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横雲
五日の月が、西の
山脈の上の黒い
横雲から、もう一ぺん顔を出して、山に
沈む前のほんのしばらくを、
鈍い
鉛のような光で、そこらをいっぱいにしました。
夕方は、まんまるな
紅い日が、まんじりともせず
悠々と西に落ちて行く。
横雲が一寸
一刷毛日の真中を横に
抹って、画にして見せる。
最早穂を
孕んだ
青麦が夕風にそよぐ。
僕
一人先づ目覚めて
船甲板を徘徊して居ると、水平線上の
曙紅は乾いた
朱色を染め、
他の三
方には
薄墨色を重ねた幾層の
横雲の上に早くも
橙色や
白金色の雲の峰が肩を張り