さい)” の例文
もうまったくの子供こどもではなく、いくらかもののわかるとしは、このさいいかにけぬであっても、それはむだなこととおもいました。
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに今日こんにちぱんにこの轉倒てんたふ逆列ぎやくれつもちゐてあやしまぬのは、畢竟ひつきやう歐米文明おうべいぶんめい渡來とらいさい何事なにごと歐米おうべい風習ふうしう模倣もほうすることを理想りさうとした時代じだい
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此地方このちほう砂丘さきゆう地震ぢしんならずとも崩壞ほうかいすることがあるのだから、地震ぢしんさいして注意ちゆういすべきは當然とうぜんであるけれども、平日へいじつおいてもをつけ
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
自分じぶんについてればわかる。そなた折角せっかく修行しゅぎょうめにここへ寄越よこされているのであるから、このさいできるだけ何彼なにか見聞けんぶんしてくがよいであろう……。
両様りやうやうともくはしく姿すがたしるさゞれども、一読いちどくさい、われらがには、東遊記とういうきうつしたるとおなさまえてゆかし。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また葬式一切いっさいの費用に関しても、最早もはや自分の衣類道具も片なくなっているさいでもあるし、如何どんな事をするかも知れない
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
あんずるに此類このるい石噐せききは或は釣糸つりいとを埀るる時に錘りとして用ゐられし事も有るべく、或は鳥をとらふるにさいつかね糸の端にくくり付けられし事も有るべく
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
鉄馬創業てつばそうげふさい大通おほどほりの営業別えいげふべつ調しらべたるに、新橋浅草間しんばしあさくさかん湯屋ゆや一軒いつけんなりしと、ふるけれどこれも其老人そのらうじん話也はなしなり
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
そのさい人間は、あくまで己れに内在する理性の光りで、是非の判断を下さねばならぬ。理性こそ最高の標準である。
しかし自分が胃病で苦しんでいるさいだから、何とかかんとか弁解をして自己の面目を保とうと思った者と見えて
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
りに一歩をゆずり、幕末にさいして外国がいこく干渉かんしょううれいありしとせんか、その機会きかい官軍かんぐん東下とうか、徳川顛覆てんぷくの場合にあらずして、むしろ長州征伐ちょうしゅうせいばつの時にありしならん。
何しろ周三は、其のさいがせきゝてゐて、失敗の製作までも回護かはふだけ心に餘裕よゆうがなかツた。雖然奈何なる道を行くにしても盲者めくらつえを持ツことを忘れない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかるに、あのかはけつしてあさくはなかつた。ながれもおもひのほかはやかつた。次第しだいつてはいのちうばはれんともかぎらなかつた。その危急ききふさい中根なかねはどうことをしたか。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
しかるに数年前、僕は台湾旅行のさい同じ場合にって、行くにも帰るにも動きのつかなかったことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
尤も扉には必ず鍵がかゝつてゐるが、硝子が曇りでないから、中の書籍は一さい見えるのであつた。
夏ちかきころ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
だからこのさい誰かの紹介を貰って、どこでもいから癲狂院を見物したいと云っているんだ。——
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
むかしからのつたへによりますと、垂仁天皇すいにんてんのうときに、天皇てんのう御弟倭彦命おんおとうとやまとひこのみこと薨去こうきよになつたさい、そのころ貴人きじんぬと、家臣かしんなどが殉死じゆんしといつて、おとも習慣しゆうかんがありましたので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
などゝ面々めん/\は、創立さうりつさいにはこと/″\未見みけんの人であつたのもまた一奇いつきふべきであります
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
他の者つゐいたる、岩に近づけば菩薩ぼさつ乳頭にうとうおぼしき所に、一穴あり、頭上にも亦穴をひらけり、古人の所謂いわゆる利根水源は文珠菩薩のちちよりづとは、即ち積雪上をみ来りしさい
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
またろうされて千鳥ちどりむれいはよりいはへとびかうてましたが、かるさいにも絶望ぜつばうそこしづんだひとこゝろ益々ます/\やみもとめてまよふものとえ、一人ひとり若者わかものありて、あをざめたかほえりうづ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
地寒ちかんのよわきとつよきとによりてこほりあつきうすきとのごとし。天に温冷熱をんれいねつの三さいあるは、人のはだへあたゝかにくひやゝ臓腑ざうふねつするとおな道理だうり也。気中きちゆう万物ばんぶつ生育せいいくこと/″\く天地の気格きかくしたがふゆゑ也。
あしたは祭礼さいれいの日というので朝から家じゅうそうがかりで内外のりかたづけやらふるまいの用意にたてきってるさいに、びとを受けたのである。お政はほとんど胸中きょうちゅう転倒てんとうしている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
なにかおこつたらおこつたときのことだし、S、Hがまたそんなすきをもつてゐるともおもへなかつた。Iにしたところで、このさいあたらしい事件じけんちあげることは、慵いことだとおもはれた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其後そののち數年間すうねんかん春夏しゆんかさい折々をり/\おこなふにぎざりしが、二十五六さいころもつつるにおよび、日夜にちや奔走ほんそうさい頭痛づつうはなはだしきとき臥床ふしどきしことしば/\なりしが、そのさいには頭部とうぶ冷水れいすゐもつ冷却れいきやく
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
そう考えて、このさいまちがいないであろう。蜂矢は、その方へふりかえった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
余は「罪と罰」第一くわん通讀つうどくすること前後ぜんごくわいせしが、その通讀つうどくさいきはめて面白おもしろしとおもひたるは、殺人罪さつじんざい原因げんいんのいかにも綿密めんみつ精微せいび畫出くわくしゆつせられたることなり、もしある兇漢けふかんありてある貞婦ていふころ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
然るに分娩ぶんべんさいは非常なる難産にして苦悶二昼夜にわたり、医師の手術によらずば、分娩ぶんべん覚束おぼつかなしなど人々立騒たちさわげる折しも、あたかも陣痛起りて、それと同時に大雨たいうしのみだしかけ、鳴神なるかみおどろ/\しく
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
いまこの厄難やくなんさいして、吾等われらみちたゞ二つある、その一つは、何事なにごと天運てんうんあきらめて、電光艇でんくわうていともこの孤島はなれじま朽果くちはてること——しかしそれは何人なんぴとのぞところではありますまい——一策いつさくほかでも
開け、水天すゐてんさい大西洋定期船たいせいやうていきせんの汽笛の聲。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
このさい獲物えものをくわえたままはしったほうがいいか、それとも人間にんげんが、まだづいていなかったら、じっとして機会きかいったほうが
日本にほんいま藝術上げいじゆつじやう革命期かくめいきさいして、思想界しさうかい非常ひぜう興奮こうふんしてる。古今東西ここんとうざい思想しさう綜合そうがふして何物なにものあたらしいものつくらうとしてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
これはその山體さんたいつくつてゐる岩石がんせき玄武岩げんぶがん)の性質せいしつるものであつて、そのけてゐるさい比較的ひかくてき流動りゆうどうやすいからである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
正直者しょうじきもの香織かおりは、なみだながらに、臨終りんじゅうさいして、自分じぶん心懸こころがけわるかったことをさんざんびるのでした。しばらくして彼女かのじょ言葉ことばをつづけました。——
かのうづたかめるくちなはしかばねも、彼等かれらまさらむとするにさいしては、あな穿うがちてこと/″\うづむるなり。さても清風せいふうきて不淨ふじやうはらへば、山野さんや一點いつてん妖氛えうふんをもとゞめず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「大丈夫鳴きます。あの鳴き声は昼でも理科大学へ聞えるくらいなんですから、深夜闃寂げきせきとして、四望しぼう人なく、鬼気はだえせまって、魑魅ちみ鼻をさいに……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
是等これら石鏃せきぞくは鳥獸獵のさい射損ゐそんじて地にちたるものなるべく、其存在の事實じじつは、如何にコロボックルが鳥獸捕獲ほくわくの爲め高山に登りし事有るかを告ぐるものたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
たい中根なかね平素へいそけつして成績佳良せいせきかりやうはうではなかつた。おれ度度たびたびきびしい小言こごとつた。が、人間にんげん眞面目しんめんもく危急ききふさいはじめてわかる。おれ中根なかね眞價しんか見誤みあやまつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
昨年さくねん、ご当地とうちで、おどおりいたしましたむすめは、さる地方ちほうにおいて、たわらかさねまするさいに、腹帯はらおびれて、非業ひごう最期さいごげました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この現象げんしよう少年讀者しようねんどくしやむかつて説明せつめいすることはすこぶ難事なんじであるが、たゞ噴火ふんかさいはつせられた數回すうかい連續的爆發れんぞくてきばくはつ寫眞しやしんれたものと承知しようちしてもらひたい。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
日本にほんでも徳川柳營とくがはりうえいにおいて、いつのころからか『地震ぢしん』としやうして、はめて頑丈ぐわんぜうな一しつをつくり、地震ぢしんさいげこむことをかんがへ、安政大震あんせいだいしんのち
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
瓦解ぐわかいさい駿府すんぷげなかつたんだとか、あるひげてまたたんだとかことみゝにしたやうであるが、それは判然はつきり宗助そうすけあたまのこつてゐなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのさい私達わたくしたちあいだかわされた問答もんどうなかには、多少たしょう皆様みなさま御参考ごさんこうになるところがあるようにおもわれますので、ついでにその要点ようてんだけここにもうへてきましょう。
れば平日ひごろまでに臆病おくびやうならざるはいも、船出ふなでさいかく縁起えんぎいはひ、御幣ごへいかつぐもおほかり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
弓矢は鳥獸獵てうじゆうれうに於ても用ゐられしなるべく、人類同志どうし爭鬪さうとうに於ても用ゐられしならん。或は海獸大魚を捕獲ほくわくするにさいしても用ゐられし事有る可きか。水中に矢を射込む事其れいきに非ず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
しかし、これをく、かぬは問題もんだいでなかろう。そして、このさいむしろ、くなんかということをかんがえないほうがいいのだ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
關東大地震かんとうだいぢしんのときおこつた根府川ねぶがは山津浪やまつなみは、その雪崩なだくださいみぎのような現象げんしようあるひ小規模しようきぼおこつたかもれない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いかに、天變てんぺんさいいへども、はねえて道理だうりがない。畜生ちくしやうねずみ所業しわざ相違さうゐあるまい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取りとめもなくちらちら動いているさいなどに、老人は急に彼を夢のうちからたたき起した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この機會きくわいさいして化物ばけもの研究けんきうおこし、化物學ばけものがくといふ一くわ學問がくもんつくしたならば、さだめし面白おもしろからうとおもふのである。むかし傳説でんせつ樣式やうしきはなれた新化物しんばけもの研究けんきうこゝろみる餘地よち屹度きつとあるに相違さうゐない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
きたくにのすずめは、たびへきて、心細こころぼそかんじていたさいに、こうしんせつにいわれると、ほんとうにうれしかったのでした。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)