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波立
唯見る時、
頬を
蔽へる髪のさきに、ゆら/\と
波立つたが、そよりともせぬ、
裸蝋燭の
蒼い光を放つのを、
左手に取つてする/\と。
林は、
風のために
波立っていました。からすは
火の
子の
飛ぶように、
空に
黒く、
鳴きさわいでいました。そして、
日は、だんだんと
暮れかかっていたのです。
雪枝は
老爺に
此を
語る
時、
濠端の
草に
胡座した
片膝に、
握拳をぐい、と
支いて
腹に
波立つまで
気兢つて
言つた。