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觀音
読み方 | 割合 |
くわんのん | 41.7% |
かんのん | 25.0% |
くわんおん | 25.0% |
くわんをん | 8.3% |
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四萬六千日は
八月なり。さしもの
暑さも、
此の
夜のころ、
觀音の
山より
涼しき
風そよ/\と
訪づるゝ、
可懷し。
母さまとならではお
湯にも
行かじ、
觀音さまのお
參りもいやよ、
芝居も
花見も
母さま
御一
處ならではと
此一トもとのかげに
隱くれて
東京で
言へば
淺草のやうな
所だと、
豫て
聞いて
居た
大須の
觀音へ
詣でて、
表門から
歸れば
可いのを、
風俗を
視察のためだ、と
裏へまはつたのが
過失で。
夕げ
終りての
宵々家を
出ては
御寺參り
殊勝に、
觀音さまには
合掌を申て、
我が
戀人のゆく
末を
守り
玉へと、お
志しのほどいつまでも
消えねば
宜いが。