さゝ)” の例文
翌朝よくてうセルゲイ、セルゲヰチはこゝて、熱心ねつしんに十字架じかむかつて祈祷きたうさゝげ、自分等じぶんらさき院長ゐんちやうたりしひとはしたのでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
りよ小女こをんなんで、汲立くみたてみづはちれていとめいじた。みづた。そうはそれをつて、むねさゝげて、ぢつとりよ見詰みつめた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
うなづたまひ、卷返まきかへしてたか右手めてさゝげられ、左手ゆんでべて「もく、」「は」とまをして御間近おんまぢか進出すゝみいづれば、くだん誓文せいもんをたまはりつ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
エドガーアセリングとともに、きてウィリアムに面謁めんえつし、王冠わうくわんさゝげたのは當然たうぜんのことです。ウィリアムの行動かうどう最初さいしよれいかなふたものでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
阿母おつかさんの頭には、電車の車内広告の頭の禿げた男が、万年筆をさゝつゝの形にした絵が思ひ出された。それには二円八十銭より種々いろ/\とあつた。
やがてシッ/\という警蹕けいひつの声が聞えますと、正面に石川土佐守肩衣かたぎぬを着けて御出座、そのうしろにお刀をさゝげて居りますのはお小姓でございます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○さて堂内人さんじて後、かの山長やまをとこ堂内に苧幹をがらをちらしおく㕝れいなり。翌朝よくてうおとこ神酒みき供物くもつそなふ、うしろさまにすゝみさゝぐ、正面にすゝむを神のいみ給ふと也。
かう思ふと、彼は、いつもきまつて、何ものかに祈祷きとうさゝげたいやうな、涙ぐましい気持ちになるのであつた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
B それで其女そのをんなはね。わたしの一しんさゝげるひとはあなたよりほかにはないとかなんとかつてね。是非ぜひこのあはれなるもだえのすくつてくださいとかなんとかいたものだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
父上ちゝうへなくならば親代おやがはりのれ、兄上あにうへさゝげてかまどかみまつぽん託宣たくせんこゝろならば、いかにもいかにも別戸べつこ御主人ごしゆじんりて、此家このやためにははたらかぬが勝手かつて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
をんなと、ばくちと、阿片あへんと、支那人しなじんの一しやうはその三つの享樂きやうらく達成たつせいさゝげられる——などとふと、近頃ちかごろわかあたらしい中華民國ちうくわみんこく人達ひとたちからしかられるかもれないが
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
奥さんはランプの一つを主人の枕元に置き、もう一つを手にさゝげて主人を見守つてゐました。それで、私ははじめて照らし出される二人の顔を同時に見たのです。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
かれ段々だん/\彼等かれら伴侶なかまむかつて以前いぜんごとくこせ/\といたづらに遠慮ゑんりよした態度たいどがなくなつた。かれ村落むらすべてにむかつてはらつた恐怖きようふねんことごと東隣ひがしどなり家族かぞくにのみさゝげてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そして男子だんしのものには、甲胄かつちゆうをつけつるぎいてゐるいさましいかたちをしたのがあり、婦人ふじんぞうには、かみむすびたすきをかけ、なに品物しなものさゝげてゐるようなのもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おそります。』と、玄竹げんちくさかづき盃洗はいせんみづあらひ、懷紙くわいしして、丁寧ていねいいたうへ但馬守たじまのかみさゝげた。それをけて、波々なみ/\がせたのを、ぐつとした但馬守たじまのかみ
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あづちの上を越して、隣の庭へ射込んだ矢は、何時でも松五郎の娘のお駒が、間もなく木戸を開けて、『矢が飛んで參りました』——さう言ひ乍ら、袂でくるんだやうにさゝげて
コレハ/\よく作られたと賞揚しやうやうばん、そのあと新詩しんし一律いちりつまたおくられては、ふたゝび胸に山をきづく、こゝはおほきかんがへもの、まのあたさゝげずに遠く紙上しじやう吹聴ふいちやうせば、先生ひげにぎりながら
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ねえ、私達はいさぎよくその恩を被ようではありませんか! さうして愛をゆたかに持つことにつとめ、それをすべてにさゝげることに、決して自分の利益りえきを考へないやうにと心掛こゝろがけませう。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
飛び降りて天の使がさゝへたとアポクリフアが書いても、人間は奇蹟だと云つて、笑うてしまふだらうが、キリストが、どうせ十字架で死ぬのなら、薄命なエユフオリオンの様に
網代あじろの笠に夕日ゆふひうて立ち去る瀧口入道が後姿うしろすがた頭陀づだの袋に麻衣あさごろも、鐵鉢をたなごゝろさゝげて、八つ目のわらんづ踏みにじる、形は枯木こぼくの如くなれども、いきある間は血もあり涙もあり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
受て攝州せつしう大坂にて御仕置に行はれしが此源内の娘にとよと云ふ大孝行の者が有てちゝ源内が入牢せし中讃州さんしう金毘羅權現こんぴらごんげんちかひをたて我が一命をかみさゝげて父の無實の罪にかはらんことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その趣味しゆみしぶれいげると、三上みかみがその著名ちよめいなる東京市内出沒行脚とうきやうしないしゆつぼつあんぎやをやつて、二十日はつかかへつてないと時雨しぐれさんは、薄暗うすぐら部屋へやなか端座たんざして、たゞ一人ひとり双手もろて香爐かうろさゝげて、かういてゐる。
緑の昆布こんぶが一つさゝげられる。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なににいのちをさゝげまし
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さゝげにけるを生藥いくぐすり、——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かたそろへて、ひなる……そで左右さいうからかさねたなかに、どちらのだらう、手燭てしよくか、だいか、裸火はだかび蝋燭らふそくさゝげてた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
案内は白衣にへいさゝげて先にすゝむ。清津きよつ川をわたりやがてふもとにいたれり。巉道さんだうふみ嶮路けんろに登るに、掬樹ぶなのき森列しんれつして日をさへぎり、山篠やまさゝしげりてみちふさぐ。
其時四郎左衛門がきつと居直つて、一座を見廻してかう云つた。我々のまじはりは正義の交である。君国にさゝぐべき身を以て、盗賊にまぎらはしい振舞は出来ない。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
近頃ちかごろ仕合しあはせなあたらしい麻雀マアジヤン好きの面面めんめんはすべからくそれ諸賢しよけん敬意けいいさゝげてしかるべきかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
三ヶげつばかりぎると、彼女かのぢよ國許くにもとかへつて開業かいげふするといふので、あたらしいわかをつとともに、この土地とちるべくさま/″\な用意よういりかゝつた。彼女かのぢよつてゐるものをみなさゝげた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
神官しんくわんしよく横手よこてかへ一寸ちよつとしやく指圖さしづをすると氏子うぢこ總代等そうだいら順次じゆんじさかき小枝こえだ玉串たまくしつてしよくまへ玉串たまくしさゝげて拍手はくしゆした。彼等かれらたゞづ/\して拍手はくしゆらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
幼馴染おさなゝじみつま美尾みをといふがらにあはせて高品かうひんうつくしきそのとし十七ばかりなりしをてんにもにも二つなきものさゝちて、役處やくしよがへりのたけかはひとにはしたゝれるほどしめつぽき姿すがた後指うしろゆびさゝれながら
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
森はふぢさゝげる。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
○さて堂内人さんじて後、かの山長やまをとこ堂内に苧幹をがらをちらしおく㕝れいなり。翌朝よくてうおとこ神酒みき供物くもつそなふ、うしろさまにすゝみさゝぐ、正面にすゝむを神のいみ給ふと也。
それ、徒労力むだぼねことよ! えうもない仕事三昧しごとざんまい打棄うつちやつて、わかひとつま思切おもひきつて立帰たちかへれえ。老爺おやぢらぬ尻押しりおしせず、柔順すなほつまさゝげるやうに、わかいものを説得せつとくせい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しばら見詰みつめてゐるうちに、りよおぼえず精神せいしんそうさゝげてゐるみづ集注しふちゆうした。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
案内は白衣にへいさゝげて先にすゝむ。清津きよつ川をわたりやがてふもとにいたれり。巉道さんだうふみ嶮路けんろに登るに、掬樹ぶなのき森列しんれつして日をさへぎり、山篠やまさゝしげりてみちふさぐ。
その何家なにやだからないが、御支配人ごしはいにんがズツと先生せんせいみちびくと、ひとつゑぐらうといふ數寄屋すきやがかりの座敷ざしきへ、折目をりめだかな女中ぢよちうが、何事なにごとぞ、コーヒーいり角砂糖かくざたうさゝげてた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねがはくははりきずつくことなかれ。お孃樣ぢやうさまこれめせと、乳母うばならむはしさゝぐるを、いはく、ヱプロンけて白魚しらうを料理れうり出來できますかと。うをくべし。手首てくびしろさら可三寸さんずんばかり
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五穀豊熟ごこくほうじゆくしてとしみつぎ心易こゝろやすさゝげ、諸民しよみん鼓腹はらつゞみの春にあひし時、氏神のまつりなどにあひしを幸に地芝居を興行こうぎやうする㕝あり。役者は皆其処の素人しろうとあるひは近村きんそんえきよりも来るなり。師匠ししやうは田舎芝居の役者やくしややとふ。
青年わかものくから心着こゝろづいて、仏舎利ぶつしやりのやうにさゝげてたのを、そつ美女たをやめまへした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五穀豊熟ごこくほうじゆくしてとしみつぎ心易こゝろやすさゝげ、諸民しよみん鼓腹はらつゞみの春にあひし時、氏神のまつりなどにあひしを幸に地芝居を興行こうぎやうする㕝あり。役者は皆其処の素人しろうとあるひは近村きんそんえきよりも来るなり。師匠ししやうは田舎芝居の役者やくしややとふ。
こゝに一夜いちやあけのはる女中頭ぢよちうがしらのおぬひ?さん(ねえさんのいまつまびらかならず、大方おほかたうだらうとおもふ。)朱塗しゆぬり金蒔繪きんまきゑ三組みつぐみさかづきかざりつきの銚子てうしへ、喰摘くひつみぜん八分はちぶさゝげてきたる。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
禪師ぜんじられたるくび我手わがて張子はりこめんごとさゝげて、チヨンと、わけもなしにうなじのよきところせて、大手おほでひろげ、ぐる數十すうじふぞくうてすこやかなることわしごとし。ついきずえてせずとふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すで獻立こんだてしてちたればたゞちに膳部ぜんぶ御前ごぜんさゝげつ。「いま一膳いちぜんはいかゞつかまつらむ」とうかゞへば、幼君えうくん「さればなりそのぜんかごなかつかはせ」との御意ぎよい役人やくにんいぶかしきことかなと御顏おんかほみまもりて猶豫ためらへり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卑怯ひけうなるかな土地祇とちのかみ、……まこと雪枝ゆきえ製作せいさく美人びじんもとめば、れいあつくしてきたはずや。もし代価だいかくるしむとならば、たまさゝげよ、あたはずんば鉱石くわうせきさゝげよ、あたはずんばいはほいてきたさゝげよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかり、ぎんかなへさゝげたときその聖僧せいそうごとく、こゝろすゞしかつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ一命いちめいさゝぐることをこそ天地てんちちかさふら
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うてなを、白日はくじつあるひいだあるひさゝげてた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)