トップ
>
捧
>
さゝ
ふりがな文庫
“
捧
(
さゝ
)” の例文
翌朝
(
よくてう
)
セルゲイ、セルゲヰチは
此
(
こゝ
)
に
來
(
き
)
て、
熱心
(
ねつしん
)
に十
字架
(
じか
)
に
向
(
むか
)
つて
祈祷
(
きたう
)
を
捧
(
さゝ
)
げ、
自分等
(
じぶんら
)
が
前
(
さき
)
の
院長
(
ゐんちやう
)
たりし
人
(
ひと
)
の
眼
(
め
)
を
合
(
あ
)
はしたので
有
(
あ
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
閭
(
りよ
)
は
小女
(
こをんな
)
を
呼
(
よ
)
んで、
汲立
(
くみたて
)
の
水
(
みづ
)
を
鉢
(
はち
)
に
入
(
い
)
れて
來
(
こ
)
いと
命
(
めい
)
じた。
水
(
みづ
)
が
來
(
き
)
た。
僧
(
そう
)
はそれを
受
(
う
)
け
取
(
と
)
つて、
胸
(
むね
)
に
捧
(
さゝ
)
げて、ぢつと
閭
(
りよ
)
を
見詰
(
みつ
)
めた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
頷
(
うなづ
)
き
給
(
たま
)
ひ、
卷返
(
まきかへ
)
して
高
(
たか
)
く
右手
(
めて
)
に
捧
(
さゝ
)
げられ、
左手
(
ゆんで
)
を
伸
(
の
)
べて「
杢
(
もく
)
、」「は」と
申
(
まを
)
して
御間近
(
おんまぢか
)
に
進出
(
すゝみい
)
づれば、
件
(
くだん
)
の
誓文
(
せいもん
)
をたまはりつ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
エドガーアセリングと
共
(
とも
)
に、
行
(
ゆ
)
きてウィリアムに
面謁
(
めんえつ
)
し、
王冠
(
わうくわん
)
を
捧
(
さゝ
)
げたのは
當然
(
たうぜん
)
のことです。ウィリアムの
行動
(
かうどう
)
は
最初
(
さいしよ
)
禮
(
れい
)
に
適
(
かな
)
ふたものでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
阿母
(
おつか
)
さんの頭には、電車の車内広告の頭の禿げた男が、万年筆を
捧
(
さゝ
)
げ
銃
(
つゝ
)
の形にした絵が思ひ出された。それには二円八十銭より
種々
(
いろ/\
)
とあつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
やがてシッ/\という
警蹕
(
けいひつ
)
の声が聞えますと、正面に石川土佐守
肩衣
(
かたぎぬ
)
を着けて御出座、その
後
(
うしろ
)
にお刀を
捧
(
さゝ
)
げて居りますのはお小姓でございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
○さて堂内人
散
(
さん
)
じて後、かの
山長
(
やまをとこ
)
堂内に
苧幹
(
をがら
)
をちらしおく㕝
例
(
れい
)
なり。
翌朝
(
よくてう
)
山
長
(
おとこ
)
神酒
(
みき
)
供物
(
くもつ
)
を
備
(
そな
)
ふ、
後
(
うしろ
)
さまに
進
(
すゝみ
)
て
捧
(
さゝ
)
ぐ、正面にすゝむを神の
忌
(
いみ
)
給ふと也。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かう思ふと、彼は、いつもきまつて、何ものかに
祈祷
(
きとう
)
を
捧
(
さゝ
)
げたいやうな、涙ぐましい気持ちになるのであつた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
B それで
其女
(
そのをんな
)
はね。
私
(
わたし
)
の一
身
(
しん
)
を
捧
(
さゝ
)
げる
人
(
ひと
)
はあなたより
外
(
ほか
)
にはないとか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つてね。
是非
(
ぜひ
)
この
哀
(
あは
)
れなる
悶
(
もだ
)
えの
子
(
こ
)
を
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さいとか
何
(
なん
)
とか
書
(
か
)
いたものだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
父上
(
ちゝうへ
)
なくならば
親代
(
おやがは
)
りの
我
(
わ
)
れ、
兄上
(
あにうへ
)
と
捧
(
さゝ
)
げて
竈
(
かまど
)
の
神
(
かみ
)
の
松
(
まつ
)
一
本
(
ぽん
)
も
我
(
わ
)
が
託宣
(
たくせん
)
を
聞
(
き
)
く
心
(
こゝろ
)
ならば、いかにもいかにも
別戸
(
べつこ
)
の
御主人
(
ごしゆじん
)
に
成
(
な
)
りて、
此家
(
このや
)
の
爲
(
ため
)
には
働
(
はたら
)
かぬが
勝手
(
かつて
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女
(
をんな
)
と、ばくちと、
阿片
(
あへん
)
と、
支那人
(
しなじん
)
の一
生
(
しやう
)
はその三つの
享樂
(
きやうらく
)
の
達成
(
たつせい
)
に
捧
(
さゝ
)
げられる——などと
言
(
い
)
ふと、
近頃
(
ちかごろ
)
の
若
(
わか
)
い
新
(
あたら
)
しい
中華民國
(
ちうくわみんこく
)
の
人達
(
ひとたち
)
から
叱
(
しか
)
られるかも
知
(
し
)
れないが
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
奥さんはランプの一つを主人の枕元に置き、もう一つを手に
捧
(
さゝ
)
げて主人を見守つてゐました。それで、私ははじめて照らし出される二人の顔を同時に見たのです。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
彼
(
かれ
)
は
段々
(
だん/\
)
彼等
(
かれら
)
の
伴侶
(
なかま
)
に
向
(
むか
)
つて
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
くこせ/\と
徒
(
いたづ
)
らに
遠慮
(
ゑんりよ
)
した
態度
(
たいど
)
がなくなつた。
彼
(
かれ
)
は
村落
(
むら
)
の
凡
(
すべ
)
てに
向
(
むか
)
つて
拂
(
はら
)
つた
恐怖
(
きようふ
)
の
念
(
ねん
)
を
悉
(
ことごと
)
く
東隣
(
ひがしどなり
)
の
家族
(
かぞく
)
にのみ
捧
(
さゝ
)
げて
畢
(
しま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして
男子
(
だんし
)
のものには、
身
(
み
)
に
甲胄
(
かつちゆう
)
をつけ
劍
(
つるぎ
)
を
佩
(
は
)
いてゐる
勇
(
いさ
)
ましい
形
(
かたち
)
をしたのがあり、
婦人
(
ふじん
)
の
像
(
ぞう
)
には、
髮
(
かみ
)
を
結
(
むす
)
びたすきをかけ、
何
(
なに
)
か
品物
(
しなもの
)
を
捧
(
さゝ
)
げてゐるようなのもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
『
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
盃
(
さかづき
)
を
盃洗
(
はいせん
)
の
水
(
みづ
)
で
洗
(
あら
)
ひ、
懷紙
(
くわいし
)
を
出
(
だ
)
して、
丁寧
(
ていねい
)
に
拭
(
ふ
)
いた
上
(
うへ
)
、
但馬守
(
たじまのかみ
)
に
捧
(
さゝ
)
げた。それを
受
(
う
)
けて、
波々
(
なみ/\
)
と
注
(
つ
)
がせたのを、ぐつと
飮
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
した
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
垜
(
あづち
)
の上を越して、隣の庭へ射込んだ矢は、何時でも松五郎の娘のお駒が、間もなく木戸を開けて、『矢が飛んで參りました』——さう言ひ乍ら、袂でくるんだやうに
捧
(
さゝ
)
げて
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
コレハ/\よく作られたと
賞揚
(
しやうやう
)
一
番
(
ばん
)
、その
後
(
あと
)
で
新詩
(
しんし
)
を
一律
(
いちりつ
)
また
贈
(
おく
)
られては、
再
(
ふたゝ
)
び胸に山を
築
(
きづ
)
く、こゝは
大
(
おほき
)
に
考
(
かんが
)
へもの、
面
(
まのあた
)
り
捧
(
さゝ
)
げずに遠く
紙上
(
しじやう
)
で
吹聴
(
ふいちやう
)
せば、先生
髯
(
ひげ
)
を
握
(
にぎ
)
りながら
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ねえ、私達は
潔
(
いさぎよ
)
くその恩を被ようではありませんか! さうして愛を
豐
(
ゆた
)
かに持つことに
努
(
つと
)
め、それをすべてに
捧
(
さゝ
)
げることに、決して自分の
利益
(
りえき
)
を考へないやうにと
心掛
(
こゝろが
)
けませう。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
飛び降りて天の使が
捧
(
さゝ
)
へたとアポクリフアが書いても、人間は奇蹟だと云つて、笑うてしまふだらうが、キリストが、どうせ十字架で死ぬのなら、薄命なエユフオリオンの様に
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
網代
(
あじろ
)
の笠に
夕日
(
ゆふひ
)
を
負
(
お
)
うて立ち去る瀧口入道が
後姿
(
うしろすがた
)
、
頭陀
(
づだ
)
の袋に
麻衣
(
あさごろも
)
、鐵鉢を
掌
(
たなごゝろ
)
に
捧
(
さゝ
)
げて、八つ目のわらんづ踏みにじる、形は
枯木
(
こぼく
)
の如くなれども、
息
(
いき
)
ある間は血もあり涙もあり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
受て
攝州
(
せつしう
)
大坂にて御仕置に行はれしが此源内の娘に
豐
(
とよ
)
と云ふ大孝行の者が有て
父
(
ちゝ
)
源内が入牢せし中
讃州
(
さんしう
)
の
金毘羅權現
(
こんぴらごんげん
)
へ
誓
(
ちか
)
ひを
立
(
たて
)
我が一命を
神
(
かみ
)
へ
捧
(
さゝ
)
げて父の無實の罪に
代
(
かは
)
らんことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
趣味
(
しゆみ
)
の
澁
(
しぶ
)
い
例
(
れい
)
を
擧
(
あ
)
げると、
三上
(
みかみ
)
がその
著名
(
ちよめい
)
なる
東京市内出沒行脚
(
とうきやうしないしゆつぼつあんぎや
)
をやつて、
二十日
(
はつか
)
も
歸
(
かへ
)
つて
來
(
こ
)
ないと
時雨
(
しぐれ
)
さんは、
薄暗
(
うすぐら
)
い
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
で
端座
(
たんざ
)
して、たゞ
一人
(
ひとり
)
双手
(
もろて
)
に
香爐
(
かうろ
)
を
捧
(
さゝ
)
げて、
香
(
かう
)
を
聞
(
き
)
いてゐる。
長谷川時雨が卅歳若かつたら
(旧字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
緑の
昆布
(
こんぶ
)
が一つ
捧
(
さゝ
)
げられる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
なににいのちを
捧
(
さゝ
)
げまし
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
捧
(
さゝ
)
げにけるを
生藥
(
いくぐすり
)
、——
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
肩
(
かた
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
雛
(
ひな
)
の
繪
(
ゑ
)
に
見
(
み
)
る……
袖
(
そで
)
を
左右
(
さいう
)
から
重
(
かさ
)
ねた
中
(
なか
)
に、どちらの
手
(
て
)
だらう、
手燭
(
てしよく
)
か、
臺
(
だい
)
か、
裸火
(
はだかび
)
の
蝋燭
(
らふそく
)
を
捧
(
さゝ
)
げて
居
(
ゐ
)
た。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
案内は白衣に
幣
(
へい
)
を
捧
(
さゝ
)
げて先にすゝむ。
清津
(
きよつ
)
川を
渉
(
わた
)
りやがて
麓
(
ふもと
)
にいたれり。
巉道
(
さんだう
)
を
踏
(
ふみ
)
嶮路
(
けんろ
)
に登るに、
掬樹
(
ぶなのき
)
森列
(
しんれつ
)
して日を
遮
(
さへぎ
)
り、
山篠
(
やまさゝ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りて
径
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
其時四郎左衛門がきつと居直つて、一座を見廻してかう云つた。我々の
交
(
まじはり
)
は正義の交である。君国に
捧
(
さゝ
)
ぐべき身を以て、盗賊にまぎらはしい振舞は出来ない。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
近頃
(
ちかごろ
)
の
仕合
(
しあは
)
せな
新
(
あたら
)
しい
麻雀
(
マアジヤン
)
好きの
面面
(
めんめん
)
はすべからくそれ
等
(
ら
)
の
諸賢
(
しよけん
)
に
敬意
(
けいい
)
を
捧
(
さゝ
)
げて
然
(
しか
)
るべきかも
知
(
し
)
れない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
三ヶ
月
(
げつ
)
ばかり
過
(
す
)
ぎると、
彼女
(
かのぢよ
)
は
國許
(
くにもと
)
に
歸
(
かへ
)
つて
開業
(
かいげふ
)
するといふので、
新
(
あたら
)
しい
若
(
わか
)
い
夫
(
をつと
)
と
共
(
とも
)
に、この
土地
(
とち
)
を
去
(
さ
)
るべくさま/″\な
用意
(
ようい
)
に
取
(
と
)
りかゝつた。
彼女
(
かのぢよ
)
は
持
(
も
)
つてゐるものを
皆
(
みな
)
捧
(
さゝ
)
げた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
神官
(
しんくわん
)
が
卓
(
しよく
)
の
横手
(
よこて
)
へ
座
(
ざ
)
を
換
(
かへ
)
て
一寸
(
ちよつと
)
笏
(
しやく
)
で
指圖
(
さしづ
)
をすると
氏子
(
うぢこ
)
の
總代等
(
そうだいら
)
が
順次
(
じゆんじ
)
に
榊
(
さかき
)
の
小枝
(
こえだ
)
の
玉串
(
たまくし
)
を
持
(
も
)
つて
卓
(
しよく
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
て
其
(
そ
)
の
玉串
(
たまくし
)
を
捧
(
さゝ
)
げて
拍手
(
はくしゆ
)
した。
彼等
(
かれら
)
は
只
(
たゞ
)
怖
(
お
)
づ/\して
拍手
(
はくしゆ
)
も
鳴
(
な
)
らなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
幼馴染
(
おさなゝじみ
)
の
妻
(
つま
)
に
美尾
(
みを
)
といふ
身
(
み
)
がらに
合
(
あは
)
せて
高品
(
かうひん
)
に
美
(
うつ
)
くしき
其
(
その
)
とし十七ばかり
成
(
なり
)
しを
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも二つなき
物
(
もの
)
と
捧
(
さゝ
)
げ
持
(
も
)
ちて、
役處
(
やくしよ
)
がへりの
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
、
人
(
ひと
)
にはしたゝれるほど
濕
(
しめ
)
つぽき
姿
(
すがた
)
と
後指
(
うしろゆび
)
さゝれながら
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
森は
藤
(
ふぢ
)
を
捧
(
さゝ
)
げる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
○さて堂内人
散
(
さん
)
じて後、かの
山長
(
やまをとこ
)
堂内に
苧幹
(
をがら
)
をちらしおく㕝
例
(
れい
)
なり。
翌朝
(
よくてう
)
山
長
(
おとこ
)
神酒
(
みき
)
供物
(
くもつ
)
を
備
(
そな
)
ふ、
後
(
うしろ
)
さまに
進
(
すゝみ
)
て
捧
(
さゝ
)
ぐ、正面にすゝむを神の
忌
(
いみ
)
給ふと也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それ、
徒労力
(
むだぼね
)
と
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
よ!
要
(
えう
)
もない
仕事三昧
(
しごとざんまい
)
打棄
(
うつちや
)
つて、
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
は
妻
(
つま
)
を
思切
(
おもひき
)
つて
立帰
(
たちかへ
)
れえ。
老爺
(
おやぢ
)
も
要
(
い
)
らぬ
尻押
(
しりおし
)
せず、
柔順
(
すなほ
)
に
妻
(
つま
)
を
捧
(
さゝ
)
げるやうに、
少
(
わか
)
いものを
説得
(
せつとく
)
せい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
暫
(
しばら
)
く
見詰
(
みつ
)
めてゐるうちに、
閭
(
りよ
)
は
覺
(
おぼ
)
えず
精神
(
せいしん
)
を
僧
(
そう
)
の
捧
(
さゝ
)
げてゐる
水
(
みづ
)
に
集注
(
しふちゆう
)
した。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
案内は白衣に
幣
(
へい
)
を
捧
(
さゝ
)
げて先にすゝむ。
清津
(
きよつ
)
川を
渉
(
わた
)
りやがて
麓
(
ふもと
)
にいたれり。
巉道
(
さんだう
)
を
踏
(
ふみ
)
嶮路
(
けんろ
)
に登るに、
掬樹
(
ぶなのき
)
森列
(
しんれつ
)
して日を
遮
(
さへぎ
)
り、
山篠
(
やまさゝ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りて
径
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
何家
(
なにや
)
だか
知
(
し
)
らないが、
御支配人
(
ごしはいにん
)
がズツと
先生
(
せんせい
)
を
導
(
みちび
)
くと、
一
(
ひと
)
つゑぐらうといふ
數寄屋
(
すきや
)
がかりの
座敷
(
ざしき
)
へ、
折目
(
をりめ
)
だかな
女中
(
ぢよちう
)
が、
何事
(
なにごと
)
ぞ、コーヒー
入
(
いり
)
の
角砂糖
(
かくざたう
)
を
捧
(
さゝ
)
げて
出
(
で
)
た。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
希
(
ねがは
)
くは
針
(
はり
)
に
傷
(
きず
)
つくことなかれ。お
孃樣
(
ぢやうさま
)
これめせと、
乳母
(
うば
)
ならむ
走
(
はし
)
り
來
(
き
)
て
捧
(
さゝ
)
ぐるを、
曰
(
いは
)
く、ヱプロン
掛
(
か
)
けて
白魚
(
しらうを
)
の
料理
(
れうり
)
が
出來
(
でき
)
ますかと。
魚
(
うを
)
も
活
(
い
)
くべし。
手首
(
てくび
)
の
白
(
しろ
)
さ
更
(
さら
)
に
可三寸
(
さんずんばかり
)
。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五穀豊熟
(
ごこくほうじゆく
)
して
年
(
とし
)
の
貢
(
みつぎ
)
も
心易
(
こゝろやす
)
く
捧
(
さゝ
)
げ、
諸民
(
しよみん
)
鼓腹
(
はらつゞみ
)
の春に
遇
(
あひ
)
し時、氏神の
祭
(
まつり
)
などに
遭
(
あひ
)
しを幸に地芝居を
興行
(
こうぎやう
)
する㕝あり。役者は皆其処の
素人
(
しろうと
)
あるひは
近村
(
きんそん
)
近
駅
(
えき
)
よりも来るなり。
師匠
(
ししやう
)
は田舎芝居の
役者
(
やくしや
)
を
傭
(
やと
)
ふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
青年
(
わかもの
)
は
疾
(
と
)
くから
心着
(
こゝろづ
)
いて、
仏舎利
(
ぶつしやり
)
のやうに
手
(
て
)
に
捧
(
さゝ
)
げて
居
(
ゐ
)
たのを、
密
(
そつ
)
と
美女
(
たをやめ
)
の
前
(
まへ
)
へ
出
(
だ
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五穀豊熟
(
ごこくほうじゆく
)
して
年
(
とし
)
の
貢
(
みつぎ
)
も
心易
(
こゝろやす
)
く
捧
(
さゝ
)
げ、
諸民
(
しよみん
)
鼓腹
(
はらつゞみ
)
の春に
遇
(
あひ
)
し時、氏神の
祭
(
まつり
)
などに
遭
(
あひ
)
しを幸に地芝居を
興行
(
こうぎやう
)
する㕝あり。役者は皆其処の
素人
(
しろうと
)
あるひは
近村
(
きんそん
)
近
駅
(
えき
)
よりも来るなり。
師匠
(
ししやう
)
は田舎芝居の
役者
(
やくしや
)
を
傭
(
やと
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
こゝに
一夜
(
いちや
)
あけの
春
(
はる
)
、
女中頭
(
ぢよちうがしら
)
のおぬひ?さん(
此
(
こ
)
の
姐
(
ねえ
)
さんの
名
(
な
)
未
(
いま
)
だ
審
(
つまびらか
)
ならず、
大方
(
おほかた
)
然
(
さ
)
うだらうと
思
(
おも
)
ふ。)
朱塗
(
しゆぬり
)
金蒔繪
(
きんまきゑ
)
三組
(
みつぐみ
)
の
杯
(
さかづき
)
に
飾
(
かざり
)
つきの
銚子
(
てうし
)
を
添
(
そ
)
へ、
喰摘
(
くひつみ
)
の
膳
(
ぜん
)
を
目
(
め
)
八分
(
はちぶ
)
に
捧
(
さゝ
)
げて
出
(
い
)
で
來
(
きた
)
る。
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
禪師
(
ぜんじ
)
、
斬
(
き
)
られたる
其
(
そ
)
の
首
(
くび
)
を
我手
(
わがて
)
に
張子
(
はりこ
)
の
面
(
めん
)
の
如
(
ごと
)
く
捧
(
さゝ
)
げて、チヨンと、わけもなしに
項
(
うなじ
)
のよき
處
(
ところ
)
に
乘
(
の
)
せて、
大手
(
おほで
)
を
擴
(
ひろ
)
げ、
逃
(
に
)
ぐる
數十
(
すうじふ
)
の
賊
(
ぞく
)
を
追
(
お
)
うて
健
(
すこやか
)
なること
鷲
(
わし
)
の
如
(
ごと
)
し。
尋
(
つい
)
で
瘡
(
きず
)
癒
(
い
)
えて
死
(
し
)
せずと
云
(
い
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
既
(
すで
)
に
獻立
(
こんだて
)
して
待
(
ま
)
ちたれば
直
(
たゞ
)
ちに
膳部
(
ぜんぶ
)
を
御前
(
ごぜん
)
に
捧
(
さゝ
)
げつ。「いま
一膳
(
いちぜん
)
はいかゞ
仕
(
つかまつ
)
らむ」と
伺
(
うかゞ
)
へば、
幼君
(
えうくん
)
「さればなり
其
(
その
)
膳
(
ぜん
)
は
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
に
遣
(
つか
)
はせ」との
御意
(
ぎよい
)
、
役人
(
やくにん
)
訝
(
いぶか
)
しきことかなと
御顏
(
おんかほ
)
を
瞻
(
みまも
)
りて
猶豫
(
ためら
)
へり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卑怯
(
ひけう
)
なる
哉
(
かな
)
、
土地祇
(
とちのかみ
)
、……
実
(
まこと
)
に
雪枝
(
ゆきえ
)
が
製作
(
せいさく
)
の
美人
(
びじん
)
を
求
(
もと
)
めば、
礼
(
れい
)
を
厚
(
あつ
)
くして
来
(
きた
)
り
請
(
こ
)
はずや。もし
其
(
そ
)
の
代価
(
だいか
)
に
苦
(
くるし
)
むとならば、
玉
(
たま
)
を
捧
(
さゝ
)
げよ、
能
(
あた
)
はずんば
鉱石
(
くわうせき
)
を
捧
(
さゝ
)
げよ、
能
(
あた
)
はずんば
巌
(
いはほ
)
を
欠
(
か
)
いて
来
(
きた
)
り
捧
(
さゝ
)
げよ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
り、
銀
(
ぎん
)
の
鼎
(
かなへ
)
を
捧
(
さゝ
)
げた
時
(
とき
)
、
園
(
その
)
は
聖僧
(
せいそう
)
の
如
(
ごと
)
く、
身
(
み
)
も
心
(
こゝろ
)
も
清
(
すゞ
)
しかつた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゞ
一命
(
いちめい
)
を
捧
(
さゝ
)
ぐることをこそ
天地
(
てんち
)
に
誓
(
ちか
)
ひ
候
(
さふら
)
へ
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
臺
(
うてな
)
を、
白日
(
はくじつ
)
に
或
(
あるひ
)
は
抱
(
いだ
)
き
或
(
あるひ
)
は
捧
(
さゝ
)
げて
居
(
ゐ
)
た。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
捧
漢検準1級
部首:⼿
11画
“捧”を含む語句
捧持
捧呈
捧銃
捧腹
捧物
捧出
捧剣梅鉢
捧呈文
捧命
捧腹絶倒
捧術
捧誓
捧誓者
捧読
築山捧盈
辛捧