とほ)” の例文
さく年の初夏しよか兩親れうしんの家から別居べつきよして、赤坂區さかく新町に家を持ち、馴染なじみのその球突塲たまつきばとほくなるとともにまたほとんどやめたやうなかたちになつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひさしぶりで、うしてかせたまゝ、りの小間使こまづかひさへとほざけて、ハタとひらきとざしたおとが、こだまするまでひゞいたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところ厚利こうりづるものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなは無心むしんにして事情じじやうとほしとせられ、かなら(六三)をさめられざらん。
『おきぬさん!』とぼくおもはずげた。おきぬはにつこりわらつて、さつとかほあかめて、れいをした。ひとくるまとのあひだる/\とほざかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
するととほくのはうでパタ/\とちひさな跫音あしおとのするのがきこえました、あいちやんはいそいでいてなにたのだらうかとてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかししつ比較的ひかくてきひろつくられるのが通常つうじようであるから、みぎのようなものゝちてさうな場所ばしよからとほざかることも出來できるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
勘次かんじころからおしなのいふなりにるのであつた。二人ふたりとほくはけないので、隣村となりむら知合しりあひとうじた。兩方りやうはう姻戚みよりさわした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
新年しんねん停滯もたれてゐるのはじつくるしいですよ。それ今日けふひるから、とう/\塵世ぢんせいとほざけて、病氣びやうきになつてぐつと寐込ねこんぢまいました。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つばめうれしさうにとうさんを尻尾しつぽはね左右さいうふりながら、とほそらからやうやくこのやまなかいたといふはなしでもするらしいのでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
とほざかるが最期さいごもうゑんれしもおなじことりつくしまたのみもなしと、りすてられしやうななげきにおそのいよ/\心細こヽろぼそ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我等われら兩人りようにん目指めざすコロンボにも、また櫻木海軍大佐等さくらぎかいぐんたいさら再會さいくわいすべきはづ橄欖島かんらんたうにも左迄さまではとほくない印度洋インドやうちうであつたことと。
これを見てみな打ゑみつゝ炉辺ろへん座列ゐならびて酒くみかはし、やゝ時うつりてとほはせたる者ども立かへりしに、行方ゆくへなほしれざりけり。
あまさかるは、やはり枕詞まくらことばで、ひなのひといふおこしてゐます。意味いみは、てんとほくかゝつてゐるといふことなんです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
……おゝ、脊中せなかが、脊中せなかが! ほんに貴孃こなたうらめしいわいの、とほとほところ太儀たいぎ使者つかひさッしやって、如是こんぬるやうなおもひをさすとは!
ほそあしのおかげではしるわ、はしるわ、よつぽどとほくまでげのびたが、やぶのかげでそのうつくしいつのめがさヽ引掛ひつかかつてとう/\猟人かりうどにつかまつたとさ。
「あのひところしてください。」——この言葉ことばあらしのやうに、いまでもとほやみそこへ、まつ逆樣さかさまにおれをおとさうとする。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また當時とうじ少女しようじよはまだきてゐて、そこからあまりとほくないむらんでゐるといふことを番人ばんにんをんなからきましたが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
千駄木せんだぎおくわたしいへから番町ばんちやうまでゞは、可也かなりとほいのであるが、てからもう彼此かれこれ時間じかんつから、今頃いまごろちゝはゝとにみぎひだりから笑顔ゑがほせられて
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのうちにも、病人びやうにん容態ようたいは、刻々こく/\險惡けんあくになつてゆくので、たうとう、そこからあまとほくない、府下ふか××むらのH病院びやうゐん入院にふゐんさせるより仕方しかたがなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
りよその視線しせん辿たどつて、入口いりくちから一ばんとほかまどまへると、そこに二人ふたりそううづくまつてあたつてゐるのがえた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
われ/\のとほい/\最初さいしよ祖先そせんが、はじめてこの地球上ちきゆうじようあらはれたころには、森林しんりんは、そのまゝ人間にんげんみかでもあり、またものどころでもありました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
のみたる事までも今はさつぱりわかりしが餘りはなしの出來すぎて花見は又も廢止やめになり再度ふたゝひとほき音羽より辨當箱べんたうばこ脊負しよひもどせしに幼稚意こどもごゝろ管伴ばんたうを恨むつみもなかりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
成功せいこうした其時そのときうれしさも思出おもひいでるが、しかおほくは其時そのとき一處いつしよつたともの、んだのや、とほざかつたのや、いろ/\それを懷出おもひいだして、時々とき/″\へん感情かんじやうたれもする。
境を定め邦を開きて、ちか淡海あふみに制したまひ一二かばねを正し氏を撰みて、とほ飛鳥あすかしるしたまひき一三
『もちろんぼくはじめてだ。こんなにべるとはおもはなかつたよ。愉快々々ゆくわいゆくわい。そりやさうと大分だいぶんさむくなつてた。ラランよ、ヱヴェレストのてつぺんはまだとほいか。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
りのこつなさへせきとほざけられて、なにかしらつたはなしのありさうなのを、玄竹げんちくがかりにおもひつゝ、かぬこし無理むりからけて、天王寺屋てんわうじや米屋よねや
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
我國わがくに國債こくさい状態じやうたいると、今日こんにちすでに五十九億圓おくゑんたつして從來じうらい大勢たいせいもつはかれば年々ねん/\巨額きよがく國債こくさいえるのであつて百億圓おくゑんたつするもあまとほからざることである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
とほくアムールのきしなみひゞきは、興安嶺こうあんれいえ、松花江しようくわかうわたり、哈爾賓はるびん寺院じゐんすり、間島かんたう村々むら/\つたはり、あまねく遼寧れいねい公司こんするがし、日本駐屯軍にほんちうとんぐん陣営ぢんえいせま
そしてとほとほいその故郷こきやうのおうちへかえるには、それはそれはながたびをしなければならないの。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
イワン、デミトリチははじめのうち院長ゐんちやう野心やしんでもるのではいかとうたがつて、かれ左右とかくとほざかつて、不愛想ぶあいさうにしてゐたが、段々だん/\れて、つひにはまつた素振そぶりへたのでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
雨戸あまどをさすもなく、いままでとほくのはやしなかきこえてゐたかぜおとは、巨人きよじんの一あふりのやうにわれにもないはやさでかけて、そのいきほひのなかやまゆきを一んでしまつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
『して其人は何處いづこにおする』。『そは此處こゝより程とほからぬ往生院わうじやうゐんなづくる古き僧庵に』。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
宮中きうちう官吏くわんりたがひ佛語ふつごはなしてゐるのをてトルコの滅亡めつばうとほからずと直感ちよくかんしたのである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ひさかたの天道あまぢとほしなほなほにいへかへりてなりまさに 〔巻五・八〇一〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なんでも耶路撒冷イエルサレムとほところだ、さうしてしゆきみは、われわれのごとくそばにお出遊いであそばすのだ。みんな耶路撒冷イエルサレムまでかれまい。耶路撒冷イエルサレムみんなのとこへるだらう。丁度ちやうど自分じぶんにもるやうに。
前日来の艱酸かんさん辛労しんろうとは茫乎としてうたゆめの如し、一行皆沼岸にしておもむろに風光を賞嘆しやうたんしてまず、とほく対岸を見渡みわたせば無人の一小板屋たちまち双眼鏡裡にえいじ来る、其距離きより凡そ二里
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
千代 とほいい、遠いい、父様ととさまや、ばば様、ぢぢ様の国にまゐりたいといふて泣く。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
学士がくしですのなんのと云ツたところ味噌摺みそすりはふらずお辞義じぎ礼式れいしきじゆくせざれば何処どこいつてもけいしてとほざけらる〻が結局おちにてだしもけいさるゝだけをとくにしてめてもの大出来おほできといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
其内そのうち山田やまだしばからひとばしまで通学つうがくするのはあまとほいとふので、駿河台するがだい鈴木町すずきちやう坊城ばうじやう邸内ていない引越ひつこした、石橋いしばし九段坂上くだんさかうへの今の暁星学校ぎやうせいがくかうところたのですが、わたし不相変あひかはらずしばからかよつて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
右大臣うだいじんちかねて、自分じぶんでもとほうみして、たつつけ次第しだい矢先やさきにかけて射落いおとさうとおもつてゐるうちに、九州きゆうしうほうながされて、はげしい雷雨らいうたれ、そののち明石あかしはまかへされ
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
わがいへとほにひとり美しき娘ありしといふ雨夜あまよ夜ざくら
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
わが歌は吾がとほおやサモスなるエピクロス師にたてまつる歌
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
うれひのみ笑みはをしへぬとほびとよ死ねやと思ふ夕もありぬ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
群禽むらどり木末こずゑにきほふひとなだれとほのながめもびあまりけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
こひ」の玉座ぎよくざは、さはいへど、そこにしもあらじ、そらとほ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
食国をすくにの とほ朝廷みかどに 汝等いましらし 斯くまかりなば 平らけく 吾は遊ばむ 手抱たうだきて 我は御在いまさむ 天皇すめらが うづの御手みてち 掻撫かきなでぞ ぎたまふ うち撫でぞ 労ぎたまふ 還り来む日 相飲まむぞ この豊御酒とよみき
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
とほうみや、——あゝ、朝發あさびらき、水脈曳みをびき
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
河岸かしとほく、をりからものつるおと
霜夜 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
とほみちも夜寒よさむになりぬ川向かはむか
荷風翁の発句 (旧字旧仮名) / 伊庭心猿(著)
わが身をはじめとほのきて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)