“茶(ちや)” の例文
清淨(しやうじやう)な水(みづ)でも好(よ)ければ、不潔(ふけつ)な水(みづ)でも好(い)い、湯(ゆ)でも茶(ちや)でも好(い)いのである。不潔(ふけつ)な水(みづ)でなかつたのは、閭(りよ)がためには勿怪(もつけ)の幸(さいはひ)であつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼(かれ)の生活(せいくわつ)は此(かく)の如(ごと)くにして過(す)ぎ行(ゆ)いた。朝(あさ)は八時(じ)に起(お)き、服(ふく)を着換(きか)へて茶(ちや)を呑(の)み、其(そ)れから書齋(しよさい)に入(はひ)るか、或(あるひ)は病院(びやうゐん)に行(ゆ)くかである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おつぎは晝餐(ひる)の支度(したく)の茶(ちや)を沸(わか)した。三人(にん)は食事(しよくじ)の後(あと)の口(くち)を鳴(な)らしながら戸口(とぐち)に出(で)てそれから栗(くり)の木(き)の陰(かげ)に暫(しばら)く蹲(うづく)まつた儘(まゝ)憩(いこ)うて居(ゐ)た。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
紋着(もんつき)、白(しろ)えりで盛裝(せいさう)した、艷(えん)なのが、茶(ちや)わんとはしを兩手(りやうて)に持(も)つて、目(め)の覺(さ)めるやうに顯(あらは)れて、すぐに一切(ひとき)れはさんだのが、その人(ひと)さ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
父(とう)さんのお家(うち)にも出入(でいり)のお百姓(ひやくしやう)がありまして、お餅(もち)をつくとか、お茶(ちや)をつくるとかいふ日(ひ)には、屹度(きつと)お手傳(てつだ)ひに來(き)て呉(く)れました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
越して太田に泊る宿狹けれど給仕の娘摺足(すりあし)にて茶(ちや)つた待遇(もてなし)なり翌日雨降れど昨日(きのふ)の車夫を雇ひ置きたれば車爭ひなくして無事に出立す母衣(ほろ)を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
番頭傳兵衞(でんべゑ)と云(いへ)る者預(あづか)り支配(しはい)なし居たるが此處に吉之助を遣(つかは)して諸藝(しよげい)の師を撰(えら)み金銀に拘(かゝは)らず習(なら)はするに日々生花(いけばな)茶(ちや)の湯(ゆ)其外(そのほか)遊藝(いうげい)彼是(なにくれ)と是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
是(これ)は私(わたし)の竹馬(ちくば)の友(とも)の久我(くが)某(ぼう)が石橋(いしばし)とはお茶(ちや)の水(みづ)の師範学校(しはんがくかう)で同窓(どうそう)であつた為(ため)に私(わたし)に紹介(せうかい)したのでしたが、其(そ)の理由は第一私(わたし)と好(このみ)を同(おなじ)うするし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
第三 酒(さけ)茶(ちや)菓子(かし)の類(るゐ)は食時(しよくじ)の節(せつ)少々(せう/\)用(もち)ゐて飮食(いんしよく)の消化(せうくわ)を扶(たす)くるは害(がい)なしと雖(いへど)も、その時限(じげん)の外(ほか)退屈(たいくつ)の時(とき)用(もちゆ)る等(とう)は害(がい)ある事(こと)。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
端(は)ては半燒酎(なほし)を村(むら)の子(こ)に頼(たの)んで買(か)ひに遣(や)つて、それを飮(の)みながら大氣焔(だいきえん)を吐(は)く。留守居(るすゐ)の女中(ぢよちう)は烟(けむ)に卷(まか)れながら、茶(ちや)を入(い)れて出(だ)す。菓子(くわし)を出(だ)す。
綺麗(きれい)に作(つく)つて湯(ゆ)から帰(かへ)ると、妻(つま)は不図(ふと)茶道具(ちやだうぐ)ともなかとを私(わたし)の傍(そば)へ運(はこ)んで、例(れい)の嫻(しとや)かに、落着(おちつ)いた風(ふう)で、茶(ちや)など淹(い)れて、四方八方(よもやま)の話(はなし)を始(はじ)める。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
愛(あい)ちやんは洋卓(テーブル)の周圍(しうゐ)を殘(のこ)らず見廻(みまは)しましたが、其上(そのうへ)には茶(ちや)の他(ほか)に何(なに)もありませんでした。『酒(さけ)なンて無(な)くッてよ』と愛(あい)ちやんが注意(ちうい)しました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
下女(げぢよ)が茶(ちや)を運(はこ)ぶために襖(ふすま)を開(あ)けると、襖(ふすま)の影(かげ)から大(おほ)きな眼(め)が四(よつ)つ程(ほど)既(すで)に宗助(そうすけ)を覗(のぞ)いてゐた。火鉢(ひばち)を持(も)つて出(で)ると、其後(そのあと)から又(また)違(ちが)つた顏(かほ)が見(み)えた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
友達(たち)なんかと話(はな)してゐると三人の位置(いち)が引(ひき)玉に考(かんが)へられたり、三つ並(なら)んだ茶(ちや)碗の姿(すがた)が面(おも)白い押(おし)玉の恰好(かつこう)に見※たりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
へい入(い)らつしやいまし、小僧(こぞう)やお茶(ちや)を、サ何卒(どうぞ)此方(こちら)へお掛(か)け遊ばして、今日(こんにち)は誠に好(よ)いお天気になりました、何卒(どうぞ)之(これ)へ。婦人「はい、御免(ごめん)なさいよ。 ...
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
別(べつ)に苦(く)にもならず總(すべ)てを義母(おつかさん)にお任(まかせ)して茶(ちや)ばかり飮(の)んで内心(ないしん)一の悔(くい)を懷(いだ)きながら老人夫婦(としよりふうふ)をそれとなく觀察(くわんさつ)して居(ゐ)た。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
博物館(はくぶつかん)の見物(けんぶつ)も、だいぶ長(なが)くなつて皆(みな)さんも疲(つか)れたでせうが、私(わたし)も話(はな)しくたびれました。まづこれで見物(けんぶつ)をやめて、お茶(ちや)でも飮(の)むことにいたしませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
坊(ばう)さんは思(おも)ひ掛(が)けない好(い)いお客(きやく)と見(み)たらしく、俄(にはか)に手(て)を叩(たゝ)いて小坊主(こばうず)を呼(よ)び茶(ちや)と菓子(くわし)とを持(も)つて来(こ)させた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風、永井壮吉(著)
これよと仰(おほ)せらる、一しきり終(おは)りての午後(ひるすぎ)、お茶(ちや)ぐわし山(やま)と擔(かつ)ぎ込(こ)めば大皿(おほさら)の鐵砲(てつぽう)まき分捕次第(ぶんどりしだい)と沙汰(さた)ありて、奧樣(おくさま)は暫時(しばし)のほど二階(かい)の小間(こま)に氣(き)づかれを休(やす)め給(たま)ふ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「何(なん)でもありませんよ。たゞね、私(わたし)はおさきへ失禮(しつれい)して、これからお茶(ちや)でも嚥(の)まうとしてるんです」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
米味噌醤油(しやうゆ)鰹節(かつをぶし)茶(ちや)蝋燭(らうそく)までをも用意(ようい)して従者(ずさ)にもたせて立いでしは文政十一年九月八日の事なりき。
天変地異(てんぺんちい)を笑(わら)つて済(す)ますものは文学者(ぶんがくしや)なり。社会(しやくわい)人事(じんじ)を茶(ちや)にして仕舞(しま)ふ者は文学者(ぶんがくしや)なり。否(い)な、神の特別(とくべつ)なる贔屓(ひいき)を受(う)けて自然(しぜん)に hypnotize(ヒプノタイズ) さる〻ものは文学者(ぶんがくしや)なり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
もうお茶(ちや)の水(みず)まで來てゐるのです。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
洋燈(ランプ)、版繪(はんゑ)、茶(ちや)、茶菓子(ちやぐわし)
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
油(あぶら)買(か)ひに茶(ちや)買(か)ひに。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
皆(みな)は又(また)少時(しばし)默(もく)して了(しま)ふ。其中(そのうち)に茶(ちや)が出(で)る。ドクトル、ハヾトフは皆(みな)との一般(ぱん)の話(はなし)の中(うち)も、院長(ゐんちやう)の言(ことば)に注意(ちゆうい)をして聞(き)いてゐたが突然(だしぬけ)に。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ドカリ——洗面所(せんめんじよ)の方(かた)なる、扉(どあ)へ立(た)つた、茶色(ちやいろ)な顔(かほ)が、ひよいと立留(たちどま)つてぐいと見込(みこ)むと、茶(ちや)の外套(ぐわいたう)で恁(か)う、肩(かた)を斜(はす)に寄(よ)つたと思(おも)ふと
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
少(すこ)し懷(ふところ)が窮屈(きうくつ)でなくなつてからは長(なが)い夜(よ)の休憇時間(きうけいじかん)には滅多(めつた)に繩(なは)を綯(な)ふこともなく風呂(ふろ)に行(い)つては能(よ)く噺(はなし)をしながら出殼(でがら)の茶(ちや)を啜(すゝ)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
雀(すずめ)が父(とう)さんのお家(うち)へ覗(のぞ)きに來(き)ました。丁度(ちやうど)お家(うち)ではお茶(ちや)をつくる最中(さいちう)でしたから、雀(すずめ)がめづらしさうに覗(のぞ)きに來(き)たのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
宗助(そうすけ)は何時(いつ)もの樣(やう)に縁側(えんがは)から茶(ちや)の間(ま)へ行(い)かずに、すぐ取付(とつつき)の襖(ふすま)を開(あ)けて、御米(およね)の寐(ね)てゐる座敷(ざしき)へ這入(はい)つた。見(み)ると、御米(およね)は依然(いぜん)として寐(ね)てゐた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
良人はいつもの通り、ポケツトから夕刊(ゆふかん)を取出すと、それを茶(ちや)の室(ま)の電燈の明りで読んでゐたが、やがて風呂へ入つた。
復讐 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『私(わたし)はお茶(ちや)を濟(す)ませて了(しま)ひたう御座(ござ)います』と云(い)つて帽子屋(ばうしや)は氣遣(きづか)はしげに、女王樣(ぢよわうさま)の方(はう)を見(み)ました、女王樣(ぢよわうさま)は演奏者(えんそうしや)の名簿(めいぼ)を讀(よ)んで居(を)られました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さういひながら、玄関(げんくわん)つゞきの茶(ちや)の間(ま)へはひると、青木さんは紙(かみ)にくるんだ額面(がくめん)十円の△△債劵(さいけん)を背広(せびろ)の内がくしから、如何(いか)にも大事(じ)さうに取(とり)出した。
夢 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
増(まし)種々(いろ/\)に手を變(かへ)云(いひ)寄(よる)ゆゑ夫(をつと)喜八と申者在(ある)中(うち)は御心に從ひては女の道立(たち)申さずと一寸(すん)遁(のが)れに云拔(いひぬけ)けるを或時粂之進茶(ちや)を汲(くま)せ持來(もちきた)る其手を捕(と)らへ是程までに其方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御同僚(ごどうりよう)の奧樣(おくさま)がたの樣(やう)にお花(はな)のお茶(ちや)の、歌(うた)の畫(ゑ)のと習(なら)ひ立(た)てた事(こと)もなければ其御話(そのおはな)しの御(お)相手(あいて)は出來(でき)ませぬけれど、出來(でき)ずは人知(ひとし)れず習(なら)はせて下(くだ)さつても濟(す)むべき筈(はづ)
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二代目(だいめ)の時代(じだい)の鷄屋(とりや)の番人(ばんにん)に好(い)い老人(らうじん)が居(ゐ)て、いろ/\世話(せわ)をして茶(ちや)など入(い)れて呉(く)れて居(ゐ)たが、其老人(そのろうじん)間(ま)もなく死(し)んだので、何(な)んとなく余(よ)は寂寞(せきばく)を感(かん)じたのであつた。
あるひはお茶(ちや)をひく茶臼(ちやうす)の形(かたち)にも似(に)てゐるところがあり、また車(くるま)の形(かたち)にも似(に)てゐますので、罐子塚(かんすづか)だとか、茶臼塚(ちやうすづか)とか、車塚(くるまづか)だとか、いろ/\の名(な)がついてをりますが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
江戸には雪の降(ふら)ざる年もあれば、初雪はことさらに美賞(びしやう)し、雪見の船(ふね)に哥妓(かぎ)を携(たづさ)へ、雪の茶(ちや)の湯(ゆ)に賓客(ひんかく)を招(まね)き、青楼(せいろう)は雪を居続(ゐつゞけ)の媒(なかだち)となし、酒亭(しゆてい)は雪を来客(らいかく)の嘉瑞(かずゐ)となす。
どうも有難(ありがた)う存(ぞん)じます……左様(さやう)なら御遠慮(ごゑんりよ)なしに頂戴(ちやうだい)致(いた)しますと、亭主(ていしゆ)の河合金兵衛(かはひきんべゑ)が茶(ちや)を点(た)つてる間(あひだ)に、小丼(こどんぶり)を前(まへ)に引寄(ひきよ)せて乞食(こじき)ながらも、以前(いぜん)は名のある神谷幸右衛門(かみやかうゑもん)
何(なに)が何(なん)だかさつぱり解(わか)りません。そこへお茶(ちや)を持(も)つてでてきたお上(かみ)さんにそのことを話(はな)すと
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「お茶(ちや)おあがんなせえね」おつぎは勘次(かんじ)の尾(しり)に跟(つ)いて少(すこ)し聲高(こわだか)にいつた。おつたはぎりつと絞(しぼ)つた手拭(てぬぐひ)を開(ひら)いてばた/\と叩(たゝ)いた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
君子(くんし)は庖廚(はうちう)の事(こと)になんぞ、關(くわん)しないで居(ゐ)たが、段々(だん/\)茶(ちや)の間(ま)に成(な)り、座敷(ざしき)に及(およ)んで、棚(たな)、小棚(こだな)を掻(か)きまはし、抽斗(ひきだし)をがたつかせる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
さう云(い)ふ日(ひ)には、實際(じつさい)困却(こんきやく)すると見(み)えて、時々(とき/″\)六疊(でふ)から出(で)て來(き)て、のそりと火鉢(ひばち)の傍(そば)へ坐(すわ)つて、茶(ちや)などを注(つ)いで飮(の)んだ。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『お免(ゆる)しあれ、陛下(へいか)よ』と云(い)つて彼(かれ)は、『こんな物(もの)を持(も)ち込(こ)みまして、でも、お喚(よ)び出(だ)しになりました時(とき)、お茶(ちや)を飮(の)みかけて居(ゐ)ましたものですから。』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
好(よ)いお茶(ちや)の香(にほひ)がするのと、家中(いへぢう)でみんな働(はたら)いて居(を)るので、父(とう)さんも雀(すずめ)と一緒(しよ)にそこいらを踊(をど)つて歩(ある)きました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
中食後(ちゆうじきご)ミハイル、アウエリヤヌヰチは茶(ちや)を四半斤(はんぎん)と、マルメラドを一斤(きん)持參(も)つて、彼(かれ)の所(ところ)に見舞(みまひ)に來(き)た。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そしてたいていの博物館(はくぶつかん)の地下室(ちかしつ)には便利(べんり)な食堂(しよくどう)、かふぇーなどが設(まう)けられ、食事(しよくじ)もできるし、お茶(ちや)も飮(の)めるしといふようになつてゐますから、戸外運動(こがいうんどう)をしない人々(ひと/″\)は
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
上より自在(じざい)をさげ、此火に酒の燗(かん)をなしあるひは茶(ちや)を煎(せんじ)、夜は燈火(ともしび)とす。さて熟(つら/\)此火を視るに、筩(つゝ)をはなるゝこと一寸ばかりの上に燃(もゆ)る、扇にあふげば陽火(やうくわ)のごとくに消(きゆ)る。
或(あ)る日(ひ)、夫婦(ふうふ)して仲睦(なかむつま)じくお茶(ちや)をのんでゐると、そこへ雉(きじ)の子(こ)が木(き)の葉(は)を一つ葉(ぱ)、啣(くわ)えてきて、おいて行(ゆ)きました。それは裏山(うらやま)の神樣(かみさま)からでした。何(なに)か書(か)いてありました。みると
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
襖(ふすま)を開放(あけはな)した茶(ちや)の間(ま)から、其先(そのさき)の四畳半(でうはん)の壁際(かべぎは)に真新(まあたら)しい総桐(さうぎり)の箪笥(たんす)が一棹(さを)見(み)える。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)