あは)” の例文
深く且つかたき基礎を有せり、進歩も若し此れにかなはざるものならば進歩にあらず、退守も若し此れにあはざるものならば退守にあらず。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
自分じぶんそれ澤山たくさんだとかんがへて、器械きかいなんぞとひざあはかたならべたかのごとくに、きたいところまで同席どうせきして不意ふいりて仕舞しまだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やす消光おくらす可し是にて一件落着らくちやくしたりと述給ふ程に小役人は落着らくちやく一同立ませいと諸聲もろごゑあはして言にける實にくもりなき裁判さいばんは人を損せず理を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其間そのあひだかほあはせることがあつても、くちでは其事そのことんにもはない。そしてうちかへつてから葉書はがきす。チヨイト面白おもしろいものだよ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
マーキュ なんぢゃ、調子てうしあはせて? 吾等われら樂人扱がくにんあつかひにするのか? 樂人扱がくにんあつかひにりゃ、みゝ顛覆でんぐりかへらする音樂おんがくきかす。準備よういせい。
はしうへかはうへにぎはひを人達ひとたち仲見世なかみせ映画街えいぐわがいにもおとらぬ混雑こんざつ欄干らんかんにもたれてゐる人達ひとたちたがひかたあはすばかり。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
だん伸の三きやくの上にてゝ黒布くろぬのをかぶりながら焦點せうてんあはせる時のわたし滿まん足とうれしさ、とまたほこらしさとはいひやうもなかつた。
かげうつしたときでした……ようおもむきかされた、かみながい、日本につぽんわかひとの、じつるのと、ひとみあはせたやうだつたつて……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
軍事上ぐんじじやう大發明だいはつめい——一だい帆走船ほまへせん——三十七めい水兵すゐへい——化學用くわがくよう藥品やくひん是等これらからおもあはせるとおぼろながらも想像さうぞう出來できことはない。
與吉よきちひとんだおしなそば熟睡じゆくすゐしてた。卯平うへいあへずおしなむねあはせてやつた。さうしてはた道具だうぐひとつである蒲團ふとんせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひとりのをる處には他もまたしやうぜられ、さきに二人ふたりが心をあはせて戰へる如く、その榮光をもともに輝かすをよろしとす 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
また松島まつしまでは、老母ろうぼ少女しようじよとがあはせてはうむつてありましたが、これはさだめし祖母そぼ孫娘まごむすめとが同時どうじ病死びようししたものをはうむつたものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それでは、これが短歌たんかかといふと、第一だいゝち片歌かたうた約束やくそくそむきます。片歌かたうたは、片歌かたうたどうしあはせるもので、けっして、短歌たんか一組ひとくみにはなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ながらぢやうさまは何處いづこへぞお姿すがたえぬやうなりと人騷ひとさわがせするもあり乳母うばろく/\あはさずおたかかたへ寢床ねどこなら浮世うきよ雜談ざふだん諷諫ふうかん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひさりであなたにお目にかゝつてそのおしやくいたゞくのはお祖師様そしさまあはせでございませう、イエたんとはいたゞきません。
みづかとうじ、みづかくわり、みづか其破片そのはへんをツギあはせて、しかうへ研究けんきうみづからもし、きたつて研究けんきうする材料ざいれうにもきやうするにあらざれば——駄目だめだ。
何故なぜだと。』と、イワン、デミトリチはおどすやうな氣味きみで、院長ゐんちやうはう近寄ちかより、ふる病院服びやうゐんふくまへあはせながら。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
る一學生がくせい横濱よこはままできましたが、ばんつてもかへりませんから、心配しんぱいして電報でんぱうもて消息せうそくあはせました。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
ほかものらはさいはひにれを坐布團ざぶとんにして其上そのうへ彼等かれらひぢせ、其頭そのあたまえてむかあはせになつてはなしてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
眞白まつしろ雪溪せつけいとなあはせて、このお花畠はなばたけるときのかんじは、なんともへず、たつとく、かわゆく、うつくしいものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そのばんあつさをはら凉雨れううた、昨夜ゆうべねこのために十ぶんられなかつたあはせに今夜こんや熟睡じゆくすゐしようとおもつた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
われは馭者と脊中せなかあはせに乘りたれば、古祠の柱列ちゆうれつのやうやく遠ざかりゆくを見やりつゝ、耳には猶少女の叫びし聲を聞きて、限なき心の苦しさを忍び居たり。
今初いまはじめたばかりです。』とうち浮木うきがグイとしづんだからあはすと、餌釣ゑづりとしては、中々なか/\おほきいのがあがつた。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
白猿はくゑん余光よくわう抱一はういつ不白ふはくなどのもとへも立入たちいるやうになり、香茶かうちや活花いけばなまで器用であはせ、つひ此人このひとたちの引立ひきたてにて茶道具屋ちやだうぐやとまでなり、口前くちまへひとつで諸家しよけ可愛かあいがられ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
とくにブラジルの沿岸えんがんのでつぱりに丁度ちようど割符わりふあはせたようにつぎはされることを氣附きづかれるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其の踊りの第一印象は、「何だ、こんなものなら、俺にだつて直ぐ出来さうだ。」と云ふやうな心持こゝろもちだつた。音楽にあはして、歩いてゐれやあそれでいゝんぢやないか。
私の社交ダンス (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
わたしはをんなあはせたとき、たとひ神鳴かみなりころされても、このをんなつまにしたいとおもひました。つまにしたい、——わたしの念頭ねんとうにあつたのは、ただかうふ一だけです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
このおそろしいつたあとで、屋根やねいし水車すゐしやとがかほあはせました。いしはもう水車すゐしやむかつて
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それはほかでもない、あの堂に安置してある等身大の梵天ぼんてんの立像に手を入れる時、台座をはづしてみると、そのあはせの所に、男子の局部が二ついてあつたといふ事だ。
それゆゑ濱口内閣はまぐちないかく出來できたときはすで昭和せうわ年度ねんどの四ぶんの一を經過けいくわしてつたにかゝはらず、實行豫算じつかうよさんうへに一ぱん會計くわいけいおよ特別會計とくべつくわいけいあはせて一おく四千七百萬圓程まんゑんほど節約せつやくをなして
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ながく水流中に在りし冷気れいき露営ろえい寒気かんきあはせ来るにひ、此好温泉塲をはじめて蘇生そせいするのおもひあり、一行の内終夜温泉に浴してねむりし者多し、しんに山中の楽園らくえんと謂ふべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
病者ばうざの心地や悪しからむ、振出ふりだしてふ薬飲ませばやと、常にくすりあはするかたに往くに、こはいかに棚落ちて箱どもの薬ちり/″\になり、百味箪笥といふものさへ倒れぬれば
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
慈悲深き小松殿が、左衞門は善き子を持たれし、と我を見給ふ度毎たびごとのお言葉を常々人に誇りし我れ、今更乞食坊主の悴を持ちて、いづこに人にあはする二つの顏ありと思うてか。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
幽霊いうれいは白くやせたるあはせ、ほとけをがみつゝすがた次第しだいうすくなると見えしがきえうせけり。
大陰暦たいゝんれき毎月まいげつ十五日のまろつき趣向しゆかうなれども、みぎの二十九日と十三ときを十二あはせて十二箇月かつきとしては三百六十五日にらず、すなはつきすでに十二地球ちきう周圍まはりまはりたれども
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
と云つて鏡子は襟をあはせた。何時いつの間にか千枝子も伯母の膝にもたれて居た。お照が千枝子に二言ふたこと三言みこと物を云つてかうとすると榮子がわつと泣き出した。鏡子は手を放して子を立たせた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それとも、かつてつてたひととして思出おもひだすこともなくおたがひわすれられてゐたかもしれない。そして、またもしも電車でんしやで、おたがひ東京とうきやうてゐたならば、かほあはせるやうなこともあるかもしれない。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
春さきのころころ蛙、一つ鳴き二つ鳴き、ころころとあと続け鳴き、ふと鳴き止み、くぐみ鳴き、また急にきかへり鳴く。いよいよに声あはせ鳴く。近き田のころころ蛙、よく聴けば声変り鳴く。
太郎「おぢさんくまあはせておがんでるよ」
此時このとき堂上だうじやうそう一齊いつせい合掌がつしやうして、夢窓國師むさうこくし遺誡ゐかいじゆはじめた。おもひ/\にせきつた宗助そうすけ前後ぜんごにゐる居士こじみな同音どうおん調子てうしあはせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いまから數分すうふん以前いぜんにかのふね本船ほんせん右舷うげん後方こうほう海上かいじやうおい不思議ふしぎにも難破信號なんぱしんがうげたこととでかんがあはせるとかゝ配慮しんぱいおこるのも無理むりはあるまい。
一體いつたい誰彼たれかれといふうちに、さしいそいだたびなれば、註文ちうもんあはず、ことわか婦人をんななり。うつかりしたものもれられねば、ともさしてられもせぬ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つきヤレ/\有難き仰せ畏まり奉つると蘇生よみがへりたる心地こゝちにて直樣すぐさま馳歸はせかへり多くのかぎを持參なし種々いろ/\あはせ見て具足櫃ぐそくびつ錠前ぢやうまへあけけるとなり此事錠前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかしてたとへば巧みに琵琶をかなづる者が、いと震動ゆるぎを、巧みに歌ふ者とあはせて、歌に興を添ふるごとく 一四二—一四四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
またそのぎにはいしあはせてかんつくることをしないで、ふたとは別々べつ/\として、いしをくりいて、おほきなかんつくるように進歩しんぽしてました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
れがよこゝろはこうなれど、おこるまえぞえ見棄みすてまえ、たがひかほあはせたら、言辭ことばけてくだされよう……」巫女くちよせ時々とき/″\調子てうしげていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れがためいろならずきみにおくれてかゞみかげあはおもてつれなしとて伽羅きやらあぶらかをりもめずみだ次第しだいはな姿すがたやつれる
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
チッバ 無理往生むりわうじゃう堪忍かんにん持前もちまへ癇癪かんしゃくとの出逢であひがしらで、挨拶あいさつそりあはぬゆゑ、肉體中からだぢゅう顫動ふるへるわい。引退ひきさがらう。
下の甲板から此の時印度インドの殖民地へ出稼ぎにくイギリスの鉄道工夫が二三人と、香港ホンコンへ行くとか云ふ身許みもとの知れぬ女とが声をあはせて歌ふのを聞付けた。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし、いろ/\あはせて、もう千まいを數へる印畫いんぐわのアルバムを時をり繰眺くりながめるのは、たのし愉快ゆくわいである。