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拔
>
ぬ
ふりがな文庫
“
拔
(
ぬ
)” の例文
新字:
抜
三
番目
(
ばんめ
)
には
露國文豪
(
ろこくぶんがう
)
トルストイ
伯
(
はく
)
傑作
(
けつさく
)
「
千古
(
せんこ
)
の
雪
(
ゆき
)
」と
云
(
い
)
ふのと、バンカラ
喜劇
(
きげき
)
小辰
(
こたつ
)
大一座
(
おほいちざ
)
と
云
(
い
)
ふのが、
赤地
(
あかぢ
)
に
白
(
しろ
)
で
染
(
そ
)
め
拔
(
ぬ
)
いてあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
俺
(
お
)
らにこんで
爺樣
(
ぢさま
)
が
代
(
でえ
)
の
借金
(
しやくきん
)
拔
(
ぬ
)
けねえで
居
(
え
)
んだからそれせえなけりや
泣
(
な
)
かねえでも
畢
(
を
)
へんだよ、そんだがそれでばかり
動
(
いご
)
き
取
(
と
)
れねえな
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
切られた者の話によると、音も立てずに忍び寄つて、恐ろしい手際で
拔
(
ぬ
)
き
討
(
うち
)
に髷節を拂ひ、サツと風の如く飛去るらしいといふのです。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
六丁目
(
ろくちやうめ
)
を
乘出
(
のりだ
)
した
其
(
そ
)
の
自動車
(
じどうしや
)
で、
自分
(
じぶん
)
兩國
(
りやうごく
)
を
乘切
(
のりき
)
らう
意氣込
(
いきごみ
)
、が、
思
(
おも
)
ひがけないパンクで、
時
(
とき
)
も
過
(
す
)
ぎれば、
氣
(
き
)
が
拔
(
ぬ
)
けたのださうである。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ピータ
何
(
なん
)
ぢゃ、
劍
(
けん
)
を
藏
(
しま
)
うて
洒落
(
しゃれ
)
を
拔
(
ぬ
)
け? よし! すれば、
名劍
(
めいけん
)
を
藏
(
しま
)
うて
名洒落
(
めいじゃれ
)
で
打挫
(
うちひし
)
いでくれう。さ、
男
(
をとこ
)
らしう
試合
(
しあ
)
うて
見
(
み
)
い。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
平常
(
つね
)
の
美登利
(
みどり
)
ならば
信如
(
しんによ
)
が
難義
(
なんぎ
)
の
體
(
てい
)
を
指
(
ゆび
)
さして、あれ/\
彼
(
あ
)
の
意久地
(
いくぢ
)
なしと
笑
(
わら
)
ふて
笑
(
わら
)
ふて
笑
(
わら
)
ひ
拔
(
ぬ
)
いて、
言
(
い
)
ひたいまゝの
惡
(
にく
)
まれ
口
(
ぐち
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
火
(
ひ
)
が
天井
(
てんじよう
)
まで
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
つたならば、
屋根
(
やね
)
まで
打拔
(
うちぬ
)
いて
火氣
(
かき
)
を
拔
(
ぬ
)
くこと。これは
焔
(
ほのほ
)
が
天井
(
てんじよう
)
を
這
(
は
)
つて
燃
(
も
)
え
擴
(
ひろ
)
がるのを
防
(
ふせ
)
ぐに
效力
(
こうりよく
)
がある。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
これはたいてい
赤貝
(
あかがひ
)
の
類
(
るい
)
の
貝殼
(
かひがら
)
を
刳
(
ゑぐ
)
り
拔
(
ぬ
)
き、その
周圍
(
しゆうい
)
ばかりを
殘
(
のこ
)
して
前腕
(
まへうで
)
にはめ
込
(
こ
)
むでのでありまして、
石器時代
(
せつきじだい
)
の
墓場
(
はかば
)
から
出
(
で
)
る
人骨
(
じんこつ
)
に
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
夜の中に通り
拔
(
ぬ
)
け
流石
(
さすが
)
晝中は人目を
憚
(
はゞか
)
り
密
(
ひそ
)
かに彼の盜み取し二百兩の金にて
宿場
(
しゆくば
)
の
飯盛
(
めしもり
)
女を揚げて日を暮し夜に入るを待て其處を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
下人には、勿論、何故老婆が
死人
(
しにん
)
の髮の毛を
拔
(
ぬ
)
くかわからなかつた。從つて、
合理的
(
がふりてき
)
には、それを善惡の何れに
片
(
かた
)
づけてよいか知らなかつた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今度
(
こんど
)
は『
召上
(
めしあが
)
れ』と
書
(
か
)
いた
貼紙
(
はりがみ
)
がありませんでしたが、それにも
拘
(
かゝは
)
らず
愛
(
あい
)
ちやんは
栓
(
せん
)
を
拔
(
ぬ
)
いて
直
(
たゞ
)
ちに
唇
(
くちびる
)
に
宛
(
あ
)
てがひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
これが
伏見天皇
(
ふしみてんのう
)
のお
歌
(
うた
)
です。
後鳥羽上皇
(
ごとばじようこう
)
から、も
一
(
ひと
)
つ
進
(
すゝ
)
んで、
更
(
さら
)
にその
一種
(
いつしゆ
)
の
癖
(
くせ
)
を
拔
(
ぬ
)
いた
素直
(
すなほ
)
なお
歌
(
うた
)
になつてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
三日
(
みつか
)
の
間
(
あひだ
)
城内
(
じやうない
)
へ
詰
(
つ
)
め
切
(
き
)
りでございまして、
漸
(
やうや
)
う
歸宅
(
きたく
)
いたしますと
町方
(
まちかた
)
の
病家
(
びやうか
)
から、
見舞
(
みまひ
)
の
催促
(
さいそく
)
が
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
るやうで、
其處
(
そこ
)
をどうにか
切
(
き
)
り
拔
(
ぬ
)
けてまゐりました。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
周三とても其れをすら職業は
神聖
(
しんせい
)
と謂ふほどの理想家ではなかつた。賤しい女であるといふことは知り
拔
(
ぬ
)
いてゐる………だから蔭では平民の娘と謂つてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
糸
(
いと
)
を
通
(
とほ
)
した
針
(
はり
)
がまだ
半襟
(
はんえり
)
から
拔
(
ぬ
)
かれないであつたとて、それで
死
(
し
)
んだとて、それでいゝのだ! いつ
私
(
わたし
)
がこの
世
(
よ
)
から
消
(
け
)
されたつて、あの
光
(
ひかり
)
は
少
(
すこ
)
しも
變
(
かは
)
りなく
照
(
て
)
る。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
義母
(
おつかさん
)
が
定
(
さだ
)
めし
珍
(
めづら
)
しがるだらうと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのが、
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
く
簡單
(
かんたん
)
な
御挨拶
(
ごあいさつ
)
だけだから
張合
(
はりあひ
)
が
拔
(
ぬ
)
けて
了
(
しま
)
つた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それにも、渠の私行上の、然し渠自身からおほびらにしてゐることの
素
(
す
)
ツ
突
(
ぱ
)
拔
(
ぬ
)
きが載つてゐる。そして
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
と
鷄
(
にはとり
)
は
父
(
とう
)
さんを
見
(
み
)
かける
度
(
たび
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
します。
時
(
とき
)
には
鷄
(
にはとり
)
はお
友達
(
ともだち
)
のしるしにと
言
(
い
)
つて、
白
(
しろ
)
い
羽
(
はね
)
や
茶色
(
ちやいろ
)
な
羽
(
はね
)
の
拔
(
ぬ
)
けたのを
父
(
とう
)
さんに
置
(
お
)
いて
行
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れることもありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
肉色の
薔薇
(
ばら
)
の花、さも丈夫らしい、
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
薔薇
(
ばら
)
の花、肉色の
薔薇
(
ばら
)
の花、おまへは、わたしたちに
紅
(
あか
)
い弱い
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
を
注
(
か
)
けて誘惑する、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
然
(
さ
)
うして二
箇
(
こ
)
は
内部
(
ないぶ
)
で
連絡
(
れんらく
)
して
居
(
ゐ
)
るといふ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
つたので、
何
(
な
)
んだか
張合
(
はりあひ
)
は
拔
(
ぬ
)
けて
來
(
く
)
る。
小雨
(
こさめ
)
は
降
(
ふ
)
り
出
(
だ
)
す。
新聞記者連
(
しんぶんきしやれん
)
はそろ/\
惡口
(
わるくち
)
を
始
(
はじ
)
める。
地主連
(
ぢぬしれん
)
はまご/\して
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
中根
(
なかね
)
はあわてて
無格好
(
ぶかくかう
)
な
不動
(
ふどう
)
の
姿勢
(
しせい
)
をとつたが、その
顏
(
かほ
)
には、それが
癖
(
くせ
)
の
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けたニヤニヤ
笑
(
わら
)
ひを
浮
(
うか
)
べてゐた。——またやられるな‥‥と
思
(
おも
)
つて、
私
(
わたし
)
は
中根
(
なかね
)
のうしろ
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
た。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
然し私は一册づつ
拔
(
ぬ
)
き出しては見る、そして
開
(
あ
)
けては見るのだが、克明にはぐつてゆく氣持は更に
湧
(
わ
)
いて來ない。然も呪はれたことにはまた次の一册を引き出して來る。それも同じことだ。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
美田
(
みた
)
の源次が
堀川
(
ほりかは
)
の功名に
現
(
うつゝ
)
を
拔
(
ぬ
)
かして
赤樫
(
あかがし
)
の木太刀を振り舞はせし十二三の昔より、
空肱
(
からひぢ
)
撫
(
な
)
でて長劒の輕きを
喞
(
かこ
)
つ二十三年の春の
今日
(
けふ
)
まで、世に畏ろしきものを見ず、
出入
(
いでい
)
る息を
除
(
のぞ
)
きては
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
全体
(
ぜんたい
)
に樣々の
沈紋
(
ちんもん
)
有り。他の
土器
(
どき
)
と等しく火に
掛
(
か
)
けたる物にして、色は
黒
(
くろ
)
し。長さの
向
(
む
)
きに
孔
(
あな
)
有りて恰も
軸
(
ぢく
)
を
拔
(
ぬ
)
き取りたる紡錘の如し。思ふに此
孔
(
あな
)
に糸を
貫
(
つらぬ
)
きて身に
帶
(
お
)
ぶるに便にせしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
秦
(
しん
)
を
撃
(
う
)
ち五
城
(
じやう
)
を
拔
(
ぬ
)
けり、
起
(
き
)
の・
將
(
しやう
)
たる、
士卒
(
しそつ
)
の
最下
(
さいか
)
なる
者
(
もの
)
と
衣食
(
いしよく
)
を
同
(
おな
)
じうし、
臥
(
ぐわ
)
するに
席
(
せき
)
を
設
(
まう
)
けず、
行
(
ゆ
)
くに
(七〇)
騎乘
(
きじよう
)
せず、
親
(
みづか
)
ら
糧
(
かて
)
を
裹
(
つつ
)
み
贏
(
にな
)
ひ、
士卒
(
しそつ
)
と
勞苦
(
らうく
)
を
分
(
わか
)
つ。
卒
(
そつ
)
に
(七一)
疽
(
しよ
)
を
病
(
や
)
む
者
(
もの
)
有
(
あ
)
り。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
そのくらゐですから
枝
(
えだ
)
や
葉
(
は
)
もおそろしく
繁
(
しげ
)
りひろがつてゐて
朝
(
あさ
)
は
杵島岳
(
きしまだけ
)
を
隱
(
かく
)
し、
夕方
(
ゆふがた
)
は
阿蘇山
(
あそさん
)
を
覆
(
おほ
)
つて、あたりは
晝
(
ひる
)
も、ほの
暗
(
ぐら
)
く、
九州
(
きゆうしゆう
)
の
半分程
(
はんぶんほど
)
は
日蔭
(
ひかげ
)
となり、
百姓
(
ひやくしよう
)
が
困
(
こま
)
り
拔
(
ぬ
)
いてゐたといひますが
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
その
夜
(
よ
)
の
月
(
つき
)
は、
紺碧
(
こんぺき
)
の
空
(
そら
)
の
幕
(
まく
)
からくり
拔
(
ぬ
)
いたやうに
鮮
(
あざ
)
やかだつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
眼を配つて林をくゞり
拔
(
ぬ
)
けると、廣いシラチブチへ出る。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
露
(
つゆ
)
浸
(
し
)
む華の
護符
(
まもり
)
を
拔
(
ぬ
)
きえましや。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
この人混みの中で、時々花火が頭の上で開きます。
拔
(
ぬ
)
き身の匕首などは持つて歩けません。片腕を袖に入れた若い女が、袖の中で匕首を
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手
(
て
)
ランプも
點
(
つ
)
けぬ
卯平
(
うへい
)
の
狹
(
せま
)
い
小屋
(
こや
)
の
空氣
(
くうき
)
は
黒
(
くろ
)
く
悄然
(
ひつそり
)
として
死
(
し
)
んだ
樣
(
やう
)
である。
勘次
(
かんじ
)
は
拔
(
ぬ
)
き
足
(
あし
)
して
戻
(
もど
)
つては
出來
(
でき
)
るだけ
靜
(
しづか
)
に
戸
(
と
)
を
閉
(
と
)
ぢる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
グレ さうよなァ、
頸根
(
くびね
)
ッ
子
(
こ
)
は、
成
(
な
)
ろうなら、
頸輪
(
コラー
)
(
首枷
(
くびかせ
)
)から
引
(
ひ
)
ッこ
拔
(
ぬ
)
いてゐるがよいてや。(罪人にはならぬがよいてや)。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
かさ/\と
乾
(
かわ
)
いて、
渦
(
うづ
)
に
成
(
な
)
つて、
稱
(
よ
)
ぶ
如
(
ごと
)
く
眞中
(
まんなか
)
に
穴
(
あな
)
のあいた、こゝを
一寸
(
ちよつと
)
束
(
たば
)
にして
結
(
ゆは
)
へてある……
瓦煎餅
(
かはらせんべい
)
の
氣
(
き
)
の
拔
(
ぬ
)
けたやうなものである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
またその
次
(
つ
)
ぎには
石
(
いし
)
を
組
(
く
)
み
合
(
あは
)
せて
棺
(
かん
)
を
造
(
つく
)
ることをしないで、
蓋
(
ふた
)
と
身
(
み
)
とは
別々
(
べつ/\
)
として、
石
(
いし
)
をくり
拔
(
ぬ
)
いて、
大
(
おほ
)
きな
棺
(
かん
)
を
造
(
つく
)
るように
進歩
(
しんぽ
)
して
來
(
き
)
ました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
嵯峨
(
さが
)
から
山
(
やま
)
を
拔
(
ぬ
)
けて
高雄
(
たかを
)
へ
歩
(
ある
)
く
途中
(
とちゆう
)
で、
御米
(
およね
)
は
着物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
を
捲
(
ま
)
くつて、
長襦袢
(
ながじゆばん
)
丈
(
だけ
)
を
足袋
(
たび
)
の
上
(
うへ
)
迄
(
まで
)
牽
(
ひ
)
いて、
細
(
ほそ
)
い
傘
(
かさ
)
を
杖
(
つゑ
)
にした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
所
(
ところ
)
が
其處
(
そこ
)
へ
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
男
(
をとこ
)
は
杉
(
すぎ
)
の
根
(
ね
)
に
縛
(
しば
)
られてゐる、——
女
(
をんな
)
はそれを
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
るなり、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
懷
(
ふところ
)
から
出
(
だ
)
してゐたか、きらりと
小刀
(
さすが
)
を
引
(
ひ
)
き
拔
(
ぬ
)
きました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前
(
まへ
)
にも
述
(
の
)
べた
通
(
とほ
)
り、
深海底
(
しんかいてい
)
から
拔
(
ぬ
)
け
出
(
で
)
た
火山
(
かざん
)
の
産
(
さん
)
する
鎔岩
(
ようがん
)
は
流動性
(
りゆうどうせい
)
に
富
(
と
)
んでゐるが、
大陸
(
たいりく
)
又
(
また
)
はその
近
(
ちか
)
くにある
火山
(
かざん
)
から
産
(
さん
)
するものは、
流動性
(
りゆうどうせい
)
に
乏
(
とも
)
しく
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
皆
(
みんな
)
が
騷
(
さわ
)
ぐを
見
(
み
)
るばかりでは
美登利
(
みどり
)
さんだとて
面白
(
おもしろ
)
くはあるまい、
何
(
なん
)
でもお
前
(
まへ
)
の
好
(
い
)
い
物
(
もの
)
におしよと、
女
(
おんな
)
の一むれは
祭
(
まつ
)
りを
拔
(
ぬ
)
きに
常盤座
(
ときはざ
)
をと、
言
(
い
)
いたげの
口振
(
くちぶり
)
をかし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
可哀相
(
かあいさう
)
な
愛
(
あい
)
ちやん!
横
(
よこ
)
になつて
一
(
ひと
)
つの
眼
(
め
)
で
花園
(
はなぞの
)
を
覘
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
むことしか
出來
(
でき
)
ず
拔
(
ぬ
)
け
出
(
で
)
ることは
前
(
まへ
)
よりも一
層
(
そう
)
六ヶ
敷
(
しく
)
なつたので、
愛
(
あい
)
ちやんは
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
んで
又
(
また
)
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
貰ふとは申さぬと云れて左仲は
力身
(
りきみ
)
も
拔
(
ぬ
)
け齒の根も合ずくづ/\と是非なく懷中より金百兩の
包
(
つゝみ
)
を取出し盜賊に渡せば是々夫では
濟
(
す
)
まぬ惡ひ
根性
(
こんじやう
)
だ
斯
(
かく
)
直段
(
ねだん
)
の極つて居る者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一
見
(
けん
)
自分
(
じぶん
)
は
先
(
ま
)
づ
荒膽
(
あらぎも
)
を
拔
(
ぬ
)
かれてしまつた。
志村
(
しむら
)
の
畫題
(
ぐわだい
)
はコロンブスの
肖像
(
せうざう
)
ならんとは!
而
(
しか
)
もチヨークで
書
(
か
)
いてある。
元來
(
ぐわんらい
)
學校
(
がくかう
)
では
鉛筆畫
(
えんぴつぐわ
)
ばかりで、チヨーク
畫
(
ぐわ
)
は
教
(
をし
)
へない。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
鼻
(
はな
)
が
低
(
ひく
)
くて
眼
(
め
)
が
細
(
ほそ
)
くて、
何處
(
どこ
)
か
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
感
(
かん
)
じのする
平
(
ひら
)
べつたい
顏
(
かほ
)
——その
顏
(
かほ
)
が
長
(
なが
)
いので「
馬
(
うま
)
さん」と
言
(
い
)
ふ
綽名
(
あだな
)
がついた。が、
中根
(
なかね
)
は
都會生
(
とくわいうま
)
れの
兵士達
(
へいしたち
)
のやうにズルではなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
あの
赤
(
あか
)
はだかに
毛
(
け
)
を
拔
(
ぬ
)
かれた
鳥
(
とり
)
がヒヨイ/\
飛
(
と
)
び
歩
(
ある
)
くのを
見
(
み
)
るほど、むごいものは
無
(
な
)
いと
思
(
おも
)
ひました。
父
(
とう
)
さんは
子供心
(
こどもごゝろ
)
にも、そんな
惡戲
(
いたづら
)
をする
村
(
むら
)
の
人達
(
ひとたち
)
を
何程
(
なにほど
)
憎
(
にく
)
んだか
知
(
し
)
れません。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
拔
(
ぬ
)
いた竹竿で、自分の部屋の格子窓へ——お寢み——と聲だけ送つたんだ。窓の障子に穴があいてゐたし、雨戸は閉めて居なかつた筈だ
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
村落
(
むら
)
の
處々
(
ところ/″\
)
にはまだ
少
(
すこ
)
し
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
し
掛
(
か
)
けたやうな
白
(
しろ
)
い
辛夷
(
こぶし
)
が、
俄
(
にはか
)
にぽつと
開
(
ひら
)
いて
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
にほか/\と
泛
(
うか
)
んで
竹
(
たけ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
拔
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
令史
(
れいし
)
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
事
(
こと
)
夥
(
おびたゞ
)
し。
呆
(
あき
)
れて
夜
(
よ
)
を
明
(
あか
)
すに、
山
(
やま
)
深
(
ふか
)
うして
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
ず。
道
(
みち
)
を
尋
(
たづ
)
ぬれば
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
ること
正
(
まさ
)
に
八百里程
(
はつぴやくりてい
)
。
三十日
(
さんじふにち
)
を
經
(
へ
)
て
辛
(
から
)
うじて
歸
(
かへ
)
る。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて
燈火
(
あかり
)
を
持
(
も
)
った
人
(
ひと
)
がわせて、
墓
(
はか
)
を
發
(
ひら
)
かうと
爲
(
し
)
やしゃるやいな、
御主人
(
ごしゅじん
)
は
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
かしゃれました。それで
僕
(
わたくし
)
は
走出
(
かけいだ
)
して
夜番
(
よばん
)
の
衆
(
しゅう
)
を
呼
(
よ
)
びました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「
土産
(
みやげ
)
にこんなものを
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
ました。
蒙古刀
(
もうこたう
)
ださうです」と
云
(
い
)
ひながら、すぐ
拔
(
ぬ
)
いて
見
(
み
)
せた。
後
(
うしろ
)
に
差
(
さ
)
してあつた
象牙
(
ざうげ
)
の
樣
(
やう
)
な
棒
(
ぼう
)
も二
本
(
ほん
)
拔
(
ぬ
)
いて
見
(
み
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、わたしも
多襄丸
(
たじやうまる
)
ですから、どうにかかうにか
太刀
(
たち
)
も
拔
(
ぬ
)
かずに、とうとう
小刀
(
さすが
)
を
打
(
う
)
ち
落
(
おと
)
しました。いくら
氣
(
き
)
の
勝
(
か
)
つた
女
(
をんな
)
でも、
得物
(
えもの
)
がなければ
仕方
(
しかた
)
がありません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何
(
なん
)
で
乳
(
ちゝ
)
くさい
子供
(
こども
)
の
顏
(
かほ
)
見
(
み
)
て
發心
(
ほつしん
)
が
出來
(
でき
)
ませう、
遊
(
あそ
)
んで
遊
(
あそ
)
んで
遊
(
あそ
)
び
拔
(
ぬ
)
いて、
呑
(
の
)
んで
呑
(
の
)
んで
呑
(
の
)
み
盡
(
つく
)
して、
家
(
いへ
)
も
稼業
(
かげふ
)
もそつち
除
(
の
)
けに
箸
(
はし
)
一
本
(
ぽん
)
もたぬやうに
成
(
な
)
つたは
一昨々年
(
さきおとゝし
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
拔
部首:⼿
8画
“拔”を含む語句
拔出
拔群
見拔
切拔
拔刀
垢拔
間拔
引拔
通拔
釘拔
拔萃
駈拔
染拔
拔取
出拔
拔放
拔手
素破拔
拔目
拔荷
...