“遠国”のいろいろな読み方と例文
旧字:遠國
読み方割合
えんごく57.1%
おんごく23.8%
ヲンゴク9.5%
とおく4.8%
ゑんごく4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もし駕籠かごかきの悪者に出逢ったら、庚申塚こうしんづかやぶかげに思うさま弄ばれた揚句、生命いのちあらばまた遠国えんごくへ売り飛ばされるにきまっている。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何でも、中村菊之丞一座というのは、上方かみがたで、遠国おんごくすじの田舎まわりをしていた緞帳どんちょうだったのが、腕一本で大坂を八丁荒しした奴等だということだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
盲僧の軍記語りの筋は、山にも里にも縁のなくなつたずつとの昔の、とつとの遠国ヲンゴクの事実と聞きとる習慣があつたのなら、かうした事は日本国中の山家と言ふ山家に起る筈がなかつたのである。
山のことぶれ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
どこか遠国とおく移転ひっこすふりや。知らぬ処の病院さして。入れに行く振り人には見せて。又と帰らぬ野山の涯へ。泣きの涙で患者を棄てます。なれどコイツは捨児すてごと違うて。拾い育てる仏は居ませぬ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼等は坡港はかうを「みやこ」と称し、其他そのたを「田舎ゐなか」と称してあたかも東京から千葉や埼玉へ出掛ける位の心持で便船びんせんごとそれ等の遠国ゑんごくへ往復する。昔の倭寇の意気は彼等につて継承されて居ると云つて好からう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)