とも)” の例文
三十七ねんぐわつ十四幻翁げんおう望生ぼうせい二人ふたりとも馬籠まごめき、茶店ちやみせ荷物にもつ着物きものあづけてき、息子むすこ人夫にんぷたのんで、遺跡ゐせきむかつた。
三層四層五層とも瓦斯ガスを点じたのである。余は桜の杖をついて下宿の方へ帰る。帰る時必ずカーライルと演説使いの話しを思いだす。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男女が入り乱れて踊るにふさわしい。これほど自然なことは滅多にあるまい。異性が相ともに遊ぶ娯楽が日本にはあまりになさ過ぎる。
祇園の枝垂桜 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
もつとも、負けてもじつはおごつていたゞく方がおほかつたがどういふのかこの師弟してい勝負せうふはとかくだれちで、仕舞しまひにはれうとも憂鬱ゆううつになつて
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
が、かれ年月としつきつとともに、此事業このじげふ單調たんてうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがつて、段々だん/\きてた。かれおもふたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それとともに、人麿ひとまろうただとつたへられてゐないもので、ひとのためにかはつてつくつた、このひとうた非常ひじようにたくさんあるようにおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
たゞしけるにかれは當四月同人店へ引うつり夫婦とも三州者の由にて隨分ずゐぶん實體じつていらしく相見え候へ共女房は此節わづらひ居るとの事に付早速甚兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
読みて大尉たいゐ壮行さうかうわれともにするの感あり、此日このひよりのちことにして、此日このひ只一人たゞひとりうれしくて、ボンヤリとなり、社員にもせず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ベンヺ いや、これは和睦わぼくさせうためにしたことぢゃ。けんをさめい、でなくば、そのけんもっわしともに、こいつらを引分ひきわけておくりゃれ。
すべて、海上かいじやう規則きそくでは、ふね出港しゆつかうの十ぷん乃至ないし十五ふんまへに、船中せんちうまは銅鑼どらひゞききこゆるととも本船ほんせん立去たちさらねばならぬのである。
これが今日こんにちおほくの石器せつき發見はつけんされる理由りゆうひとつでありまして、おかげ私共わたしどもみなさんととも石器せつきさがしにつても、獲物えものがあるわけです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おつぎはそれから村内そんない近所きんじよむすめともかよつた。おつぎは與吉よきちちひさな單衣ひとへもの仕上しあげたとき風呂敷包ふろしきづゝみかゝへていそ/\とかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此際このさい鐵道橋梁てつどうきようりようくだ汽車きしやともさらはれてしまつたが、これは土砂どさうづまつたまゝ海底かいていまでつてかれたものであることがわかつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
うはさがきか、あるひ事實じじつきか——それはとにかくがさしたのだと彼女かのぢよはあとでぢつゝかたつた——もなく彼女かのぢよ二人ふたり子供こどもとも
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わし自身がまだ槍一すじで、これから世に出ようとしておる者ゆえ、申さば主従とも苦労でゆこうというのだ。——どうだ、嫌か
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其後そのご支那しなから、道教だうけう妖怪思想えうくわいしさうり、佛教ぶつけうとも印度思想いんどしさうはいつてて、日本にほん化物ばけもの此爲このため餘程よほど豊富ほうふになつたのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此點このてんついては國民こくみんぱんうつたへて、さうして國民こくみんとも多年たねん解決かいけつ出來できなかつた大問題だいもんだい解決かいけつする方策ほうさくてたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
景色けしきは、四季しきともさわやかな奧床おくゆかしい風情ふぜいである。雪景色ゆきげしきとくい。むらさきかすみあをきり、もみぢも、はなも、つきもとかぞへたい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
エドガーアセリングとともに、きてウィリアムに面謁めんえつし、王冠わうくわんさゝげたのは當然たうぜんのことです。ウィリアムの行動かうどう最初さいしよれいかなふたものでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
石鏃は石器時代遺跡ゐせきに於て他の遺物ゐぶつとも存在ぞんざいするを常とすれど、左の諸所にては山中に於て單獨たんどくに發見されし事有るなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
葉は広くて、長葉柄ちょうようへいそなえ、茎に互生ごせいしており、広卵形こうらんけいで三大脈を有して、葉縁ようえん粗鋸歯そきょしがあり、くきともにざらついている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
隣家となりける遲咲おそざききのはなみやこめづらしき垣根かきねゆきの、すゞしげなりしをおもいづるとともに、つき見合みあはせしはなまゆはぢてそむけしえりあしうつくしさ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
実際じつさい真面目しんめんもく生涯せうがい真味しんみあぢはひし人のみがたがひともはたらき得る人なり 宗教しふけうを以て茶話席ちやわせき活題くわつだいとなすにとゞまるものは言語的げんごてき捺印的なついんてき一致いつちはかれよ
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
ぼくの十二のときです。ぼく父母ふぼしたがつてしばら他國たこくましたが、ちゝくわんするとともに、故郷くにかへりまして、ぼく大島小學校おほしませうがくかうといふにはひりました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
人類じんるい地上ちじょう発生はっせいした当初とうしょは、もっぱ自然霊しぜんれい守護霊しゅごれい役目やくめけたともうすことでございますが、時代じだいぎて、次第しだい人霊じんれいかずくわわるととも
彼女は牛車から降りると、一人の童男にともなわれて宿禰の部屋へ這入はいっていった。宿禰はしばらく彼女の姿を眺めていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
原田喜三郎と山田源之助は、二人ともK造船所直属のカンカンムシで、入渠船にゅうきょせんの修繕や、船底ボタムのカキオコシ、塗り換えなどをして食って行く労働者である。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
この冬季とうき寒威かんゐじつはげしく、河水かすゐごときはその表面へうめん氷結へうけつしてあつ尺餘しやくよいたり、人馬じんばともそのうへ自由じいうあゆ
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
ウシタソースを中匙一杯らしたゼラチン五枚を入れて塩胡椒で味をつけてその中へ玉子の白身一つをからともに割り込んでよく皆な掻き混ぜて火へかけます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こんなやうな簡短かんたん応答おうとうが、わたし彼等かれらのあいだに失望的しつぼうてきわらひとともかわされた。しかしはなせないのはわたしばかりではなかつた。大抵たいていはなせないのであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其れとともに都会の住民に対しては春秋四季しゆんじうしきの娯楽を与へ、時に不朽の価値ある詩歌しいか絵画をつくらしめた。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
彼等は双方とも決して問題の中心に触れ様とはしなかった。その代りに、問題外の些細ささいな事柄が、いつも議論の対象となり、殆ど狂的にまでいがみ合うのであった。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
仰ぎ願わくばこの功徳くどくを移してあまねく一切に及ぼし、みなともに、生命の自覚に入らしめられん事を。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
正月七日の夜、某旧識きゅうしきの人の奴僕ぬぼく一人、たちまちに所在を失ひそうろう。二月二日には、御直参ごじきさんの人にて文筆とも当時の英材、某多年の旧識、これも所在を失し、二十八日に帰られ候。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日本にほん英佛米伊えいふつべいいの四こくとも支那しな勸告くわんこくはつして、はや南北なんほくあらそひをめて『世界改造せかいかいざう偉業ゐげふ參加さんかせよ』とやつたね。支那しなはおかげ南北合同なんほくがふどう大共和國だいきようわこくになるだらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ひとつは二人とも躰にわるやまいツてゐるからでもあらうが、一つはまた面白おもしろくない家内かない事情じゞやう益々ます/\おもひ助長ぢよてうせしむるやうになツてゐるので、自然しぜん陰欝ゐんうつな、晴々はれ/″\しない
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
去年きょねん梅見時分うめみじぶんから伊勢新いせしん隠居いんきょ骨折ほねおりで、させてもらった笠森稲荷かさもりいなり水茶屋みずぢゃやたちま江戸中えどじゅう評判ひょうばんとなっては、きょう大吉だいきちかえった有難ありがたさを、なみだともよろこぶよりほかになく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
心身ともに生気に充ちていたのであったから、毎日〻〻の朝を、まだ薄靄うすもやが村の田のくろこずえめているほどのはやさに起出おきでて、そして九時か九時半かという頃までには
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いはなはいろすこくろはらあかてんがあり、やまめはいろしろたてうつくしい藍色あゐいろすぢがあります。またやまめのくちはいはなよりすことがつてゐて、おほきさはとも七八寸しちはつすんがとまりです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
自分じぶんは、いつまでもむかしの百しょうで、みんなといっしょになってはたらいて、みんなと苦楽くらくともにしましたから、むらひとたちからも、恩人おんじんしたわれて、たいへん尊敬そんけいされたのであります。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ことさらに藩地徳望の士君子しくんしに求め、そのともに尽力して学校をさかんにせんことを願うなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
客答へて曰く、栗樹は人家ちかき所にるのみ、是より深山にらば一樹をもあたはざるべしと、余又くりを食する能はざるをたんじ、炉辺ろへんくりあぶり石田君もともに大に之をくらふ宿は
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ここまでしゃべってきたとき、けたたましいベルが鳴り渡るとともに、コロラドと書いた名札の下に、赤いパイロット・ランプが点いて、専属高声器が、周章あわてふためいた人声を発した。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ことしあらば小泊瀬山をはつせやま石城いはきにもこもらばともになおも吾背わがせ 〔巻十六・三八〇六〕 娘子某
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なんだらうと思つてすぐ飛出とびだして格子かうしを明けて見ますると、両側りやうがはとも黒木綿くろもめん金巾かなきん二巾位ふたはゞぐらゐもありませうか幕張まくはりがいたしてございまして、真黒まつくろまる芝居しばゐ怪談くわいだんのやうでございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はるうら/\てふともあそぶやはな芳野山よしのやまたまさかづきばし、あきつきてら/\とたゞよへるうしほ絵島ゑのしままつさるなきをうらみ、厳冬げんとうには炬燵こたつおごり高櫓たかやぐら閉籠とぢこもり、盛夏せいかには蚊帳かや栄耀えいえう陣小屋ぢんごやとして
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「きょうだいとも死んじゃった。家がつぶれて火事になって焼死んだんだ。」
九月一日 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
はへはひよりしやうず、灰は火の燼末もえたこな也、しかれば蠅は火の虫也。はへころしてかたちあるもの灰中はひのなかにおけばよみがへる也。又しらみは人のねつよりしやうず、ねつは火也、火より生たる虫ゆゑにはへしらみともあたゝかなるをこのむ。
日本人においても敵味方てきみかたともに実際干渉かんしょう掛念けねんしたるものはあるべからず。
ところがそれよりもさきにけたたましい日和下駄ひよりげたおとが、改札口かいさつぐちはうからきこしたとおもふと、もなく車掌しやしやうなにののしこゑともに、わたくしつてゐる二とうしつががらりといて十三四の小娘こむすめ一人ひとり
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)