つた)” の例文
新字:
それとともに、人麿ひとまろうただとつたへられてゐないもので、ひとのためにかはつてつくつた、このひとうた非常ひじようにたくさんあるようにおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
角海老かどゑび時計とけいひゞききもそゞろあわれのつたへるやうにれば、四絶間たえまなき日暮里につぽりひかりもれがひとけぶりかとうらかなしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところが、その多分たぶん朝鮮ちようせん支那しなふうつたはつたのでありませうが、よこからはひるながいし部屋へやつかなかつくられることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
きみばかりでない、ぼく朋友ほういううち何人なんぴといま此名このな如何いかぼくこゝろふかい、やさしい、おだやかなひゞきつたへるかの消息せうそくらないのである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
〔譯〕一歴史れきし、皆形迹けいせきつたへて、情實じやうじつ或は傳らず。史を讀む者は、須らく形迹にいて以て情實をたづね出だすことを要すべし。
秦王しんわうのちこれい、ひとをしてこれゆるさしむれば、すでせり。申子しんし韓子かんしみなしよあらはし後世こうせいつたふ、(一二一)學者がくしやおほり。
大地震だいぢしんのときは大地だいちけてはつぼみ、ひらいてはぢるものだとは、むかしからかたつたへられてもつと恐怖きようふされてゐるひとつの假想現象かそうげんしようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つとめ美名を後世につたへし青砥あをと左衞門尉藤綱ふぢつな公事訴訟等くじそしようとうを聞るゝときは必ず眼を閉塞ふさぎて調べられしとこそ聞えたれ抑々そも/\越前守殿此長庵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
落葉おちばには灰際はひぎはから外側そとがはつたひてがべろ/\とわたつた。卯平うへい不自由ふじいう火箸ひばし落葉おちばすかした。迅速じんそく生命せいめい恢復くわいふくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
んでゐるむねには、どんな些細ささいふるえもつたはりひゞく。そして凝視みつめれば凝視みつめほどなんといふすべてがわたししたはしくなつかしまれることであらう。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
木曾きそひとむかしからお伽話とぎばなしきだつたとえますね。いはにも、いけにも、釣竿つりざをにも、こんなお伽話とぎばなしのこつて、それをむかしからつたへてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
心につたはつた些細ささいな見聞のあらゆるものまでが、私にとつては深い感激であり、驚異であり、讚美であり、欽仰きんかうであつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
つたはる攝養法せつやうはふ種々しゆ/″\ありといへども、實驗じつけんれば、もつと簡易かんいにしてもつと巧驗こうけんあるものは冷水浴れいすゐよくにあらざるし。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
……乳母おんばさききゃれ。ひめにようつたへたもれ、家内中かないぢゅうはや就褥ねかしめさと被言おしゃれ、なげきにつかれたればむるはぢゃうぢゃ。ロミオは今直いますぐまゐらるゝ。
この匡衡まさひら漢文かんぶんや、ほう至極しごく名人めいじんであつたが、そのうへうたもこのとほり、うまくんだとかたつたへたそうです。
伊太利イタリーのさる繁華はんくわなるみなと宏大りつぱ商會しやうくわいてゝ、もつぱ貿易事業ぼうえきじげふゆだねてよし、おぼろながらにつたくのみ。
口碑更につたふる所無く、遺跡ゐせき亦之を示すべき望みすくなし。調理法をぶるに當つても確證かくしやうは唯動物性食物に取るのみ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そのかたが、自分達じぶんたちさみしい生涯しやうがいを、多少たせうみづかたしなめるやうにが調子てうしを、御米およねみゝつたへたので、御米およねおぼえずひざうへ反物たんものからはなしてをつとかほた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此豫報このよほうが一たび各新聞かくしんぶんつてつたへられると、迷信めいしん非迷信ひめいしんかゝはらず、江湖こうこおほいなる注意ちういこれけてはらつた。
なぜかとふと、りよ台州たいしう主簿しゆぼになつてゐたとつたへられてゐるのに、新舊しんきう唐書たうしよでんえない。主簿しゆぼへば、刺史ししとか太守たいしゆとかふとおなくわんである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
まる咽喉のどほねでもつかへてゐるやうだ』とつてグリフォンは、其背中そのせなかゆすつたりいたりしはじめました。つひ海龜うみがめこゑなほりましたが、なみだほゝつたはつて——
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このをとこことけるな、なにつてもうそおもへ、——おれはそんな意味いみつたへたいとおもつた。しかしつま悄然せうぜんささ落葉おちばすわつたなり、ぢつとひざをやつてゐる。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何故なぜなら、そのころ、さういふ野蠻やばん戰慄せんりつすべきうはさが、世間せけんやかましくつたはつてゐたからだ。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
たゞいまでも馬來半島まれいはんとうのある野蠻人種やばんじんしゆは、えだうへいへつくつてんでゐますが、これなどは、いまつたように、人間にんげんがぢかに森林しんりんなかにゐた習慣しゆうかんのこつたはつた面白おもしろ一例いちれいです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
この青野の説は、小劍の、全面はあらはしてゐないが、半面ぐらゐはつたへてゐる。
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
此度このたび改暦かいれきにても其譯そのわけらずして十二月の三日が正月の元日ぐわんじつになるとばかりいふて、夢中むちうにこれを夢中むちうにこれをつたへなばじつおどろくべきことなれども、平生へいぜいよりひとむべき書物しよもつ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
貴方あなた那樣哲學そんなてつがくは、あたゝかあんずはなにほひのする希臘ギリシヤつておつたへなさい、此處こゝでは那樣哲學そんなてつがく氣候きこうひません。いやさうと、わたくしたれかとヂオゲンのはなしましたつけ、貴方あなたとでしたらうか?
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
腹立はらだたしかほをしたものや、ベソをいたものや、こはさうにおど/\したものなぞが、前後ぜんごしてぞろ/\とふねからをかあがつた。はゝかれた嬰兒あかごこゑは、ことあはれなひゞき川風かはかぜつたへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
聞けば御僧の坊も同じ嵯峨なれば、心當こゝろあたりの人もあらば、此事つたへられよ。同じ世に在りながら、斯かるあでやかなる上﨟の樣を變へ、思ひじにするまでにつれなかりし男こそ、世に罪深つみふかき人なれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かすかかすかにその腹部はらの透いてつたはる美しさ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ことかたつたえは、かようでございます。
そをつた雨漏あまもりの水は蛇のごとし。
そぞろごと (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
つたへきくらくこのうみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かツ眞黄色まつきいろひからしたが、ギヤツといて、ひたりと欄干らんかんした刎返はねかへる、とはしつたつてつぶてはしつた宿やどなかかくれたのである。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もちろんこれは、ふるくからのいひつたへで、あなたがたが、古代こだいかんがへてゐられる奈良朝ならちようよりも、もつと/\以前いぜんから、さうしんじてゐたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
つかはさるゝは御迷惑ごめいわくの體なりしが據處よんどころなく下されておほせけるは此品このしなは東照神君よりつたはれるにて父君にもふか御祕藏ごひざうの物なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その結果けつか滿洲まんしゆうから朝鮮ちようせん日本につぽんおよび、それで日本につぽんはじめて支那しな金屬きんぞくつたへて、石器時代せつきじだい文化ぶんかから金屬器時代きんぞくきじだい文化ぶんかすゝむことになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
村落むら人々ひと/″\つたへて田圃たんぼはやしえて、あひだ各自かくじ體力たいりよく消耗せうまうしつゝけつけるまでにはおほきなむね熱火ねつくわを四はうあふつてちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おもふに男心をとこごゝろたのみがたさよ周旋とりもちするとしてこととゝのふはうれしけれど優子いうこどのゝこゝろえたり三らうよろこびしとつたたまへとはあまりといへどむかしを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天下てんか(一一)重器ちようき王者わうしや(一二)大統たいとう天下てんかつたふるかくごときのかたきをしめしたるなりしかるに(一三)ものいは
パリス かういふ愁傷なげき最中さなかには祝言しうげんはなし出來できまい。おうちかた、おさらばでござる。娘御むすめごによろしうつたへてくだされ。
『お師匠ししやうさま、孫子まごこつたはることでございますから、どうかまあ私共わたしどもにもささうな苗字めうじを一つおねがまをします。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
もなく邸宅ていたくにいよいよかひ手がついたといふはなしつたはつて、ラアネフスカヤがかなしみにたれて卒倒そつとうする塲面ばめんとなつてくるのであるがそのあひだうら手からカチン
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
鐵檻てつおりくるま出入口でいりぐちは、不思議ふしぎにも車室しやしつ頂上てうじやうまうけられて、鐵梯てつていつたつて屋根やねから出入でいりするやうになつてる。
某は心中ふか立腹りつぷくして、ほかの事にかこつけて雲飛を中傷ちゆうしやうつひとらへてごくとうじたそして人を以てひそか雲飛うんぴつまに、じつは石がほしいばかりといふ内意ないゝつたへさした。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おきなはそのとほりをひめつたへて、ぜひともみかどのお言葉ことばしたがひ、自分じぶんたのみをかなへさせてくれといひますと
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
日本につぽんおいけつしておこらない現象げんしようが、なぜに津々浦々つゝうら/\までかたつたへられ、恐怖きようふせられてゐるのであらうか。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
けれどもおやからつたはつた抱一はういつ屏風びやうぶ一方いつぱういて、片方かたはうあたらしいくつおよあたらしい銘仙めいせんならべてかんがへてると、このふたつを交換かうくわんすること如何いかにも突飛とつぴかつ滑稽こつけいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今夜こんやはどうも思ひがけない手紙を書いてしまひました。どうぞ御主人樣ごしゆじんさまによろしくおつたください。そして、またお近いうちに是非ぜひお遊びにいらしつて下さいまし。ではさよなら!
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)