みづ)” の例文
清淨しやうじやうみづでもければ、不潔ふけつみづでもい、でもちやでもいのである。不潔ふけつみづでなかつたのは、りよがためには勿怪もつけさいはひであつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
にごれるみづいろへて極彩色ごくさいしき金屏風きんびやうぶわたるがごとく、秋草模樣あきくさもやうつゆそでは、たか紫苑しをんこずゑりて、おどろてふとともにたゞよへり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこもとうさんのきなところで、うちひと手桶てをけをかついでたり、みづんだりするそばつて、それを見のをたのしおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
眞中まんなかには庭園ていえんがあり、噴水ふんすいえずみづし、あたりには青々あを/\しげつた庭木にはきゑてあり、あつなつでもすゞしいかんじをあた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
九、 大地震だいぢしん場合ばあひには水道すいどう斷水だんすいするものと覺悟かくごし、機敏きびん貯水ちよすい用意よういをなすこと。またみづもちひざる消防法しようぼうほうをも應用おうようすべきこと。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
Jesuヂェシュー Mariaマリヤ! どれほどにがみづその蒼白あをじろほゝをローザラインのためあらうたことやら? 幾何どれほど鹽辛水しほからみづ無用むだにしたことやら
あかつきころになつてやうやみづきたので、二人ふたりそのなかり、いま何處いづく目的めあてもなく、印度洋インドやう唯中たゞなかなみのまに/\漂流たゞよつてるのである。
しばらくたつてからおしなにはでおつぎがざあとみづんではまたあひだへだてゝざあとみづんでるのをいた。おつぎは大根だいこあらつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
代助は脊中せなかからみづかぶつた様にふるへた。社会から逐ひはなたるべき二人ふたりたましひは、たゞ二人ふたりむかひ合つて、たがひを穴のく程眺めてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一日ぼくしたがへて往來わうらいあるいて居るとたちまむかふから二人の男、ひたひからあせみづの如くながし、空中くうちゆうあがあがりしてはしりながら
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
日本につぽんでは明治維新めいじいしんのち森林しんりんをむやみにつた結果けつか方々ほう/″\洪水こうずいをかされ、明治二十九年度めいじにじゆうくねんどには二萬九百八十一町村にまんくひやくはちじゆういつちようそんといふものがみづにつかり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
これわたし竹馬ちくばとも久我くがぼう石橋いしばしとはおちやみづ師範学校しはんがくかう同窓どうそうであつたためわたし紹介せうかいしたのでしたが、の理由は第一わたしこのみおなじうするし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
声色こわいろにしちや語呂の悪い、啖呵たんかを切り出した所は豪勢だがの、つらを見りや寒いと見えて、みづぱなが鼻の下に光つてゐる。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
こんな歌もきこえて来た、さうすると三つの井戸の金滑車かなくるまきがけたたましい音を立てて、地車だんじりの若衆に接待する砂糖みづを造るので家の中が忙しくなる。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
立出たちいで見れば水はなく向ふのいへに話しの老人らうじん障子をひらきて書をよみゐたるに是なる可しと庭口にはぐちより進み入つゝ小腰こごしかゞまことに申し兼たれどもおみづ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うつさばやのこゝろあつく去年こぞより武藏野むさしのはあれどにげみづのそこはかとなくかくろひてさのみしるひともなかりしを
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
こんなふうはなしをしてゐたら、おしまひには喧嘩けんくわになつてしまひませう。ところが喧嘩けんくわにならないまへに、一ぴきかへるみづなかからぴよんとしてました。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
ながらくひでりつゞいたので、ぬまみづれさうになつてきました。雜魚ざこどもは心配しんぱいしてやま神樣かみさまに、あめのふるまでの斷食だんじきをちかつて、熱心ねつしんいのりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ひらけたる所は月光げつくわうみづの如く流れ、樹下じゆか月光げつくわうあをき雨の如くに漏りぬ。へして、木蔭をぐるに、灯火ともしびのかげれて、人の夜涼やれうかたるあり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
たうげくだると『多田御社道ただおんしやみち』の石標せきへう麥畑むぎばたけあぜつて、其處そこまがれば、みちはまた山川やまがはうつくしいみづ石崖せきがいすそあらはれてゐた。かはいてみちはまたまがつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
『おまへ水井戸みづゐどからみづむだらう』と帽子屋ばうしやつて、『それでわかるぢやないか、糖蜜井戸たうみつゐどからは糖蜜たうみつめるサ——え、さうぢやないか、莫迦ばかな?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さだめて、十羅刹女らせつぢよ寄合よりあひてうぶみづ生湯うぶゆ)をなでやしなひたまふらん。あらめでたや、あらめでたや。御悦び推量申候
「おいじうだよ、だれじうつてくれよ‥‥」と、中根なかねは一所懸命しよけんめい右手みぎてじうあたまうへげながら呶鳴どなつた。そして、右手みぎてでバチヤバチヤみづたたいた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
千百の言葉は一団の飯にも及ばず、娓々びびげん滴々てきてきみづにもかぬ場合である。けれども今の自分の此の言葉は言葉とのみではない。直ちに是自分の心である。
日本大地震 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
或日瀧口、閼伽あかみづまんとて、まだけやらぬ空に往生院を出でて、近き泉の方に行きしに、みやこ六波羅わたりと覺しき方に、一道の火焔くわえんてんこがして立上たちのぼれり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
へだては中垣なかがき建仁寺けんにんじにゆづりてくみかはす庭井にはゐみづまじはりのそこきよくふか軒端のきば梅一木うめひとき両家りやうけはる
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
數十年前すうじふねんぜんよりおこなれる灌水くわんすゐは、北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじいへどおこたりたることあらず。このにはいま井戸ゐどなきをもつて、斗滿川とまむがはりておこなへり(飮用水いんようすゐこのかはみづもちゆ)
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
もしまたるならば、みづ此瓶このびんれててよとうた。サイダやビールでは米飯めしへぬからである。
三日みつかにしてのちへいろくす。病者びやうしやみなかんことをもとめ、あらそふるつて、でてこれめにたたかひおもむけり。しんこれき、めにり、えんこれき、みづわたつてく。
みづうつつきうばはんとする山猿やまざるよ、無芸むげい無能むのうしよくもたれ総身そうみ智恵ちゑまはりかぬるをとこよ、よつうをもとくさうつへびをどろ狼狽うろたへものよ、白粉おしろいせて成仏じやうぶつせんことねが艶治郎ゑんぢらう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
かれ半年はんとし無職むしよく徘徊うろ/\してたゞパンと、みづとで生命いのちつないでゐたのであるが、其後そのご裁判所さいばんしよ警吏けいりとなり、やまひもつのちしよくするまでは、こゝつとめつてゐたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
壁一重の軒下を流れる小堰こぜきみづに、蝦を掬ふ子供等の叫び、さては寺道を山や田に往き返りの男女の暢氣のんき濁聲にごりごゑが手にとる樣に聞える——智惠子は其聞苦しい訛にも耳慣れた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
火星くわせいにはみづすくない。もしうみがあるとすれば、はるゆきどけのときだけできるあさい海うみだ。)
山巓さんてんてきみづる能はざるを以て、もちあぶりて之をくらふ、餅は今回の旅行りよこうに就てはじつに重宝なりき、此日や喜作なるものおくれていたり、「いわな」魚二十三尾をり来る、皆尺余なり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
それは如何いかにも、あの綺麗きれいゆきけて、つゆたまになつてとひなかまろむのにふさはしいおとである……まろんだつゆはとろ/\とひゞきいざなはれてながれ、ながれるみづはとろ/\とひゞきみちびいてく。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そしてみづうへいててゐるそでしぼるほど、なみだらしてゐるだらう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちゝこんぜざる濃茶のうちやよろこび、みづらざる精酒せいしゆみ、沈鬱ちんうつにして敢爲かんいかた國立こくりつ宗教しゆうきようし、ふか祖先そせんげふおもんず、工業こうげうはなはさかんならざるがゆゑ中等社界ちうとうしやくわいそんするところおほくは粗朴そぼくなる農民のうみんにして
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
みづぬるき運河のうへ七日なのか七夜なゝよを舟にて行くを思はしむ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
鹿しか小川をがはみづなかつて、自分じぶん姿すがたみづうつして
およぐひとのたましひはみづのうへのつきをみる。
ほつほつともれゆくみづのなやみのともし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みづませられてやうや正氣しようきになつたとき
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
野の原に、みづにただよひわたる
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
みづごと事榮ことばえのおちけて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
大寶沼のみづにも親しんだ。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
われそのみづわたらばや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
独り手向たむく閼伽あかみづ
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
片足かたあしは、みづ落口おちくちからめて、あしのそよぐがごとく、片足かたあしさぎねむつたやうにえる。……せきかみみづ一際ひときはあをんでしづかである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いままでみづんだり、それを保存ほぞんするには椰子やしからのようなものとか、貝類かひるいからとかを使つかふことのほかはなかつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)