すこ)” の例文
姿すがた婀娜あだでもおめかけではないから、團扇うちは小間使こまづかひ指圖さしづするやうな行儀ぎやうぎでない。「すこかぜぎること」と、自分じぶんでらふそくにれる。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もうしまして、わたくしいまいきなりんでからの物語ものがたりはじめたのでは、なにやらあまり唐突とうとつ……現世このよ来世あのよとの連絡つながりすこしもわからないので
するとこのおかあさんは、すこしいじのわるい人だったものですから、おひめさまのために自分じぶんがしかられたのをたいそうくやしがりました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
つぎゆふべ道子みちこはいつよりもすこ早目はやめかせ吾妻橋あづまばしくと、毎夜まいよ顔馴染かほなじみに、こゝろやすくなつてゐる仲間なかま女達をんなたち一人ひとり
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
老人としより子供こどもだから馬鹿ばかにしておもふやうにはうごいてれぬと祖母おばあさんがつてたつけ、れがすこ大人おとなると質屋しちやさして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かれこもつくこをかついでかへつてとき日向ひなたしもすこけてねばついてた。おしな勘次かんじ一寸ちよつとなくつたのでひどさびしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかわたしすこしも身體からだ異状いじやういです、壯健さうけんです。無暗むやみ出掛でかけること出來できません、何卒どうぞわたし友情いうじやうことなんとかしようさせてください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ところかほわりあたまうすくなりぎたふとつたをとこて、大變たいへん丁寧ていねい挨拶あいさつをしたので、宗助そうすけすこ椅子いすうへ狼狽あわてやうくびうごかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、うちもんをはひらないまへに、かれはからつぽになつた財布さいふなかつま視線しせんおもうかべながら、その出來心できごころすこ後悔こうくわいしかけてゐた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひだりれたところに応接室おうせつしつ喫煙室きつえんしつかといふやうな部屋へやまどすこしあいてゐて人影ひとかげしてゐたが、そこをぎると玄関げんかんがあつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
單純たんじゆんなレウマチスせい頭痛づつうではあつたが、りよ平生へいぜいからすこ神經質しんけいしつであつたので、かりつけ醫者いしやくすりんでもなか/\なほらない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ところがすこつたとき、嘉十かじふはさつきのやすんだところに、手拭てぬぐひわすれてたのにがつきましたので、いそいでまたかへしました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
砧村きぬたむら途中とちう磨石斧ませきふひろひ、それから小山こやまあがくちで、破片はへんひろつたが、此所こゝまでに五ちかあるいたので、すこしくまゐつてた。
かさね右のおもぶきまで願書にしたゝめ居たるに加賀屋長兵衞入り來り我等何分なにぶんにも取扱ひ候間いますこし御待ち下さるべし白子屋方へ能々よく/\異見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
卓子テーブルそばわづかすこしばかりあかるいだけで、ほか電灯でんとうひとけず、真黒闇まつくらやみのまゝで何処どこ何方どちらに行つていかさツぱりわからぬ。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
そして一目見るとすぐに、すこしあけツはなしのてんのあるかはりには、こせつかぬ、おツとりとした、古風こふう顔立かほだてであることを見て取ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
云はば兄弟のやうなものではありませんか? どうかわたしたち親子も願ひますから、すこしは可哀かはいさうだと思つてやつて下さい。
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それからすこのちのヨーロッパの鐵器時代てつきじだいを、私共わたしどもはラテーヌ時代じだいんでゐますが、これはスヰスのある土地とちでありまして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
うねえ、もすこおほきくなりたいの、らずらずのうちに』とつてあいちやんは、『三ずんばかりぢや見窄みすぼらしくッて不可いけないわ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すこしもながく、おせんをめておきたい人情にんじょうが、たがいくち益々ますますかるくして、まるくかこんだ人垣ひとがきは、容易よういけそうにもなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
外國人がいこくじん命懸いのちがけでないと旅行りよこう出來できないくにである。國民こくみんはあゝ度々たび/\地震ぢしん火災かさいなやまされてもすこしもりないものゝようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
どうしてあのすこしもじっとしていないで、どうかすると袖子そでこにおえないことがおおかった光子みつこさんをあそばせるとは大違おおちがいだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
頸筋くびすぢぶたこゑまでがそれらしい老人らうじん辨當べんたうをむしやつき、すこ上方辯かみがたべんぜた五十幾歳位いくさいぐらゐ老婦人らうふじんはすしを頬張ほゝばりはじめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
可哀かわいそうにこの子家鴨こあひるだって、もとの家鴨達あひるたちすこ元気げんきをつけるようにしてさえくれれば、どんなによろこんでみんなと一緒いっしょくらしたでしょうに!
何遍なんべんいたしましても、おなじことでござります。』と、玄竹げんちくはこの潔癖けつぺき殿樣とのさま相手あひてをしてゐるのが、すこ迷惑めいわくになつてた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
このひとすぐれた才子さいしでありましたが形恰好なりかつこうすこへんで、せいたかかたて、見苦みぐるしかつたので、人々ひと/″\わらつてゐました。
わるいラランもすこしばかりさびしくなつてきた。今度こんどこそはらつてきた。すると突然とつぜん、ヱヴェレストの頂上てうじやうからおほきなこえ怒鳴どなるものがあつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
やまると、たゞちに猛獸まうじう毒蛇どくじや襲撃しふげき出逢であふだらうとはかねての覺悟かくごであつたが、此時このときまで其樣そん模樣もやうすこしもえなかつた。
此故このゆゑ当世たうせい文学者ぶんがくしやくち俗物ぞくぶつ斥罵せきばする事すこぶはなはだしけれど、人気じんきまへ枉屈わうくつして其奴隷どれいとなるはすこしもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
これを知識ちしきうへあそびといひます。それとゝもに、氣分きぶんすこしもともなはないのですから、散文的さんぶんてきうたといはねばなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ですから、魔女まじょすこしもがつかずにましたが、、ラプンツェルは、うっかり魔女まじょむかって、こういました。
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
たとひわたし明日あしたぬとしても!一しやうをかけて目指めざしてわたし仕事しごとすこしもまだがつけられなかつたとて、たとひ手紙てがみきかけてあつたとて
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
矢張やはぼく友人いうじんだが、——今度こんどをとこだが——或奴あるやつからすこるべきかねがあるのに、どうしてもよこさない。いろ/\掛合かけあつてたがらちがあかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
明日にも宮と一処になつて、私たちを安心さしてくれるよりは、お前も私ももすこしのところを辛抱して、いつその事博士はかせになつて喜ばしてくれんか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
證明書しようめいしよとか、寄留屆きりうとゞけとか、入院料にふゐんれうとか、さうしたくさりかれてゐることを、彼女かのぢよすこしもらなかつたのである。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
五二 馬追鳥うまおいどり時鳥ほととぎすに似てすこし大きく、はねの色は赤に茶をび、肩には馬のつなのようなるしまあり。胸のあたりにクツゴコ(口籠)のようなるかたあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
乍去さりながら日本人にほんじん從來じゆうらい習慣しふくわんでありませうが、斯樣かやうことめて無頓着むとんちやくおほい。責任せきにんおもんずるのねんとぼしい。獨立どくりつしてものをさめてくといふことすこしもい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
人力曳じんりきひきたちは、おおよろこびで、一ぽんずつとりました。海蔵かいぞうさんもがまんできなくなって、すこしうごきだしましたが、やっとのことでおさえました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
でも興行者側はなんといふか? すこしでも障りになるか? いえ、ちつとも痛痒つうようは感じないであらうと思ふ。
むぐらの吐息 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
お互にしばらく黙している内にも、予は我に返って考えるとなく考えた、この問題についてはすこし聞いておかねばならぬ、こうおもいついたので様子を測って
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
山の斜面しやめんに露宿をりしことなればすこしも平坦へいたんの地を得す、為めに横臥わうぐわする能はず、或は蹲踞するあり或はるあり、或は樹株にあしささへてするあり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
すなはち「墨染櫻すみぞめのさくら」のさくら「三十三間堂げんだう」のやなぎ、などそのれいで、此等これらすこしもこわくなく、きはめて優美いうびなものである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ひめすくいださんため、たゞ一人ひとりにてまゐりしは、ひそか庵室いほりにかくまひおき、後日ごじつをりて、ロミオへおくとゞけん存念ぞんねんしかるにまゐれば、ひめ目覺めざむるすこしき前方まへかた
太史公たいしこういはく、司馬しば兵法へいはふむに、(三六)閎廓くわうくわく深遠しんゑんにして、(三七)だい征伐せいばついへども、いま其義そのぎつくす※あたはず、其文そのぶんごときは、また(三八)すこしくはうせり。
... ただの江戸えどであるよりも生粹きつすゐとつけたはうよろこぶらしい)それから、その——(をつとといつていゝか、つばめ?——すこし、禿はげすぎてゐるが)あいする於莵吉おときちは十一も齡下としした
そしておたがひ東京とうきやうたことがほとんどおなじくらゐときで、彼女かれはうすこはやくらゐのものであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
食物しよくもつことついて、すこかんじたことりますから貴婦人方あなたがた御噺おはないたしますが、いま宮本みやもとさんから、段々だん/\御噺おはなしがツて、兒護婦こもり不注意ふちういより、子供こども種々しゆ/″\もの
「おねがいでございます。ごらんのとおり、わたしたちはなにもそのおくすりえるほどのものをっていません。いのちをさしあげます。どうぞ、そのおくすりすこけてください。」
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)