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狹
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せま
ふりがな文庫
“
狹
(
せま
)” の例文
新字:
狭
勘次
(
かんじ
)
は
極
(
きは
)
めて
狹
(
せま
)
い
周圍
(
しうゐ
)
を
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
の
痩
(
や
)
せた
小
(
ちひ
)
さな
體躯
(
からだ
)
は、
其
(
そ
)
の
狹
(
せま
)
い
周圍
(
しうゐ
)
と
反撥
(
はんぱつ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうな
關係
(
くわんけい
)
が
自然
(
しぜん
)
に
成立
(
なりた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
狹
(
せま
)
い家の中は天井裏から床下まで調べあげましたが、搜すものが見付からない先に主人の石卷左陣が歸つて來たのです。それを見ると
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこへ
來
(
く
)
ると
最早
(
もはや
)
寒帶林
(
かんたいりん
)
の
終
(
をは
)
りに
近
(
ちか
)
づいたことがわかります。すなはち
落葉松林
(
からまつばやし
)
の
幅
(
はゞ
)
はごく
狹
(
せま
)
くなつてをり、
木
(
き
)
も
小
(
ちひ
)
さくなつてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
尋ね出して
夫
(
をつと
)
道十郎殿の惡名を
雪
(
すゝ
)
がせん者をと夫より心を定め
赤坂
(
あかさか
)
傳馬町
(
でんまちやう
)
へと引取られ同町にて
表
(
おもて
)
ながらも
最
(
いと
)
狹
(
せま
)
き
孫店
(
まごだな
)
を
借受
(
かりうけ
)
爰に
雨露
(
うろ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
午後
(
ごゝ
)
は
降
(
ふ
)
り
止
(
や
)
んだが
晴
(
は
)
れさうにもせず
雲
(
くも
)
は
地
(
ち
)
を
這
(
は
)
ふようにして
飛
(
と
)
ぶ、
狹
(
せま
)
い
溪
(
たに
)
は
益々
(
ます/\
)
狹
(
せま
)
くなつて、
僕
(
ぼく
)
は
牢獄
(
らうごく
)
にでも
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
氣
(
き
)
。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
その
意味
(
いみ
)
で、
狹
(
せま
)
い
路次
(
ろじ
)
の
奧
(
おく
)
にあつた、
木造
(
もくざう
)
の、あのささやかな
洋館
(
やうくわん
)
は
日本麻雀道
(
にほんマアジヤンだう
)
のためには
記念保存物
(
きねんほぞんぶつ
)
たる
價値
(
かち
)
を
持
(
も
)
つてゐるかも
知
(
し
)
れない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「
何
(
なん
)
なりとも
氣
(
き
)
に
協
(
かな
)
ひたるを、
飽
(
あく
)
まで
食
(
しよく
)
すべし」と
強附
(
しひつ
)
け/\、
御菓子
(
おんくわし
)
、
濃茶
(
こいちや
)
、
薄茶
(
うすちや
)
、などを
籠中
(
かごのなか
)
所
(
ところ
)
狹
(
せま
)
きまで
給
(
たま
)
はりつ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わが
國
(
くに
)
の
大地震
(
おほぢしん
)
は
激震區域
(
げきしんくいき
)
の
廣
(
ひろ
)
いと
狹
(
せま
)
いとによつて、これを
非局部性
(
ひきよくぶせい
)
のものと、
局部性
(
きよくぶせい
)
のものとに
區別
(
くべつ
)
する
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
る。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
其所
(
そこ
)
へ
下女
(
げぢよ
)
が三
尺
(
じやく
)
の
狹
(
せま
)
い
入口
(
いりぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
這入
(
はい
)
つて
來
(
き
)
たが、
改
(
あら
)
ためて
宗助
(
そうすけ
)
に
鄭重
(
ていちよう
)
な
御辭儀
(
おじぎ
)
をした
上
(
うへ
)
、
木皿
(
きざら
)
の
樣
(
やう
)
な
菓子皿
(
くわしざら
)
の
樣
(
やう
)
なものを、
一
(
ひと
)
つ
前
(
まへ
)
に
置
(
お
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
居
(
ゐ
)
て
見
(
み
)
、
首筋
(
くびすぢ
)
が
薄
(
うす
)
かつたと
猶
(
なほ
)
ぞいひける、
單衣
(
ひとへ
)
は
水色友仙
(
みづいろゆうぜん
)
の
凉
(
すゞ
)
しげに、
白茶金
(
しらちやきん
)
らんの
丸帶
(
まるおび
)
少
(
すこ
)
し
幅
(
はゞ
)
の
狹
(
せま
)
いを
結
(
むす
)
ばせて、
庭石
(
にはいし
)
に
下駄
(
げだ
)
直
(
なほ
)
すまで
時
(
とき
)
は
移
(
うつ
)
りぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『それは
狹
(
せま
)
い
遁路
(
にげみち
)
だつたのよ!』と云つて
愛
(
あい
)
ちやんは、
急
(
きふ
)
な
變化
(
かはりかた
)
には
一方
(
ひとかた
)
ならず
驚
(
おどろ
)
かされましたが、それでも
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
の
然
(
さ
)
うして
其處
(
そこ
)
に
在
(
あ
)
つたことを
大層
(
たいそう
)
悦
(
よろこ
)
んで
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私は自分の愛のいと
小
(
ちひ
)
さく、淺く、
狹
(
せま
)
いのを、
恥
(
は
)
ぢ、
恐
(
おそ
)
れ、
嘆
(
なげ
)
きます。私の今の
苦
(
くる
)
しみは、私ん自分に
希
(
のぞ
)
んでゐる愛の
足
(
た
)
りなさを、
悲
(
かな
)
しむ心に外ならないのです。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お前の
家
(
うち
)
は昔から
阿母
(
おつか
)
さんが東京好きで、長火鉢まで東京風の
縁
(
ふち
)
の
狹
(
せま
)
い奴を
態々
(
わざ/\
)
取り寄せて、
褞袍
(
どてら
)
か
何
(
なん
)
か着込んで其の前へ
新橋邊
(
しんばしへん
)
の
女將
(
おかみ
)
さんみたいにして坐つてゐたが
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
廣
(
ひろ
)
い
樣
(
やう
)
でも
狹
(
せま
)
いのは
滊船
(
きせん
)
の
航路
(
かうろ
)
で、
千島艦
(
ちしまかん
)
とラーヴエンナ
號
(
がう
)
事件
(
じけん
)
の
實例
(
じつれい
)
を
引
(
ひ
)
く
迄
(
まで
)
もなく、
少
(
すこ
)
しく
舵機
(
かぢ
)
の
取方
(
とりかた
)
を
※
(
あやま
)
つても、
屡々
(
しば/\
)
驚怖
(
きやうふ
)
すべき
衝突
(
しようとつ
)
を
釀
(
かも
)
すのに、
底事
(
なにごと
)
ぞ、
怪
(
あやし
)
の
船
(
ふね
)
海蛇丸
(
かいだまる
)
は
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
されば
此
(
こ
)
の
家塾
(
かじゆく
)
で
放任主義
(
はうにんしゆぎ
)
を
行
(
おこな
)
ふのは
畢竟
(
ひつきやう
)
獨立心
(
どくりつしん
)
を
養
(
やしな
)
ふ
爲
(
ため
)
であつて、この
狹
(
せま
)
い
小
(
ちひ
)
さな
家塾
(
かじゆく
)
で
其
(
そ
)
の
習慣
(
しふくわん
)
をつけて
置
(
お
)
くのは
他日
(
たじつ
)
大
(
おほひ
)
なる
社會
(
しやくわい
)
、
廣
(
ひろ
)
き
世界
(
せかい
)
へ
出
(
い
)
て
事
(
こと
)
の
缺
(
か
)
けない
仕度
(
したく
)
で
御在
(
ござい
)
ます。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
狹
(
せま
)
い張り出しに坐つて、驚き恐れてゐる赤ン坊を膝にのせて靜まらせました。あなたは路の
曲角
(
まがりかど
)
をおまがりになつた、最後の一目と身を乘り出すとたん、壁が崩れ落ちて私は搖られた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
其
(
そ
)
れでゐて
足音
(
あしおと
)
は
極
(
ご
)
く
靜
(
しづか
)
で、
歩
(
ある
)
く
樣子
(
やうす
)
は
注意深
(
ちゆういぶか
)
い
忍足
(
しのびあし
)
のやうである。
狹
(
せま
)
い
廊下
(
らうか
)
で
人
(
ひと
)
に
出遇
(
であ
)
ふと、
先
(
ま
)
づ
道
(
みち
)
を
除
(
よ
)
けて
立留
(
たちどま
)
り、『
失敬
(
しつけい
)
』と、さも
太
(
ふと
)
い
聲
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
ひさうだが、
細
(
ほそ
)
いテノルで
然
(
さ
)
う
挨拶
(
あいさつ
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この
石室
(
せきしつ
)
の
入
(
い
)
り
口
(
ぐち
)
は
一體
(
いつたい
)
に
低
(
ひく
)
く
狹
(
せま
)
くて、
大人
(
おとな
)
が
體
(
からだ
)
をかゞめてはひらねばならぬくらゐですが、
内部
(
ないぶ
)
は
廣
(
ひろ
)
くて
天井
(
てんじよう
)
は
人間
(
にんげん
)
の
身長
(
しんちよう
)
よりも
高
(
たか
)
いのが
普通
(
ふつう
)
で、
中
(
なか
)
には
身長
(
しんちよう
)
の
二倍
(
にばい
)
ぐらゐのものもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
乃
(
すなは
)
ち
其
(
その
)
(四九)
歩軍
(
ほぐん
)
を
棄
(
す
)
て、
其
(
その
)
(五〇)
輕鋭
(
けいえい
)
と、
(五一)
日
(
ひ
)
を
倍
(
ばい
)
し
行
(
かう
)
を
并
(
あは
)
せて
之
(
これ
)
を
逐
(
お
)
へり。
孫子
(
そんし
)
、
其行
(
そのかう
)
を
度
(
はか
)
るに、
暮
(
くれ
)
に
當
(
まさ
)
に
馬陵
(
ばりよう
)
に
至
(
いた
)
るべし。
馬陵
(
ばりよう
)
は
道
(
みち
)
狹
(
せま
)
くして
旁
(
かたは
)
ら
(五二)
阻隘
(
そあい
)
多
(
おほ
)
く、
兵
(
へい
)
を
伏
(
ふく
)
す
可
(
べ
)
し。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
憂悒の義の「いぶせし」は
氣噴
(
いぶき
)
狹
(
せま
)
しの意にして、憂ふる者の
氣噴
(
いぶき
)
は暢達寛大なる能はざるの實に副うて居る。之も悲む時は則ち心系急に、肺布き葉擧つて上焦通ぜずと擧痛論に説けるに應じて居る。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
思
(
おも
)
ひ
狹
(
せま
)
く
志
(
こゝろざし
)
確
(
かく
)
たり。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
ですから
彼等
(
かれら
)
のゐる
村落附近
(
そんらくふきん
)
の
山林
(
さんりん
)
は、
後
(
のち
)
にはだん/\に
狹
(
せま
)
く、まばらになつて
來
(
き
)
て、つひには
薪
(
まき
)
の
材料
(
ざいりよう
)
にも
不足
(
ふそく
)
するようになりました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
卯平
(
うへい
)
は
狹
(
せま
)
いながらにどうにか
土間
(
どま
)
も
拵
(
こしら
)
へて
其處
(
そこ
)
へは
自在鍵
(
じざいかぎ
)
を
一
(
ひと
)
つ
吊
(
つる
)
して
蔓
(
つる
)
のある
鐵瓶
(
てつびん
)
を
懸
(
かけ
)
たり
小鍋
(
こなべ
)
を
掛
(
か
)
けたりすることが
出來
(
でき
)
る
樣
(
やう
)
にした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お靜はこんな話を聽かされると自分のことのやうに極り惡がつて
狹
(
せま
)
いお勝手に逃げ込みましたが、當の平次は以ての外の顏で
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
それ
)
に
較
(
くら
)
べて
見
(
み
)
る
時
(
とき
)
は、
鳥籠
(
とりかご
)
の
中
(
なか
)
は
狹
(
せま
)
けれども、
二疊
(
にでふ
)
ばかりあるらむを、
汝
(
なんぢ
)
一人
(
ひとり
)
の
寢起
(
ねおき
)
にはよも
堪難
(
たへがた
)
きことあるまじ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
狹
(
せま
)
い
京都
(
きやうと
)
に
飽
(
あ
)
きた
宗助
(
そうすけ
)
は、
單調
(
たんてう
)
な
生活
(
せいくわつ
)
を
破
(
やぶ
)
る
色彩
(
しきさい
)
として、さう
云
(
い
)
ふ
出來事
(
できごと
)
も百
年
(
ねん
)
に一
度
(
ど
)
位
(
ぐらゐ
)
は
必要
(
ひつえう
)
だらうと
迄
(
まで
)
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、
波
(
なみ
)
は
海深
(
かいしん
)
が
次第
(
しだい
)
に
淺
(
あさ
)
くなる
所
(
ところ
)
に
進入
(
しんにゆう
)
すると、それにつれて
高
(
たか
)
さを
増
(
ま
)
し、
又
(
また
)
漏斗
(
じようご
)
のように
奧
(
おく
)
が
次第
(
しだい
)
に
狹
(
せま
)
くなる
所
(
ところ
)
に
進入
(
しんにゆう
)
しても
波
(
なみ
)
の
高
(
たか
)
さが
増
(
ま
)
してくる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
私
(
わたし
)
の
狹
(
せま
)
い
知識
(
ちしき
)
の
範圍
(
はんい
)
では、
戯曲
(
ぎきよく
)
に
球突
(
たまつき
)
の
球
(
たま
)
の
響
(
ひゞ
)
きなどを
用
(
もち
)
ゐたのはひとりチエエホフあるのみのやうである。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
否
(
いや
)
植村
(
うゑむら
)
も
氣
(
き
)
が
狹
(
せま
)
いからで、どうも
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
になつて
仕舞
(
しま
)
つたで、
私共
(
わしども
)
二人
(
ふたり
)
が
實
(
じつ
)
に
其方
(
そちら
)
に
合
(
あは
)
せる
顏
(
かほ
)
も
無
(
な
)
いやうな
仕儀
(
しぎ
)
でな、
然
(
しか
)
し
雪
(
ゆき
)
をも
可愛想
(
かあいさう
)
と
思
(
おも
)
つて
遣
(
や
)
つて
呉
(
く
)
れ
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
春
(
はる
)
の
野路
(
のぢ
)
をガタ
馬車
(
ばしや
)
が
走
(
はし
)
る、
野
(
の
)
は
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
亂
(
みだ
)
れて
居
(
ゐ
)
る、フワリ/\と
生温
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
ゐて
花
(
はな
)
の
香
(
かほり
)
が
狹
(
せま
)
い
窓
(
まど
)
から
人
(
ひと
)
の
面
(
おもて
)
を
掠
(
かす
)
める、
此時
(
このとき
)
御者
(
ぎよしや
)
が
陽氣
(
やうき
)
な
調子
(
てうし
)
で
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
きたてる。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
して倶に
貧乏
(
びんばふ
)
する時は
夫
(
をつと
)
に對して何と云譯が成べきぞ然はなく共お粂の
里
(
さと
)
は
貧窮
(
ひんきう
)
なりと云るゝ度の
肩身
(
かたみ
)
の
狹
(
せま
)
さ恥しさ御氣に
障
(
さは
)
るかは知ね共私し共は
寢衣
(
ねまき
)
にも着られぬ樣な
衣物
(
きもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
病院
(
びやうゐん
)
では
外來患者
(
ぐわいらいくわんじや
)
がもう
診察
(
しんさつ
)
を
待構
(
まちかま
)
へて、
狹
(
せま
)
い
廊下
(
らうか
)
に
多人數
(
たにんず
)
詰掛
(
つめか
)
けてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その
人
(
ひと
)
は
古
(
ふる
)
い
穴
(
あな
)
を
調
(
しら
)
べることに
興味
(
きようみ
)
をもち、ある
日
(
ひ
)
七八歳
(
しちはつさい
)
の
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
を
伴
(
つ
)
れてこの
洞穴
(
ほらあな
)
の
中
(
なか
)
へはひつたのです。
穴
(
あな
)
の
入
(
い
)
り
口
(
ぐち
)
は、
今
(
いま
)
より
狹
(
せま
)
くやう/\
四
(
よつ
)
ん
這
(
ば
)
ひになつて
中
(
なか
)
にはひつて
行
(
ゆ
)
くと、
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
が
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
これといつて
何
(
なに
)
一
(
ひと
)
つ取りとめたお
話
(
はなし
)
もいたしませんでしたのねえ、
狹
(
せま
)
い私の
家中
(
うちぢう
)
を
驅
(
か
)
け
廻
(
まは
)
つてゐるまあちやんとせつちやんの
遊
(
あそ
)
びは、
二人
(
ふたり
)
のやりかけた話をたび/\さらつて
行
(
ゆ
)
きました、私はたゞ
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
帶の
狹
(
せま
)
い女房の
後姿
(
うしろすがた
)
を見送つて、小池はニヤ/\笑ひつゝ言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
此
(
この
)
圍爐裡
(
ゐろり
)
は
屹度
(
きつと
)
狹
(
せま
)
いわ、どれ、
一寸
(
ちよツと
)
蹴
(
け
)
つて
見
(
み
)
やう!
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
婆
(
ばあ
)
さん
等
(
ら
)
はそは/\としつゝ
狹
(
せま
)
いので
互
(
たがひ
)
に
衝突
(
つきあた
)
つては
騷
(
さわ
)
ぎながら、
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
に
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
のやうな
節制
(
たしなみ
)
が
少
(
すこ
)
しも
保
(
たも
)
たれて
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
縁側から
狹
(
せま
)
い庭へ降りて、
生垣
(
いけがき
)
を
一巡
(
ひとめぐ
)
り、平次はいつもの流儀で、
洩
(
も
)
れるところ無く四方の情勢を調べるのでした。
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは
京都
(
きやうと
)
に
共通
(
きようつう
)
な
暗
(
くら
)
い
陰氣
(
いんき
)
な
作
(
つく
)
りの
上
(
うへ
)
に、
柱
(
はしら
)
や
格子
(
かうし
)
を
黒赤
(
くろあか
)
く
塗
(
ぬ
)
つて、わざと
古臭
(
ふるくさ
)
く
見
(
み
)
せた
狹
(
せま
)
い
貸家
(
かしや
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
驚破
(
すは
)
と
言
(
い
)
へば、
駈出
(
かけだ
)
すばかりに、
障子
(
しやうじ
)
も
門
(
かど
)
も
半
(
なか
)
ばあけたまゝで。……
框
(
かまち
)
の
狹
(
せま
)
い
三疊
(
さんでふ
)
に、
件
(
くだん
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
に
縋
(
すが
)
つた、つい
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
は、
町
(
まち
)
も
道
(
みち
)
も
大
(
おほ
)
きな
穴
(
あな
)
のやうに
皆
(
みな
)
暗
(
くら
)
い。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
即
(
すなは
)
ち
海水
(
かいすい
)
が
段々
(
だん/\
)
狹
(
せま
)
くなる
港灣
(
こうわん
)
に
流
(
なが
)
れ
込
(
こ
)
むことになり、
隨
(
したが
)
つて
沖合
(
おきあひ
)
では
高
(
たか
)
さ
僅
(
わづか
)
に
一二尺
(
いちにしやく
)
にすぎなかつた
津浪
(
つなみ
)
も、
港灣
(
こうわん
)
の
奧
(
おく
)
に
於
(
おい
)
ては
數十尺
(
すうじつしやく
)
の
高
(
たか
)
さとなるのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
と、
左手
(
ひだりて
)
の
方
(
はう
)
に
人家
(
じんか
)
の
燈灯
(
ともしび
)
がぼんやり
光
(
ひか
)
つてゐた——F
町
(
まち
)
かな‥‥と
思
(
おも
)
ひながら
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
見透
(
みすか
)
すと、
街道
(
かいだう
)
に
沿
(
そ
)
うて
流
(
なが
)
れてゐる
狹
(
せま
)
い
小川
(
をがは
)
の
水面
(
みづも
)
がいぶし
銀
(
ぎん
)
のやうに
光
(
ひか
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
又
(
また
)
まゝ
娘
(
むすめ
)
と
紛紜
(
もめ
)
でも
起
(
おこ
)
りましたのか、
氣
(
き
)
の
狹
(
せま
)
い
人
(
ひと
)
なれば
何事
(
なにごと
)
も
口
(
くち
)
には
得言
(
えい
)
はで、たんと
胸
(
むね
)
を
痛
(
いた
)
くするが
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
の
性分
(
しやうぶん
)
、
困
(
こま
)
りもので
御座
(
ござ
)
ります、とて
態
(
わざ
)
との
高笑
(
たかわら
)
ひをして
聞
(
き
)
かせれば
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
大部分
(
だいぶぶん
)
の
人
(
ひと
)
が
生活
(
せいかつ
)
してゐる
都會
(
とかい
)
は、
狹
(
せま
)
い
土地
(
とち
)
に
大勢
(
おほぜい
)
の
人
(
ひと
)
が
住
(
す
)
み、
石炭
(
せきたん
)
の
煤煙
(
ばいえん
)
や、その
他
(
ほか
)
の
塵埃
(
じんあい
)
でもって
空氣
(
くうき
)
がおそろしく
濁
(
にご
)
つてをり、また
各種
(
かくしゆ
)
の
交通機關
(
こうつうきかん
)
が
發達
(
はつたつ
)
して
晝夜
(
ちゆうや
)
の
分
(
わか
)
ちなく
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
辨償
(
わきま
)
へ出入先は
濟
(
すま
)
せしかども此一件より勘兵衞の
舊惡
(
きうあく
)
顯
(
あらは
)
れし事
甚
(
はなは
)
だ
不便
(
ふびん
)
に思ひ居たるに彌七も又殺されしと
聞
(
きゝ
)
何となく世間も
狹
(
せま
)
き心になり
其上
(
そのうへ
)
借金
(
しやくきん
)
も多く
面白
(
おもしろ
)
からねば一先江戸へ
下
(
くだ
)
り何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お角の抗議を
空耳
(
そらみゝ
)
に聞いて、平次は
狹
(
せま
)
い濡縁から三疊の間に乘出すやうに、穴から隣の家の方を覗いて居ります。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
途中
(
とちう
)
お
納戸町邊
(
なんどまちへん
)
の
狹
(
せま
)
い
道
(
みち
)
で、
七八十尺
(
しちはちじつしやく
)
切立
(
きつた
)
ての
白煉瓦
(
しろれんぐわ
)
に、
崖
(
がけ
)
を
落
(
お
)
ちる
瀑
(
たき
)
のやうな
龜裂
(
ひゞ
)
が、
枝
(
えだ
)
を
打
(
う
)
つて、
三條
(
みすぢ
)
ばかり
頂邊
(
てつぺん
)
から
走
(
はし
)
りかゝつて
居
(
ゐ
)
るのには
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
した。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
是
(
こ
)
ればかりはと
子細
(
しさい
)
もなく、
千扁一律
(
せんべんいちりつ
)
いやいやを
徹
(
とほ
)
して、はては
世上
(
せじやう
)
に
忌
(
いま
)
はしき
名
(
な
)
を
謠
(
うた
)
はれながら、
狹
(
せま
)
き
乙名
(
をとめ
)
の
氣
(
き
)
にもかけず、
更
(
ふ
)
けゆく
歳
(
とし
)
を
惜
(
を
)
しみもせず、
靜
(
しづ
)
かに
月花
(
つきはな
)
をたのしんで
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
噴火
(
ふんか
)
の
間際
(
まぎは
)
になると、
極
(
きは
)
めて
狹
(
せま
)
い
範圍
(
はんい
)
のみに
感
(
かん
)
ずる
地震
(
ぢしん
)
、
即
(
すなは
)
ち
局部
(
きよくぶ
)
の
微震
(
びしん
)
が
頻々
(
ひんぴん
)
に
起
(
おこ
)
ることが
通常
(
つうじよう
)
である。
地表近
(
ちひようちか
)
くに
進出
(
しんしゆつ
)
して
來
(
き
)
た
蒸氣
(
じようき
)
が、
地表
(
ちひよう
)
を
破
(
やぶ
)
らうとする
働
(
はたら
)
きのために
起
(
おこ
)
るものであらう。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
お局のお六の聲が、激情に
彈
(
はず
)
みます。
狹
(
せま
)
い小屋の中は、この女一人を入れただけで、近々と體温を感ずるやう。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
狹
部首:⽝
10画
“狹”を含む語句
狹苦
狹土
狹隘
狹田
狹霧
若狹
狹間
身狹刀自
狹木
狹衣
狹帶
狹山
身狹乳母
狹城
菟狹津彦
狹蠅
五十田狹之小汀
狹衣子
若狹鰈
若狹井
...