かゞや)” の例文
友染いうぜんきれに、白羽二重しろはぶたへうらをかさねて、むらさきひもくちかゞつた、衣絵きぬゑさんが手縫てぬい服紗袋ふくさぶくろつゝんで、そのおくつた、しろかゞや小鍋こなべである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のみならず、道徳の敗退はいたいも一所にてゐる。日本国中何所どこを見渡したつて、かゞやいてる断面だんめんは一寸四方も無いぢやないか。悉く暗黒だ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まぶしいものが一せん硝子ガラスとほしてわたしつた。そして一しゆんのち小松こまつえだはもうかつた。それはひかりなかひかかゞや斑點はんてんであつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ると、太陽たいやうがキラ/\とかゞやいてひがしほうの、赤裸あかはだかやまいたゞきなゝめかすめて、一個いつこ大輕氣球だいけいききゆうかぜのまに/\此方こなたむかつてんでた。
すると、まばゆいようにかゞやをんながゐます。これこそ赫映姫かぐやひめちがひないとおぼしてお近寄ちかよりになると、そのをんなおくげてきます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
昔より云傳いひつたへたりまた里人の茶話ちやばなしにもあしたに出る日ゆふべに入る日もかゞやき渡る山のは黄金千兩錢千ぐわんうるしたる朱砂しゆしやきんうづめありとは云へどたれありて其在處ありどころ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
河面かはづら対岸たいがんそらかゞや朝日あさひビールの広告くわうこくと、東武電車とうぶでんしや鉄橋てつけううへえず徃復わうふくする電車でんしや燈影ほかげてらされ、かしボートをわか男女だんぢよ姿すがたのみならず
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
かゞやかしかつたかれ文壇的運命ぶんだんてきうんめいが、やうやくかげりかけようとしてゐたところで、かれもちよつときづまつたかたちであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「誰が、彼處あすこ彼様あんないとをかけたのだらう。」と周三は考へた。途端とたんに日はパツとかゞやいて、無花果の葉は緑のしづくこぼるかと思はれるばかり、鮮麗にきらめく。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はかか? いや/\、こりゃはかではない、あかまどぢゃ、なア、足下きみ。はて、ヂュリエットがるゆゑに、その艶麗あてやかさで、このあなむろひかかゞや宴席えんせきともゆるわい。
やみにもよろこびあり、ひかりにもかなしみあり麥藁帽むぎわらばうひさしかたむけて、彼方かなたをか此方こなたはやしのぞめば、まじ/\とかゞやいてまばゆきばかりの景色けしき自分じぶんおもはずいた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ひだりはうには、六甲ろくかふ連山れんざんが、はるひかりにかゞやいて、ところ/″\あか禿げた姿すがたは、そんなにかすんでもゐなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すると馬は又、元のやうに無二無三に狂奔するのである。遂に旋風のやうな競走が完つた。多くのかゞやいた点がいてゐる大きな黒い物が、急に眼の前に聳えた。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
朝日あさひひかりをけてきんぴかの品物しなものかゞやいてゐるありさまは、なんともいへぬ見物みものでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あいちやんは其後そのあとからぐに其角そのかどまがりましたが、もううさぎ姿すがたえませんでした。あいちやんは屋根やねからずらりと一れつられた洋燈ランプかゞやいてる、ながくてひく大廣間おほびろまました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかしです、新生活しんせいくわつあかつきかゞやいて、正義せいぎかちせいするやうになれば、我々われ/\まちでもおほいまつりをしてよろこいはひませう。が、わたし其迄それまでたれません、其時分そのじぶんにはもうんでしまひます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
冬曉とうげうはやじよくはなれて斗滿川とまむがはき、氷穴中へうけつちゆうむすべるこほり手斧てをのもつやぶり(このこほりあつさにても數寸餘すうすんよあり)ぼつし、曉天げうてんかゞや星光せいくわうながめながら灌水くわんすゐときの、清爽せいさうなる情趣じやうしゆ
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
つきかゞやいてゐるそらひゞくおしろ太鼓たいこ。それは、もう門限もんげんだといふらせなのです。だがまうしばらく、つのをつてくれとかんじるのは、現在げんざい心持こゝろもちのなくなるのをしむこゝろなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
おくさんはれしくひとみをかゞやかしながら、しばらくその額面がくめんながめ入つてゐた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
殊更ことさらつとめて他人たにん教化けうくわせんとするが如きはこれを為す者の僣越せんえつしめし、無智無謀むちむぼうしようす、る大陽はつとめてかゞやかざるを、ほしは吾人の教化けうくわはかつひかりはなたず、からざるをざればひかるなり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
雪とかゞやく色をびて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
かゞやわたさま
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かゞやける大都会だいとくわい
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
眞白まつしろなのは、てのひらへ、むらさきなるは、かへして、指環ゆびわ紅玉ルビイかゞやかふへ、朱鷺色ときいろあしして、かるとまるまでにれたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その小松こまつは、何處どこからかひかりけてるらしく、丁度ちやうどぎんモールでかざられたクリスマスツリーのやうに、枝々えだ/\光榮くわうえいにみちてぐるりにかゞやいてゐた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
かんがへると、じつ愉快ゆくわいで/\たまらぬ、いま吾等われらまなこには、たゞ希望きぼうひかりかゞやくのみで、たれ人間にんげん幸福さひはひねた惡魔あくま
おほきくなるにしたがつて少女をとめかほかたちはます/\うるはしくなり、とてもこの世界せかいにないくらゐなばかりか、いへなかすみからすみまでひかかゞやきました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
下し置れける是ひとへ住持ぢうぢ祐然いうねん發明はつめい頓才とんさいの一言に依て末代まつだい寺號じがうかゞやかせり且又見知人として出府せし甚左衞門善助の兩人へは越前守より目録もくろく其外の品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あのひめ美麗あてやかさで、かゞや燭火ともしびまただんかゞやくわい! よるほゝ照映てりはゆるひめ風情ふぜいは、宛然さながら黒人種エシオツプ耳元みゝもと希代きたい寶玉はうぎょくかゝったやう、使つかはうにはあま勿體無もったいな
國府津こふづりたとき日光につくわう雲間くもまれて、新緑しんりよくやまも、も、はやしも、さむるばかりかゞやいてた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
眞箇ほんとにそんなでした。あいちやんはいまわずか一しやくあるかなしの身長せいになつたので、これならそのうつくしい花園はなぞのこのちひさな戸口とぐちからけてかれるとおもつて、そのかほうれしさにかゞやきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
あたまなかにはひるの事があざやかにかゞやいた。もう二三にちのうちには最後の解決が出来できると思つて幾たびむねおどらせた。が、そのうちおほいなるそらと、大いなるゆめのうちに、吾知らず吸収された。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
羽二重はぶたへ小袖羽織こそでばおり茶宇ちやうはかま、それはまだおどろくにりないとして、細身ほそみ大小だいせうは、こしらへだけに四百兩ひやくりやうからもかけたのをしてゐた。こじりめたあつ黄金きん燦然さんぜんとして、ふゆかゞやいた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
と、イワン、デミトリチはかゞやかして立上たちあがり、まどはうのばしてふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
銀燭ぎんしよくかゞやもと
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
をりからあめのあとのおもて打沈うちしづめる蒼々漫々さう/\まん/\たるみづうみは、水底みなそこつきかげはうとして、うすかゞやわたつて、おき大蛇灘おろちなだ夕日影ゆふひかげはしつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
船室キヤビン中央ちゆうわうつるしてある球燈きゆうとうひかり煌々くわう/\かゞやいてるが、どうも其邊そのへんなに魔性ませうでもるやうで、空氣くうきあたまおさへるやうにおもく、じつ寢苦ねぐるしかつた。
彼女かのぢよ若々わか/\しくむねをどきつかせながら、いそいでつくゑうへ手紙てがみつてふうつた。彼女かのぢよかほはみる/\よろこびにかゞやいた。ゆがみかげんにむすんだ口許くちもと微笑ほゝゑみうかんでゐる。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
今宵こよひ陋屋らうをくにて、明星みょうじゃうかゞやき、暗天やみぞらをさへもあかるらすを御覽ごらんあれ。
代助のあたまは急に三年前にかへつた。当時の記憶が、やみめぐ松明たいまつの如くかゞやいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たて後世迄も美名びめい海内かいだいかゞやかし子孫の繁榮はんえいのこすはいと有難ありがたき事共なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何故なぜですか』とふた兒玉こだまかゞやいた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かゞやをば
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かゞやける
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ほそきことごと玉蜻かげろふふ。をんなかすかあを瓔珞やうらくかゞやかしてへば、やますゝき差覗さしのぞきつゝ、やがてつきあきらかにづ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうおもつてわたしはまだ自分じぶんにはかくされてゐる太陽たいやう笑顏ゑがほ想像さうざうなかさがもとめた。けれどもわたしはそれをさうながつにはおよばなかつた。小松こまつ刻々こく/\かゞやきをしてつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
安井やすゐ自身じしんもそんな心持こゝろもちがするとつて、わざ/\襯衣しやつそでまくげて、青筋あをすぢはひつたうでひとりでてゐた。御米およねうれしさうにかゞやかした。宗助そうすけにはその活溌くわつぱつ目遣めづかひことめづらしく受取うけとれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
百合ゆりは、薔薇ばらは、撫子なでしこつゆかゞやくばかりにえたが、それよりもくちびるは、とき鐵漿かねふくんだか、とかげさして、はれぬなまめかしいものであつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
部屋へや欄干らんかんたまかとおも晃々きら/\かゞやきまして、あやしいお星樣ほしさまなか投込なげこまれたのかとおもひましたの。仙人せんにんえません。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき流行りうかうといへば、べつして婦人ふじん見得みえ憧憬しようけいまとにする……まととなれば、金銀きんぎんあひかゞやく。ゆみまなぶものの、三年さんねん凝視ぎようしひとみにはまとしらみおほきさ車輪しやりんである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)