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しづ
居室に
歸つて
見ると、ちやんと
整頓て
居る。
出る
時は
書物やら
反古やら
亂雜極まつて
居たのが、
物各々所を
得て
靜かに
僕を
待て
居る。
申さば父の
越度となり
又云ずば吉三郎は殺さるべし兩方
全きやうには何事も
行ざれども
能々考へて
心靜かに
双方無事に
成やうの
御答を
廣い
家でないから、つい
隣の
部屋位にゐたのだらうけれども、
居ないのと
丸で
違はなかつた。この
影の
樣に
靜かな
女が
御米であつた。
『お
前は
亞尼とか
云つたねえ、
何の
用かね。』と
私は
靜かに
問ふた。
老女は
虫のやうな
聲で『
賓人よ。』と
暫時私の
顏を
眺めて
居つたが
息を
吐くやうに、
一度止んで、しばらくぴつたと
靜まつたと
思ふと、
絲を
搖つたやうに
幽に
來たのが、
忽ち、あの
大地震であつた。
凝然とした
靜かな
月が
幾らか
首を
傾けたと
思つたら
樅の
梢の
間から
少し
覗いて、
踊子が
形づくつて
居る
輪の一
端をかつと
明かるくした。
けれども……
皷動が
全く
靜まつて、
血の
流れがもとのゆるやかさにかへつた
頃、
極めて
靜かに
歩み
寄つて
來るもの
侘びしさを
さういふ
靜かな
人の
物足りない
心持ちを、さびしいとも
悲しいともいはないで、それかといつて、
雪のふりかゝつてゐるのを
怨むでもなく
いつになく元
氕のいい、明るい
顏付で
勤め先から
帰つて※たM
会社員の青木さんは、山の
手のある
靜かな
裏通りにある
我家の門口をはひると
それと
知れば
俄に
肩すぼめられて
見る
人なければ
遽しく
片蔭のある
薄暗がりに
車も
我も
寄せて
憩ひつ、
靜かに
顧みれば
是れも
笹原走るたぐひ
始終氣の
狂つたやうに
跳ね
廻つて
居た二
疋の
動物は、
極めて
悲しげにも
亦靜かに
再び
坐り
込み、
愛ちやんの
方を
眺めました。
『あなたはいま
重態なんですから、お
氣をおちつけて、
靜かにしてゐなければいけませんのよ、
此處?
此處ですか……』
まち
子は
疲れた
身體をそつと
椅子にもたれて、
靜かな
下の
道をのぞこふと
窓をのぞくと、
窓際に
川柳の
青白い
細い
葉が
夜の
空に
美しくのびてた。
お
墓へ
行く
道は、
村のものだけが
通る
道です。
旅人の
知らない
道です。
田畠に
出て
働く
人達の
見える
樂しい
靜かな
道です。
と
思ふか
思はない
内に、
妻は
竹の
落葉の
上へ、
唯、
一蹴りに
蹴倒された、(
再、
迸る
如き
嘲笑)
盜人は
靜かに
兩腕を
組むと、おれの
姿へ
眼をやつた。
こんな
言葉が、
相逢ふ
人々の
挨拶のやうに、また
天氣を
占ふやうに、
子供の
口にまで
上るとともに、
市中は
忽ち
靜まりかへつて、ひつそりとなつた。
貴方は
何か
間違つてお
出なのでせう、
酷く
私を
怒つてゐなさるやうだが、まあ
落着いて、
靜かに、
而して
何を
立腹してゐなさるのか、
有仰つたら
可いでせう。
植木鉢、
草花、
花束、
植木棚、その
間を
靜かに流れるは、
艶消の
金の光を
映しつつ、
入日の
運を悲んで、西へ
伴ふセエヌ
川、紫色の波長く恨をひいてこの流
何のためだと
思ふと、
氣を
靜める
妙法で——
露骨に、これを
説明すると、やきもち
靜め——その
澁さ、
床しさ、
到底女人
藝術同人などの、
考へつく
所のものではない。
領主
物悲しげなる
靜けさをば
此朝景色が
齎する。
日も
悲しみてか、
面を
見せぬわ。いざ、
共に
彼方へ
往て、
盡きぬ
愁歎を
語り
合はん。
赦すべき
者もあれば、
罰すべき
者もある。
特に
其中、ゆつくりとした
震動、
例へば
一分間に
一糎程を
靜かに
往復振動するような
場合に
於ても、これを
實際のまゝに
書取らしめることが
長週期地震計と
名づけるものゝ
特色である。
「お
願ひだから、
靜にしてゐてくんな」と
頼みました。
靜かになつたやうでした。すると、こんどは
虻の
奴、
銀の
手槍でちくりちくりと
處嫌はず、
肥太つた
牛の
體を
刺しはじめました。
〔譯〕
刀槊の
技、
怯心を
懷く者は
衄け、
勇氣を
頼む者は
敗る。必や
勇怯を一
靜に
泯し、
勝負を一
動に
忘れ、之を
動かすに天を以てして、
廓然太公に、之を
靜むるに地を以てして、
物來つて
順應せん。
翁が
留めようとあがくのを
姫は
靜かにおさへて、
形見の
文を
書いて
翁に
渡し、また
帝にさし
上げる
別の
手紙を
書いて、それに
月の
人々の
持つて
來た
不死の
藥一壺を
添へて
勅使に
渡し、
天の
羽衣を
着て
靜かに
瞑る
夕まぐれ、
稍散り
透きし
落葉樹は
彼は
此袴を
着けた
男の
身の
上に、
今何事が
起りつゝあるだらうかを
想像したのである。けれども
奧はしんとして
靜まり
返つてゐた。
隔て聞えよがしに
詢言ければ半四郎は聞つけて大いに
立腹の體にてもてなし
靜かにしろとは不屆千萬某が
錢にて某酒を呑にいらざる口を
ト
日があたつて
暖たかさうな、
明い
腰障子の
内に、
前刻から
靜かに
水を
掻𢌞す
氣勢がして
居たが、ばつたりといつて、
下駄の
音。
初めは
俳畫のやうだと
思つて
見て
居たが、これ
實に
畫でも
何でもない。
細雨に
暮れなんとする
山間村落の
生活の
最も
靜かなる
部分である。
天女御空に
舞ふが
如き
美音は、
心なき
壇上の
花さへ
葉さへ
搖ぐばかりで、
滿塲はあつと
言つたまゝ
水を
打つた
樣に
靜まり
返つた。
短い
冬の
日はもう
落ちかけて
黄色な
光を
放射しつゝ
目叩いた。さうして
西風はどうかするとぱつたり
止んで
終つたかと
思ふ
程靜かになつた。
私は
起き
上つて、
折から
運ばれて
來た
金盥のあたゝな
湯氣の
中に、
草の
葉から
搖ぎ
落ちたやうな
涙を
靜かに
落したのであつた。
山中といふ
題です。
山中目に
見、
耳に
聞えるものを
五とほり
竝べて、そしてもの
靜かな
山の
樣子を
考へさせようとしたのです。
さう
鋭くもなく敢へて
奇手
妙策も
弄せず
靜かに
穩かにもみ合つてゐる光
景たるやたしかに「
櫻かざして」の
感なくもない。
亂るゝ
心を
流石に
靜めて
花子さま
仰せまだ
私には
呑込めませぬお
答へも
何も
追てのこと
今日は
先づお
暇と
立たんとするを
しかし
足の
惡いまち
子は、すぐに
疲れるので、やがて
靜かなカフエーかレストランドに
入らなければならなかつた。
その
跡は
何處も
靜かだつた。いや、まだ
誰かの
泣く
聲がする。おれは
繩を
解きながら、ぢつと
耳を
澄ませて
見た。
『
若し
人民どもが
皆な
平伏さなければならない
位なら、
寧そ
行列を
見ない
方が
益ぢやないの?』
其故愛ちやんは
自分の
居た
所に
靜かに
立停つて
待つてゐました。
そこには
父さんのお
家の
御先祖さま
達も、
紅い
椿の
花なぞの
咲くところで
靜かに
眠つて
居りました。
さうして
彼女は
何も
知らずに、
婦人達に
見守られながら、
靜かに
寢臺車で
搬ばれた。
はて、
靜かに、
若し……(從者を顧みて)もそっと
燭火を
持て、
燭火を!……(又チッバルトに對ひ)どうしたものぢゃ!
是非とも
靜かにして
貰はう。……(
來賓に
對ひ)
陽氣に/\!
肥つた
農夫と、
郵便局員とは
眠つてゐて、六
號室の
内は
閴として
靜かであつた。
讀經や、——
今か、
靜こころ
更つての
話とは
何事だらうと、
私も
俄かに
形を
改めると、
大佐は
吸殘りの
葉卷をば、
窓の
彼方に
投げやりて、
靜かに
口を
開いた。
此位靜かに
物事を
爲るのが
法だとか
云つた。
口を
利かず、
音を
立てないのは、
考への
邪魔になると
云ふ
精神からださうであつた。