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櫻
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さくら
ふりがな文庫
“
櫻
(
さくら
)” の例文
新字:
桜
上杉
(
うへすぎ
)
の
隣家
(
となり
)
は
何宗
(
なにしう
)
かの
御梵刹
(
おんてら
)
さまにて
寺内
(
じない
)
廣々
(
ひろ/\
)
と
桃
(
もゝ
)
櫻
(
さくら
)
いろ/\
植
(
うゑ
)
わたしたれば、
此方
(
こなた
)
の二
階
(
かい
)
より
見
(
み
)
おろすに
雲
(
くも
)
は
棚曳
(
たなび
)
く
天上界
(
てんじやうかい
)
に
似
(
に
)
て
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
まむかうの
黒
(
くろ
)
べいも
櫻
(
さくら
)
がかぶさつて
眞白
(
まつしろ
)
だ。さつと
風
(
かぜ
)
で
消
(
け
)
したけれども、しめた
後
(
あと
)
は
又
(
また
)
こもつて
咽
(
む
)
せつぽい。
濱野
(
はまの
)
さんも
咳
(
せき
)
して
居
(
ゐ
)
た。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
私
(
わたし
)
は
是非
(
ぜひ
)
怠惰屋
(
なまけや
)
になるのだ、
是非
(
ぜひ
)
なるのだ』と
言張
(
いひは
)
つて
聽
(
き
)
かない。
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
くどころか、
家
(
いへ
)
の
隅
(
すみ
)
の
方
(
はう
)
へすつこんで
了
(
しま
)
つて
茫然
(
ぼんやり
)
して居る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「そんな事があつたかも知れません。現に私のやつた寶搜しは、飛鳥山と向島の二度だけで、今晩の
櫻
(
さくら
)
の馬場は、全く私の知らないことで」
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さう
鋭
(
するど
)
くもなく敢へて
奇
(
き
)
手
妙策
(
めうさく
)
も
弄
(
ろう
)
せず
靜
(
しづ
)
かに
穩
(
おだや
)
かにもみ合つてゐる光
景
(
けい
)
たるやたしかに「
櫻
(
さくら
)
かざして」の
感
(
かん
)
なくもない。
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
廻
(
まは
)
り夫より所々を
見物
(
けんぶつ
)
しける内一
疋
(
ぴき
)
の
鹿
(
しか
)
を
追駈
(
おつかけ
)
しが鹿の
迯
(
にぐ
)
るに寶澤は
何地迄
(
いづくまで
)
もと思あとを
慕
(
したひ
)
しも
終
(
つひ
)
に鹿は見失ひ
四方
(
あたり
)
を
見廻
(
みめぐ
)
らせば
遠近
(
をちこち
)
の山の
櫻
(
さくら
)
今を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
即
(
すなは
)
ち「
墨染櫻
(
すみぞめのさくら
)
」の
櫻
(
さくら
)
「三十三
間堂
(
げんだう
)
」の
柳
(
やなぎ
)
、など
其
(
その
)
例
(
れい
)
で、
此等
(
これら
)
は
少
(
すこ
)
しも
怖
(
こわ
)
くなく、
極
(
きは
)
めて
優美
(
いうび
)
なものである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
事
(
こと
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
下
(
した
)
から
春
(
はる
)
が
頭
(
あたま
)
を
擡
(
もた
)
げる
時分
(
じぶん
)
に
始
(
はじ
)
まつて、
散
(
ち
)
り
盡
(
つく
)
した
櫻
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
が
若葉
(
わかば
)
に
色
(
いろ
)
を
易
(
か
)
へる
頃
(
ころ
)
に
終
(
をは
)
つた。
凡
(
すべ
)
てが
生死
(
しやうし
)
の
戰
(
たゝかひ
)
であつた。
青竹
(
あをだけ
)
を
炙
(
あぶ
)
つて
油
(
あぶら
)
を
絞
(
しぼ
)
る
程
(
ほど
)
の
苦
(
くる
)
しみであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
は
松
(
まつ
)
の
葉
(
は
)
のように
一年中
(
いちねんじゆう
)
かはらず
青々
(
あを/\
)
と
茂
(
しげ
)
つてゐるのがあるかと
思
(
おも
)
ふと、
櫻
(
さくら
)
のように
春
(
はる
)
から
夏
(
なつ
)
にかけては
青
(
あを
)
く
茂
(
しげ
)
つてゐるが、
秋
(
あき
)
の
涼
(
すゞ
)
しい
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きはじめると
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
その
鳥
(
とり
)
の
聲
(
こゑ
)
のするあたりから、だん/\
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けかけて、あちらに
一
(
ひと
)
かたまり、こちらに
一
(
ひと
)
かたまりといふふうに、
山
(
やま
)
の
櫻
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
も
色
(
いろ
)
が
現
(
あらは
)
れて、だん/\
明
(
あき
)
らかになつて
行
(
ゆ
)
く。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
二
月
(
ぐわつ
)
初午
(
はつうま
)
の
日
(
ひ
)
には、お
家
(
うち
)
の
爺
(
ぢい
)
やが
大
(
おほ
)
きな
太鼓
(
たいこ
)
を
持出
(
もちだ
)
して、その
社
(
やしろ
)
の
側
(
わき
)
の
櫻
(
さくら
)
の
枝
(
えだ
)
の
木
(
き
)
に
掛
(
か
)
けますと、そこへ
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
が
集
(
あつ
)
まりました。
父
(
とう
)
さんもその
太鼓
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
くのを
樂
(
たのし
)
みにしたものです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
今
(
いま
)
から
丁度
(
ちやうど
)
四
年
(
ねん
)
前
(
まへ
)
、
季節
(
せつ
)
は
櫻
(
さくら
)
散
(
ち
)
る
五月
(
ごぐわつ
)
中旬
(
なかば
)
の
或
(
ある
)
晴朗
(
うらゝか
)
な
日
(
ひ
)
の
正午
(
せうご
)
時分
(
じぶん
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
梅
(
うめ
)
と
櫻
(
さくら
)
の
螺鈿
(
かながひ
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
櫻
(
さくら
)
のつぼみが
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
むか
)
されては
大變
(
たいへん
)
と、
兒童
(
こども
)
は
早速
(
さつそく
)
親父
(
おやぢ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りになつて
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から
平常
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
く
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
風
(
ふう
)
で
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
た。けれども
決
(
けつ
)
して
學校
(
がくかう
)
には
行
(
い
)
かない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
舞台
(
ぶたい
)
はいふまでもなく
櫻
(
さくら
)
の
園
(
その
)
の女
主
(
しゆ
)
人ラアネフスカヤの
邸宅
(
ていたく
)
の
廣間
(
ひろま
)
で、時は
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
、その
地
(
ち
)
方の名家もやがて
沒落
(
ぼつらく
)
といふ
悲
(
かな
)
しい
運命
(
うんめい
)
の前にあるのだが
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
池
(
いけ
)
に
咲
(
さ
)
く
菖蒲
(
あやめ
)
かきつばたの
鏡
(
かゞみ
)
に
映
(
うつ
)
る
花
(
はな
)
二本
(
ふたもと
)
ゆかりの
色
(
いろ
)
の
薄
(
うす
)
むらさきか
濃
(
こ
)
むらさきならぬ
白元結
(
しろもとゆひ
)
きつて
放
(
はな
)
せし
文金
(
ぶんきん
)
の
高髷
(
たかまげ
)
も
好
(
この
)
みは
同
(
おな
)
じ
丈長
(
たけなが
)
の
櫻
(
さくら
)
もやう
淡泊
(
あつさり
)
として
色
(
いろ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
上り十間の
白扇子
(
しらあふぎ
)
に
麗
(
うら
)
らかなる春の日を
翳
(
かざ
)
し
片身替
(
かたみがは
)
りの
夕時雨
(
ゆふしぐれ
)
に
濡
(
ぬれ
)
にし昔の
相傘
(
あひがさ
)
を思ひ出せし者も有るべし土手八町もうち越して五十
間
(
けん
)
より大門口に來て見れば折しも
仲
(
なか
)
の町の
櫻
(
さくら
)
今
(
いま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
吉野山
(
よしのやま
)
よ。その
吉野山
(
よしのやま
)
の
櫻
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に、
見
(
み
)
てゐると、
雪
(
ゆき
)
がちら/\
降
(
ふ
)
りかゝつてゐて、これでは、
花
(
はな
)
がいつ
咲
(
さ
)
きさうにも
思
(
おも
)
はれない。
今年
(
ことし
)
は、
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
くことの
晩
(
おそ
)
くおもはれる
年
(
とし
)
よ、といふのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
春
(
はる
)
は
櫻
(
さくら
)
の
賑
(
にぎは
)
ひよりかけて、なき
玉菊
(
たまぎく
)
が
燈籠
(
とうろう
)
の
頃
(
ころ
)
、
續
(
つゞ
)
いて、
秋
(
あき
)
の
新仁和賀
(
しんにはか
)
には、
十分間
(
じつぷんかん
)
に
車
(
くるま
)
の
飛
(
と
)
ぶこと、
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
りのみにて
七十五輌
(
しちじふごりやう
)
。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
怠惰屋
(
なまけや
)
なぞになられて
堪
(
たま
)
るものか、
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
くのが
慊
(
いや
)
なら
櫻
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
むか
)
すが
可
(
よ
)
いか、サア
如何
(
どう
)
だ
此
(
この
)
大
(
おほ
)
たわけめ!
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
アントン・チエエホフの名
戯曲
(
ぎきよく
)
「
櫻
(
さくら
)
の
園
(
その
)
」の
第
(
だい
)
三
幕
(
まく
)
目の
舞台
(
ぶたい
)
の左
奧
(
おく
)
手には
球突塲
(
たまつきば
)
がある心になつてゐる。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
櫻
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
に
梅
(
うめ
)
が
香
(
か
)
とめて
柳
(
やなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
にさく
姿
(
すがた
)
と、
聞
(
き
)
くばかりも
床
(
ゆか
)
しきを
心
(
こヽろ
)
にくき
獨
(
ひと
)
りずみの
噂
(
うはさ
)
、たつ
名
(
な
)
みやび
男
(
を
)
の
心
(
こヽろ
)
を
動
(
うご
)
かして、
山
(
やま
)
の
井
(
ゐ
)
のみづに
浮岩
(
あくが
)
るヽ
戀
(
こひ
)
もありけり
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吉野山
(
よしのやま
)
。
櫻
(
さくら
)
の
枝
(
えだ
)
に
雪
(
ゆき
)
散
(
ち
)
りて、
花
(
はな
)
おそげなる
年
(
とし
)
にもあるかな
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
お
神樂囃子
(
かぐらばやし
)
、
踊屋臺
(
をどりやたい
)
、
町々
(
まち/\
)
の
山車
(
だし
)
の
飾
(
かざり
)
、つくりもの、
人形
(
にんぎやう
)
、いけ
花
(
ばな
)
。
造花
(
ざうくわ
)
は、
櫻
(
さくら
)
、
牡丹
(
ぼたん
)
、
藤
(
ふぢ
)
、つゝじ。いけ
花
(
ばな
)
は、あやめ、
姫百合
(
ひめゆり
)
、
青楓
(
あをかへで
)
。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
春
(
はる
)
は
櫻
(
さくら
)
の
賑
(
にぎわ
)
ひよりかけて、なき
玉菊
(
たまぎく
)
が
燈籠
(
とうろう
)
の
頃
(
ころ
)
、つゞいて
秋
(
あき
)
の
新仁和賀
(
しんにわが
)
には十
分
(
ぷん
)
間
(
かん
)
に
車
(
くるま
)
の
飛
(
と
)
ぶ
事
(
こと
)
此通
(
このとほ
)
りのみにて七十五
輛
(
りよう
)
と
數
(
かぞ
)
へしも、二の
替
(
かわ
)
りさへいつしか
過
(
す
)
ぎて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
歸營
(
きえい
)
してから三
日目
(
かめ
)
の
朝
(
あさ
)
だつた。
中隊教練
(
ちうたいけうれん
)
が
濟
(
す
)
んで
一先
(
ひとま
)
づ
解散
(
かいさん
)
すると、
分隊長
(
ぶんたいちやう
)
の
高岡軍曹
(
たかをかぐんそう
)
は
我々
(
われわれ
)
を
銃器庫裏
(
ぢうきこうら
)
の
櫻
(
さくら
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて、「
休
(
やす
)
めつ‥‥」と、
命令
(
めいれい
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
掃除
(
さうぢ
)
の
濟
(
す
)
んだ
冷
(
ひや
)
りとした、
東向
(
ひがしむき
)
の
縁側
(
えんがは
)
へ
出
(
で
)
ると、
向
(
むか
)
う
邸
(
やしき
)
の
櫻
(
さくら
)
の
葉
(
は
)
が
玉
(
たま
)
を
洗
(
あら
)
つたやうに
見
(
み
)
えて、
早
(
は
)
やほんのりと
薄紅
(
うすべに
)
がさして
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三
月
(
つき
)
に一
度
(
ど
)
、
今
(
いま
)
の
間
(
ま
)
に
半年目
(
はんとしめ
)
、一
年
(
ねん
)
目
(
め
)
、
年始
(
ねんし
)
の
状
(
ぜう
)
と
暑中見舞
(
しよちうみまい
)
の
突際
(
つきあい
)
になりて、
文言
(
もんごん
)
うるさしとならば
端書
(
はがき
)
にても
事
(
こと
)
は
足
(
た
)
るべし、あはれ
可笑
(
をか
)
しと
軒
(
のき
)
ばの
櫻
(
さくら
)
くる
年
(
とし
)
も
笑
(
わら
)
ふて
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつたい「
櫻
(
さくら
)
の
園
(
その
)
」には
第
(
だい
)
一
幕
(
まく
)
の
汽
(
き
)
車の
音
(
おと
)
、
第
(
だい
)
二
幕
(
まく
)
のギタアの音色、
第
(
だい
)
四
幕
(
まく
)
の
終
(
をは
)
りの
櫻
(
さくら
)
の木を切り
倒
(
たふ
)
す
斧
(
をの
)
の
響
(
ひゞ
)
きなどと、
塲面
(
ばめん
)
々々の
感
(
かん
)
じと
相
(
あひ
)
俟つて
音響
(
おんけう
)
の
効果
(
こうくわ
)
が
實
(
じつ
)
に
巧
(
たくみ
)
に
用
(
もち
)
ゐられてゐるが
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
櫻
(
さくら
)
、
山吹
(
やまぶき
)
、
寺内
(
じない
)
の
蓮
(
はちす
)
の
華
(
はな
)
の
頃
(
ころ
)
も
知
(
し
)
らない。そこで
蛙
(
かはづ
)
を
聞
(
き
)
き、
時鳥
(
ほとゝぎす
)
を
待
(
ま
)
つ
度胸
(
どきよう
)
もない。
暗夜
(
やみよ
)
は
可恐
(
おそろし
)
く、
月夜
(
つきよ
)
は
物
(
もの
)
すごい。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思
(
おも
)
へば
何
(
なん
)
ぞ
櫻
(
さくら
)
の
春
(
はる
)
しり
顏
(
がほ
)
に
今歳
(
ことし
)
も
咲
(
さ
)
ける
面
(
つら
)
にくさよ
又
(
また
)
しても
聞
(
き
)
く
堀切
(
ほりき
)
りの
菖蒲
(
しやうぶ
)
だより
車
(
くるま
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
櫻
(
さくら
)
か、
海棠
(
かいだう
)
かと
思
(
おも
)
ふ、
巨
(
おほき
)
なつゝじの、
燃立
(
もえた
)
つやうなのを
植
(
うゑ
)
て、
十鉢
(
とはち
)
ばかりずらりと
並
(
なら
)
べた——
紅
(
べに
)
を
流
(
なが
)
したやうなのは、
水打
(
みづう
)
つた
石疊
(
いしだたみ
)
に
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
が
映
(
うつ
)
つたのである。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
當主
(
たうしゆ
)
は
養子
(
やうし
)
にて
此娘
(
これ
)
こそは
家
(
いへ
)
につきての
一粒
(
ひとつぶ
)
ものなれば
父母
(
ちゝはゝ
)
が
歎
(
なげ
)
きおもひやるべし、
病
(
やま
)
ひにふしたるは
櫻
(
さくら
)
さく
春
(
はる
)
の
頃
(
ころ
)
よりと
聞
(
き
)
くに、それより
晝夜
(
ちうや
)
瞼
(
まぶた
)
を
合
(
あは
)
する
間
(
ま
)
もなき
心配
(
しんぱい
)
に
疲
(
つか
)
れて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
文政十二年
(
ぶんせいじふにねん
)
三月二十一日
(
さんぐわつにじふいちにち
)
、
早朝
(
さうてう
)
より、
乾
(
いぬゐ
)
の
風
(
かぜ
)
烈
(
はげ
)
しくて、
盛
(
さかり
)
の
櫻
(
さくら
)
を
吹
(
ふ
)
き
亂
(
みだ
)
し、
花片
(
はなびら
)
とともに
砂石
(
させき
)
を
飛
(
と
)
ばした。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
を
越
(
こ
)
して
大奧
(
おほおく
)
にも
高
(
たか
)
く、お
約束
(
やくそく
)
の
聟君
(
むこぎみ
)
洋行中
(
やうかうちう
)
にて、
寐覺
(
ねざめ
)
を
寫眞
(
しやしん
)
に
物
(
もの
)
がたる
總領
(
そうりやう
)
の
令孃
(
ひめ
)
さへ、
垣根
(
かきね
)
の
櫻
(
さくら
)
折
(
を
)
れかし
吾助
(
ごすけ
)
、いさヽかの
用事
(
ようじ
)
にて
大層
(
たいそう
)
らしく、
御褒美
(
ごはうび
)
に
賜
(
たま
)
はる
菓子
(
くわし
)
の
花紅葉
(
はなもみぢ
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
櫻
(
さくら
)
のわくら
葉
(
ば
)
のぱら/\と
落
(
お
)
ちかゝるにさへ、
婦
(
をんな
)
は
聲
(
こゑ
)
を
發
(
た
)
て、
男
(
をとこ
)
はひやりと
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
して
居
(
ゐ
)
るのであつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
玉
(
たま
)
の
姫樣
(
ひめさま
)
御出生
(
ごしつしやう
)
と
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず、
散
(
ち
)
るや
櫻
(
さくら
)
の
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
空
(
むな
)
しく
成
(
なり
)
ぬるを、
何處
(
いづく
)
に
知
(
し
)
りてか
六三
(
ろくさ
)
天地
(
てんち
)
に
哭
(
なげ
)
きて、
姫
(
ひめ
)
が
命
(
いのち
)
は
我
(
わ
)
れ
故
(
ゆゑ
)
と
計
(
ばかり
)
、
短
(
みじ
)
かき
契
(
ちぎ
)
りに
淺
(
あさ
)
ましき
宿世
(
しゆくせ
)
を
思
(
おも
)
へば、
一人
(
ひとり
)
殘
(
のこ
)
りて
我
(
わ
)
れ
何
(
なん
)
とせん
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女中
(
ぢよちう
)
が
廊下
(
らうか
)
を、ばた/\と
膳
(
ぜん
)
を
運
(
はこ
)
んで
來
(
き
)
た。
有難
(
ありがた
)
い、
一銚子
(
ひとてうし
)
。
床
(
とこ
)
の
櫻
(
さくら
)
もしつとりと
盛
(
さかり
)
である。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二人
(
ふたり
)
は
櫻
(
さくら
)
が
岡
(
をか
)
に
昇
(
のぼ
)
りて
今
(
いま
)
の
櫻雲臺
(
をううんだい
)
が
傍近
(
そばちか
)
く
來
(
き
)
し
時
(
とき
)
、
向
(
むか
)
ふより五六
輛
(
りよう
)
の
車
(
くるま
)
かけ
聲
(
こゑ
)
いさましくして
來
(
く
)
るを、
諸人
(
しよにん
)
立止
(
たちど
)
まりてあれ/\と
言
(
い
)
ふ、
見
(
み
)
れば
何處
(
いづこ
)
の
華族樣
(
くわぞくさま
)
なるべき、
若
(
わか
)
き
老
(
お
)
ひたる
扱
(
こ
)
き
交
(
ま
)
ぜに
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
店借
(
たながり
)
の
此
(
こ
)
の
住居
(
すまひ
)
は、
船越街道
(
ふなこしかいだう
)
より
右
(
みぎ
)
にだら/\のぼりの
處
(
ところ
)
にあれば、
櫻
(
さくら
)
ヶ岡
(
をか
)
といふべくや。
逗子だより
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
龍華寺
(
りうげじ
)
の
信如
(
しんによ
)
、
大黒屋
(
だいこくや
)
の
美登利
(
みどり
)
、
二人
(
ふたり
)
ながら
學校
(
がくこう
)
は
育英舍
(
いくえいしや
)
なり、
去
(
さ
)
りし四
月
(
ぐわつ
)
の
末
(
すゑ
)
つかた、
櫻
(
さくら
)
は
散
(
ち
)
りて
青葉
(
あをば
)
のかげに
藤
(
ふぢ
)
の
花見
(
はなみ
)
といふ
頃
(
ころ
)
、
春季
(
しゆんき
)
の
大運動會
(
だいうんどうくわい
)
とて
水
(
みづ
)
の
谷
(
や
)
の
原
(
はら
)
にせし
事
(
こと
)
ありしが、つな
引
(
ひき
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
土手
(
どて
)
の
霞
(
かすみ
)
暮
(
く
)
れんとして、
櫻
(
さくら
)
あかるき
三
(
み
)
めぐりあたり、
新
(
あたら
)
しき
五大力
(
ごだいりき
)
の
舷
(
ふなばた
)
の
高
(
たか
)
くすぐれたるに、
衣紋
(
えもん
)
も
帶
(
おび
)
も
差向
(
さしむか
)
へる、
二人
(
ふたり
)
の
婦
(
をんな
)
ありけり、
一人
(
ひとり
)
は
高尚
(
かうしやう
)
に
圓髷
(
まげ
)
ゆひ、
一人
(
ひとり
)
は
島田
(
しまだ
)
艷
(
つやゝか
)
也
(
なり
)
。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
實
(
じつ
)
は、
炎
(
ほのほ
)
に
飽
(
あ
)
いて、
炎
(
ほのほ
)
に
背
(
そむ
)
いて、
此
(
こ
)
の
火
(
ひ
)
たとひ
家
(
いへ
)
を
焚
(
や
)
くとも、せめて
清
(
すゞ
)
しき
月
(
つき
)
出
(
い
)
でよ、と
祈
(
いの
)
れるかひに、
天
(
てん
)
の
水晶宮
(
すゐしやうぐう
)
の
棟
(
むね
)
は
櫻
(
さくら
)
の
葉
(
は
)
の
中
(
なか
)
に
顯
(
あら
)
はれて、
朱
(
しゆ
)
を
塗
(
ぬ
)
つたやうな
二階
(
にかい
)
の
障子
(
しやうじ
)
が
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
櫻
(
さくら
)
の
枝
(
えだ
)
にも、
電線
(
でんせん
)
にも、
一寸
(
ちよつと
)
留
(
と
)
まるのもなければ、
横
(
よこ
)
にそれようとするのもない。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
火
(
ひ
)
の
雲
(
くも
)
をかくした
櫻
(
さくら
)
の
樹立
(
こだち
)
も、
黒塀
(
くろべい
)
も
暗
(
くら
)
く
成
(
な
)
つた。
舊暦
(
きうれき
)
七
月
(
ぐわつ
)
二十一
日
(
にち
)
ばかりの
宵闇
(
よひやみ
)
に、
覺束
(
おぼつか
)
ない
提灯
(
ちやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
一
(
ひと
)
つ
二
(
ふた
)
つ、
婦
(
をんな
)
たちは
落人
(
おちうど
)
が
夜鷹蕎麥
(
よたかそば
)
の
荷
(
に
)
に
踞
(
かゞ
)
んだ
形
(
かたち
)
で、
溝端
(
どぶばた
)
で、のどに
支
(
つか
)
へる
茶漬
(
ちやづけ
)
を
流
(
なが
)
した。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
櫻
(
さくら
)
の
街樹
(
なみき
)
に
搦
(
から
)
んだなり、
暗夜
(
くらがり
)
の
梢
(
こずゑ
)
に
消
(
き
)
えた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“櫻(サクラ)”の解説
サクラ(桜、櫻、英:Cherry blossom、Japanese cherry、Sakura)は、バラ科サクラ亜科サクラ属 (スモモ属とすることもある。「野生種の分類」の項を参照)の落葉広葉樹の総称。またはその花である。一般的に俳句等で春を表現する季語に用いられ桜色と表現される白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせる。
(出典:Wikipedia)
櫻
部首:⽊
21画
“櫻”を含む語句
櫻桃
櫻實
田打櫻
櫻色
櫻草
小櫻
櫻山
若櫻
山櫻會
櫻木
櫻花
若櫻部
櫻見物
櫻見
櫻襲
櫻萌黄
櫻香
櫻綾子
櫻町家
櫻町
...