當時たうじ)” の例文
新字:当時
しのぐ事あたはざるもの飢餲きかつにうれふるものには其金銀を與へてくるしみをのぞき給ひしが當時たうじのありさまを見るにさしてこゝ一日人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
は既に頭巾と覆面ふくめんとの事に付きて言ひしが如く遮光器の存在そんざいに關しても當時たうじ氣候きかう寒冷かんれいなりしならんとの事を想像さうざうするなり。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
清潔好きれいずきかれには派手はで手拭てぬぐひ模樣もやう當時たうじほこりひとつであつた。かれはもう自分じぶんこゝろいぢめてやるやうな心持こゝろもち目欲めぼしいもの漸次だん/\質入しちいれした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それもひとつだが、當時たうじは、いま大錢たいせんあつかひのかたはよく御存ごぞんじ、諸國しよこく小貨こまかいのがもつてのほか拂底ふつていで、かひものに難澁なんじふ一方ひとかたならず。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで今迄いままで問題もんだい其所そこゑつきりにしていて、自分じぶん當時たうじ小六ころく學資がくしとして叔父をぢあづけてつた千ゑん所置しよちたゞしてると、叔母をば
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
家名相續かめいさうぞくなにともすべしとひと一人ひとり二人ふたりならず、あるとき學士がくし親友しんいうなりしそれがし當時たうじ醫學部いがくぶ有名いうめい教授けうじゆどのひとをもつてかたごとみしを
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところがその主人からは、四五日前にひまされた。前にも書いたやうに、當時たうじ京都きやうとの町は一通りならず衰微すゐびしてゐた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ふまでもなく、如何いかなる作家にとつても處女作しよぢよさくを書いた當時たうじの思ひ出ほどなつかしく、忘れがたいものはあるまい。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ずつと以前いぜんさかのぼつて、弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつ當時たうじ實况じつけう小端艇せうたんてい漂流中へうりうちうのさま/″\の辛苦しんく驟雨にわかあめこと沙魚ふかりの奇談きだんくさつた魚肉さかな日出雄少年ひでをせうねんはなつまんだはなし
『イヤそう眞面目まじめはれてはこまる。ぼく小兒こどもとき回想くわいさうして當時たうじ學校がくかうなつかしくおもふだけの意味いみつたのです』とハーバードはつみのない微笑びせううかべて言譯いひわけした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
舞踏室ぶたふしつまた客室きゃくしつ床上ゆかうへあつめたるばかりの燈心草とうしんぐさ)をきしは當時たうじ上流じゃうりうならはしなり。)
〔評〕南洲かつて東湖に從うて學ぶ。當時たうじ書する所、今猶民間にそんす。曰ふ、「一寸いつすん英心えいしん萬夫ばんぷてきす」と。けだ復古ふくこげふを以て擔當たんたうすることを爲す。維新いしん征東のこう實に此にしんす。
其方儀嘉川家嫡子ちやくしの身分を以て常々不行跡ふぎやうせきの由沙汰有之の處當時たうじ病氣びやうきにて存命もはかり難き由是によつて全快まで親類しんるゐへ御預仰付らる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しな病氣びやうきあんずるほかかれこゝろにはなにもなかつた。その當時たうじには卯平うへい不平ふへいをいはれやうといふやうな懸念けねん寸毫すこしあたまおこらなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
宗助そうすけ當時たうじおもすたびに、自然しぜん進行しんかう其所そこではたりとまつて、自分じぶん御米およねたちま化石くわせきして仕舞しまつたら、かへつてはなかつたらうとおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、當時たうじかぜあらかつたが、眞南まみなみからいたので、いさゝがつてのやうではあるけれども、町内ちやうない風上かざかみだ。さしあたり、おそはるゝおそれはない。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たちま盤上ばんじやうたままろばすがごとひゞき、ピアノにかみ宿やどるかとうたがはるゝ、そのたへなる調しらべにつれてうたいだしたる一曲ひとふしは、これぞ當時たうじ巴里パリー交際かうさい境裡じやうり大流行だいりうかうの『きくくに乙女おとめ
美登利みどりなかをとこといふものさつてもこわからずおそろしからず、女郎ぢよらうといふものさのみいやしきつとめともおもはねば、ぎし故郷こけふ出立しゆつたつ當時たうじないてあねをばおくりしことゆめのやうにおもはれて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かれその當時たうじしなうちへはとなりづかりといふので出入でいつた。ひとつにはかたちづくつてたおしな姿すがたたい所爲せゐでもあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
當時たうじまちはなれた虎杖いたどりさとに、兄妹きやうだいがくらして、若主人わかしゆじんはうは、町中まちなか或會社あるくわいしやつとめてると、よし番頭ばんとうはなしてくれました。一昨年いつさくねんことなのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
自分じぶん在學ざいがく當時たうじ舊友きういうふのを、とくけたい理由りいうつてゐたので、かれ旅館りよくわんたづねる毛頭まうとうなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方てらはうむりし趣きなるが右は當時たうじ無縁むえんなるか又はしるし石塔せきたふにてもたてありやと尋けるに此祐然もとより頓智とんち才辨さいべんの者故參候若君わかぎみ澤の井の石塔せきたふは御座候も香花かうげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
むねいだきて苦悶くもんするはかたなかりし當時たうじのさまのふたゝうつゝにあらはるゝなるべし。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これなん當時たうじ國色こくしよく大將軍梁冀たいしやうぐんりやうきつま孫壽夫人そんじゆふじん一流いちりう媚態びたいよりでて、天下てんかあまねく、狹土けふど邊鄙へんぴおよびたるなり
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すゑなにとなるぞ、兩親れうしんありながら大目おほめてあらきことばをかけたることく、ろうあるじ大切たいせつがる樣子さまあやしきに、けば養女やうぢよにもあらず親戚しんせきにてはもとよりく、あねなるひと身賣みうりの當時たうじ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やまくづれたので、當時たうじ大地震おほぢしん觸頭ふれがしらつた場所ばしよの、あまつさ四五日しごにち琅玕らうかんごとあし水面すゐめんかぜもなきになみてると、うはさしたをりであつたから。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝに、一寸ちよつとことわつておくのは、工學士こうがくしかつ苦學生くがくせいで、その當時たうじは、近縣きんけん賣藥ばいやく行商ぎやうしやうをしたことである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくはまは、名古屋通なごやつうむねをそらした杉野氏すぎのし可笑をかしがつて、當時たうじ先生せんせい御支配人ごしはいにんたはむれにあざけつた渾名あだなである。御存ごぞんじのとほり(さま)を彼地かのちでは(はま)といふ。……
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……當時たうじのもの可恐おそろしさは、われ乘漾のりたゞよそこから、火焔くわえんくかとうたがはれたほどである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしたをりよ、もう時雨しぐれころから、の一二ねん約束やくそくのやうに、井戸ゐどひゞきいた跫音あしおとひとなき二階にかいふすまくのを聞馴きゝなれたが、をんな姿すがたは、當時たうじまた多日しばらくあひだえなかつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
るにてもあまりのうつくしさに、ひととなりてのちくにかたむくるうれひもやとて、當時たうじ國中こくちうきこえたる、道人だうじん何某なにがし召出めしいだして、ちかう、ちかう、なんぢよく可愛かはゆきものをさうせよ、とおほせらる。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
當時たうじ寫眞しやしんた——みやこは、たゞどろかはらをかとなつて、なきがらのごとやまあるのみ。谿川たにがはながれは、おほむかでのたゞれたやうに……寫眞しやしんあかにごる……砂煙すなけむり曠野くわうやつてた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
頃日このごろく——當時たうじ唯一ゆいつ交通機關かうつうきくわん江戸えど三度さんどとなへた加賀藩かがはん飛脚ひきやく規定さだめは、高岡たかをか富山とやまとまり親不知おやしらず五智ごち高田たかだ長野ながの碓氷峠うすひたうげえて、松井田まつゐだ高崎たかさき江戸えど板橋いたばしまで下街道しもかいだう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ばあさん、また豆府とうふか。そいつをはせるとちまふぞ。」で、かねてこのみの長船をさふねさやはらつて、階子段はしごだんうへ踏鳴ふみならしたと……御自分ごじぶんではなさらなかつたが、當時たうじのおともだちもよくはなすし
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞田家さなだけ領地りやうち信州しんしう川中島かはなかじまは、列國れつこくまれなる損場そんばにて、年々とし/″\損毛そんまう大方おほかたならざるに、歴世れきせいこの家柄いへがらとて、殖産しよくさんみち發達はつたつせず、貯藏ちよざう如何いかんかへりみざりしかば、當時たうじ不如意ふによいはむかたかりし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて其夜そのよこゝへるのにもとほつたが、矢來やらい郵便局いうびんきよくまへで、ひとりでしたおぼえがある。もつと當時たうじあをくなつておびえたので、おびえたのが、可笑をかしい。まだ横寺町よこでらまち玄關げんくわんときである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たう玄宗げんそうみなみかたかりす。百官ひやくくわん司職ししよくみなこれにしたがなかに、王積薪わうせきしんふもの當時たうじ名手めいしゆなり。おなじく扈從こじうしていて蜀道しよくだういたり、深谿しんけい幽谷いうこくあひだにして一軒家いつけんや宿やどる。いへしうとよめ二人ふたりのみ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯吉たゞきちやとつておく、おさんのせつでは、うもひとめかけ、かくしづまであらうとつた……それ引越ひつこして當時たうじ女主人をんなあるじふにつけて、には片隅かたすみわつた一本ひともとやなぎ、これがると屋根やね
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むかしそう武帝ぶていむすめ壽陽じゆやう麗姫れいき庭園ていゑんするときうめはなりて一片ひとひらかんばせかゝる。おもかげまたたぐふべきものなかりしより、當時たうじ宮女きうぢよみなあらそつて輕粉けいふんもつかほ白梅しらうめはなゑがく、しようして梅花粧ばいくわしやうふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)