せま)” の例文
新字:
勘次かんじきはめてせま周圍しうゐいうしてる。しかかれせたちひさな體躯からだは、せま周圍しうゐ反撥はんぱつしてるやうな關係くわんけい自然しぜん成立なりたつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
せまい家の中は天井裏から床下まで調べあげましたが、搜すものが見付からない先に主人の石卷左陣が歸つて來たのです。それを見ると
そこへると最早もはや寒帶林かんたいりんをはりにちかづいたことがわかります。すなはち落葉松林からまつばやしはゞはごくせまくなつてをり、ちひさくなつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
尋ね出してをつと道十郎殿の惡名をすゝがせん者をと夫より心を定め赤坂あかさか傳馬町でんまちやうへと引取られ同町にておもてながらもいとせま孫店まごだな借受かりうけ爰に雨露うろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
午後ごゝんだがれさうにもせずくもふようにしてぶ、せまたに益々ます/\せまくなつて、ぼく牢獄らうごくにでもすわつて
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その意味いみで、せま路次ろじおくにあつた、木造もくざうの、あのささやかな洋館やうくわん日本麻雀道にほんマアジヤンだうのためには記念保存物きねんほぞんぶつたる價値かちつてゐるかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なんなりともかなひたるを、あくまでしよくすべし」と強附しひつけ/\、御菓子おんくわし濃茶こいちや薄茶うすちや、などを籠中かごのなかところせまきまでたまはりつ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わがくに大地震おほぢしん激震區域げきしんくいきひろいとせまいとによつて、これを非局部性ひきよくぶせいのものと、局部性きよくぶせいのものとに區別くべつすること出來できる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其所そこ下女げぢよが三じやくせま入口いりぐちけて這入はいつてたが、あらためて宗助そうすけ鄭重ていちよう御辭儀おじぎをしたうへ木皿きざらやう菓子皿くわしざらやうなものを、ひとまへいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
首筋くびすぢうすかつたとなほぞいひける、單衣ひとへ水色友仙みづいろゆうぜんすゞしげに、白茶金しらちやきんらんの丸帶まるおびすこはゞせまいをむすばせて、庭石にはいし下駄げだなほすまでときうつりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『それはせま遁路にげみちだつたのよ!』と云つてあいちやんは、きふ變化かはりかたには一方ひとかたならずおどろかされましたが、それでもうして其處そこつたことを大層たいそうよろこんで
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は自分の愛のいとちひさく、淺く、せまいのを、ぢ、おそれ、なげきます。私の今のくるしみは、私ん自分にのぞんでゐる愛のりなさを、かなしむ心に外ならないのです。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
お前のうちは昔から阿母おつかさんが東京好きで、長火鉢まで東京風のふちせまい奴を態々わざ/\取り寄せて、褞袍どてらなんか着込んで其の前へ新橋邊しんばしへん女將おかみさんみたいにして坐つてゐたが
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ひろやうでもせまいのは滊船きせん航路かうろで、千島艦ちしまかんとラーヴエンナがう事件じけん實例じつれいまでもなく、すこしく舵機かぢ取方とりかたあやまつても、屡々しば/\驚怖きやうふすべき衝突しようとつかもすのに、底事なにごとぞ、あやしふね海蛇丸かいだまる
されば家塾かじゆく放任主義はうにんしゆぎおこなふのは畢竟ひつきやう獨立心どくりつしんやしなためであつて、このせまちひさな家塾かじゆく習慣しふくわんをつけてくのは他日たじつおほひなる社會しやくわいひろ世界せかいことけない仕度したく御在ございます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
せまい張り出しに坐つて、驚き恐れてゐる赤ン坊を膝にのせて靜まらせました。あなたは路の曲角まがりかどをおまがりになつた、最後の一目と身を乘り出すとたん、壁が崩れ落ちて私は搖られた。
れでゐて足音あしおとしづかで、ある樣子やうす注意深ちゆういぶか忍足しのびあしのやうである。せま廊下らうかひと出遇であふと、みちけて立留たちどまり、『失敬しつけい』と、さもふとこゑひさうだが、ほそいテノルで挨拶あいさつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この石室せきしつぐち一體いつたいひくせまくて、大人おとなからだをかゞめてはひらねばならぬくらゐですが、内部ないぶひろくて天井てんじよう人間にんげん身長しんちようよりもたかいのが普通ふつうで、なかには身長しんちよう二倍にばいぐらゐのものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
すなはその(四九)歩軍ほぐんて、その(五〇)輕鋭けいえいと、(五一)ばいかうあはせてこれへり。孫子そんし其行そのかうはかるに、くれまさ馬陵ばりよういたるべし。馬陵ばりようみちせまくしてかたは(五二)阻隘そあいおほく、へいふくし。
憂悒の義の「いぶせし」は氣噴いぶきせましの意にして、憂ふる者の氣噴いぶきは暢達寛大なる能はざるの實に副うて居る。之も悲む時は則ち心系急に、肺布き葉擧つて上焦通ぜずと擧痛論に説けるに應じて居る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
おもせまこゝろざしかくたり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ですから彼等かれらのゐる村落附近そんらくふきん山林さんりんは、のちにはだん/\にせまく、まばらになつてて、つひにはまき材料ざいりようにも不足ふそくするようになりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
卯平うへいせまいながらにどうにか土間どまこしらへて其處そこへは自在鍵じざいかぎひとつるしてつるのある鐵瓶てつびんかけたり小鍋こなべけたりすることが出來できやうにした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お靜はこんな話を聽かされると自分のことのやうに極り惡がつてせまいお勝手に逃げ込みましたが、當の平次は以ての外の顏で
それくらべてときは、鳥籠とりかごなかせまけれども、二疊にでふばかりあるらむを、なんぢ一人ひとり寢起ねおきにはよも堪難たへがたきことあるまじ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
せま京都きやうときた宗助そうすけは、單調たんてう生活せいくわつやぶ色彩しきさいとして、さう出來事できごとも百ねんに一ぐらゐ必要ひつえうだらうとまでおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、なみ海深かいしん次第しだいあさくなるところ進入しんにゆうすると、それにつれてたかさをし、また漏斗じようごのようにおく次第しだいせまくなるところ進入しんにゆうしてもなみたかさがしてくる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わたしせま知識ちしき範圍はんいでは、戯曲ぎきよく球突たまつきたまひゞきなどをもちゐたのはひとりチエエホフあるのみのやうである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いや植村うゑむらせまいからで、どうも此樣こんことになつて仕舞しまつたで、私共わしども二人ふたりじつ其方そちらあはせるかほいやうな仕儀しぎでな、しかゆきをも可愛想かあいさうおもつてつて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はる野路のぢをガタ馬車ばしやはしる、はなみだれてる、フワリ/\と生温なまぬるかぜゐてはなかほりせままどからひとおもてかすめる、此時このとき御者ぎよしや陽氣やうき調子てうし喇叭らつぱきたてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
して倶に貧乏びんばふする時はをつとに對して何と云譯が成べきぞ然はなく共お粂のさと貧窮ひんきうなりと云るゝ度の肩身かたみせまさ恥しさ御氣にさはるかは知ね共私し共は寢衣ねまきにも着られぬ樣な衣物きもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
病院びやうゐんでは外來患者ぐわいらいくわんじやがもう診察しんさつ待構まちかまへて、せま廊下らうか多人數たにんず詰掛つめかけてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのひとふるあな調しらべることに興味きようみをもち、ある七八歳しちはつさいをんなれてこの洞穴ほらあななかへはひつたのです。あなぐちは、いまよりせまくやう/\よつひになつてなかにはひつてくと、をんな
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これといつてなにひとつ取りとめたおはなしもいたしませんでしたのねえ、せまい私の家中うちぢうまはつてゐるまあちやんとせつちやんのあそびは、二人ふたりのやりかけた話をたび/\さらつてきました、私はたゞ
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
帶のせまい女房の後姿うしろすがたを見送つて、小池はニヤ/\笑ひつゝ言つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
この圍爐裡ゐろり屹度きつとせまいわ、どれ、一寸ちよツとつてやう!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ばあさんはそは/\としつゝせまいのでたがひ衝突つきあたつてはさわぎながら、自分じぶんいへときのやうな節制たしなみすこしもたもたれてなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
縁側からせまい庭へ降りて、生垣いけがき一巡ひとめぐり、平次はいつもの流儀で、れるところ無く四方の情勢を調べるのでした。
それは京都きやうと共通きようつうくら陰氣いんきつくりのうへに、はしら格子かうし黒赤くろあかつて、わざと古臭ふるくさせたせま貸家かしやであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
驚破すはへば、駈出かけだすばかりに、障子しやうじかどなかばあけたまゝで。……かまちせま三疊さんでふに、くだん提灯ちやうちんすがつた、ついはなさきは、まちみちおほきなあなのやうにみなくらい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなは海水かいすい段々だん/\せまくなる港灣こうわんながむことになり、したがつて沖合おきあひではたかわづか一二尺いちにしやくにすぎなかつた津浪つなみも、港灣こうわんおくおいては數十尺すうじつしやくたかさとなるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
と、左手ひだりてはう人家じんか燈灯ともしびがぼんやりひかつてゐた——Fまちかな‥‥とおもひながらやみなか見透みすかすと、街道かいだう沿うてながれてゐるせま小川をがは水面みづもがいぶしぎんのやうにひかつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
またまゝむすめ紛紜もめでもおこりましたのか、せまひとなれば何事なにごとくちには得言えいはで、たんとむねいたくするがひと性分しやうぶんこまりもので御座ござります、とてわざとの高笑たかわらひをしてかせれば
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大部分だいぶぶんひと生活せいかつしてゐる都會とかいは、せま土地とち大勢おほぜいひとみ、石炭せきたん煤煙ばいえんや、そのほか塵埃じんあいでもって空氣くうきがおそろしくにごつてをり、また各種かくしゆ交通機關こうつうきかん發達はつたつして晝夜ちゆうやわかちなく
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
辨償わきまへ出入先はすませしかども此一件より勘兵衞の舊惡きうあくあらはれし事はなは不便ふびんに思ひ居たるに彌七も又殺されしときゝ何となく世間もせまき心になり其上そのうへ借金しやくきんも多く面白おもしろからねば一先江戸へくだり何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お角の抗議を空耳そらみゝに聞いて、平次はせまい濡縁から三疊の間に乘出すやうに、穴から隣の家の方を覗いて居ります。
途中とちう納戸町邊なんどまちへんせまみちで、七八十尺しちはちじつしやく切立きつたての白煉瓦しろれんぐわに、がけちるたきのやうな龜裂ひゞが、えだつて、三條みすぢばかり頂邊てつぺんからはしりかゝつてるのにはきもひやした。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ればかりはと子細しさいもなく、千扁一律せんべんいちりついやいやをとほして、はては世上せじやういまはしきうたはれながら、せま乙名をとめにもかけず、けゆくとししみもせず、しづかに月花つきはなをたのしんで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
噴火ふんか間際まぎはになると、きはめてせま範圍はんいのみにかんずる地震ぢしんすなは局部きよくぶ微震びしん頻々ひんぴんおこることが通常つうじようである。地表近ちひようちかくに進出しんしゆつして蒸氣じようきが、地表ちひようやぶらうとするはたらきのためにおこるものであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
お局のお六の聲が、激情にはずみます。せまい小屋の中は、この女一人を入れただけで、近々と體温を感ずるやう。