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美
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うつ
ふりがな文庫
“
美
(
うつ
)” の例文
ディーツゲンのようにえらくはないにしても、地方にいて、何の誰べぇとも知られず、生涯をささげるということは
美
(
うつ
)
くしい気がした。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
に映じた女の姿勢は、自然の経過を、尤も
美
(
うつ
)
くしい刹那に、
捕虜
(
とりこ
)
にして動けなくした様である。
変
(
かは
)
らない所に、
永
(
なが
)
い慰藉がある。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
むかしむかし
大昔
(
おおむかし
)
、
今
(
いま
)
から二千
年
(
ねん
)
も
前
(
まえ
)
のこと、
一人
(
ひとり
)
の
金持
(
かねも
)
ちがあって、
美
(
うつ
)
くしい、
気立
(
きだて
)
の
善
(
い
)
い、おかみさんを
持
(
も
)
って
居
(
い
)
ました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
不埒
(
ふらち
)
ならずや
身
(
み
)
こそ
零落
(
おちぶれ
)
たれ
許嫁
(
いひなづけ
)
の
縁
(
えん
)
きれしならずまこと
其心
(
そのこゝろ
)
なら
美
(
うつ
)
くしく
立派
(
りつぱ
)
に
切
(
き
)
れてやりたし
切
(
き
)
れるといへば
貧乏世帶
(
びんぼふじよたい
)
のカンテラの
油
(
あぶら
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と云つた母の顔にも
美
(
うつ
)
くしい血が
上
(
のぼ
)
つた。滿は
其
(
その
)
儘
向側
(
むかふがは
)
の畑尾の傍へ行つてしまつた。鏡子はまた横になつてしまつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
細
(
ほそ
)
い
足
(
あし
)
のおかげで
走
(
はし
)
るわ、
走
(
はし
)
るわ、よつぽど
遠
(
とほ
)
くまで
迯
(
に
)
げのびたが、
藪
(
やぶ
)
のかげでその
美
(
うつ
)
くしい
角
(
つの
)
めが
笹
(
さヽ
)
に
引掛
(
ひつか
)
かつてとう/\
猟人
(
かりうど
)
につかまつたとさ。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
お
前
(
まへ
)
さんは
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
盛
(
さかん
)
な
處
(
ところ
)
を
見
(
み
)
て、
元氣
(
げんき
)
よく
働
(
はた
)
らいたのは
宜
(
よろ
)
しい、これからは、
其美
(
そのうつ
)
くしい
處
(
ところ
)
を
見
(
み
)
て、
美
(
うつ
)
くしい
働
(
はたらき
)
をも
爲
(
す
)
るが
可
(
よ
)
からう。
美
(
うつく
)
しい
事
(
こと
)
を。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
間違
(
まちげ
)
えはなかろうけれども、
若
(
わけ
)
え者の噂にあんなハア
美
(
うつ
)
くしい
女子
(
おなご
)
があるから
家
(
うち
)
へ
帰
(
けえ
)
るは
厭
(
いや
)
だんべえ、
婆様
(
ばあさま
)
の顔見るも
太儀
(
たいぎ
)
だろうなどという者もあるから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれど、
私
(
わたくし
)
は
常
(
つね
)
に
確信
(
かくしん
)
して
居
(
ゐ
)
ます、
天
(
てん
)
には
一種
(
いつしゆ
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
なる
力
(
ちから
)
があつて、
身
(
み
)
も
心
(
こゝろ
)
も
美
(
うつ
)
くしき
人
(
ひと
)
は、
屡々
(
しば/″\
)
九死
(
きゆうし
)
の
塲合
(
ばあひ
)
に
瀕
(
ひん
)
しても、
意外
(
いぐわい
)
の
救助
(
すくひ
)
を
得
(
う
)
る
事
(
こと
)
のあるものです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
拔
(
ぬか
)
しながら見れば見るほど
美
(
うつ
)
くしきお光はいとゞ
面
(
おも
)
はゆげの
形
(
かたち
)
に
此方
(
こなた
)
も
心中
(
こゝろ
)
時
(
とき
)
めき
言
(
いは
)
んとしては
口籠
(
くちごも
)
る究りの
惡
(
わる
)
きを
隱
(
かく
)
さんと思へば立て
箱
(
はこ
)
の
中
(
うち
)
より
新
(
あたら
)
しき
本
(
ほん
)
種々
(
いろ/\
)
取り出し之を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
微苦笑させられるが、それらの地獄の名にも似ず、環境の
美
(
うつ
)
くしさにはまた驚かされる。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
出征
(
しゅっせい
)
する
朝
(
あさ
)
も、
神
(
かみ
)
だなの
前
(
まえ
)
にすわって、このことを
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
していったのだ。
今日
(
きょう
)
は
野原
(
のはら
)
の
景色
(
けしき
)
が、あまり
美
(
うつ
)
しく
見
(
み
)
えるので、ついこれからの
激戦
(
げきせん
)
に
花
(
はな
)
と
散
(
ち
)
るのでないか、と
思
(
おも
)
ったよ。
戦友
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
腫
(
は
)
れぼつたい
一重瞼
(
ひとへまぶた
)
の、丸顔の愛くるしい娘だ。紫の
租
(
あら
)
い
縞
(
しま
)
の
縒上布
(
よりじやうふ
)
の袖の長い
単衣
(
ひとへ
)
を着て、緋の
紋縮緬
(
もんちりめん
)
の
絎帯
(
くけおび
)
を
吉弥
(
きちや
)
に結んだのを、
内陣
(
ないぢん
)
から
下
(
お
)
りて来た貢さんは
美
(
うつ
)
くしいと思つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
美
(
うつ
)
くしき、さいへ悲しき
歓楽
(
くわんらく
)
の
音
(
ね
)
にかも満つる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
美
(
うつ
)
くしかりしそのかみの
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
それが
一色
(
いつしき
)
になつて
回
(
まは
)
る。
白
(
しろ
)
い棺は奇麗な
風車
(
かざぐるま
)
を
断間
(
たえま
)
なく
揺
(
うご
)
かして、三四郎の横を通り越した。三四郎は
美
(
うつ
)
くしい
葬
(
とむらひ
)
だと思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
隣家
(
となり
)
に
咲
(
さ
)
ける
遲咲
(
おそざき
)
きの
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
、
都
(
みやこ
)
めづらしき
垣根
(
かきね
)
の
雪
(
ゆき
)
の、
凉
(
すゞ
)
しげなりしを
思
(
おも
)
ひ
出
(
いづ
)
ると
共
(
とも
)
に、
月
(
つき
)
に
見合
(
みあ
)
はせし
花
(
はな
)
の
眉
(
まゆ
)
はぢて
背
(
そむ
)
けしえり
足
(
あし
)
の
美
(
うつ
)
くしさ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
來年
(
らいねん
)
はこれよりも
美
(
うつ
)
くしい
初日
(
はつひ
)
の
出
(
で
)
を
拜
(
をが
)
みたいものだ。』と
言
(
い
)
つた
言葉
(
ことば
)
、
其言葉
(
そのことば
)
を
堅
(
かた
)
く
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
て、
其精神
(
そのせいしん
)
を
能
(
よ
)
く
味
(
あぢ
)
はうて、
年
(
とし
)
と
共
(
とも
)
に
希望
(
きばう
)
を
新
(
あら
)
たにし
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
洋燈
(
らんぷ
)
の
光
(
ひかり
)
は
煌々
(
くわう/\
)
と
輝
(
かゞや
)
いて、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
武骨
(
ぶこつ
)
なる
水兵等
(
すいへいら
)
が、
優
(
やさ
)
しい
心
(
こゝろ
)
で
飾立
(
かざりた
)
てた
挿花
(
さしばな
)
や、
壁間
(
かべ
)
に『
歡迎
(
ウエルカム
)
』と
巧妙
(
たくみ
)
に
作
(
つく
)
られた
橄欖
(
かんらん
)
の
緑
(
みどり
)
の
葉
(
は
)
などを、
美
(
うつ
)
くしく
照
(
てら
)
して
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
すると
木
(
き
)
の
中
(
なか
)
から、
雲
(
くも
)
が
立
(
た
)
ちのぼり、その
雲
(
くも
)
の
真中
(
まんなか
)
で、ぱっと
火
(
ひ
)
が
燃
(
も
)
え
立
(
た
)
ったと
思
(
おも
)
うと、
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
から、
美
(
うつ
)
くしい
鳥
(
とり
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して、
善
(
い
)
い
声
(
こえ
)
をして
歌
(
うた
)
いながら、
中空
(
なかぞら
)
高
(
たか
)
く
舞
(
ま
)
いのぼりました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
下げ萬事一人の計ひなれば
邸
(
やしき
)
内の者此平左衞門を恐れ誰一人
詞
(
ことば
)
を返す者もなきゆゑ平左衞門は
我儘
(
わがまゝ
)
増長
(
ぞうちやう
)
し其上ならず年に似げなく大の好色者にてお島の
容貌
(
かほかたち
)
美
(
うつ
)
くしきに心を
掛
(
かけ
)
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がなお島を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
競馬の馬の
逞
(
たくま
)
しく
美
(
うつ
)
くしき
優形
(
やさがた
)
と異なりぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
美
(
うつ
)
くしきソフィヤの
君
(
きみ
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さうして二十
年
(
ねん
)
も
昔
(
むかし
)
に
父母
(
ふぼ
)
が、
死
(
し
)
んだ
妹
(
いもと
)
の
爲
(
ため
)
に
飾
(
かざ
)
つた、
赤
(
あか
)
い
雛段
(
ひなだん
)
と
五人囃
(
ごにんばやし
)
と、
模樣
(
もやう
)
の
美
(
うつ
)
くしい
干菓子
(
ひぐわし
)
と、それから
甘
(
あま
)
い
樣
(
やう
)
で
辛
(
から
)
い
白酒
(
しろざけ
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
は六十になるが
斯
(
こん
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
を
見
(
み
)
たことはない。
來年
(
らいねん
)
はこれよりも
美
(
うつ
)
くしい
初日
(
はつひ
)
の
出
(
で
)
を
拜
(
をが
)
みたいものだ。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
おいと
答
(
こた
)
へて
米
(
こめ
)
かし
桶
(
をけ
)
に
量
(
はか
)
り
出
(
だ
)
すほどの
惚
(
の
)
ろさ、
斯
(
か
)
くて
終
(
おは
)
らば
千歳
(
ちとせ
)
も
美
(
うつ
)
くしき
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
過
(
すぎ
)
ぬべうぞ
見
(
み
)
えし。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ラプンツェルは
黄金
(
きん
)
を
伸
(
の
)
ばしたような、
長
(
なが
)
い、
美
(
うつ
)
くしい、
頭髪
(
かみ
)
を
持
(
も
)
って
居
(
い
)
ました。
魔女
(
まじょ
)
の
声
(
こえ
)
が
聞
(
き
)
こえると、
少女
(
むすめ
)
は
直
(
す
)
ぐに
自分
(
じぶん
)
の
編
(
あ
)
んだ
髪
(
かみ
)
を
解
(
ほど
)
いて、
窓
(
まど
)
の
折釘
(
おれくぎ
)
へ
巻
(
ま
)
きつけて、四十
尺
(
しゃく
)
も
下
(
した
)
まで
垂
(
た
)
らします。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
あなたの
美
(
うつ
)
くしい
楊貴妃
(
やうきひ
)
ゆゑに、
梅蘭芳
(
メイランフワン
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
美
(
うつ
)
くしきソフィヤの
君
(
きみ
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
今夜
(
こんや
)
は
已
(
や
)
めだ」と云ひ
放
(
はな
)
した儘、代助は
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
た。
外
(
そと
)
はもう
暗
(
くら
)
かつた。
美
(
うつ
)
くしい
空
(
そら
)
に
星
(
ほし
)
がぽつ/\
影
(
かげ
)
を
増
(
ま
)
して行く様に見えた。
心持
(
こゝろもち
)
の
好
(
い
)
い
風
(
かぜ
)
が
袂
(
たもと
)
を
吹
(
ふ
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
のやうに
身
(
み
)
の
廻
(
まは
)
りは
悉
(
こと/″\
)
く
心得
(
こゝろえ
)
ちがひばかりで
出來上
(
できあが
)
つて、
一
(
ひと
)
つとして
取柄
(
とりえ
)
の
無
(
な
)
い
困
(
こま
)
り
者
(
もの
)
でも、
心
(
こゝろ
)
として
犯
(
をか
)
した
罪
(
つみ
)
が
無
(
な
)
いほどに、これ
此樣
(
このやう
)
な
可愛
(
かあい
)
らしい
美
(
うつ
)
くしい
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
美
(
うつ
)
くしきアントニオを載せて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
美
(
うつ
)
くし
脛
(
すね
)
に
手
(
て
)
に
活
(
い
)
きむ
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お
前
(
まへ
)
の
祭
(
まつり
)
の
姿
(
なり
)
は
大層
(
たいそう
)
よく
似合
(
にあ
)
つて
浦山
(
うらやま
)
しかつた、
私
(
わたし
)
も
男
(
をとこ
)
だと
彼
(
あ
)
んな
風
(
ふう
)
がして
見
(
み
)
たい、
誰
(
だ
)
れのよりも
宜
(
よ
)
く
見
(
み
)
えたと
賞
(
ほ
)
められて、
何
(
なん
)
だ
己
(
お
)
れなんぞ、お
前
(
まへ
)
こそ
美
(
うつ
)
くしいや
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
友達
(
ともだち
)
は
多
(
おほ
)
く
彼
(
かれ
)
の
寛濶
(
くわんくわつ
)
を
羨
(
うらや
)
んだ。
宗助
(
そうすけ
)
も
得意
(
とくい
)
であつた。
彼
(
かれ
)
の
未來
(
みらい
)
は
虹
(
にじ
)
の
樣
(
やう
)
に
美
(
うつ
)
くしく
彼
(
かれ
)
の
眸
(
ひとみ
)
を
照
(
て
)
らした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
霧
(
きり
)
にながるゝ
美
(
うつ
)
くしさ
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
小兒
(
ちご
)
に
添
(
そ
)
へ
乳
(
ぢ
)
の
美
(
うつ
)
くしきさま
見
(
み
)
るべきを、
格子
(
かうし
)
の
外
(
そと
)
より
伺
(
うかゞ
)
ふに
燈火
(
ともしび
)
ぼんやりとして
障子
(
しようじ
)
に
映
(
うる
)
るかげも
無
(
な
)
し、お
美尾
(
みを
)
お
美尾
(
みを
)
と
呼
(
よび
)
ながら
入
(
い
)
るに、
答
(
こた
)
へは
隣
(
となり
)
の
方
(
かた
)
に
聞
(
きこ
)
えて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「又
来
(
く
)
る。平岡君によろしく」と云つて、代助は
表
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
た。
町
(
まち
)
を横断して
小路
(
こうぢ
)
へ
下
(
くだ
)
ると、あたりは暗くなつた。代助は
美
(
うつ
)
くしい
夢
(
ゆめ
)
を見た様に、
暗
(
くら
)
い
夜
(
よ
)
を
切
(
き
)
つて
歩
(
ある
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
友仙
(
いうぜん
)
の
帶
(
おび
)
に
緋
(
ひ
)
ぢりめんの
帶
(
おび
)
あげも
人手
(
ひとで
)
を
借
(
か
)
りずに
手
(
て
)
ばしこく
締
(
し
)
めたる
姿
(
すがた
)
、
不圖
(
ふと
)
見
(
み
)
たる
目
(
め
)
には
此樣
(
このやう
)
の
病人
(
びやうにん
)
とも
思
(
おも
)
ひ
寄
(
よ
)
るまじき
美
(
うつ
)
くしさ、
兩親
(
ふたおや
)
は
見返
(
みかへ
)
りて
今更
(
いまさら
)
に
涙
(
なみだ
)
ぐみぬ
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三千代
(
みちよ
)
は
美
(
うつ
)
くしい
線
(
せん
)
を奇麗に重ねた
鮮
(
あざや
)
かな
二重瞼
(
ふたへまぶた
)
を持つてゐる。
眼
(
め
)
の恰好は細長い方であるが、
瞳
(
ひとみ
)
を据ゑて
凝
(
じつ
)
と物を見るときに、それが何かの具合で大変大きく見える。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
厭
(
い
)
やと
思
(
おも
)
へば
日
(
ひ
)
がな
一日
(
いちにち
)
ごろ/\として
烟
(
けぶり
)
のやうに
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
まする、
貴孃
(
あなた
)
は
相變
(
あいかは
)
らずの
美
(
うつ
)
くしさ、
奧樣
(
おくさま
)
にお
成
(
な
)
りなされたと
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
から
夫
(
それ
)
でも一
度
(
ど
)
は
拜
(
おが
)
む
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るか
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「僕は
戸外
(
こぐわい
)
が
好
(
い
)
い。
暑
(
あつ
)
くも
寒
(
さむ
)
くもない、奇麗な
空
(
そら
)
の
下
(
した
)
で、
美
(
うつ
)
くしい空気を呼吸して、
美
(
うつ
)
くしい芝居が見たい。透明な空気の様な、純粋で単簡な芝居が出来さうなものだ」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
親類
(
しんるい
)
の
顏
(
かほ
)
に
美
(
うつ
)
くしきも
無
(
な
)
ければ
見
(
み
)
たしと
思
(
おも
)
ふ
念
(
ねん
)
もなく、
裏屋
(
うらや
)
の
友達
(
ともだち
)
がもとに
今宵
(
こよひ
)
約束
(
やくそく
)
も
御座
(
ござ
)
れば、一
先
(
まつ
)
お
暇
(
いとま
)
として
何
(
いづ
)
れ
春永
(
はるなが
)
に
頂戴
(
ちやうだい
)
の
數々
(
かず/\
)
は
願
(
ねが
)
ひまする、
折
(
をり
)
からお
目出度
(
めでたき
)
矢先
(
やさき
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其時
(
そのとき
)
彼
(
かれ
)
は
美
(
うつ
)
くしい
山
(
やま
)
の
色
(
いろ
)
と
清
(
きよ
)
い
水
(
みづ
)
の
色
(
いろ
)
が、
最初
(
さいしよ
)
程
(
ほど
)
鮮明
(
せんめい
)
な
影
(
かげ
)
を
自分
(
じぶん
)
の
頭
(
あたま
)
に
宿
(
やど
)
さないのを
物足
(
ものた
)
らず
思
(
おも
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
彼
(
かれ
)
は
暖
(
あたゝ
)
かな
若
(
わか
)
い
血
(
ち
)
を
抱
(
いだ
)
いて、
其
(
その
)
熱
(
ほて
)
りを
冷
(
さま
)
す
深
(
ふか
)
い
緑
(
みどり
)
に
逢
(
あ
)
へなくなつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小野
(
をの
)
の
夫
(
そ
)
れならねどお
町
(
まち
)
は
美
(
うつ
)
くしい
名
(
な
)
と
家内
(
かない
)
いさみて、
町
(
まち
)
や、
町
(
まち
)
や、と
手
(
て
)
から
手
(
て
)
へ
渡
(
わた
)
りぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
折
(
をり
)
ふしの
庭
(
には
)
あるきに
微塵
(
みぢん
)
きずなき
美
(
うつ
)
くしさを
認
(
みと
)
め、
我
(
わ
)
れならぬ
召使
(
めしつか
)
ひに
優
(
やさ
)
しき
詞
(
ことば
)
をかけ
給
(
たま
)
ふにても
情
(
なさけ
)
ふかき
程
(
ほど
)
は
知
(
し
)
られぬ、
最初
(
はじめ
)
の
想像
(
さう/″\
)
には
子細
(
しさい
)
らしく
珠數
(
じゆす
)
などを
振袖
(
ふりそで
)
の
中
(
なか
)
に
引
(
ひ
)
きかくし
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
松
(
まつ
)
ばかりにても
見惚
(
みと
)
るゝやうなりとほゝ
笑
(
ゑ
)
めば、
否
(
い
)
や
別莊
(
べつさう
)
にはあらず
本宅
(
ほんたく
)
にておはすなりと
答
(
こた
)
ふ、
是
(
これ
)
を
話
(
はな
)
しの
糸口
(
いとぐち
)
として、
見惚
(
みと
)
れ
給
(
たま
)
ふは
松
(
まつ
)
ばかりならず、
美
(
うつ
)
くしき
御主人
(
ごしゆじん
)
公
(
こう
)
なりといふ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
美
(
うつ
)
くしい
眦
(
まなじり
)
に
良人
(
をつと
)
が
立
(
た
)
つ
腹
(
はら
)
をも
柔
(
やはら
)
げれば、
可愛
(
かあい
)
らしい
口元
(
くちもと
)
からお
客樣
(
きやくさま
)
への
世辭
(
せじ
)
も
出
(
で
)
る、
年
(
とし
)
もねつから
行
(
ゆ
)
きなさらぬにお
怜悧
(
りこう
)
なお
内儀
(
かみ
)
さまと
見
(
み
)
るほどの
人
(
ひと
)
褒
(
ほ
)
め
物
(
もの
)
の、
此人
(
このひと
)
此身
(
このみ
)
が
裏道
(
うらみち
)
の
働
(
はたら
)
き
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
乘
(
の
)
り
入
(
い
)
れし
車
(
くるま
)
は
確
(
たし
)
かに
香山家
(
かやまけ
)
の
物
(
もの
)
なりとは、
車夫
(
しやふ
)
が
被布
(
はつぴ
)
の
縫
(
ぬひ
)
にも
知
(
し
)
れたり、十七八と
見
(
み
)
えしは
美
(
うつ
)
くしさの
故
(
ゆゑ
)
ならんが、
彼
(
あ
)
の
年齡
(
としごろ
)
の
娘
(
むすめ
)
ほかに
有
(
あ
)
りとも
聞
(
き
)
かず、
噂
(
うは
)
さの
令孃
(
ひめ
)
は
彼
(
あ
)
れならん
彼
(
あ
)
れなるべし
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
待
(
ま
)
つ
身
(
み
)
につらき
夜半
(
よは
)
の
置炬燵
(
おきごたつ
)
、それは
戀
(
こひ
)
ぞかし、
吹風
(
ふくかぜ
)
すゞしき
夏
(
なつ
)
の
夕
(
ゆふ
)
ぐれ、ひるの
暑
(
あつ
)
さを
風呂
(
ふろ
)
に
流
(
なが
)
して、
身
(
み
)
じまいの
姿見
(
すがたみ
)
、
母親
(
はゝおや
)
が
手
(
て
)
づからそゝけ
髮
(
がみ
)
つくろひて、
我
(
わ
)
が
子
(
こ
)
ながら
美
(
うつ
)
くしきを
立
(
た
)
ちて
見
(
み
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“美”の解説
この記事では美・美しい(び・うつくしい、el: καλόν カロン、la: venustas, bellus、fr: beauté、en: beauty)について解説する。同義として 【麗しい/▽美しい】 (うるわしい)という用語ある。
(出典:Wikipedia)
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
“美”を含む語句
美人
美味
美女
美麗
甘美
華美
優美
美貌
美術館
美酒
美妙
美男
虞美人草
美男子
美神
美鳥
褒美
美濃
美作
美々
...