時々とき/″\)” の例文
よくたゞしてると、しかく平氣へいきをとこも、時々とき/″\歡樂くわんらく飽滿はうまん疲勞ひらうして、書齋しよさいのなかで精神せいしんやすめる必要ひつえうおこるのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
呼吸いきめて、うむとこらへて凍着こゞえつくが、古家ふるいへすゝにむせると、時々とき/″\遣切やりきれなくつて、ひそめたくしやめ、ハツと噴出ふきだしさうで不氣味ぶきみ眞夜中まよなか
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十七のあきたおつぎの姿すがたがおしなくもたことをおもしては、他人ひとうはさいて時々とき/″\つてもたい心持こゝろもちがした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで、時々とき/″\お手がみやおうたをおおくりになると、それにはいち/\お返事へんじをさしげますので、やう/\おこゝろなぐさめておいでになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
また醫員いゐんのハヾトフも時々とき/″\ては、何故なにゆゑかアルコール分子ぶんしはひつてゐる飮物のみものせ。ブローミウム加里かりめとすゝめてくので。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
またいしでもつてこの銅劍どうけんなどのかたちつくつたものが時々とき/″\發見はつけんせられますが、やはりこの時代じだいのものとおもはれます。(第四十九圖だいしじゆうくず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
外國市場ぐわいこくしぢやうおい他國品たこくひん競爭きやうさう位置ゐちにある場合ばあひ爲替相場かはせさうば下落げらくめに日本品にほんひん競爭きやうさうつておほれることは時々とき/″\經驗けいけんしたところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
きな燒米やきごめでもべながら田舍ゐなかほんまうといふ祖父おぢいさんのことですから、とうさんが東京とうきやうつてから時々とき/″\してるやうにとひまして
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その風雪ふうせつの一にぎりのつぶては、時々とき/″\のやうな欄間らんますき戸障子としやうじなかぬすつて、えぬつめたいものをハラ/\とわたし寢顏ねがほにふりかけてゆく。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
衰破すゐは斷滅だんめつし其屋敷あとはたとなりてのこれり其中に少しのをかありて時々とき/″\ぜに又は其外そのほか種々いろ/\器物きぶつなど掘出ほりだす事ある由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たとへば、それがあさの九であつたと假定かていして、丁度ちやうど其時そのとき稽古けいこはじめる、時々とき/″\何時なんじになつたかとおもつてる、時計とけいはりめぐつてく!一時半じはん晝食ちうじき
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
こんな工合ぐあいに、己は時々とき/″\番頭からしかり飛ばされる事がある。叱られると己はいつでもハッと思って、気を取り直す。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
へえゝ綺麗きれいなもんですなア、私共わたしども家内かないは、時々とき/″\わたし貴方あなたところへお療治れうぢまゐつてるとむかひにた事もありますが、わたし女房にようばうは今のやうなをんなですか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
幻花子げんくわし新聞しんぶんはういそがしいので、滅多めつたず。自分じぶん一人ひとり時々とき/″\はじめのところつては、往事むかし追懷つひくわいすると、其時そのとき情景じやうけい眼前がんぜん彷彿ほうふつとしてえるのである。
肥前ひぜん温泉岳うんぜんだけたか千三百六十米せんさんびやくろくじゆうめーとる)は時々とき/″\小規模しようきぼ噴火ふんかをなし、少量しようりよう鎔岩ようがんをも流出りゆうしゆつすることがあるが
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
近頃ちかごろ時々とき/″\我輩わがはい建築けんちく本義ほんぎなんであるかなどゝむづ質問しつもん提出ていしゆつして我輩わがはいこまらせるひとがある。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
時々とき/″\使童ボーイ出入しゆつにふして淡泊たんぱく食品くひもの勁烈けいれつ飮料いんれう持運もちはこんでた。ストーブはさかんえてる——
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
どうかんがへても、このいつつの現象げんしようが、ひとつの完全かんぜんやまのありさまにてゝかんじられてはません。こんなひとですから、時々とき/″\おどけたうたつくつて、ひとわらはせようとしました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
とても面白おもしろ競漕きやうそうなどは出來できない、時々とき/″\やつてたが、「ハンデー」やら其他そのほか樣々さま/″\遣繰やりくりやらで、いつも無邪氣むじやき紛着もんちやくおこつて、墨田川すみだがは競漕きやうそうやう立派りつぱにはかぬのである。
「とにかくあの人達ひとたち仕方しかたかしこかつた。」かれ時々とき/″\おもつた。大久保おほくぼのやうな稚気ちきおほ狂人きちがひ相手取あいてどることに、なん意味いみのあらうはずもなかつた。(大正14年7月「婦人の国」)
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それで時々とき/″\自然しぜん森林しんりんあそんで、すがすがしい空氣くうきひ、精神せいしん保養ほようする必要ひつようがあります。都會とかいには大小だいしよう公園こうえんまうけられてゐますが、そんなものは完全かんぜん安靜場所あんせいばしよといへません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
まへ浦山うらやましいねと無端そゞろおやことせば、それがぬれる、をとこものではいと美登利みどりはれて、れはよわいのかしら、時々とき/″\種々いろ/\ことおもすよ、まだ今時分いまじぶんいけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伏見戦争のあとで直ぐ、朝命てうめいを蒙つて征討将軍のみや随従ずゐしうし北陸道の鎮撫に出掛けたと云ふ手紙や、一時還俗げんぞくして岩手県の参事さんじを拝命したと云ふ報知しらせは、其の時々とき/″\に来たが、すこしの仕送しおくりも無いので
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
時々とき/″\白銀しろがねしづくのポタリとつるは、が水を汲みて去りしにや。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
「あれで、これでも萬物ばんぶつ靈長れいちやうだなんて威張ゐばるんですよ、時々とき/″\
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
時々とき/″\置時計の音が耳に入る。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
やがて、とことはのやみとなり、くもすみうへうるしかさね、つきほしつゝてて、時々とき/″\かぜつても、一片いつぺんうごくともえず。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
與吉よきち時々とき/″\どぜうつてた。おつぎは衣物きものどろになるのをしかりながらそれでも威勢ゐせいよく田圃たんぼしてやつた。たびほか子供等こどもらうしろから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
周邊あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけつして返答へんたふたことのい、ものも、ものも、あたへらるゝまゝに、時々とき/″\くるしさうなせきをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この銅鐸どうたくいままで古墳こふんからたことはなく、いわあひだや、やまかげなどからひょこっとるのが普通ふつうであり、そしてたくさんのかず一度いちどることも時々とき/″\あります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
成功せいこうした其時そのときうれしさも思出おもひいでるが、しかおほくは其時そのとき一處いつしよつたともの、んだのや、とほざかつたのや、いろ/\それを懷出おもひいだして、時々とき/″\へん感情かんじやうたれもする。
彼の女がこんな事をしゃべる間、おれ時々とき/″\恐くなって下を向いた。なぜと云うのに、彼の女の瞳は、いやに己の方ばかりを頻繁ひんぱんに見るような気がしたからである。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なが沈默ちんもくぐにわづかこれだけの言葉ことばでした、それも時々とき/″\グリフォンの『御尤ごもつとも!』と間投詞かんとうしや、えず海龜うみがめくるしさうな歔欷すゝりなきとにさまたげられてえ/″\に。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このやま近時きんじ淺間山あさまやま交代こうたい活動かつどうするかたむきをつてゐるが、降灰こうはひのために時々とき/″\災害さいがい桑園そうえんおよぼし、養蠶上ようさんじよう損害そんがいかうむらしめるので、土地とちひと迷惑めいわくがられてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
えたれども折々は夜鷹よたかなどを買ひ行て家を明る事もあり又は下女共にはやさしき事を言かけはぢをかく事も度々たび/\なれども其をはぢとも思はず近頃は彼お兼に思ひを掛け時々とき/″\袖褄そでつま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたくしはなしられてゐたので、お料理れうり大抵たいていべはぐしてしまつた。おいしさうなスープも、んばしい饅頭風まんじうふうのお菓子かしも、それに時々とき/″\機械的きかいてきくちにするウオツカのよいた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それから用意ようゐ篝火かゞりびをどん/″\もやして、えず小銃せうじう發射はつしやし、また時々とき/″\爆裂彈ばくれつだんのこれるを投飛なげとばしなどして、やうや一夜いちやあかしたが、けたとて仕方しかたがない、朝日あさひはうら/\とのぼつて
自分じぶんはそれはなんともおもつてゐないが、しかし、時々とき/″\悲觀ひかんすべき世間せけんだ、とおもふがする。自分じぶんつまが、いやだ/\となかのことをいふにつれて、いやおもはれるこのよといふのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
へえーねつがござりますか。殿「ウム、四十九ばかりある。井上「其様そんなにあるわけはござりませぬ、それぢやア死んでしまひますから。殿「アヽ成程なるほど、三十七あるの、時々とき/″\悪寒をかんする事があるだらう。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
志村しむらおなこゝろあとになりさきになり、二人ふたりあるいてると、時々とき/″\路傍ろばうこしろして鉛筆えんぴつ寫生しやせいこゝろみ、かれたずばわれたず、われふでをやめずんばかれめないとふうで、おもはずとき
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
三郎さぶらうはもうながいこと信州しんしう木曾きそ小父をぢさんのうちやしなはれてまして、あに太郎たらう次郎じらうのところへ時々とき/″\手紙てがみなぞをよこすやうになりました。三郎さぶらうはことし十三さい末子すゑこがもう十一さいにもなりますよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
代助は時々とき/″\尋常な外界から法外に痛烈な刺激を受ける。それがはげしくなると、晴天から日光につこうの反射にさへ堪へ難くなる事があつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下谷したや團子坂だんござか出店でみせなり。なつ屋根やねうへはしらて、むしろきてきやくせうず。時々とき/″\夕立ゆふだち蕎麥そばさらはる、とおまけをはねば不思議ふしぎにならず。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しなはどうかしてすこしでも蒟蒻こんにやくらしてきたいとおもつた。おしなそのうちきられるだらうとかんがへつゝ時々とき/″\うと/\とる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのうち樽前たるまへ明治四十二年めいじしじゆうにねん噴火ふんかおいて、火口かこうからプレーしき鎔岩丘ようがんきゆうし、それがいまなほ存在そんざいして時々とき/″\その彼方此方かなたこなたばすほど小爆發しようばくはつをつゞけてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかしこれは日本につぽんのごく一部いちぶおこなはれたゞけで、九州きゆうしゆう筑後ちくご肥後ひごなどに時々とき/″\ることが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
時々とき/″\同室どうしつ者等ものらけて、ひとりまどところつて、なにかをむねけて、かしらかゞめて熟視みいつてゐる樣子やうすたれ近着ちかづきでもすれば、きまりわるさうにいそいでむねからなにかをつてかくしてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
やがて其秋そのあきには、のこらず貝塚かいづかひらかれて、はたけつてしまつたが、それでも余等よら未練みれいかされて、表面採集ひやうめんさいしふ時々とき/″\立寄たちよるが、其後そののちとても、土偶どぐう磨石斧ませきふ、三十七ねんの九ぐわつには
して車坂の藤助の家へ行たであらう公儀おかみではよく御存じなるぞと申さるゝに三吉は成程時々とき/″\久兵衞樣の供をして參りましたアヽ御奉行樣には能知て御出でなさいます私しはうちに居るよりとも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)