きゝ)” の例文
不知庵主人フチアンシユジンやくりしつみばつたいする批評ひゝやう仲々なか/\さかんなりとはきゝけるが、病氣びやうき其他そのたことありて今日こんにちまでにたるはわづか四五種しごしゆのみ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
現在げんざいうけひしはれにおぼえあれどなにれをいとことかは、大方おほかたまへきゝちがへとたてきりて、烟草たばこにふきわたしらぬとすましけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取出し源兵衞といふ餠屋や有と繰返くりかへし改めしに茗荷屋みやうがや源兵衞と云があり是は近頃遠國ゑんごくより歸し人ときゝ及ぶさだめてこれならんと寶澤にも是由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひく粟幹あはがら屋根やねからそのくゝりつけたかやしのにはえたみゝやつきゝとれるやうなさら/\とかすかになにかをちつけるやうなひゞきまない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
先年蒲原郡の内或家あるいへにて井をほりしに、其夜医師いし来りて井を掘し㕝をきゝ、家にかへる時挑灯てうちんを井の中へ入れそのあかしにて井を見て立さりしに
そうさきッ潜りをするから困るしずかきゝたまえな、持物の無いのは誰が見ても曲者が手掛りを無くする為に隠した事だから追剥の証拠には成らぬが
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
山「訳を申せば長いことでござる、かねて噂にきゝましたがお前が正太郎さんで、葛西の文吉殿のかたに御厄介に成っていらしった」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巻中の画、老人が稿本かうほん艸画さうぐわしんにし、あるひは京水が越地にうつし真景しんけい、或里人さとびとはなしきゝに作りたるもあり、其地にてらしてあやまりせむることなかれ。
たまの日曜抔は骨休めとか号して一日ぐう/\寐てゐる。だから何所どこに音楽会があらうと、どんな名人が外国からやうときゝに行く機会がない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これきゝ伝へた世人せじんはタルマ自身に匹敵する悲劇役者が国立劇場へ加はつたのを故人の霊が喜んだのであらうと評判した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
叩けばゆるやかに出來いできたさかなはといきまけばまだきゝに行た者が歸りませんと落付たり露伴こらへず何處いづこまで聞にやりしぞ一時間も掛るにまだ戻らぬかとことば
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ひさりのせふが帰郷をきゝて、親戚ども打寄うちよりしが、母上よりはかへつせふの顔色の常ならぬに驚きて、何様なにさま尋常じんじやうにてはあらぬらし、医師を迎へよと口々にすゝめ呉れぬ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
このほかほ、もしきゝもしたきこと澤山たくさんあつたが、時刻じこくすでに八ちかく、ていへんにはすで夥多あまた水兵すいへいあつまつてて、最早もはや工作こうさくはじまる模樣もやうつは、海岸かいがんいへには
東西とうざい最初さいしよきゝたつしまするは
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きゝしばし思案して申ける樣和尚は何とおもはるゝや拙者せつしや大言たいげんはくに似たれども伊賀亮ほどの大才ある者久しく山中にかくれてある黄金こがね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先年蒲原郡の内或家あるいへにて井をほりしに、其夜医師いし来りて井を掘し㕝をきゝ、家にかへる時挑灯てうちんを井の中へ入れそのあかしにて井を見て立さりしに
其方そちらおもよりもあらばつてれとてくる/\とそりたるつむりでゝ思案しあんあたはぬ風情ふぜい、はあ/\ときゝひとことばくて諸共もろとも溜息ためいきなり。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さぞかし御退屈でござりましたろうが、此の埋合うめあわせには、又其の内にごく面白いお話をおきゝに入れるつもりでござりますれば、相変らず御贔屓ごひいきを願い上げます。
対手と云う証拠は有ません(荻)併し遺恨と云う証拠は(大)其証拠が仲々入組いりくんだ議論です気永くおきゝ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
財主ざいしゆいもうところしたる一條いちじようなんじて「その氣質きしつはかねてきゝたる正直質樸せうじきしつぼくのものたるに、これをも殺したるはいかにぞや………さてはのちわれにかへりて大にこれを痛み悔ゆべきに、」云々とはれたり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
あとで、それは日本から輸出したものだと云ふ事が分つて大笑ひになつた。三越陳列所へ行つて、それを調べて来たものは代助である。それから西洋の音楽がきで、よく代助に誘ひ出されてきゝに行く。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
和尚おしよう如何どうだナなど扶持ふちでもしてくやうにはゞかせて、茶の呑倒のみたふしを、コレハ先生よくこそ御来臨ごらいりんさいはかたより到来たうらい銘酒めいしゆ、これも先生に口をきついただくは、青州せいしう従事じゆうじ好造化かうざうくわなどゝきゝかぢりと
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
きゝ成程なるほど何時いつ迄當院の厄介やくかいなつても居られず何分にも宜しくと頼みければ感應院も承知なして早速さつそくかの片町の醫師方へゆきみぎはなし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
巻中の画、老人が稿本かうほん艸画さうぐわしんにし、あるひは京水が越地にうつし真景しんけい、或里人さとびとはなしきゝに作りたるもあり、其地にてらしてあやまりせむることなかれ。
やれもらへと無茶苦茶むちやくちやすゝめたてる五月蠅うるささ、うなりとれ、れ、勝手かつてれとてれをうちむかへたは丁度てうど貴孃あなた御懷妊ごくわいにんだときゝました時分じぶんこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
引き続きおきゝに入れまするは、羽生村の名主惣次郎を山倉富五郎が手引をして、安田一角と申す者に殺させます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兎に角斯う種々様々の傷の有る所を見れば、よいかえきゝたまえ、一人で殺した者では無い大勢で寄てたかッて殺した者だ(大)成る程—(谷)シテ見れば先ず曲者は幾人いくたりも有るのだが
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑをきゝかまふたひらきればすでに玉はなかばかれたり。其たまわたり一寸ばかりこれしん夜光やくわう明月のたまなり。俗子ぞくしやくせられたる事悲夫かなしきかなしるせり。
をかしかるべき空蝉うつせみのとものにして今歳ことし十九ねんてんのなせる麗質れいしつ、をしや埋木うもれぎはるまたぬに、青柳あをやぎいとのみきゝても姿すがたしのばるゝやさしの人品ひとがら
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一席引続きましておきゝに入れますは、累が淵のお話でございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いえ私しは初めから店へ出て居たからきゝませんでしたが
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
これを見これをきゝて、雪のとほからざるをしる。年の寒暖かんだんにつれて時日じじつはさだかならねど、たけまはり・どうなりは秋の彼岸ひがん前後ぜんごにあり、毎年まいねんかくのごとし。
むせびきのこゑきこえめて斷續だんぞく言葉ことばそのことともきゝわきがたく、なかばかかげしのきばのすだれかぜおとするゆふぐれさびし。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがてかまどのもとに立しきりに飯櫃めしびつゆびさしてほしきさまなり、娘此異獣いじうの事をかねてきゝたるゆゑ、飯をにぎりて二ツ三ツあたへければうれしげに持さりけり。
石之助いしのすけ其夜そのよはをとなしく、新年はる明日あすよりの三ヶにちなりとも、いへにていはふべきはづながら御存ごぞんじのしまりなし、かたくるしきはかまづれに挨拶あいさつ面倒めんどう意見いけんじつきゝあきたり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
如何いかきゝ如何いかばかりあんじやしけん、どくのことしてけるよ、いで今日けふくれなんとするを、れいあしおとするころなり、日頃ひごろくもりしむねかゞみすゞしき物語ものがたりはらさばやとばかり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おんな不思議ふしぎさうにつてゆくをきやくきゝすましてわらひながら御遠慮ごゑんりよにはおよばない、つてたらからう、なにもそんなに體裁ていさいにはおよばぬではないか、可愛かわいひと素戻すもどしもひどからう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御新造ごしんぞおどきたるやうのあきがほして、れはまあなんことやら、なるほどおまへ伯父おぢさんの病氣びやうき、つゞいて借金しやくきんはなしもきゝましたが、いまいまわたしのうちから立換たてかへようとははなかつたはづ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其子そのこ昨年さくねんくれチプスにかゝつてんださうにきゝました、をんなはませなものではあり、ぎはにはさだめし父樣とゝさんとかなんとかふたので御座ござりましよう、今年ことしれば五つになるので御座ござりました
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たる我々われ/\申譯まをしわけ言葉ことばなし、是非ぜひまりたまへとへども、いや/\其樣そのやうことはお前樣まへさま出世しゆつせあかつきにいふてくだされ、いまきゝませぬとて孤身みひとつ風呂敷ふろしきづゝみ、谷中やなかいへ貸家かしやふだはられて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れにかまはずくちびるめて、まあお聞遊きゝあそばせ、千葉ちば其子そのこ見初みそめましてからのことあさ學校がくかうゆきまするときかなら其家そこ窓下まどしたぎて、こゑがするか、つたか、たい、きゝたい、はなしたい
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丸窓まるまどにうつるまつのかげ、幾夜いくよながめてつきやみになるまゝにいとこゝろそのとほり、うちあけてはひもならぬ、となりひと素性すじやうきゝたしとおもふほど、意地いぢわろくれもげぬのかそれともにらぬのか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きゝなされませ書生しよせい千葉ちば初戀はつこひあはれ、くにもとにりましたときそと見初みそめたが御座ござりましたさうな、田舍物いなかものことなればかまこしへさして藁草履わらぞうりで、手拭てぬぐひに草束くさたばねをつゝんでと思召おぼしめしませうが
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はづかしく、つゝましきことにあればひとめるはあざけりときゝなされて、嶋田しまだまげのなつかしさにふりかへりひとたちをばわれれをさげすつきとられて、正太しようたさんわたし自宅うちかへるよとふに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れてやうとおもひましたけれどよひまどひでうにましたからそのまゝいてまゐりました、本當ほんたう惡戯いたづらばかりつのりましてきゝわけとてはすこしもなく、そとればあとひまするし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日此頃けふこのごろ全盛ぜんせい父母ふぼへの孝養こうよううらやましく、おしよくとほあねの、いのらいのかずらねば、まちびとふるねづみなき格子かうし呪文じゆもんわかれの背中せな手加减てかげん秘密おくまで、たゞおもしろくきゝなされて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぐわつ廿日はつか千束神社せんぞくじんじやのまつりとて、山車屋臺だしやたい町々まち/\見得みえをはりて土手どてをのぼりて廓内なかまでも入込いりこまんづいきほひ、若者わかもの氣組きぐおもひやるべし、きゝかぢりに子供こどもとて由斷ゆだんのなりがたきこのあたりのなれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆきかよふひとかほちいさく/\ちがひとかほさへもはるかとほくにるやうおもはれて、つちのみ一丈もうへにあがりごとく、がや/\といふこゑきこゆれどそこものおとしたるごとひゞきにきゝなされて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
といひかけてわらことばなにとしらねどおほどこしとはお情深なさけぶかことさぞかし可哀かあいさうのも御座ございませうとおもふことあればさつしもふか花子はなこ煙草たばこきらひときゝしがかたはら煙管きせるとりあげて一服いつぷくあわたゞしくおしやりつそれはもうさま/″\ツイ二日計前ふつかばかりまへのこと極貧ごくひん裏屋うらやもの難産なんざんくるしみましてあに手術しゆじゆつ母子ふたりとも安全あんぜんでは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ありましたれど赤子あかごせるものがないとかきませば平常つねこゝろ承知しようちがならずとほして針仕事はりしごとるものふたつかはしましたと得意顏とくいがほ物語ものがたとくかげなるこそよけれとかきゝしがあやしのことよとうたがむね相談さうだんせばやのこゝろえぬ花子はなこさま/″\の患者くわんじやはなし昨日きのふ往診みまひ同朋町どうぼうちやうとやらしやとけばつゆたがはぬ樣子やうすなりそれほどまでには
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)