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ふりがな文庫
“
返
(
かへ
)” の例文
屋根に葺いてある瓦には長い、
反
(
は
)
ね
返
(
かへ
)
つた耳が出てゐる。家に使つてある材木は皆暗い色をしてゐて、それに一様な彫刻がしてある。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
市街
(
まち
)
の
中程
(
なかほど
)
に
大
(
おほ
)
きな
市場
(
いちば
)
がある、
兒童
(
こども
)
は
其處
(
そこ
)
へ出かけて、山のやうに
貨物
(
くわもつ
)
の
積
(
つん
)
である
中
(
なか
)
にふんぞり
返
(
かへ
)
つて
人々
(
ひと/″\
)
の
立騒
(
たちさわ
)
ぐのを
見
(
み
)
て居る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
天晴
(
あつぱ
)
れ
一芸
(
いちげい
)
のある
効
(
かひ
)
に、
其
(
そ
)
の
術
(
わざ
)
を
以
(
もつ
)
て
妻
(
つま
)
を
償
(
あがな
)
へ!
魔神
(
まじん
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
楽
(
たの
)
しますものゝ、
美女
(
びじよ
)
に
代
(
か
)
へて
然
(
しか
)
るべきなら
立処
(
たちどころ
)
に
返
(
かへ
)
し
得
(
え
)
さする。——
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ところが
少
(
すこ
)
し
行
(
い
)
つたとき、
嘉十
(
かじふ
)
はさつきのやすんだところに、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
忘
(
わす
)
れて
来
(
き
)
たのに
気
(
き
)
がつきましたので、
急
(
いそ
)
いでまた
引
(
ひ
)
つ
返
(
かへ
)
しました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
苦情
(
くじよう
)
を
持
(
も
)
ち
込
(
こ
)
みましたので、まやかしものといふことがわかつて、これも
忽
(
たちま
)
ち
突
(
つ
)
っ
返
(
かへ
)
され、
皇子
(
みこ
)
は
大恥
(
おほはぢ
)
をかいて
引
(
ひ
)
きさがりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
▼ もっと見る
定
(
さだ
)
めてあの
張作霖
(
ちやうさくりん
)
がそんな
風
(
ふう
)
に
相好
(
さうかう
)
を
崩
(
くづ
)
してのけぞり
返
(
かへ
)
つただらうと
思
(
おも
)
ふと、その
昔
(
むかし
)
馬賊
(
ばぞく
)
の
荒武者
(
あらむしや
)
だつたといふ
人
(
ひと
)
のよさも
想像
(
さうざう
)
されて
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
其時平岡は座敷の
真中
(
まんなか
)
に
引繰
(
ひつく
)
り
返
(
かへ
)
つて
寐
(
ね
)
てゐた。
昨夕
(
ゆふべ
)
どこかの
会
(
くわい
)
へ
出
(
で
)
て、飲み
過
(
す
)
ごした
結果
(
けつくわ
)
だと云つて、赤い
眼
(
め
)
をしきりに
摩
(
こす
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
受たる十三兩三分は
勘辨
(
かんべん
)
するにより
殘
(
のこ
)
りの金を只今
返
(
かへ
)
されよと云ふに文右衞門扨々
聞譯
(
きゝわけ
)
のなき男かな然れば
是非
(
ぜひ
)
に及ばず是を見て
疑
(
うたが
)
ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
天女
(
てんによ
)
御空
(
みそら
)
に
舞
(
ま
)
ふが
如
(
ごと
)
き
美音
(
びおん
)
は、
心
(
こゝろ
)
なき
壇上
(
だんじやう
)
の
花
(
はな
)
さへ
葉
(
は
)
さへ
搖
(
ゆる
)
ぐばかりで、
滿塲
(
まんじやう
)
はあつと
言
(
い
)
つたまゝ
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
つた
樣
(
やう
)
に
靜
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
皆
(
みん
)
なが
呼
(
よ
)
び
戻
(
もど
)
すだらうと
思
(
おも
)
つて、
愛
(
あい
)
ちやんが
後
(
あと
)
を
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
ると、
驚
(
おとろ
)
くまいことか、
皆
(
みん
)
なで
急須
(
きふす
)
の
中
(
なか
)
へ
福鼠
(
ふくねずみ
)
を
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
まうとして
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
噺
(
はなし
)
の
容子
(
ようす
)
ではそれ
程
(
ほど
)
でもないのかと
思
(
おも
)
つても
見
(
み
)
たが、それでも
勘次
(
かんじ
)
は
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
くにも
唾
(
つば
)
が
喉
(
のど
)
からぐつと
突
(
つ
)
つ
返
(
かへ
)
して
來
(
く
)
るやうで
落付
(
おちつ
)
かれなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
誠に
静
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つて
兵士
(
へいし
)
ばかりでは無い馬までも
静
(
しづか
)
にしなければいかないと
申
(
まう
)
す
処
(
ところ
)
が、馬は
畜生
(
ちくしやう
)
の事で誠に心ない物でございますから、
焦
(
じれ
)
つたがり
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
燄
(
ほのほ
)
を
眼
(
まなこ
)
の
忿怨神
(
いかりのかみ
)
よ、
案内者
(
あんないじゃ
)
となってくれい!……(チッバルトに對ひ)やい、チッバルト、
先刻
(
せんこく
)
足下
(
おぬし
)
が
俺
(
おれ
)
にくれた「
惡漢
(
あくたう
)
」の
名
(
な
)
は
今
(
いま
)
返
(
かへ
)
す、
受取
(
うけと
)
れ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
取
(
と
)
らへて
郡長
(
ぐんちやう
)
の
忰
(
せがれ
)
づらが
些少
(
いさゝか
)
の
恩
(
おん
)
鼻
(
はな
)
にかけての
無理難題
(
むりなんだい
)
やり
返
(
かへ
)
して
遣
(
や
)
りたけれど
女子
(
をなご
)
の
身
(
み
)
は
左樣
(
さう
)
もならず
柳
(
やなぎ
)
にうけるを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かういつたところで、
味
(
あぢは
)
ひは、あなた
方
(
がた
)
がめい/\に、
幾度
(
いくど
)
もくり
返
(
かへ
)
し
讀
(
よ
)
んで
見
(
み
)
なければ
起
(
おこ
)
つて
來
(
こ
)
ないとおもひます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
夫人は
返
(
かへ
)
す
返
(
がへ
)
す再会を約して手を握られた。自分達三人は馬車の上でどんなに
今日
(
けふ
)
の
幸福
(
さひはひ
)
を祝ひ合つたか知れない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
漸
(
やうや
)
く
癒
(
なほ
)
してやつた
其
(
そ
)
の
禮
(
れい
)
が、たつた五
兩
(
りやう
)
であつたのには、一
寸
(
すん
)
一
兩
(
りやう
)
の
規定
(
きてい
)
にして、
餘
(
あま
)
りに
輕少
(
けいせう
)
だと、
流石
(
さすが
)
淡白
(
たんぱく
)
な
玄竹
(
げんちく
)
も
少
(
すこ
)
し
怒
(
おこ
)
つて、
其
(
そ
)
の五
兩
(
りやう
)
を
突
(
つ
)
き
返
(
かへ
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
道子
(
みちこ
)
は
小岩
(
こいは
)
の
色町
(
いろまち
)
へ
身売
(
みうり
)
をした
時
(
とき
)
の
年季
(
ねんき
)
と、
電話
(
でんわ
)
の
周旋屋
(
しうせんや
)
と一
緒
(
しよ
)
に
暮
(
くら
)
した
月日
(
つきひ
)
とを
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
に
数
(
かぞ
)
へ
返
(
かへ
)
しながら
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
英吉利
(
イギリス
)
の貴族は、恋で平民の娘と一緒になつたり、金で
亜米利加
(
アメリカ
)
辺の
跳
(
はね
)
つ
返
(
かへ
)
りと結婚したりするので、それによつて血統の廃頽を救つてゐると言はれてゐるが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
これが
毎年
(
まいねん
)
くり
返
(
かへ
)
されると、その
一年
(
いちねん
)
ごとに
生長
(
せいちよう
)
した
部分
(
ぶぶん
)
だけが、
圓
(
まる
)
く
環
(
わ
)
になつて
區分
(
くわ
)
けがつくのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
とつて
返
(
かへ
)
して
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
さうとする
中
(
うち
)
、
主要動
(
しゆようどう
)
のために
家屋
(
かおく
)
は
崩壞
(
ほうかい
)
し
始
(
はじ
)
めたので、
東湖
(
とうこ
)
は
突差
(
とつさ
)
に
母堂
(
ぼどう
)
を
屋外
(
おくがい
)
へ
抛
(
はう
)
り
出
(
だ
)
した
瞬間
(
しゆんかん
)
、
家屋
(
かおく
)
は
全
(
まつた
)
く
先生
(
せんせい
)
を
壓伏
(
あつぷく
)
してしまつたが
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
しラランの
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
んだが、その
返事
(
へんじ
)
がないばかりか、
冷
(
つめ
)
たい
霧
(
きり
)
のながれがあたりいちめん
渦巻
(
うづま
)
いてゐるらしく、そのために
自分
(
じぶん
)
のからだはひどく
煽
(
あふ
)
られはじめた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
外套
(
ぐわいたう
)
は
日蔭町物
(
ひかげちやうもの
)
の
茶羅紗
(
ちやらしや
)
を
黄
(
き
)
に
返
(
かへ
)
したやうな、
重
(
おも
)
いボテ/\したのを着て、
現金
(
げんきん
)
でなくちや
可
(
い
)
かんよとなどゝ
絶叫
(
ぜつけう
)
する
様
(
さま
)
は、
得易
(
えやす
)
からざる
奇観
(
きくわん
)
であつたらうと
想
(
おも
)
はれる
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
小娘
(
こむすめ
)
は
何時
(
いつ
)
かもう
私
(
わたくし
)
の
前
(
まへ
)
の
席
(
せき
)
に
返
(
かへ
)
つて、
不相變
(
あひかはらず
)
皸
(
ひび
)
だらけの
頬
(
ほほ
)
を
萌黄色
(
もえぎいろ
)
の
毛絲
(
けいと
)
の
襟卷
(
えりまき
)
に
埋
(
うづ
)
めながら、
大
(
おお
)
きな
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みを
抱
(
かか
)
へた
手
(
て
)
に、しつかりと三
等
(
とう
)
切符
(
ぎつぷ
)
を
握
(
にぎ
)
つてゐる。……
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
討
(
う
)
ち兼ねたよ。見事に
返
(
かへ
)
り
討
(
うち
)
さ、武家は苦手だ。町方の岡つ引なんか手を出すものぢやねえ」
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから
貝塚
(
かひづか
)
の
次
(
つ
)
ぎには、
貝殼
(
かひがら
)
は
見當
(
みあた
)
らぬけれどもやはり
人間
(
にんげん
)
の
住居
(
じゆうきよ
)
した
跡
(
あと
)
と
見
(
み
)
えて
石器
(
せつき
)
やその
他
(
た
)
の
遺物
(
いぶつ
)
が
土中
(
どちゆう
)
に
挾
(
はさ
)
まつてゐる
所
(
ところ
)
がありまするし、またそれをその
後
(
ご
)
百姓
(
ひやくしよう
)
が
掘
(
ほ
)
り
返
(
かへ
)
し
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
と思はず知らず叫んで、びツくりしたといふよりは、
呆
(
あき
)
れ
返
(
かへ
)
ツて見てゐると無量幾千萬の螢が、
鞠
(
まり
)
のやうにかたまツて飛違ツてゐる。それに
此處
(
ここ
)
の螢は普通の螢の二倍の大きさがある。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
上句
(
あげく
)
には、
何
(
いつ
)
も
默
(
だま
)
れとか、
彼
(
か
)
れ
此
(
こ
)
れ
云
(
い
)
ふな、とかと
眞赤
(
まつか
)
になつて
騷
(
さわぎ
)
を
返
(
かへ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ジロリと
此方
(
こなた
)
の頭の先から足の先
迄
(
まで
)
見下
(
みおろ
)
しましたこのやうな
問答
(
もんだう
)
は
行水
(
ゆくみづ
)
の流れ
絶
(
た
)
えず
昔
(
むかし
)
から
此河岸
(
このかし
)
に
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
されるのですがたゞ
其時
(
そのとき
)
私
(
わたくし
)
の面白いと思ひましたのは、
見下
(
みおろ
)
した人も
見下
(
みおろ
)
された人も
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
況
(
ま
)
してや瀧口殿は何思ひ立ちてや、世を捨て給ひしと專ら評判高きをば、御身は未だ聞き給はずや。
世捨人
(
よすてびと
)
に情も義理も
要
(
い
)
らばこそ、花も
實
(
み
)
もある重景殿に只〻一言の
色善
(
いろよ
)
き
返
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
をし給へや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
私
(
わたし
)
は
日本
(
にほん
)
の
今日
(
こんにち
)
の
經濟界
(
けいざいかい
)
は
金解禁
(
きんかいきん
)
が
出來
(
でき
)
たからと
云
(
い
)
つて、
掌
(
たなごゝろ
)
を
返
(
かへ
)
す
如
(
ごと
)
く
景氣
(
けいき
)
が
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
やうとは
考
(
かんが
)
へぬ。
併
(
しかし
)
ながら
今
(
いま
)
言
(
い
)
ふ
説
(
せつ
)
は
私
(
わたし
)
が
茲
(
こゝ
)
に
説明
(
せつめい
)
して
居
(
ゐ
)
る
半面
(
はんめん
)
の
事實
(
じじつ
)
を
語
(
かた
)
るものと
見
(
み
)
て
宜
(
よ
)
からうと
思
(
おも
)
ふのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
『え、
幸福
(
かうふく
)
?』
夫人
(
ふじん
)
も
微笑
(
びせう
)
を
返
(
かへ
)
した。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
僧
(
そう
)
は
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
つた。「
何
(
なに
)
か
御用
(
ごよう
)
で。」
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
魂
(
たま
)
をも遠く
返
(
かへ
)
しつゝ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
友達はそれを
質
(
しち
)
に入れて一時を
凌
(
しの
)
いだ。都合がついて、質を
受出
(
うけだ
)
して
返
(
かへ
)
しに
来
(
き
)
た時は、肝心の
短銃
(
ピストル
)
の主はもう死ぬ気がなくなつて居た。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
渚
(
なぎさ
)
の
月
(
つき
)
に、
美
(
うつく
)
しき
貝
(
かひ
)
を
敷
(
し
)
いて、あの、すら/\と
細
(
ほそ
)
く
立
(
た
)
つ
煙
(
けむり
)
の、
恰
(
あたか
)
も
鴎
(
かもめ
)
の
白
(
しろ
)
き
影
(
かげ
)
を
岬
(
みさき
)
に
曳
(
ひ
)
くが
如
(
ごと
)
く
思
(
おも
)
はれたのは、
記憶
(
きおく
)
が
返
(
かへ
)
つたのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
問
(
と
)
ふ寶澤
答
(
こたへ
)
て我は徳川
無名丸
(
むめいまる
)
と申す者なり
繼母
(
けいぼ
)
の
讒言
(
ざんげん
)
により斯は
獨旅
(
ひとりたび
)
を致す者なり又其
許
(
もと
)
は何人にやと
尋
(
たづ
)
ね
返
(
かへ
)
せば
彼者
(
かのもの
)
芝原
(
しばはら
)
へ手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、ちよつと
息
(
いき
)
を
入
(
い
)
れたやうな
樣子
(
やうす
)
をすると、
今度
(
こんど
)
はまた
頭
(
あたま
)
と
前脚
(
まへあし
)
を
盛
(
さかん
)
に
動
(
うご
)
かしながら
掘
(
ほ
)
り
返
(
かへ
)
した
土
(
つち
)
で
穴
(
あな
)
を
埋
(
う
)
め
出
(
だ
)
した。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それは
空虚
(
から
)
になつた
飯
(
めし
)
つぎを
返
(
かへ
)
す
時
(
とき
)
に
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れてやる
爲
(
ため
)
であつた。
飯
(
めし
)
つぎには
大抵
(
たいてい
)
菱餅
(
ひしもち
)
と
小豆飯
(
あづきめし
)
とが
入
(
い
)
れられてあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
似
(
に
)
ず
止
(
と
)
めれば
振
(
ふり
)
きる
袖
(
そで
)
袂
(
たもと
)
まづ
今
(
いま
)
しばしと
詫
(
わ
)
びつ
恨
(
うら
)
みつ
取
(
と
)
りつく
手先
(
てさき
)
うるさしと
立蹴
(
たちげ
)
にはたと
蹴倒
(
けたふ
)
されわつと
泣
(
な
)
く
聲
(
こゑ
)
我
(
わ
)
れとわが
耳
(
みゝ
)
に
入
(
い
)
りて
起
(
お
)
き
返
(
かへ
)
るは
何處
(
いづこ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
云
(
い
)
ふべき
言葉
(
ことば
)
もなく、
幾
(
いく
)
らかのお
茶
(
ちや
)
と
麺麭
(
パン
)
と
牛酪
(
バター
)
とを
出
(
だ
)
して、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
方
(
はう
)
に
振向
(
ふりむ
)
き、『
何故
(
なぜ
)
皆
(
みん
)
な
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
に
住
(
す
)
んでゐたの?』と
問
(
と
)
ひ
返
(
かへ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
墨
(
すみ
)
黒々
(
くろ/″\
)
と
書
(
か
)
かれた『
多田院御用
(
ただのゐんごよう
)
』の
木札
(
きふだ
)
を
立
(
た
)
てて
來
(
こ
)
られると、
船頭
(
せんどう
)
はまた
舟
(
ふね
)
を
返
(
かへ
)
さないわけに
行
(
ゆ
)
かなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と
巡査
(
じゆんさ
)
は
一
(
いつ
)
ぷく
點火
(
つけ
)
てマツチを
義母
(
おつかさん
)
に
返
(
かへ
)
すと
義母
(
おつかさん
)
は
生眞面目
(
きまじめ
)
な
顏
(
かほ
)
をして、それを
受
(
うけ
)
取つて
自身
(
じしん
)
も
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
いはじめた。
別
(
べつ
)
に
海洋
(
かいやう
)
の
絶景
(
ぜつけい
)
を
眺
(
なが
)
めやうともせられない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
かういつても、あなた
方
(
がた
)
が
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
てくれなければわからないことだが、
幾度
(
いくど
)
もくり
返
(
かへ
)
して
貰
(
もら
)
ひたく
思
(
おも
)
ひます。
意味
(
いみ
)
からいへば、
川
(
かは
)
の
音
(
おと
)
がよいといふだけのことです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は
地震
(
ぢしん
)
の
搖
(
ゆ
)
り
返
(
かへ
)
し、
或
(
あるひ
)
は
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しを
恐
(
おそ
)
れたものである。
此言葉
(
このことば
)
は
俗語
(
ぞくご
)
であるため
誤解
(
ごかい
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
し、
今
(
いま
)
の
人
(
ひと
)
はこれを
餘震
(
よしん
)
に
當
(
あ
)
て
嵌
(
は
)
めてゐるが、それは
全
(
まつた
)
く
誤
(
あやま
)
りである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
パレスの
方
(
はう
)
は
借金
(
しやくきん
)
は
返
(
かへ
)
してしまふし、
御礼奉公
(
おれいぼうこう
)
もちやんと
半年
(
はんとし
)
ゐてやつたんだから、
母
(
かア
)
さんが
生
(
い
)
きてれば
家
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
堅気
(
かたぎ
)
で
暮
(
くら
)
すんだけれど、わたし、あんたも
知
(
し
)
つてる
通
(
とほ
)
り
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
『
信
(
しん
)
じません、
信
(
しん
)
ぜられません。』と
船長
(
せんちやう
)
は
今
(
いま
)
取上
(
とりあ
)
げた
葉卷
(
シユーガー
)
を
腹立
(
はらた
)
たし
氣
(
げ
)
に
卓上
(
たくじやう
)
に
投
(
な
)
げ
返
(
かへ
)
して
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
わたしは
男
(
をとこ
)
が
倒
(
たふ
)
れると
同時
(
どうじ
)
に、
血
(
ち
)
に
染
(
そ
)
まつた
刀
(
かたな
)
を
下
(
さ
)
げたなり、
女
(
をんな
)
の
方
(
ほう
)
を
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
チッバルトは
其儘
(
そのまゝ
)
一
旦
(
たん
)
逃去
(
にげさ
)
りましたが、やがて
又
(
また
)
取
(
と
)
って
返
(
かへ
)
すを、
今
(
いま
)
や
復讐
(
ふくしう
)
の
念
(
ねん
)
に
滿
(
み
)
ちたるロミオが
見
(
み
)
るよりも、
電光
(
でんくわう
)
の
如
(
ごと
)
く
切
(
き
)
ってかゝり、
引分
(
ひきわ
)
けまする
間
(
ひま
)
さへもござらぬうちに
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「番頭さんは離屋へ行つて居て、急に惡くなりましたが、私が物音を聽いて駈け付けた時は、まだ息があつて、主人の時と同じやうに——七千兩、七千兩——と
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
して居りました」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“返”を含む語句
引返
銀杏返
返答
返報
振返
往返
返辞
鸚鵡返
取返
忍返
突返
返事
見返
反返
寝返
意趣返
裏返
恩返
返咲
返却
...