ちから)” の例文
そのそばにえている青木あおきくろずんで、やはり霜柱しもばしらのためにいたんではだらりとれて、ちからなくしたいているのでありました。
小さな草と太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
按摩あんまつゑちからに、かはべりの水除みづよづゝみると、つゑさき両手りやうてをかけて、ズイとこしばし、みゝそばだてゝかんがえて様子やうす、——とふ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、つかれてきたはねにバサバサとちからめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとさきびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
らうこゝろをつけて物事ものごとるに、さながらこひこゝろをうばゝれて空虚うつろなりひとごとく、お美尾みを美尾みをべばなにえとこたゆることばちからなさ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はたけえ、牧場ぼくじょうえてはしってくうち、あたりは暴風雨あらしになってて、子家鴨こあひるちからでは、しのいでけそうもない様子ようすになりました。
そなたには神様かみさまうかがうこともちゃんとおしえてあるから、大概たいがいこと自分じぶんちかららねばならぬぞ……。』そうわれるのでございます。
なんでもこれは人数にんずうすくなくともよりぬきのつよ武士ぶしばかりでかけて行って、ちからずくよりは智恵ちえ工夫くふうをしなければなりません。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ほとんあやふかつたその時、私達は自らすくふために、十ぶんにそのちからうたがひをのこしながらも、愛とその結婚にかくを求めようとしました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
おなひとですら其通そのとほり、いはんやかつこひちかられたことのないひと如何どうして他人たにんこひ消息せうそくわからう、そのたのしみわからう、其苦そのくるしみわからう?。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くど/\とながたらしいこといた手紙てがみよりか『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきの方が、はるかにきみむねをゑぐるちからつてゐたんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ひとりでみちをあるきながら、海蔵かいぞうさんはおもいました。——こりゃ、ひとにたよっていちゃだめだ、じぶんのちからでしなけりゃ、と。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
御覽ごらんなさい、世界せかいはじめから、今日こんにちいたるまで、益〻ます/\進歩しんぽしてくものは生存競爭せいぞんきやうさう疼痛とうつう感覺かんかく刺戟しげきたいする反應はんおうちからなどでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なにもかもそこからはじまります。御先祖ごせんぞさまがさうおもつてこんなやまなかむらひらきはじめたといふことには、おほきなちからがありますね。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ちょうどそれは日のながい汗の出る季節でもあったゆえに、たびたび少しずつの休憩をしないと、かえってちからぱいの働きができなかった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あゝ、これ一生いつしやうわかれとなるかもわからぬ。櫻木大佐さくらぎたいさも、日出雄少年ひでをせうねんも、だまつて吾等われら兩人りやうにんかほながめ、ちからめて吾等われらにぎつた。
此処ここにて必ずべきものと思ひし家よりの手紙を手にするを得ざりしちから落しも加はりさふらひけん。小林の君、赤塚の君皆あがり給ひさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
海老蔵はそれから夕陽の影法師のようなちからない足どりで帰って往ったが、それから一週間して綱右衛門は、海老蔵の死亡の通知に接した。
お化の面 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ひがしそらのききょうのはなびらはもういつかしぼんだようにちからなくなり、あさ白光しろびかりがあらわれはじめました。ほしが一つずつきえてゆきます。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが、封建制度ほうけんせいどというものは、ながいあいだにきずきあげられたものですから、ちっとやそっとのちからでくずれるものではありません。
一対一の戦闘が、こうして、きりなく続く。そして、勇敢な蜜蜂は、ちからてきせず、一つ一つ、その犠牲となつてしかばねを地上にさらすのである。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
しなあさから心持こゝろもち晴々はれ/″\してのぼるにれて蒲團ふとんなほつてたが、身體からだちからいながらにめうかるつたことをかんじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうして學校がつこう教場内きようじようない竝列へいれつした多數たすうつくゑあるひ銃器臺じゆうきだいなどは、其連合そのれんごうちからもつて、此桁このけたはりまた小屋組こやぐみ全部ぜんぶさゝへることは容易よういである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おそろしいちからがあって、世間せけんからこわがられている一人ひとり魔女まじょでしたから、誰一人たれひとりなかへはいろうというものはありませんでした。
わが越後のごとく年毎としごと幾丈いくぢやうの雪をなんたのしき事かあらん。雪のためちからつくざいつひやし千しんする事、しもところておもひはかるべし。
「けれど、篠田さん、貴所あなたは今ま御自愛なさらねばならぬ御体で御座いませう」梅子の一語には満身のちからあふれて聞こえぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ちから声と称する蛮声をあげ(詩人はまだその時期にいるが)ましたが、この頃はいくらか平正心に戻りかかってもいます。
鳥は園の周囲まはりに鳴き、園丁の鍬にりかへさるる赤土のやはらかなるあるかなきかの湿潤しめりのなかのわかき新芽のにほひよ、めたけれどもちからあり。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
のようなもので、これがよいとおもふようでは、あなたがた文學ぶんがくあぢはちからりないのだと反省はんせいしてもらはねばなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
おどりかかったと思ったそのとき、ハクスターは、目に見えないなにものかに、むこうずねをちからいっぱいけとばされた。
四月まで続く降雪を我慢しきれないやうに、雪の下では春の浮動するものが生き初めるころは、わけても悩ましいちからがからだに湧いてくるのであつた。
抒情小曲集:04 抒情小曲集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
かれ地上ちじやうたふれ、次々つぎ/\に×(6)き×(7)されるじう×(8)もとに、うしほ退しりぞくやうに全身ぜんしんからけてちからかん
見受けるところ、剛気なご人体じんていだが、ちからをたのむものは、とかく大怪我をするものだから、私の忠言をお忘れないように、というようなことをいった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あにはたゞ手前勝手てまへがつてをとこで、ひまがあればぶら/\して細君さいくんあそんでばかりゐて、一向いつかうたよりにもちからにもなつてれない、眞底しんそこ情合じやうあひうすひとぐらゐかんがへてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひとりは鮑龍ほうりゅうといい、よく虎を手擒てどりにするといわれ、もう一名は陳応ちんおうと称して、いわゆるちからやまを抜くの猛者もさだった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ね、相談敵手さうだんあひてにした其方そちぢゃが、其方そちわしとはいまからはこゝろ別々べつ/\。……御坊ごばうところすくひをはう。ことみなやぶれても、ぬるちから此身このみる。
此蠻勇このばんゆうちから、それがつもつもつてると、運動うんどうためとか、好奇かうきよくとか、そればかりで承知しやうち出來できなくなつて、はじめて研究けんきうといふことおもきをおくやうになり
をとこ太刀たちいてゐるだけに、ちから相當さうたうにあつたやうですが、不意ふいたれてはたまりません。たちまち一ぽんすぎがたへ、くくりつけられてしまひました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いやしずかに。——ただいまみゃくちからたようじゃと申上もうしあげたが、じつ方々かたがた手前てまえをかねたまでのこと。心臓しんぞうも、かすかにぬくみをたもっているだけのことじゃ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
大切に致しくらしける是よりは猶はりの療治も日々に繁昌はんじやうして諸家へもよばれ大岡殿へも時々療治に上りけるに其度々々に越前守殿にもちからそへて下され有難きことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それじきは、いろし、ちからをつけ、いのちぶ。ころもは、さむさをふせぎ、あつさえ、はぢをかくす。人にものをする人は、人のいろをまし、ちからをそへ、いのちぐなり。
その内部ないぶ葉緑粒ようりよくりゆうは、毎日まいにち日光につこうちからをかりて、空氣中くうきちゆうにある、人間にんげんがいをする炭酸瓦斯たんさんがすひ、そのかはりに、人間にんげんになくてはならない酸素さんそをはきして
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ここおい闔廬かふろ孫子そんしへいもちふるをり、つひもつしやうす。西にし彊楚きやうそやぶつて(一三)えいり、きたせいしんおどし、諸矦しよこうあらはす。孫子そんしあづかつてちからり。
じつに一行が首尾しゆび探検たんけん目的もくてきを達するを得たるは、忠実ちうじつ勇壮ゆうさうなる人夫の力大にあづかつてちからありとす。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
韋駄天ゐだてんちからでもりませいでは。‥‥どんなお早駕籠はやでも四日よつかはかゝりませうで。‥‥』と、玄竹げんちくはもうおもてをあげることが出來できなかつた。但馬守たじまのかみきつかたちたゞして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
としたら、貴方あなたが、ちからを似て自分を壓しやうといふことは、殆ど無用むよう惡踠わるあがきと云はんければならぬ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『あア、さう!それはおなじやうなことだ』とつて公爵夫人こうしやくふじんあいちやんのかたに、とがつたちひさなあご滅込めりこむほどちかられてしました、『それかられの徳義とくぎは—— ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ないものははらへないからそこは宗教しうけうちからで、なんとか便宜べんぎはかつてはくれまいかと嘆願たんぐわんしてたんですが、彼奴あいつはどうして、規定きてい規定きていだから、證明書しようめいしよもなくかねもないなら
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
それほどになさつても、なんのやくにもちません。あのくにひとれば、どこのもみなひとりでにいて、たゝかはうとするひとたちもえしびれたようになつてちからません
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
このスエーデンの博物館はくぶつかんつくつたひとは、最初さいしよからおほくの金錢きんせんとうじて着手ちやくしゆしたのではなく、すこしづゝあつめてなが年月としつきあひだ一人ひとりちからでもつて完成かんせいさせたことをおもふときは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
この偉大ゐだいちから分解ぶんかいしてると。一ぽうには非常ひぜう誇張こてうと、一ぽうには非常ひぜう省略しやうりやくがある。で、これより各論かくろんつて化物ばけもの表現へうげんすなは形式けいしきろんずる順序じゆんじよであるか、いまそのひまがない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)