゝ)つた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ばなゝの木(き)を東京(とうきよう)にもつて來(き)て植(う)ゑてもそのまゝでは實(み)はなりません。また涼(すゞ)しい奧羽地方(おううちほう)に出來(でき)る林檎(りんご)や櫻桃(おうとう)は暖(あたゝ)かい九州地方(きゆうしゆうちほう)では植(う)ゑてもよく育(そだ)ちません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
あゝ、あの柳(やなぎ)に、美(うつくし)い虹(にじ)が渡(わた)る、と見(み)ると、薄靄(うすもや)に、中(なか)が分(わか)れて、三(みつ)つに切(き)れて、友染(いうぜん)に、鹿(か)の子(こ)絞(しぼり)の菖蒲(あやめ)を被(か)けた、派手(はで)に涼(すゞ)しい裝(よそほひ)の婦(をんな)が三人(にん)。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「失敬だが、もう一時間程して来(き)てくれないか」と云つた。代助は帽子を取つて、又暗(くら)い埃(ほこり)だらけの階段を下(お)りた。表へ出(で)ると、夫(それ)でも涼(すゞ)しい風が吹いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「はあ、……」と、聞(き)くのに氣(き)の入(はひ)つた婦(をんな)の顏(かほ)は、途中(とちう)が不意(ふい)に川(かは)に成(な)つたかと思(おも)ふ、涼(すゞ)しけれども五月(ごぐわつ)半(なか)ばの太陽(ひ)の下(した)に、偶(ふ)と寂(さび)しい影(かげ)が映(さ)した。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
それ程彼(かれ)は命(いのち)を鋭(するど)く感じ過(す)ぎた。従つて熱(あつ)い頭(あたま)を枕へ着(つ)けた時は、平岡も三千代も、彼に取つて殆んど存在してゐなかつた。彼は幸にして涼(すゞ)しい心持に寐(ね)た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其(そ)のかはり夏(なつ)は涼(すゞ)しうございます。避暑(ひしよ)に行(い)らつしやい……お宿(やど)をしますよ。……其(そ)の時分(じぶん)には、降(ふ)るやうに螢(ほたる)が飛(と)んで、此(こ)の水(みづ)には菖蒲(あやめ)が咲(さ)きます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
梅(うめ)子が涼(すゞ)しい眼付(めつき)になつて風呂場から帰つた時、代助は粽(ちまき)の一(ひと)つを振子(ふりこ)の様に振(ふ)りながら、今度は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
第一(だいいち)、二階(にかい)の其窓(そのまど)にも、階下(した)の縁先(えんさき)にも、とり/″\に風情(ふぜい)を添(そ)へる、岐阜提灯(ぎふぢやうちん)と、鐵燈籠(かなどうろう)、簾(すだれ)と葭簀(よしず)の涼(すゞ)しい色(いろ)。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處(そこ)でお料理(れうり)が、もづくと、冷豆府(ひややつこ)、これは飮(の)める。杯(さかづき)次第(しだい)にめぐりつゝ、いや、これは淡白(あつさり)して好(い)い。酒(さけ)いよ/\酣(たけなは)に、いや、まことに見(み)ても涼(すゞ)しい。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
四萬六千日(しまんろくせんにち)は八月(はちぐわつ)なり。さしもの暑(あつ)さも、此(こ)の夜(よ)のころ、觀音(くわんのん)の山(やま)より涼(すゞ)しき風(かぜ)そよ/\と訪(おと)づるゝ、可懷(なつか)し。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
白鷺(しらさぎ)が——私(わたし)はこれには、目覺(めざ)むるばかり、使(つか)つて居(ゐ)た安扇子(やすせんす)の折目(をりめ)をたゝむまで、えりの涼(すゞ)しい思(おも)ひがした。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
つい目(め)と鼻(はな)の間(あひだ)にある……其處(そこ)に居(ゐ)て、人(ひと)が一人(ひとり)、燈(あかり)も置(お)かず、暗(くら)い中(なか)から、此方(こなた)の二階(にかい)を、恁(か)う、窓(まど)越(こ)しに透(す)かすやうにして涼(すゞ)むらしい姿(すがた)が見(み)えた事(こと)である。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、折(をり)から、ざあ/\降(ぶ)りに風(かぜ)が吹添(ふきそ)つて、次(つぎ)の間(ま)の金屏風(きんびやうぶ)も青味(あをみ)を帶(お)びて、少々(せう/\)涼(すゞ)しく成(な)り過(す)ぎた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
螢(ほたる)一(ひと)つ、すらりと反對(はんたい)の窓(まど)より入(い)りて、細(ほそ)き影(かげ)を捲(ま)くと見(み)る間(ま)に、汗(あせ)埃(ほこり)の中(なか)にして、忽(たちま)ち水(みづ)に玉敷(たまし)ける、淺葱(あさぎ)、藍(あゐ)、白群(びやくぐん)の涼(すゞ)しき草(くさ)の影(かげ)、床(ゆか)かけてクシヨンに描(ゑが)かれしは
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
で、一向(かう)に涼(すゞ)しさなんぞ寄(よ)せつけない。……たゞ桟橋(さんばし)から、水際(みづぎは)から、すぐ手(て)で掬(すく)へる小瑕(こゑび)の事(こと)。……はじめ、羽(はね)の薄(うす)い薄萠黄(うすもえぎ)の蝉(せみ)が一疋(ぴき)、波(なみ)の上(うへ)に浮(う)いて、動(うご)いてゐた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
眞夏(まなつ)、日盛(ひざか)りの炎天(えんてん)を、門天心太(もんてんこゝろぷと)と賣(う)る聲(こゑ)きはめてよし。靜(しづか)にして、あはれに、可懷(なつか)し。荷(に)も涼(すゞ)しく、松(まつ)の青葉(あをば)を天秤(てんびん)にかけて荷(にな)ふ。いゝ聲(こゑ)にて、長(なが)く引(ひ)いて靜(しづか)に呼(よ)び來(きた)る。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水淺葱(みづあさぎ)に白(しろ)を重(かさ)ねた涼(すゞ)しい涼傘(ひがさ)をさしたのが、すら/\と捌(さば)く褄(つま)を、縫留(ぬひと)められたやうに、ハタと立留(たちど)まつたと思(おも)ふと、うしろへ、よろ/\と退(しさ)りながら、翳(かざ)した涼傘(ひがさ)の裡(うち)で
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
螢(ほたる)と紫陽花(あぢさゐ)が見透(みとほ)しの背戸(せど)に涼(すゞ)んで居(ゐ)た、其(そ)のお米(よね)さんの振向(ふりむ)いた瞳(め)の情(なさけ)だつたのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、恁(か)う申(まを)すのではござりませぬか、と言(い)ひも未(ま)だ果(は)てなかつたに、島(しま)の毒蛇(どくじや)の呼吸(いき)を消(け)して、椰子(やし)の峰(みね)、鰐(わに)の流(ながれ)、蕃蛇剌馬(ばんじやらあまん)の黄色(きいろ)な月(つき)も晴(は)れ渡(わた)る、世(よ)にも朗(ほがら)かな涼(すゞ)しい聲(こゑ)して
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
優(やさ)しさよ、松蔭(まつかげ)の清水(しみづ)、柳(やなぎ)の井(ゐ)、音(おと)に雫(しづく)に聲(こゑ)ありて、旅人(たびびと)に露(つゆ)を分(わか)てば、細瀧(ほそだき)の心太(ところてん)、忽(たちま)ち酢(す)に浮(う)かれて、饂飩(うどん)、蒟蒻(こんにやく)を嘲(あざ)ける時(とき)、冷奴豆腐(ひややつこ)の蓼(たで)はじめて涼(すゞ)しく、爪紅(つまくれなゐ)なる蟹(かに)の群(むれ)
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
私(わたし)は、先生(せんせい)が夏(なつ)の嘉例(かれい)として下(くだ)すつた、水色(みづいろ)の絹(きぬ)べりを取(とつ)た、はい原製(ばらせい)の涼(すゞ)しい扇子(あふぎ)を、膝(ひざ)を緊(し)めて、胸(むね)に確(しか)と取(と)つて車上(しやじやう)に居直(ゐなほ)つた。而(しか)して題(だい)を採(と)つて極暑(ごくしよ)の一文(いちぶん)を心(こゝろ)に案(あん)じた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
玲瓏(れいろう)、明透(めいてつ)、その文(ぶん)、その質(しつ)、名玉山海(めいぎよくさんかい)を照(て)らせる君(きみ)よ。溽暑蒸濁(じよくしよじようだく)の夏(なつ)を背(そむ)きて、冷々然(れい/\ぜん)として獨(ひと)り涼(すゞ)しく逝(ゆ)きたまひぬ。倏忽(たちまち)にして巨星(きよせい)天(てん)に在(あ)り。光(ひかり)を翰林(かんりん)に曳(ひ)きて永久(とこしなへ)に消(き)えず。
芥川竜之介氏を弔ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うつくしき人(ひと)の、葉柳(はやなぎ)の蓑(みの)着(き)たる忍姿(しのびすがた)を、落人(おちうど)かと見(み)れば、豈(あに)知(し)らんや、熱(あつ)き情思(おもひ)を隱顯(ちら/\)と螢(ほたる)に涼(すゞ)む。君(きみ)が影(かげ)を迎(むか)ふるものは、たはれ男(を)の獺(をそ)か、あらず、大沼(おほぬま)の鯉(こひ)金鱗(きんりん)にして鰭(ひれ)の紫(むらさき)なる也(なり)。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
與平(よへい)といふ親仁(おやぢ)は、涅槃(ねはん)に入(い)つたやうな形(かたち)で、胴(どう)の間(ま)に寢(ね)ながら、佛造(ほとけづく)つた額(ひたひ)を上(あ)げて、汗(あせ)だらけだけれども目(め)の涼(すゞ)しい、息子(せがれ)が地藏眉(ぢざうまゆ)の、愛(あい)くるしい、若(わか)い顏(かほ)を見(み)て、嬉(うれ)しさうに頷(うなづ)いて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蒸暑(むしあつ)かつたり、涼(すゞ)し過(す)ぎたり、不順(ふじゆん)な陽氣(やうき)が、昨日(きのふ)も今日(けふ)もじと/\と降(ふ)りくらす霖雨(ながあめ)に、時々(とき/″\)野分(のわき)がどつと添(そ)つて、あらしのやうな夜(よる)など續(つゞ)いたのが、急(きふ)に朗(ほがら)かに晴(は)れ渡(わた)つた朝(あさ)であつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其(その)まゝ押開(おしあ)けると、襖(ふすま)は開(あ)いたが何(なん)となくたてつけに粘氣(ねばりけ)があるやうに思(おも)つた。此處(こゝ)では風(かぜ)が涼(すゞ)しからうと、其(それ)を頼(たのみ)に恁(か)うして次(つぎ)の室(ま)へ出(で)たのだが矢張(やつぱり)蒸暑(むしあつ)い、押覆(おつかぶ)さつたやうで呼吸苦(いきぐる)しい。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夏(なつ)の比(ころ)、染殿(そめどの)の辰巳(たつみ)の山(やま)の木隱(こがく)れに、君達(きみたち)、二三人(にさんにん)ばかり涼(すゞ)んだ中(うち)に、春家(はるいへ)も交(まじ)つたが、此(こ)の人(ひと)の居(ゐ)たりける傍(そば)よりしも、三尺許(さんじやくばか)りなる烏蛇(くろへび)の這出(はひで)たりければ、春家(はるいへ)はまだ氣(き)がつかなかつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
些(ち)とお話(はなし)もいかゞぢやから、前刻(さツき)はことを分(わ)けていひませなんだが、昨夜(ゆふべ)も白痴(ばか)を寝(ね)かしつけると、婦人(をんな)が又(また)炉(ろ)のある処(ところ)へやつて来(き)て、世(よ)の中(なか)へ苦労(くらう)をして出(で)やうより、夏(なつ)は涼(すゞ)しく、冬(ふゆ)は暖(あたゝか)い
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
不思議(ふしぎ)や、唄(うた)つた時(とき)の白痴(ばか)の声(こゑ)は此(この)話(はなし)をお聞(き)きなさるお前様(まへさま)は固(もと)よりぢやが、私(わし)も推量(すゐりやう)したとは月鼈雲泥(げつべつうんでい)、天地(てんち)の相違(さうゐ)、節廻(ふしまは)し、あげさげ、呼吸(こきふ)の続(つゞ)く処(ところ)から、第(だい)一其(そ)の清(きよ)らかな涼(すゞ)しい声(こゑ)といふ者(もの)は
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
悚毛(おぞけ)を震(ふる)つて立窘(たちすく)むと涼(すゞ)しさが身(み)に染(し)みて気(き)が着(つ)くと山颪(やまおろし)よ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
と聲(こゑ)を曇(くも)らす、空(そら)には樹(き)の影(かげ)が涼(すゞ)しかつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
水玉草(みづたまさう)を賣(う)る、涼(すゞ)し。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
少(すこ)し涼(すゞ)しく成(な)つた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)