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眞黒
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まつくろ
ふりがな文庫
“
眞黒
(
まつくろ
)” の例文
新字:
真黒
キヤツと
啼
(
な
)
く、と五六
尺
(
しやく
)
眞黒
(
まつくろ
)
に
躍
(
をど
)
り
上
(
あが
)
つて、
障子
(
しやうじ
)
の
小間
(
こま
)
からドンと
出
(
で
)
た、
尤
(
もつと
)
も
歌
(
うた
)
を
啣
(
くは
)
へたまゝで、
其
(
そ
)
ののち
二日
(
ふつか
)
ばかり
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
せぬ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大和
(
やまと
)
の
國
(
くに
)
のある
山寺
(
やまでら
)
の
賓頭廬樣
(
びんずるさま
)
の
前
(
まへ
)
に
置
(
お
)
いてある
石
(
いし
)
の
鉢
(
はち
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
に
煤
(
すゝ
)
けたのを、もったいらしく
錦
(
にしき
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
入
(
い
)
れて
姫
(
ひめ
)
のもとにさし
出
(
だ
)
しました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
兔
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
此決心
(
このけつしん
)
が
定
(
さだ
)
まるや、
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
五年
(
ごねん
)
の
間
(
あひだ
)
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
働
(
はたら
)
きそして、
遂
(
つひ
)
に一の
小學校
(
せうがくかう
)
を
創立
(
さうりつ
)
して、これを
大島仁藏
(
おほしまじんざう
)
の
一子
(
いつし
)
大島伸一
(
おほしましんいち
)
に
獻
(
けん
)
じ
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
六千四百
噸
(
とん
)
の
巨船
(
きよせん
)
もすでに
半
(
なかば
)
は
傾
(
かたむ
)
き、
二本
(
にほん
)
の
煙筒
(
えんとう
)
から
眞黒
(
まつくろ
)
に
吐出
(
はきだ
)
す
烟
(
けぶり
)
は、
恰
(
あたか
)
も
斷末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
を
訴
(
うつた
)
へて
居
(
を
)
るかのやうである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それからまだその上に、それは/\いゝお髮なので——烏の
濡羽
(
ぬれば
)
といふやうな
眞黒
(
まつくろ
)
な色で、それがまた大變よくおうつりになるやうに揚げてゐらつしやいました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
昨夜
(
ゆうべ
)
は空が
眞黒
(
まつくろ
)
であつたが、今朝六時半に起きた時も亦冬とは云ひながらあまり暗かつた。それでも日の出る頃には曇つた空が段々と明るくなる。そこへ遠くで汽笛がなる。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
小川
(
をがは
)
の
油
(
あぶら
)
のやうな
水面
(
すゐめん
)
は
大
(
おほ
)
きく
波立
(
なみだ
)
つて、
眞黒
(
まつくろ
)
な
人影
(
ひとかげ
)
が
毆
(
こは
)
れた
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
のやうに
動
(
うご
)
いてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
俺が行つたら幸子は、
眞黒
(
まつくろ
)
な蚊帳のなかのきたないおかみさんの大きな蒲團のなかにころがつて、一生懸命泣いてゐるんだ。そしておかみさんはなにか仕事をしてゐるんだらう。
珠
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
眞黒
(
まつくろ
)
に
焦
(
こ
)
げた
顏
(
かほ
)
の
中
(
なか
)
に、
眼
(
め
)
だけ
光
(
ひか
)
らして、
見違
(
みちが
)
へる
樣
(
やう
)
に
蠻色
(
ばんしよく
)
を
帶
(
お
)
びた
彼
(
かれ
)
は、
比較的
(
ひかくてき
)
日
(
ひ
)
の
遠
(
とほ
)
い
座敷
(
ざしき
)
へ
這入
(
はい
)
つたなり
横
(
よこ
)
になつて、
兄
(
あに
)
の
歸
(
かへ
)
りを
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けてゐたが、
宗助
(
そうすけ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るや
否
(
いな
)
や
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
盜人
(
ぬすびと
)
振
(
ふ
)
り
拂
(
はら
)
ひ
突退
(
つきのけ
)
つゝ互に組付
英々
(
えい/\
)
と
揉
(
もみ
)
合聲に驚き家内の者ども
馳來
(
はせきた
)
り
棒
(
ぼう
)
よ
繩
(
なは
)
よと
呼
(
よば
)
はり/\
漸々
(
やう/\
)
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
めたり然ども面體は
眞黒
(
まつくろ
)
に
墨
(
すみ
)
を
塗
(
ぬり
)
たるゆゑ何者とも見分らず此
騷
(
さわ
)
ぎを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
するとその
歸
(
かへ
)
るさ、
私
(
わたし
)
は
路
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いでをりますと、
此
(
こ
)
の
鼻
(
はな
)
さきに
大
(
おほ
)
きな
眞黒
(
まつくろ
)
い
山
(
やま
)
のやうなものがふいと
浮上
(
うきあが
)
りました。
眼
(
め
)
がくらくらツとして
體
(
からだ
)
が
搖
(
ゆ
)
れました。まつたく
突然
(
だしぬけ
)
の
出來事
(
できごと
)
です。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
底の土は
眞黒
(
まつくろ
)
ゆえ
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「はい、」と
柳
(
やなぎ
)
の
下
(
した
)
で、
洗髮
(
あらひがみ
)
のお
品
(
しな
)
は、
手足
(
てあし
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
な
配達夫
(
はいたつふ
)
が、
突當
(
つきあた
)
るやうに
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
踏留
(
ふみと
)
まつて
棒立
(
ぼうだち
)
になつて
喚
(
わめ
)
いたのに、
驚
(
おどろ
)
いた
顏
(
かほ
)
をした。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から、
私
(
わたくし
)
は
朝
(
あさ
)
は
東雲
(
しのゝめ
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
時分
(
じぶん
)
から、
夕
(
ゆふべ
)
は
星影
(
ほしかげ
)
の
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
つる
頃
(
ころ
)
まで、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
自動鐵檻車
(
じどうてつおりのくるま
)
の
製造
(
せいぞう
)
に
從事
(
じゆうじ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
眞黒
(
まつくろ
)
な
艷
(
つや
)
の
佳
(
い
)
い
洋犬
(
かめ
)
が一
匹
(
ぴき
)
、
腮
(
あご
)
を
地
(
ぢ
)
に
着
(
つ
)
けて
臥
(
ねそ
)
べつて、
耳
(
みゝ
)
を
埀
(
た
)
れたまゝ
是
(
こ
)
れ
亦
(
また
)
尾
(
を
)
をすら
動
(
うご
)
かさず、
廣庭
(
ひろには
)
の
仲間
(
なかま
)
に
加
(
くは
)
はつて
居
(
ゐ
)
た。そして
母屋
(
おもや
)
の
入口
(
いりくち
)
の
軒陰
(
のきかげ
)
から
燕
(
つばめ
)
が
出
(
で
)
たり
入
(
はひ
)
つたりして
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
聞て扨々
然樣
(
さやう
)
なるか如何さま
渠
(
かれ
)
が
小鬢
(
こびん
)
に半分
眞黒
(
まつくろ
)
に入墨をしてありしが
飛
(
とん
)
だ
不屆
(
ふとゞき
)
なる奴先生が御出下されしゆゑ
早速
(
さつそく
)
埓
(
らち
)
が
明
(
あき
)
しなり彼奴先年の
舊惡
(
きうあく
)
を云れては
堪
(
たま
)
らぬ故夕方までには
屹度
(
きつと
)
離縁状を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
どやどやどや、がら/\と……
大袈裟
(
おほげさ
)
ではない、
廣小路
(
ひろこうぢ
)
なんぞでは
一時
(
いつとき
)
に
十四五臺
(
じふしごだい
)
も
取卷
(
とりま
)
いた。
三橋
(
みはし
)
、
鴈鍋
(
がんなべ
)
、
達磨汁粉
(
だるまじるこ
)
、
行
(
ゆ
)
くさき
眞黒
(
まつくろ
)
に
目
(
め
)
に
餘
(
あま
)
る。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
如何
(
いか
)
なる
隙
(
すき
)
をや
見出
(
みいだ
)
しけん、
彼方
(
かなた
)
に
向
(
むか
)
つて
韋駄天走
(
ゐだてんばし
)
り、
獅子
(
しゝ
)
の
一群
(
いちぐん
)
も
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
其
(
その
)
後
(
あと
)
を
追掛
(
おひか
)
けた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
天地間
(
てんちかん
)
最早
(
もはや
)
小山某
(
こやまなにがし
)
といふ
畫
(
ゑ
)
かきの
書生
(
しよせい
)
は
居
(
ゐ
)
なくなる! と
僕
(
ぼく
)
は
思
(
おも
)
つた
時
(
とき
)
、
思
(
おも
)
はず
足
(
あし
)
を
止
(
とゞ
)
めた。
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
に
繁
(
しげ
)
つた
枝
(
えだ
)
から
水
(
みづ
)
がぼた/\
落
(
お
)
ちる、
墓穴
(
はかあな
)
のやうな
溪底
(
たにそこ
)
では
水
(
みづ
)
の
激
(
げき
)
して
流
(
なが
)
れる
音
(
おと
)
が
悽
(
すご
)
く
響
(
ひゞ
)
く。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
天井
(
てんじやう
)
へ
崩
(
くづ
)
れて、
底
(
そこ
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
な
板
(
いた
)
には、ちら/\と
火
(
ひ
)
の
粉
(
こ
)
がからんで、ぱち/\と
煤
(
すゝ
)
を
燒
(
や
)
く、
炎
(
ほのほ
)
で
舐
(
な
)
める、と
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
た。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
樹
(
き
)
の
下
(
した
)
を
通
(
とほ
)
りがかりに、
影
(
かげ
)
は
映
(
さ
)
しても
光
(
ひかり
)
を
漏
(
も
)
らさず、
枝
(
えだ
)
は
鬼
(
おに
)
のやうな
腕
(
うで
)
を
伸
(
の
)
ばした、
眞黒
(
まつくろ
)
な
其
(
そ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
仰
(
あふ
)
いだ。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「でも、
何
(
なん
)
だか
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
で、ひら/\
眞黒
(
まつくろ
)
なのに
交
(
まじ
)
つて、
緋
(
ひ
)
だか、
紫
(
むらさき
)
だか、
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
さうで、
面白
(
おもしろ
)
いもの、」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞黒
(
まつくろ
)
だつて
破
(
やぶ
)
れて
居
(
ゐ
)
たつて、
煤拂
(
すゝはらひ
)
、
大掃除
(
おほさうぢ
)
には
構
(
かま
)
ふものか、これもみぐるしからぬもの、
塵塚
(
ちりづか
)
の
塵
(
ちり
)
である。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あらず、
碧
(
あを
)
く
白
(
しろ
)
き
東雲
(
しのゝめ
)
の
陽
(
ひ
)
の
色
(
いろ
)
に
紅
(
くれなゐ
)
に
冴
(
さ
)
えて、
其
(
そ
)
の
眞黒
(
まつくろ
)
な
翼
(
つばさ
)
と
戰
(
たゝか
)
ふ、
緋
(
ひ
)
の
鷄
(
とり
)
のとさかに
似
(
に
)
たのであつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奇觀
(
きくわん
)
、
妙觀
(
めうくわん
)
と
謂
(
いつ
)
つべし。で、
激流
(
げきりう
)
に
打込
(
うちこ
)
んだ
眞黒
(
まつくろ
)
な
杭
(
くひ
)
を、
下
(
した
)
から
突支棒
(
つツかひぼう
)
にした
高樓
(
たかどの
)
なぞは、
股引
(
もゝひき
)
を
倒
(
さかさま
)
に、
輕業
(
かるわざ
)
の
大屋臺
(
おほやたい
)
を、チヨンと
木
(
き
)
の
頭
(
かしら
)
で
載
(
の
)
せたやうで
面白
(
おもしろ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二階
(
にかい
)
の
階子壇
(
はしごだん
)
の
一番
(
いつち
)
上
(
うへ
)
の
一壇目
(
いちだんめ
)
……と
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
へ、
欄間
(
らんま
)
の
柱
(
はしら
)
を
眞黒
(
まつくろ
)
に、くツきりと
空
(
そら
)
にして、
袖
(
そで
)
を
欄干摺
(
てすりず
)
れに……
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は、
濃
(
こ
)
いお
納戸
(
なんど
)
と、
薄
(
うす
)
い
茶
(
ちや
)
と、
左右
(
さいう
)
に
兩方
(
りやうはう
)
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
影法師
(
かげぼふし
)
が、
鐵燈籠
(
かなどうろう
)
の
幽
(
かすか
)
な
明
(
あか
)
りで、
別嬪
(
べつぴん
)
さんの、しどけない
姿
(
すがた
)
の
上
(
うへ
)
へ、
眞黒
(
まつくろ
)
に
成
(
な
)
つて、
押
(
おし
)
かぶさつて
見
(
み
)
えました。そんな
處
(
ところ
)
へ
誰
(
だれ
)
が
他人
(
たにん
)
を
寄
(
よ
)
せるものでございます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
呆
(
あき
)
れたやうに
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けると、
卍
(
まんじ
)
を
頬張
(
ほゝば
)
つたらしい、
上顎
(
うはあご
)
一杯
(
いつぱい
)
、
眞黒
(
まつくろ
)
に
見
(
み
)
えたさうです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
氷川神社
(
ひかはじんじや
)
を
石段
(
いしだん
)
の
下
(
した
)
にて
拜
(
をが
)
み、
此宮
(
このみや
)
と
植物園
(
しよくぶつゑん
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
との
間
(
あひだ
)
の
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
りて
原町
(
はらまち
)
へ
懸
(
かゝ
)
れり。
路
(
みち
)
の
彼方
(
あなた
)
に
名代
(
なだい
)
の
護謨
(
ごむ
)
製造所
(
せいざうしよ
)
のあるあり。
職人
(
しよくにん
)
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
働
(
はたら
)
く。
護謨
(
ごむ
)
の
匂
(
にほひ
)
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
つ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
既
(
すで
)
に、
大地震
(
おほぢしん
)
の
當夜
(
たうや
)
から、
野宿
(
のじゆく
)
の
夢
(
ゆめ
)
のまださめぬ、
四日
(
よつか
)
の
早朝
(
さうてう
)
、
眞黒
(
まつくろ
)
な
顏
(
かほ
)
をして
見舞
(
みまひ
)
に
來
(
き
)
た。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時々
(
とき/″\
)
、
魔
(
ま
)
の
腕
(
うで
)
のやうな
眞黒
(
まつくろ
)
な
煙
(
けむり
)
が、
偉
(
おほい
)
なる
拳
(
こぶし
)
をかためて、
世
(
よ
)
を
打
(
う
)
ちひしぐ
如
(
ごと
)
くむく/\
立
(
た
)
つ。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
朝
(
あさ
)
の
一番
(
いちばん
)
なんぞは、
汽船
(
きせん
)
の
屋根
(
やね
)
まで、
眞黒
(
まつくろ
)
に
人
(
ひと
)
で
埋
(
う
)
まつて、
川筋
(
かはすぢ
)
を
次第
(
しだい
)
に
下
(
くだ
)
ると、
下
(
した
)
の
大富橋
(
おほとみばし
)
、
新高橋
(
しんたかばし
)
には、
欄干外
(
らんかんそと
)
から、
足
(
あし
)
を
宙
(
ちう
)
に、
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
へぶら
下
(
さが
)
つて
待
(
ま
)
つてゐて、それ
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
むかしは
加州山中
(
かしうさんちう
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
に、
住居
(
すまひ
)
の
大圍爐裡
(
おほゐろり
)
に、
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
から、
笠
(
かさ
)
のかこみ
一尺
(
いつしやく
)
ばかりの
眞黒
(
まつくろ
)
な
茸
(
きのこ
)
が
三本
(
さんぼん
)
づゝ、
續
(
つゞ
)
けて
五日
(
いつか
)
も
生
(
は
)
えた、と
言
(
い
)
ふのが、
手近
(
てぢか
)
な
三州奇談
(
さんしうきだん
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思
(
おも
)
ひもかけず、
屋根
(
やね
)
も
柱
(
はしら
)
も
搖
(
ゆ
)
れるやうな
白
(
しろ
)
い
風
(
かぜ
)
が
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
るやうに
吹
(
ふ
)
きつけますと、
光
(
ひか
)
り
輝
(
かゞや
)
く
蒼空
(
あをぞら
)
に、
眞黒
(
まつくろ
)
な
雲
(
くも
)
が
一掴
(
ひとつかみ
)
、
鷲
(
わし
)
が
落
(
おと
)
しますやうな、
峰一杯
(
みねいつぱい
)
の
翼
(
つばさ
)
を
開
(
ひら
)
いて、
山
(
やま
)
を
包
(
つゝ
)
んで
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
剩
(
あまつさ
)
へ
辿
(
たど
)
り
向
(
むか
)
ふ
大良
(
だいら
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
の
峰裏
(
みねうら
)
は——
此方
(
こちら
)
に
蛾
(
ひとりむし
)
ほどの
雲
(
くも
)
なきにかゝはらず、
巨濤
(
おほなみ
)
の
如
(
ごと
)
き
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
が
眞黒
(
まつくろ
)
に
立
(
た
)
つて、
怨靈
(
をんりやう
)
の
鍬形
(
くはがた
)
の
差覗
(
さしのぞ
)
いては
消
(
き
)
えるやうな
電光
(
いなびかり
)
が
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
に
空
(
くう
)
を
切
(
き
)
つた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
曇
(
くも
)
つた
空
(
そら
)
の
星
(
ほし
)
もなし、
眞黒
(
まつくろ
)
な
二階
(
にかい
)
の
裏
(
うら
)
の
欞子窓
(
れんじまど
)
で、——こゝに
今
(
いま
)
居
(
ゐ
)
るやうに——
唯吉
(
たゞきち
)
が、ぐつたりして
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、
大川
(
おほかは
)
の
水
(
みづ
)
を
遮
(
さへぎ
)
る……
葉
(
は
)
の
動
(
うご
)
かない
裏家
(
うらや
)
の
背戸
(
せど
)
の、
其
(
そ
)
の
一本柳
(
ひともとやなぎ
)
を
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
の
旅
(
たび
)
に、
色彩
(
いろ
)
を
刻
(
きざ
)
んで
忘
(
わす
)
れないのは、
武庫川
(
むこがは
)
を
過
(
す
)
ぎた
生瀬
(
なませ
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
近
(
ちか
)
く、
向
(
むか
)
う
上
(
あが
)
りの
徑
(
こみち
)
に、じり/\と
蕊
(
しん
)
に
香
(
にほひ
)
を
立
(
た
)
てて
咲揃
(
さきそろ
)
つた
眞晝
(
まひる
)
の
芍藥
(
しやくやく
)
と、
横雲
(
よこぐも
)
を
眞黒
(
まつくろ
)
に、
嶺
(
みね
)
が
颯
(
さつ
)
と
暗
(
くら
)
かつた
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
濡
(
ぬ
)
れたやうな
眞黒
(
まつくろ
)
な
暗夜
(
やみよ
)
だつたから、
其
(
そ
)
の
灯
(
ひ
)
で
松
(
まつ
)
の
葉
(
は
)
もすら/\と
透通
(
すきとほ
)
るやうに
青
(
あを
)
く
見
(
み
)
えたが、
今
(
いま
)
は、
恰
(
あたか
)
も
曇
(
くも
)
つた
一面
(
いちめん
)
の
銀泥
(
ぎんでい
)
に
描
(
ゑが
)
いた
墨繪
(
すみゑ
)
のやうだと、
熟
(
ぢつ
)
と
見
(
み
)
ながら、
敷石
(
しきいし
)
を
蹈
(
ふ
)
んだが
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鯊
(
はぜ
)
を
見着
(
みつ
)
けたが、
買
(
か
)
はうと
思
(
おも
)
ふと、いつもは
小清潔
(
こぎれい
)
な
店
(
みせ
)
なんだのに、
其
(
そ
)
の
硝子蓋
(
がらすぶた
)
の
中
(
なか
)
は、と
見
(
み
)
るとギヨツとした。
眞黒
(
まつくろ
)
に
煮
(
に
)
られた
鯊
(
はぜ
)
の、
化
(
ば
)
けて
頭
(
あたま
)
の
飛
(
と
)
ぶやうな、
一杯
(
いつぱい
)
に
跳上
(
はねあが
)
り
飛𢌞
(
とびまは
)
る
蠅
(
はへ
)
であつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其處
(
そこ
)
らの
芥
(
ごみ
)
も
眞黒
(
まつくろ
)
に、とつぷりと
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れると、
先刻
(
さつき
)
の
少女
(
こをんな
)
が、
鼠
(
ねずみ
)
のやうに、
又
(
また
)
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、「そつと/\、」と、
何
(
なん
)
にも
言
(
い
)
はさず
袖
(
そで
)
を
曳
(
ひ
)
くので、
蒋生
(
しやうせい
)
、
足
(
あし
)
も
地
(
ち
)
に
着
(
つ
)
かず、
土間
(
どま
)
の
大竈
(
おほへツつひ
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
つて
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
而
(
そ
)
して、
其
(
そ
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
の
顋
(
あぎと
)
に、
凄
(
すさ
)
まじい
影
(
かげ
)
の
蠢
(
うごめ
)
くのは、
葉
(
は
)
やら、
何
(
なに
)
やら、べた/\と
赤
(
あか
)
く
蒼
(
あを
)
く
塗
(
ぬ
)
つた
中
(
なか
)
に、
眞黒
(
まつくろ
)
にのたくらしたのは
大
(
おほ
)
きな
蜈蚣
(
むかで
)
で、
此
(
これ
)
は、
其
(
そ
)
の
宮
(
みや
)
のおつかはしめだと
云
(
い
)
ふのを
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
いた。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
民也
(
たみや
)
は
眞黒
(
まつくろ
)
な
天井
(
てんじやう
)
を。……
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞
部首:⽬
10画
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
“眞”で始まる語句
眞
眞實
眞中
眞面目
眞白
眞赤
眞直
眞似
眞個
眞物