つゞ)” の例文
新字:
それ大雪おほゆきのために進行しんかうつゞけられなくなつて、晩方ばんがた武生驛たけふえき越前ゑちぜん)へとまつたのです。ひて一町場ひとちやうばぐらゐは前進ぜんしん出來できないことはない。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『まァ、大層たいそうよろこんでること』あいちやんはおもつてほもつゞけました。『をしへて頂戴てうだいな、ね、わたし此處こゝから何方どつちけばいの?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かうあばれてるうちにも自分じぶんは、彼奴きやつ何時いつにチヨークぐわならつたらう、何人だれ彼奴きやつをしへたらうとればかりおもつゞけた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
このうたべつふかおもひこんでゐるのでもないたのしみを、ぢっとつゞけてゐたといふだけのものですから、調子ちようし意味いみとがぴったりとしてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
やうしたに、うづいてくるしさうなかはらいろが、幾里いくりとなくつゞ景色けしきを、たかところからながめて、これでこそ東京とうきやうだとおもことさへあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれほとん脚力きやくりよくおよかぎはしつた。かれはおつぎがうしろつゞかぬことを顧慮こりよするいとまもなかつた。かれ主人しゆじんおもつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがて人通りの餘りない、片側に工場の黒いた塀がつゞき、片側は畑を間にさしはさんで住宅じうたくが數けんならんでゐる、町で一番長い坂道の上に出た。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
其後そのごをとこからなんつてやつても、をんなからは依然いぜんとして毎月まいげつじつに『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきた。とう/\それが一年間ねんかんつゞいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
日本につぽん南北なんぼくながつゞいてゐて、ところによる氣候きこう變化へんかもいろ/\ですから、動物どうぶつもまた、いろ/\なものがんでゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
心得たる男なれば宅兵衞がすきうかゞひ持たる太刀たちを打落しひるむ處をつゞけ打におもて目掛めがけて討ければ宅兵衞はまなこくらみて蹌踉よろめくを吾助は得たりと落たる刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それゆゑ日本にほん經濟けいざい立直たてなほ必要ひつえうがあるのであるが、經濟けいざい立直たてなほしが出來でき累年るゐねんつゞ輸入超過ゆにふてうくわげん國際貸借こくさいたいしやく改善かいぜんせられてはじめきん解禁かいきん出來でき
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
其所そこ坪井博士つぼゐはかせは、石田理學士いしだりがくし大野助手おほのぢよしゆ野中事務員のなかじむゐん同行どうかうして、電車でんしやられた。つゞいて帝室博物館員ていしつはくぶつくわんゐん高橋たかはし平子ひらこ和田わだ諸氏しよしる。
おどろいたのは御亭主ごていしゆでした。大變たいへんなことになつたものです。天地てんちが、ひつくりかえつたやうです。そんながそれ以來いらい幾日いくにち幾日いくにちつゞきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
と、れかられへとはなしつゞけていきひまい、ドクトルはみゝがガンとして、心臟しんざう鼓動こどうさへはげしくなつてる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とうさんのおうちはうからますと、大黒屋だいこくや一段いちだんたか石垣いしがきうへにありまして、その石垣いしがきのすぐしたのところまでとうさんのおうち桑畠くはばたけつゞいてましたから
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その面は色を失ひて、唇は打顫へり。我が、あな、何事のおはせしぞと驚き問ふ時、マリアは兜兒かくしの中より、一封のふみ取出とうでて、さて語をつゞけて云ふやう。
いまはと決心けつしんほぞかたまりけんツト立上たちあがりしがまた懷中ふところをさしれて一思案ひとしあんアヽこまつたと我知われしらず歎息たんそくことばくちびるをもれて其儘そのまゝはもとのとほ舌打したうちおとつゞけてきこえぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其夜そのよ大雨たいうしたので、これまで野營やえいつゞけてゐた附近ふきん被害民ひがいみんは、みなつぶのこりのいへあつまつてあま大勢おほぜいでありしため混雜こんざつはしたけれども、みな口々くち/″\
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
私は彼の仕事にたいする氣持が私の文學の仕事にたいする氣持とちよつと似通つてゐる事にひそかな興味を覺えながら、だまつて耳を傾けてゐた。彼はまたことばつゞけた。
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
うへなうあま蜂蜜はちみつ旨過うますぎていやらしく、うてようといふにぶる。ぢゃによって、こひほどよう。ほどよいこひながつゞく、はやきにぐるはなほおそきにぐるがごとしぢゃ。
爲方しかたがないから、ギリ/\齒噛をしながらも、つよい心でおツこらへてゐる。其れがまたつらい。其の辛いのを耐へて、無理に製作をつゞける。がて眼が血走ちはしツて來、心が惑亂わくらんする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『あゝ、めうだ/\、今日けふ何故なぜ此樣こんな不思議ふしぎことつゞくのだらう。』とわたくしおもはずさけんだ。
いのちつゞきがたく、つぐべきちからたえては、或は一日乃至五日、既に法華經讀誦どくしようの音も絶へぬべし。止觀しくわんまどの前には草しげりなん。かくの如く候に、いかにして思ひ寄らせ給ひぬならん。
をんなすこひややかにいひはなつと、あをざめて俯向うつむいた。二人ふたりあひだに、しばら沈默ちんもくつゞいた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
しめやかなおとあめはなほつゞいてゐる。すこしばかりえとするさむさは、部屋へやなか薄闇うすやみけあつて、そろ/\と彼女かのぢようつゝ心持こゝろもちにみちびいてく。ぱつと部屋へやがあかるくなる。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
つゞきつゝえつゝかな
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
はるさくらにぎはひよりかけて、なき玉菊たまぎく燈籠とうろうころつゞいて、あき新仁和賀しんにはかには、十分間じつぷんかんくるまぶこと、とほりのみにて七十五輌しちじふごりやう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みなさん!』とつてあいちやんは、つゞけやうとして氣遣きづかはしげにまはりを見廻みまはし、『さア、これで解散かいさんしやうぢやありませんか!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その時分じぶん夫婦ふうふ活計くらしくるしいつらつきばかりつゞいてゐた。宗助そうすけ流産りうざんした御米およねあをかほながめて、これ必竟つまり世帶しよたい苦勞くらうからおこるんだとはんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「こまけえ勘定かんぢやうにや近頃ちかごろ燐寸マツチめてくんだが、何處どこ商人あきんどもさうのやうだな」商人あきんどたまござるれながらいひつゞけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さゐかはから、くもがずっとつゞいて、この畝傍山うねびやま、そのやまが、さわいでゐる。いまかぜかうとしてゐるのだ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かれ起上おきあがつて聲限こゑかぎりにさけび、さうしてこゝより拔出ぬけいでて、ニキタを眞先まつさきに、ハヾトフ、會計くわいけい代診だいしん鏖殺みなごろしにして、自分じぶんつゞいて自殺じさつしてしまはうとおもふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
多分たぶんくちまねが拙手へたなので、だらうとおもひまして、それからとふものは滅茶苦茶めちやくちやにしやべりつゞけました。しかられればしかられるほどしやべりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
爲しつゞ現在げんざい弟の千太郎の事を思ひて紙屑かみくづかふと迄に零落おちぶれても眞の人に成んと思ひ赤心こゝろの誤よりもいきの根の止たを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此所こゝ先年せんねん幻翁げんおうが、香爐形こうろがた其他そのた大珍品だいちんぴんした遺跡ゐせきつゞきなので、如何いかにも有望ゆうぼうらしくかんがへられたのである。
自分じぶん收入以上しうにふいじやうくらしをして、むをぬから借金しやくきんつゞけてると事態じたいであるからして、左樣さやう状態じやうたいくににはかねさぬとふのが英米えいべい立前たてまへである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
たまには、こんなことをしてゐて結局けつきよく馬鹿ばかるのぢやたまらないとかんがへたこともあつたが、モウ二ヶげつあまりつゞけてると、今更いまさらやめるわけにはどうしてもかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
たゞ大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしん主要震動しゆようしんどうながつゞき、最初さいしよから二三十秒間にさんじゆうびようかんをさまつたとはいへない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
たかやまうへでおまけに坂道さかみちおほところですから荷物にもつはこのとほうまはこびました。どうかすると五ひきも六ぴき荷物にもつをつけたうまつゞいてとうさんのおうちまへとほることもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其中そのうちひめ目覺めざめしゆゑ、てんせるわざ是非ぜひおよばず、ともかくてござれ、とすゝむるうちに、ちかづく人聲ひとごゑわれらおどろ逃出にげいでましたが、絶望ぜつばうあまりにや、ひめつゞいてまゐりもせず
手鎗てやりまわしたりして、からうじてその危害きがいふせいでるが、それも何時いつまでつゞことか、けるにしたがつて、猛獸まうじういきほひ益々ます/\激烈げきれつになつてた、かゝるときにはさかんにくにかぎると
軌道レール直角ちよくかく細長ほそなが茅葺くさぶき農家のうかが一けんあるうらやまはたけつゞいてるらしい。いへまへ廣庭ひろにはむぎなどをところだらう、廣庭ひろにはきあたりに物置ものおきらしい屋根やねひく茅屋くさやがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
丁度てうど墓門ぼもんにでもいそぐ人のやうな足取あしどりで、トボ/\と其の淋しいあゆみつゞけて行ツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
これは『冬芽とうが』とよび、落葉樹らくようじゆではちたあとのえだあひだから、常緑樹じようりよくじゆではそのえだとのあひだぐんで寒氣かんきをも平氣へいきでくゞつてすこしづゝ生長せいちようつゞはるになるときゆう發芽はつがするわけです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そのくれちか旦那だんなつりより惠比須ゑびすがほしてかへらるれば、御新造ごしんぞつゞいて、安産あんざんよろこびにおくりの車夫ものにまで愛想あいそうよく、今宵こよひ仕舞しまへばまた見舞みまひまする、明日あすはやくに妹共いもとゞもれなりとも
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まどのすぐ外に、枯草にりよく草がまじつた土堤がつゞいてゐる、それがすばらしい速さで、せんをひきながらうしろへながれてゐる、かういふ風にあの時道の白さが足の下をながれてゐたと金太郎はすぐ聯そうした。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
彼等かれらあらそひは、際限はてしもなくつゞいた。さうしてけてつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
うたつゞけぬ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
旅商人たびあきうどけば、蝙蝠傘かうもりがさ張替直はりかへなほしもとほる。洋裝やうさうしたぼつちやんのいて、麥藁帽むぎわらばう山腹さんぷくくさつてのぼると、しろ洋傘パラソル婦人ふじんつゞく。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あいちやんはふたゝおもつてつゞけました、『二十四時間じかんだつたわ、たしか、ハテ、それとも、十二時間じかんだつたかしら?わたしは——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)